サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【京郷新聞訳】アイドル不和説の裏には… 「関係性」という巨大な幻想

【京郷新聞訳】アイドル不和説の裏には… 「関係性」という巨大な幻想

https://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?art_id=202103221708001&code=960100

シム・ユンジ記者

2021.03.22

 

国内最長寿グループSHINHWAは最近メンバー間の公開舌戦で不和説が浮上した後、和解した。

 

#1

国内最長寿グループSHINHWAの「不和説」が最近浮上した。 エリックは今月14日、インスタグラムに「個人活動に比重を置いてグループのスケジュールに被害を与えた」とキム・ドンワンを狙撃する書き込みを掲載し、キム・ドンワンが真っ向から対抗したため舌戦が繰り広げられた。 この過程で、2人が6年間個人的には連絡していなかったという事実も明らかになった。 数日後、2人の「和解認証ショット」が公開され一段落したが、アイドルグループ内部の葛藤が水面上に浮上したのは異例だった。

 

#2

いじめ説が提起されたガールズグループのAprilは、状況が更に深刻だ。 「元メンバーだったヒョンジュがメンバーからいじめられ、極端な選択(自殺)まで試みた」という弟の暴露文が発端だった。 所属事務所側はヒョンジュの不誠実な態度に言及し、「誰も被害者と加害者に分けることはできない」と述べたが、「所属事務所も背を向けた被害者」というイメージが固まり、世論はさらに悪化した。 メンバーのナウンは出演中のドラマや広告から降板した。

 

多くのアイドルがメンバー不和説が浮き彫りになった後、長い空白期間があったり解散の手順を踏んだ。

 

K-POPグループにとっての「不和説」とは

アイドルの「不和」は避けられない。 性格も好みも違うのに会社の企画によって一つのグループにされるため、大小の葛藤が生じるのがむしろ自然だ。 家族のような固い関係にもなるかもしれないが、自分たちの意見の食い違いを確認して言い争ったり仲違いをすることもある。 しかしその不和が表面化した瞬間、これはグループの存立を危うくするような大きな悪材料として働く。 AOA、T-ARA、Secretなどの多くのグループが、メンバー間の不和説やいじめの論議が起こった後に活動を中止したり解散の手続きを踏んだ。

 

アイドルはどうしてこれほど不和説に敏感なのか。 KPOPファンダムにおける「関係性」は、これを理解する主な鍵だ。 「関係」に接尾辞「性」を付けたいわゆる「関係性」は、メンバーたちが作り出すケミストリーをいう。 異なるメンバーが「チームでの成功」という一つの目標に向かって意気投合し、ファンはこの姿に感化して応援を惜しまない。 歌手とファンが一緒に築いていく「成長叙事」は、個別グループだけでなくKPOP産業全体の成功要因でもあった。

 

SHINHWAの不和説が特に話題になったのもこのためだ。 所属会社との商標権紛争、メンバーの金銭的問題、セクハラ疑惑など紆余曲折を経ながらも「一つのチーム」を維持するために絶えず努力してきた歴史は、それ自体が「SHINHWA」というブランドになった。 ドラマ『火の鳥』(2003)で人気の高かったエリックがグループを維持するために巨額のスカウトを断ったエピソードは、今でもファンの間で語り継がれている。

 

アイドル専門コラムニストのパク・ヒア氏は「K-POPのパフォーマンスはグループ全員の努力がなければ成立できないという特徴があり、個人ではなくグループの成功が強調されるとき、ファンも『メンバーと一緒に作った成功』という満足感を得るようになる。 ひとりが与えられた役割をきちんと遂行できなければ、失望は大きくなるしかない」と述べた。

 

■コンテンツとなったメンバー間の「関係性」

最近はメンバー間のエピソードを「分析」し、関係性を「解釈」するのがファンの遊び文化としても定着した。 「愛嬌たっぷりの兄」と「シックな弟」のようにメンバーたちにキャラクターを与え、敍事を積んでいくやり方だ。 インスタグラムのライブ放送やVアプリ、所属事務所の独自コンテンツ(ジャコン)など、メンバーたちのプライバシーを見せるメディアが増えたのが要因だ。

 

KPOPファンが関係性に熱狂する理由は何か。 パク氏は「社会生活するうちに、葛藤が生じざるをえないということはファンもわかっている。しかし『それにもかかわらず1つのチームを維持する』という敍事が胸を熱くさせるのも事実」とし、「自分たちは人間関係で苦労しているが、自分が好きなアイドルはお互い仲良くしているという点が一種の『代理満足』を与えるのでは」と解釈した。

 

ファンが期待する関係性も、メンバーの本音と行動から出たという点では完全な虚構とは言えない。 あるエンターテイメント業界の関係者は、「コンテンツを制作する際、関係性を意識して編集したり広報戦略にしたりはしない。 自然に現れたメンバーのチームワークをファンが直接目にする場合が多い」と話した。 一方、芸能番組プロデューサーのAさんは、「メンバーにも感情の起伏がある。 撮影中に互いに非難し合うような姿を見せる時もあるが、たいていは不必要な論争を避けるために編集する」と言い、「独自のコンテンツやライブ放送も結局、歌手がファンに見せたい姿を見せるという点で、完全な"リアル"とは言えない」と話した。

 

■不和を放置する産業の矛盾

SHINHWAの不和説が示すように、メディアに流通する断片的コンテンツはメンバーの関係性の「一面」にすぎない。 2015年から2019年まで放送されたAprilのオリジナルコンテンツ「ON AIR PRIL」ではメンバー同士が気兼ねなくふざけあう姿に「実の姉妹のような関係性が見られる」という反応があった。しかし、いじめ説の後からは映像の中のメンバーの些細な目つき、言葉遣い、行動一つ一つが「神経戦」あるいは「嫌がらせ」を示す証拠となった。 これは12年のT–ARA、18年のAOAいじめ論争の時も繰り返された様相だ。

 

メンバー同士の関係やプライバシーを扱ったコンテンツが増えるほど、不和を放置するKPOP産業の競争的構造が隠れてしまう可能性もある。 デビュー前まではお互いを追い抜くように激しく競争し、デビュー後は家族のような関係になることを求められる状況。 敏感な思春期の時期に合宿生活と殺人的なスケジュールに耐えなければならない状況では、メンバー間のいじめや暴力が生じる可能性も大きくなる。 しかし、不和を望まないファンの期待がある限り、仲の良い姿を見せなければならないというメンバーのプレッシャーは大きくならざるを得ない。

 

Aさんは「成果が出るメンバーはごく一部で、その一部のメンバーですら自尊心が低かったりする。メンバー間の認知度に差があって、個人活動が多くなるほど葛藤に脆弱な構造がある」とし、「マネジメントが誤解が積もらないよう仲裁するのが最も良いが、現実的には簡単ではない」と述べた。

 

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「KPOP=アイドル産業のコアにメンバー同士の関係性あり」というのはどこの国でも同じだと思いますし、特にKPOPでは、今最も世界的にファンダムが拡大しているBTSがまさにグループのアイデンティティの中心にこういう「物語」を据えていると言っても過言ではないくらい、ブレイクの瞬間である「花様年華シリーズ」からメンバー7人の関係性(「ひとつの心臓を分け合う7人の少年たち」)を押し出して成功したとも言える巨大モデルという...そういう大きな成功例ができてしまうと、他のグループも同様のイメージや戦略を強調したり追わざるを得なくなるというのはありそうです。


数あるアイドルコンテンツの一部である関係性コンテンツそのものに罪はないと思うのですが、問題があるとしたらファンドムや社会が理想をかぶせすぎる事とか、それゆえにアイドル本人たちが本音を言いづらくなる状況の方という気がします。

特にアイドルのファンドムってメンバー同士の目に見える関係には敏感で、細かい「ケミ」にも敏感に反応する分あそこで目を合わせてなかったから仲が悪いのではとかメンバー間での扱いがわるいのではとか、一挙一動から100まで妄想を膨らませてしまう部分がかなりあるので。「メンバー間の関係性を想像する遊び」も定着したのは最近どころかH.O.Tの時代にはすでにかなりあったようですし(本人たちによるそういう事を把握している発言は昔からあり)昔SMがファンから募集したファンフィクションを実際にメンバーでドラマ化したりしてたので今更なんですが、問題はSNSや配信系コンテンツの増加で「リアルっぽい」部分が昔より見えるようになったために、以前よりも現実と混同しやすくなっているとか本当に混同する層が増えている事のような気がします。

 

所詮他人であるファンのスタンスとしては、ずっと一緒にいるんだし仲の良い時期も喧嘩する事もあるだろうとか、外からはわからない葛藤や紆余曲折もあったかもねくらいの距離感であるべきで、ヒョンジュの場合のように本人の直接の身内である家族が言うなら別ですが、プライベートを知らないはずのファン、ましてやただのネットウォッチャーが外から口を挟んで拗らせていい問題でもないし、そうなってくると不健全な(toxic)な状態になってしまっていると思います。女性グループの方が「女子同士のイジメの陰湿さ」みたいな偏見のあるイメージに飛びついて騒ぐ人たちが特に多い印象なのも気になるところ。

 

逆に神話みたいに表で言いたいことを言い合ったほうが、上手く解消しやすそうだとも思いますが...元々はそういう関係を築いてきたからこそ出来ることかもしれませんが。昔からファンといい意味でも悪い意味でも相当やりあってきたらしいグループなだけに、「今当人たちで解決しようとしてるから、ファンのみんなは騒がないように」と早期にコメントを出していたあたりは流石だなと思いました。本人たちよりも個々メンバーのファン同士の衝突でファンドム内が揉める事の方がよくあるみたいなので...