そのような元々洋楽好きな層が多く使っているであろう偏りのある音源サービスのチャートですので、そこに入ってくる「洋楽」は決して韓国で「一般的に流行っている」とは限りません。韓国の総合音楽チャートであるGAONチャートを見ると、ここ数年間で年間チャート上位に入ってくるくらい一般的にヒットした「洋楽」は数曲ですし、Fitz & The Tantrums Fitz「Hand Clap」エド・シーラン「Shape Of You」(プロデュースシリーズの影響)カミラ・カベロ「Havana」アン・マリー「2002」MAROON5「Memories」ジャスティン・ビーバー「Peaches」など、いずれも「ヒップホップの曲」でもありません。The Kid Laloiの「STAY」はラップの曲ですが、これは韓国ではジャスティン・ビーバー人気の影響が大きいと考えていいと思います。前にツイートもしていました。
「韓国で欧米の曲が人気」というより「韓国のチャートには洋楽が入ることもある」という感じですし、「韓国ではヒップホップが人気」は正しいですが、「欧米圏のヒップホップ曲」が人気なのではなく、韓国で人気なのは「韓国のヒップホップ曲」です。そしてこれは欧米圏の音楽というよりはすでに「SHOW ME THE MONEY」や「高等ラッパー」などドメスティックな韓国のTV番組の影響の方が遥かに大きいです。韓国のヒップホップアーティストは当然欧米のヒップホップアーティストの曲を聴いて取り入れていますが、だからこそわざわざ欧米のヒップホップアーティストを聴かなくても国内のヒップホップアーティストを聴けばいいという状況に特に一般的にはなってると思います。
更に、会場となったアメリカは銃社会で爆弾テロなどの可能性もあり、特に大きな会場ではスマホ以外の電子機器の持ち込みには一般的にかなり厳しいのでは。 特にスタジアムの場合はNFLのClear Bag Policyというのがあるため、持ち込んで良いバッグも規制があってアメリカのコンサート用オタバッグは全部ビニールのスケルトンが多いです。特にBTSは過去にアメリカでの殺害予告などが実際にありましたし、そういう状況で韓国のファン活動のノリで禁止されている撮影機器を隠して持ち込むような状況が多発すると、最悪の場合警備の問題上ということでスタジアムが借りれなくなる可能性もなくはないのかもしれません。撮影や録音行為そのもの以上に、ホムマ活では必須の撮影機器の持ち込みや使用に対しての注意喚起も強かった文章のように思います。So-Fiスタジアム自体には一応6インチ以内のレンズのカメラの持ち込みそのものはOKとなってますが、撮影自体が禁止されているイベントの場合はカメラを持ち込めたとしても使用禁止は禁止ですし。
韓国のアイドルが曲に込めがちなメッセージ(「思想」と言えるものは、今現在はほぼないと思います。聴く方が勝手に読み取るのは自由ですが)としては、90年代からの鉄板のテーマで「社会や大人への反抗」というのがあって、元祖KPOPグループとも言われるソテジワアイドゥルの「教室イデア」などは代表曲だと思います。これは日本含む世界中のティーンコンテンツに共通するテーマだとは思いますが、韓国の特に厳しい年功序列というか、「年上が偉い」という価値観がかなりはっきりしている(言語的にも敬語だけでなく年上と年下に使う言語が違ったりする)特性上、当時の社会における「未成年」という立場の弱さへの不満が反映されていたのでしょう。ソテジは自分たちで製作するセルフプロデュースのグループでしたが、このスタイルやメッセージをコンセプトとして「アイドル」の曲に取り入れたのはSMが元祖と言われていて、90年代後半にデビューし人気を二分したH.O.T「戦士の末裔(暴力時代)」やSECHSKIES「学校別曲」もそういうテーマでした。そして、デビュー当時の防弾は90年代末に流行したこれらのテーマをギャングスタラップスタイルと掛け合わせ、更に当時流行し始めていた「ヒップホップ系アイドル」として仕上げた新旧トレンドミクスチャーという感じだったと思います。実際、デビューした時のコンセプトは「10代を大人たちの偏見から守る防弾チョッキになる」的なアレだったと記憶してますし、初期はここに挙げた3曲をさまざまな場でカバーしていました。後にソテジの「Come Back Home」のリメイクをやったりもしましたが、これは当時社会問題になっていた家出少年少女たちへのメッセージソングです。また、デビューしてすぐにLAでWarrenGやCoolioと一緒に「ヒップホップ武者修行」するリアリティ番組「アメリカンハッスルライフ」がMnetで放送されたりと、KPOP業界全体にそういうヒップホップ的なトレンドがあった時期でもありました。