サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【ヘラルド経済訳】パンデミックの中の韓流をどう見るのか。 「2020韓流白書」発刊

※2021年9月26日加筆修正済み

 

【ヘラルド経済訳】パンデミックの中の韓流をどう見るのか。 「2020韓流白書」発刊

https://n.news.naver.com/mnews/article/016/0001827333?sid=103

[ヘラルド経済=ソ·ビョンギ先任記者]

2021.04.27. 

 

COVID19以後、韓流にはどのような変化と成長があり、ポストコロナ時代の韓流はどのような準備をしなければならないのか?

その答えの一環として、文化体育観光部(長官:ファン・ヒ、以下:文体部)と韓国国際文化交流振興院(院長:チョン・ギルファ、以下:振興院)は韓流総合情報書籍『2020韓流白書』を発刊した。

 

今回の白書では、「COVID19タイムライン2020」特集でコロナ19初の確定者が発生した2020年1月から12月まで韓流に関する国内外の主要事件と対応を一目でわかるようにした。 何よりもパンデミック状況下に対する解釈や過小評価は避けながら、6大文化コンテンツとビューティー・グルメ・ファッションの4大消費財・サービス産業の現状と話題、輸出経路、今後の展望を考察した。

 

韓国の放送映像コンテンツはOTTを通じてグローバル視聴者との接点を大きく拡大した。「サイコだけど大丈夫」(tvN19位43カ国·146日)、「スタートアップ」(tvN32位28カ国·124日)、「ザ・キング」(SBS36位28カ国·124日)、「青春の記録」(tvN48位·26カ国·79日)がNETFLIXの世界中のテレビショーの順位で一期近く愛されており、「スイートホーム」は2020年末、世界8カ国のNETFLIXで1位を占めた。 グローバルOTTを通じた完成作(プログラム)の輸出が依然として高い比重を占める中、フォーマット中心のIP販売も拡大された。

 

アジアで再確認された韓国コンテンツの人気は、アジアを超えるという期待と同時に輸出実績の面で「下落から上昇」の反転を確認させた。 韓国の放送番組の輸出は、日本と中国を除いたアジア諸国から大幅に拡大され、北米地域への輸出額の増加も目立った。 放送韓流の範囲が「放送」の境界を越える状況で、NETFLIXを通じた韓国ドラマブームを確認する統計集計システムの不在は関連輸出統計に関する制度的装置作りを要求している。

 

18年と19年にかけて縮小された韓国映画の海外輸出は、再び上昇に転じた。 2020年、韓国映画の輸出本数は計975本と、2019年比で401本増えた。 これは完成作輸出(5416万ドル、603億ウォン、64.7%)がサービス輸出(2945万ドル、328億ウォン、35.2%)を逆転して現れた結果だ。 「COVID19」で新作公開が延期され、これといった海外セールス作品がない状況で、一部の作品の「グローバルOTT旋回」に「付加市場」(現地劇場、VODなど)配給による追加収益が加えられ、完成作の輸出拡大が実現した。

 

国別の輸出額と割合は台湾(709ドル=88億ウォン、14.6%)、日本(約42億ウォン、7.0%)が1、2位を維持しており、中国(245万ドル=27億ウォン、4.5%)が米国(99万ドル=11億ウォン)を抜いて3位となった。 冷え込んだ韓中関係のため中国現地の映画館では韓国映画を見ることはできないが、リメイク版権販売のような付加的な市場版権は善戦した。

 

COVID19が持続する中で輸出規模と便数が減ると予測されるが、グローバルOTTと映画祭、フィルムマーケットなど多様な変数が同時に考慮されるという点で、パンデミックの状況を否定的にだけ解釈することはできない。 映画部門もより多様な経路、特にOTT輸出実績が確認できる統計モデルを考案することにより、今後の推移を観察する必要がある。大手KPOP事務所や多数の音楽授賞式のオンタクト(On-tact)公演がアンタクト(Un-tact)時代の典型を示した中、音楽著作権徴収関連議論、BLM(Black Lives Matter)運動や気候変動など、グローバルな話題に積極的に乗り出すKPOPスターら(BTS、BLACKPINK、パク・ジェボム、GOT7のマークなど)のニュースも目に付いた。 音楽産業の輸出額比重は日本(65.1%)、中国(19.8%)、東南アジア(12.3%)、北米(1.3%)、欧州(1.2%)の順だった。(訳注:2020年の数字のような記載ですが、実際この数字は2018のものです!白書の中の表では2018の数字しかなく、それを2020のものとして記事を作成したようです)北米輸出額は「ビルボードHOT100」チャートで2つの1位の曲[『Dynamite』(2020.8.)、『Life Goes On』(2020.11.)]を排出し、もう1つの歴史を書いたBTSの成功に支えられ30.8%上昇(2018年比)し、年平均増減率が84.3%(2016-2018)に達するほど有意義な成果を収めた。

 

一方、KPOPが地域の音楽を超えてグローバルな大衆音楽として成長する過程で、インド、北中米の黒人歴史文化に関する「文化盗用」(Cultural Appropriation)議論が頻繁に提起された。 これは韓国音楽の拡張性に伴う一種の「過渡期的成長痛」であり、文化盗用の可否は今後他の文化様式を借用する際に綿密に検討してなければならない部分として強調された。

 

代表的なホームエンターテイメントであるゲームはパンデミックの状況で大きく栄えたが、その様相は単純ではない。 モバイルゲームとコンソールゲーム中心のゲーム製作配給業は二桁の成長を見せる見通しだが、ネットカフェやアーケードゲーム場などオフライン中心の流通業者は大幅なマイナス成長を予想した。 世界のゲーム市場で韓国のゲームランキングは米国、中国、日本、英国に次いで5位に順位を下げたが、シェア(2018年6.3%→2019年6.2%)にはほとんど変動がなかった。

 

主要国家別輸出の割合を見ると、中華圏(40.6%)の輸出割合は2019年を基準に前年比9.7%増加し、東南アジア(11.2%)、日本(10.3%)、台湾(9.8%)、北米(9.1%)などの順となった。 伝統的に強かったPCゲーム、モバイルゲームに続き韓国コンソールゲームの立地が定着し、ゲームタイトルを購入したりダウンロードしたりしなくても、インターネット接続だけで高品質なゲームが可能な「クラウドゲームサービス」の競争が激化する見通しだ。

また、eスポーツやクリエイターコンテンツ利用の中心軸がTwitch、YouTubeゲーミングのようなゲーム動画専門サービスに移行し、「やるゲーム」を超えて「見るゲーム」文化がさらに広がると予想される。

 

非対面・オンラインコンテンツ利用慣習に最適化されたサービスとされるウェブトゥーンは日本(30.3%)、中国(香港含む23.9%)、北米(13.7%)の順だった。 自国のウェブトゥーン市場が成長し、韓国作品の輸入が徐々に減少する中国状況や、LINEウェブトゥーン、レジンコミックス、タペトゥーンなどのプラットフォームを通じた北米輸出の増加傾向が反映された結果だ。

 

ウェブトゥーンは、アニメーション、映画、ゲームなど様々な形態のコンテンツ知的財産(Content Intellectual Property、コンテンツIP)に拡張する影響力を持っているという点で、限りない発展の可能性を見せている。 ウェブトゥーン産業の持続的な発展のためには、他国の優秀コンテンツを吸収し、国内のウェブトゥーンプラットフォームに定着させるための努力が求められ、著作権認識の改善も重要課題としている。 特に、国内を含む海外の一部国家で目立つ著作権概念の貧困は、クリエイター、エージェンシー、企画会社および製作会社の海外進出を妨げる障壁であるという点で、国家レベルの対応ガイドラインづくり、不法流通遮断のためのモニタリングシステムの開発が切実な状況だ。

 

文化体育観光部と韓国国際文化交流振興院が発刊する「韓流白書」は2008年「韓流白書」で始まり、2013~2015年「韓流白書」、2016年「韓流メーカーズ」、2017年「韓流白書」として毎年発刊されている。 韓国国際文化交流振興院のホームページ(kofice.or.kr)でダウンロードでき、教保文庫の政府刊行物コーナーで5月1日から購入できる。


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OTT=Over The Topオーバー・ザ・トップ)」の略語で、通信事業者やインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)に頼らず、インターネットを通じて提供されるメッセージや音声、動画などのコンテンツやサービスのこと。YouTubeNETFLIX、AbemaやTVerなど。

 

韓国は日本でいうところのクールジャパン室みたいな部署が、文化輸出データを毎年きちんとまとめてるのがえらいなと思います。

日本だと公的機関が毎年データを出すわけではないので、なんとなくの感覚でしか捉えづらいというか...例えば得意分野?のアニメなんかはNETFLIXの普及で変わった部分もあるでしょうし、漫画も去年アメリカでコミック(キッズ向け以外)の中で年間で1番売れたのが「僕のヒーローアカデミア」だったんですよね。

(https://icv2.com/articles/markets/view/47376/full-year-2020-npd-bookscan-top-20-adult-graphic-novel)

でも多分マンガの総量で見たら韓国や中国の方が読まれていそうですし、近年北米への売上も増えている(100万本以上売れるタイトルがいくつも出てるらしい)ゲームとかもですが、その辺ちゃんとしたデータの推移が見られたらいいのになと思いました。

 

音楽輸出のところ、BillboardHOT100で1位というのがかなり話題になったし北米への輸出が「30.8%上昇(2018年比)し、年平均増減率が84.3%(2016-2018)」に達した一方で、それでも全体の音楽輸出額に占める割合は1%程度(注:実際は2019基準で10%です)なんだなあ...と思いましたが、逆にまだ全然開拓の余地ありということでもあり。そして1位の日本(65.1%)とそれ以下(2位中国(19.8%)3位東南アジア(12.3%)〜北米(1.3%)、欧州(1.2%))の差が結構大きいんだなという...(追記:この元記事自体が白書が全体公開される前のもので実際の内容を確認できてなかったのですが、この数字自体が2018のものでした。この記事はKOKKAのサイトにも掲載されているいわば公認記事なのですが、白書の内容自体に2018の数字しか記載がなく、記事を作成した人がそれを混同して書いてしまったようです。結果的に2020の数字はまだ出てなくて、2019の数字は1位は日本(55.1%)、東南アジア(17.1%)、中国(15.5%)、北米(10.6%)、欧州(3%)でした。いちばんコンサートツアーができていた2019でこの割合という認識で良いと思います)

コンサートツアーなんかができる状況ならもう少しバランスは変わるかもしれませんが、欧米でもツアーをやってるような某大手事務所の人から聞いたアジア圏に比べると北米はグッズは全然売れないという話を思い出しました。権利に厳しい日本ともはや無銭オタクが日本以上に軽蔑される中国のオタク界隈(愛情=お金くらいの価値観かも)がトップ2なのを見ると、この輸出金額の割合は無銭オタクの割合とも比例してる感じもあり。欧米のアニメや漫画オタクは今は公式があるならそれを見るべきという価値観になってきているので、単に欧米の「アイドルオタク文化」がまだ未成熟というのもあるのかも。アイドルオタク文化がこのままキープされれば意識の変化はあるのかな。

 

最近PLEDISが営業利益でSMとYGを超えたというのがニュースになってましたが、実は2018年のSEVENTEENの日本デビュー以降前年度の赤字を一気に逆転して、2019にはすでに営業利益でSMもYGも超えていたというのが(2018はNU'ESTもWとして活動してたのもありつつ)リアルに「日本できちんとファンビジネスをやって当たるとデカい」を体現してた感じがありました。

(SMやYGと違って音楽事業以外に手を広げてないという状況の違いもありますが)

KPOPにとっては、今もやっぱり日本が最も大きなビジネスの場所なんだなという事を再確認した次第でした。1強3中時代と言われたりもしますが、いずれの事務所にしても今後も日本活動にある程度注力するのは間違いなさそうですね。

 

気になったのはウェブトゥーンの項目にあった、「 国内を含む海外の一部国家で目立つ著作権概念の貧困は、クリエイター、エージェンシー、企画会社および製作会社の海外進出を妨げる障壁であるという点で、国家レベルの対応ガイドラインづくり、不法流通遮断のためのモニタリングシステムの開発が切実な状況だ。」の文章です。

最近韓国のウェブトゥーンを日本のアニメスタジオがアニメ化というパターンが増えてきているのですが、確かにウェブトゥーンや漫画の1番の大きい可能性ってIP(知的財産)ビジネスなんですけど、それが整わないことにはビジネスとして成り立ちづらいというのはその通りだろうと思いましたし、「著作権概念が貧困」な自覚はあったんだなという...これは多分KPOP=アイドルについても同じで、国内だけなら知財権感覚がゆるゆるでも構わないかもしれないけど(そこを犠牲にしても得られるものがあると思うなら)知財権の先にあるビジネスを他の国でもきちんとやりたいのであれば、いつまでも「ファンによる広報」頼みではなく、その中でもやっていいこととダメなことへの線引き(特にホームマスター関連)がいよいよ必要な時代になってきているんだろうと思います。

(特にアイドル=芸能人の「人権」について真面目に考えるなら、アイドルファン側からは己の欲望とアイドルの権利を天秤にかけることにはなるけどいずれは避けて通れない問題だと思われる)