サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【Biz韓国訳】 「アイドルも労働組合が必要だ」TEEN TOPミンスの直言

[K-POP:不思議の国のアイドル]「アイドルも労働組合が必要だ」TEEN TOPミンスの直言

 

13年間の活動の末に残ったのは不眠症「精神的圧迫を解消する窓口が必要、業界問題について話すことができなければ」

2024.07.25(木) 15:11:03  

https://www.bizhankook.com/bk/article/27991

 

きらきら光る舞台の上のアイドル。 このように頂上にいた人気アイドルの「死亡」の知らせを聞くのはいつも荒唐無稽だが、今更ではない。 多くの「若い」KPOPスターたちが世を去った。 その度に芸能事務所のシステムが俎上に載せられる。 幼い年から厳しい統制の中で生活しているため、精神的圧迫が激しいという批判だ。 ボーイズグループ「TEEN TOP」の元メンバーだったパン・ミンス作家に会って、アイドルを辞めた理由を尋ねた。

 

2010年にTEEN TOPとしてデビューしたCAPは、2023年に突然グループを脱退した。 4月19日、ビズ韓国がTEEN TOPの元メンバーだったパン・ミンス作家に会って、これまでの話を聞いた。 写真=パク・ジョンフン記者

 

#「アイドル」でさえなかったら...

「ティリリン…·夜明けのかすかな着信音は体を引き立たせるのに十分ではなかった。」

朝起きたミンスはアイドル仲間の訃報を聞いた。 夜明けに留守番電話がかかっていた。 震える手でクリックした。 訃報の主人公だった。 彼はほんの数時間前に自分に電話をかけてきた。 一度も大変だと言ったことのない友達だった。 罪悪感が胸を押さえつけた。

 

「TOP100耳」国民MCユ・ジェソクが選択したグループ。 昨年MBC「遊ぶなら何する」で彼らを訪ねた。 2010年にデビューした「第2世代」アイドルに訪れた珍しい機会だった。 ファンは歓呼し、大衆は彼らの歌を再び聞き始めた。

 

しかし、ミンスは第2の全盛期になるかもしれない機会をあきらめた。 ある人は彼がチームに「灰をまいた」として指差した。 こうして彼は13年間のアイドル生活を終え、店じまいした。

 

今は好きな絵を描いて、「パン・ミンス」として放送をする。 ミンスは、「力仕事がアイドルより好きだ」と言って明るく笑った。 「現職アイドルの友達から時々『ありがとう』という連絡が来ます。 一面識のない子達もですね。 その方たちも知っているんです。 この業界がいかにおかしいかを…」

 

ミンスの表情はさっぱりしていた。 アイドルに未練はない」ときっぱりと線を引いた。 彼に聞いた。 「アイドルじゃなかったら、歌手を続けたでしょうか?」刹那のためらいに瞳が揺れた。 やがて唇が落ちた。 「はい。歌手だったらやめなかったでしょう。 私はラップをするのが今でも好きです」

 

#13年のアイドル生活、不眠症を得た

18歳。絵を愛していたミンスはキャスティングの提案を受けた。 舞台の上の歌手たちは素晴らしかった。

「かっこよく見えて、一度はやってみようと思って挑戦したんです」

 

練習生の期間は短かった。 「ラップ」に才能があった彼は、すぐにデビュー組に合流した。 「所属事務所も小さかったし、資本も足りない状況だったので、急いで準備してデビューしました。 練習生は半年くらいやりました。 半年間、デビュー曲をずっと練習していました」

 

練習生になってからは学校に行けなかった。 ミンスの1日は毎日同じだった。 朝8時に起きて午前10時まで運動をした。 以後夜10時まで練習の繰り返し。 12時間ダンスと歌をした。

「月火水木金土日、まったく同じルーティンで練習しました。 ライブからダンスまで、すべての動作を同じように作りました。 当時は何が大衆に好まれるかわかりませんでした。 それで『すべて』を上手くしなければなりませんでした。 ダンスも一生懸命踊りながら、ライブも完璧にしなければなりません。 そのように半年を過ごしました」

 

19歳。ミンスはCAPという名前でデビューした。 スタートは順調だった。 業界にありふれた「所属事務所との葛藤」もなかった。 ヒット曲もいくつかできた。 グループ名にふさわしく「トップ」アイドルになった。 予期せぬ障害物は他のところにあった。 「収益配分も待遇も良かったです。 それでも限界がありました。 結局自分という人格を消さなければならないことですから。 TEEN TOPのキャップはパン・ミンスではなく「他の人」でした。 私は『演技』しただけです」

 

市場が大きくなりアイドルを「商品化」する方式も多様化した。 フォトカードを売って、「最愛」アイドルとプライベートメッセージをやりとりすることもできる。 数百万ウォンから数千万ウォンをかけると、アイドルと直接会って写真を撮ったり、ビデオ通話をする機会を得る。

 

「私が考えるアイドルとは、夢と希望を与えることです。 舞台を通じて大衆を幸せにしてあげられると思います。 歌うのが好きで、パフォーマンスが好きで始めたのですが、現実のアイドルは私を性商品化する仕事でした。 人間ならできることがアイドルはできないんです。 他の芸能界の職群よりアイドルにとっての特に物差しが厳しいのも、この部分のせいだと思います」

 

#アイドル、団結してこそ生きられる

アイドルには精神的な圧迫と苦痛を解消できる窓口がなかった。 「周りのアイドルを見ると、10人に9人は懐疑心を感じて苦しんでいます。 問題はストレスを受けても表に出ず、隠さなければならないことです。 感情を寝かせていると、良くないことがたくさん起こると感じます」

 

ミンス不眠症になった。 2~3日に一度程度は眠る眠ることができた。 自分の気持ちがどうなのか知りたかった。 一人で心理学を勉強し、軍隊に行って関連単位を取得した。 心の安定を取り戻そうと絶えず努力した。

 

そうして13年を耐えた。

「実はずっと辞めたいと思っていました。 その度にメンバーたちと知人たちが引き止めました。 もう一回だけ、もう一回だけでここまでやって来たんです」


2023年、キャップは再びパン・ミンスになった。 絵が好きだったミンスは作家になった。 絵を教える先生にもなった。 カフェも運営し、たまにはアルバイトで「草取り」作業もする。 時々ユーチューブ放送もする。 アイドルではなく作家として、カフェ社長として、ユーチューバーとして、先生として生きている。

 

CAPだったミンスはもう作家になった。 描きたい絵を描き、展示会も開く。 写真=バン·ミンス作家提供

 

彼はもう「幸せ」だと言う。

「実は悩みが多かったんです。 自分と合わないことだと最初から分かっていたんですけど、20代半ばになるとアイドル以外にできることがあるのかどうかという考えが大きかったんです。 しかし、ストレスに耐えられませんでした。 自分はそれでも絵に才能があって運が良かったのです」

 

彼はアイドル文化が変わらなければならないと話す。

「(アイドルは)ものすごいストレスを受けますね。 これを言わなければ絶対に解くことができないと思います。 会社でも労組を作るじゃないですか。 アイドルも団結しなければなりません。 K-POP業界の問題について語る人も必ずいなければなりません」

 

ミンスは、アイドル産業が消えるよりむしろ大きくならなければならないと信じている。

「国家の競争力が大きくなれば、それだけ文化産業も重要になります。 産業が大きくなるにつれて自浄作用ができると信じています。 国家的にもK-POPに対する投資が必要だと思います。 小さな事務所も結局小商工人なんです。 専属契約書の修正も必要です。 投資費用がもったいなくて人質にしておく場合があります。 一般の会社員たちも私の年俸を高めて経歴を積むために移るじゃないですか。 練習生は1年、専属契約は5年程度に減らさなければならないと思います」

 

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前のヘランもですが、TEEN TOPのようにいわゆる「第二世代」は急速に世界的にKPOPの知名度が上がってビジネス的にも大きくなり始めた時期の割には色々と業界的に未熟な部分も多く、アイドルにかかる負担も大きかった時期かもしれません。

特に「歌手」になりたい子供が音楽を仕事にするには「アイドル」が最短距離というか、よほどでなければそれしか道がないくらいの時期だったのではないかと思います。

今の世代の子たちは最初からアイドルになりたいという子達しかやってないと思うので、CAPの時代とはそのあたりは結構違う認識かもしれません。

 

日本では「アイドル」は歌手というより特殊なエンターティナーという認識が一般的だと思いますが、韓国ではいまだに「歌手」という括りに押しこめられており、技能の面では確かに「アーティスト」と呼ぶべきクオリティが担保されていますが、同時に実際のアイドルのアイデンティティとも言えるファンや大衆に対する「感情労働」もこなすのが当然とされています。

更に韓国では歴史的に歌手に対する偏見が強かったり、芸能人に対する人格行動評価の厳しさや、基本が寮生活でプライベートであるはずの時間も生配信やSNSでのコミュニケーションや報告を24時間365日求められ、監視されている状態と言えます。このビジネス形態にまきこまれているファン自体もそれらが行われる事を無意識のうちに当然のこととして求めてしまっている部分はあると思いますし、その結果「普通の人間ならできることができない」の範囲が日本よりさらにに大きいように思います。

接触イベント」も韓国の方が遥かに濃い1対1でのコミュニケーションが可能なことが多いですし、良くも悪くもトップアイドルでもファンとの関係性が濃厚にならざるを得ないという。

(接触イベントについては日本のアイドルのほうがイメージ強いようですが、実際は20年以上前からCD購入対面対話サイン会は韓国にもあり、活動期間中のKPOPアイドルの重要なビジネス活動です。ファンの「認知」もここでより濃厚にされることが多く、「何万円以上CDを積んだ人たちが直接会話できる」世界で、日本のAKB系の「握手会権利が当たった分のCDだけ購入」よりもエグい世界だと思います...)

 

日本のアイドルの場合、大手のアイドルほど(犯罪行為は別ですが)熱愛報道や見た目・ある程度の言動については事務所やアイドルもスルーすることは多く、ファンが騒いだとしてもそれが実際にアイドル側に影響を与えることはあまりないというか。禊後の再スタートもステージ上とファンへの態度である程度許される土壌はまだあるように感じます。これ自体は賛否あるでしょう。ただ、「アイドルへのプレッシャー」とか「人権」という話になるなら、似ているところはあれど多少マシなようにも感じます。

(地下はもっと問題あると思いますが)

 

そんなわけで、KPOPアイドルは技能自体の激しいトレーニングに加えて海外活動による移動やスケジュールのキツさ、大衆やファンダムからのプレッシャー、プライベートのなさや感情労働のキツさ、すこしでもネガティブな部分は表に出すことが許されないキツさ、それらのキツさのベースに結局ファンダムが深く関わっていることの厄介さなど、音楽やダンスが好きとか得意だけではこなすことは到底無理で、相当向いている人が限られそうなとってもキツい職業のように見えます。人気が出ればかなり対価はあれど。

それでもここ10年で大手はかなりマシになったかもしれませんが、中小はあまり変わりないのかなあと昨今の事件を見ても思います。

このインタビューの内容に関しても、コアの部分の問題の根源であろう「ファンダム」には言及できてないんですよね。事務所の待遇は良かったけど、それでも自分を押し殺して別人格になること、性商品化されることがキツかったと言っていて、その直接的な理由って結局はファンですよね。(多分今も彼の画家としての仕事を支えてくれてる人の中にはアイドル時代のファンもいるでしょう)そしてファンがそういうメンタルや行動になるのはKPOP業界のビジネスシステムが根本にあるとは思いますが、そのシステムに対しての責任がファンダムの側に全くのゼロとも言えないような。適度な距離感的な話をしているのはファンダム内ではあまり見たことがありません。