サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【ize訳】インタビュー:B1A4ジニョン│① 「『こんな場所で』は、ノスタルジアを感じさせられたら良いと思った」

【ize訳】インタビュー:B1A4ジニョン│① 「『こんな場所で』は、ノスタルジアを感じさせられたら良いと思った」

2016.4.27


http://ize.co.kr/articleView.html?no=2016042504577216234

 

Mnet「プロデュース101」の「こんな場所で」と「桜が散ったら」、そしてOHMYGIRLの「一歩二歩」。デビューの頃からB1A4の曲を地道にプロデュースしているジニョンは最近、ガールズグループの歌を相次いで作曲し、注目に値するプロデューサーとして浮上している。 デビュー5年目、やがてさらにたくさんの人々に輝かしい才能を認められるようになった彼はどのような思いなのだろうか。


ー最近は作曲依頼がきてるんじゃありませんか。

 

ジニョン:話は来ているらしいですが、まずはB1A4がリリースを控えている状況なのでアルバム作業に集中しています。 とにかく、「プロデュース101」出演して最もよかったのはB1A4がもっと注目されるようになった事ですね。 音源サイトでもリアルタイム検索語にあがったり。 「こんな場所で」が浮上しましたが、ある瞬間「B1A4」もあがりました。 やはり1人でする仕事とはいえ、自分が一生懸命やればグループの役にも立つんだなと思いました。

 

ー「こんな場所で」は、どのようなイメージを盛り込みたかった曲でしょうか。

 

ジニョン:「愛と別れが共存する現実の中で君に会ったから/私はそれを受けいれなくちゃいけないね」という歌詞がある。 「プロデュース101」に出演した研修生の子達を見ると、彼女たち同士でもある時は冷たく、ある時は温かい現実の中で出会ったという気がした。 こんな場所でトレーニングをして同じ場所で思い出を作る少女たちだけど、その後には結果によって別れるかもしれない少女たちだったから。 そんな感じを掴みつつ曲を書いていきました。

 

ー歌詞は確かに悲しいのに、メロディーには妙に力がありますね。

 

ジニョン:練習生たちを見ていると、ただ軟弱なわけではないというイメージがぴったりだった。 もし自分が「プロデュース101」に出ていたらどうしただろうか。 本当に簡単なことではないと思う。 彼女たちは何にでも全力で、夢もたくさん抱いていた。 だからこの歌も悲しいだけではない方が良いだろうと思った。 おぼろげな雰囲気の中で悲しい話をしたりもするけど、リフレインでは抱負を示すように力強い感じを生かしたんです。 もし少女たちが歌う曲として甘やかすことだけを考えたなら、テンポももっと遅くなったと思います。 ドラムキックをもっと弱く行こうか悩んだりもしましたが、考えてみたらあえてそうする必要もなさそうだったので。

 

ーどこか90年代のガールズグループの歌を聞くような感じもありますが…。

 

ジニョン:聞く人たちが昔の記憶を思い浮かべることができるようにイントロを作ろうとしました。 電子オルガンをちょっと変わった感じで使ったり。 先輩たちからそのような言葉をたくさん頂きました。 「こんな場所で」を聴くと初恋を思い出す方が多いそうです。僕はサウンドをよく作るかどうかで終わるのではなく、どこか郷愁が感じられたらいいといつも思っています。 すべての人たちに郷愁があると思うんです。 多少野暮ったく聴こえたとしても、これを現代的にアレンジしてみようという考えはありません。実際、両親が音楽が大好きなので幼い時から昔の歌を一緒にたくさん聞いていたんです。 ライブカフェにもよくついていったり。 その時の感性がひそかに刻み込まれているみたいです(笑)

 

ー練習生たちの合格と脱落に大きな責任を占める部分もあるような曲でした。 プレッシャーはなかったんでしょうか?

 

ジニョン:僕は元々曲を作る時プレッシャーについて考えないようにしてます。 B1A4のアルバムを作業する時も当然プレッシャーがありますが、意識的に考えないように努力します。 それでは上手くいくこともできなくなるから。 同様に、今回も負担を抱えないようにしたんですが、「プロデュース101」を見ているうちに練習生の子たちの切実さをとてもよくわかるようになったんです。 ああ、僕がここでもし間違えてしまったらこの子たちの人生に障害になるかもしれないという気がして。 そう心積りして、ディレクティングもさらに慎重にチェックするようになりました。 「こんな場所で」のレコーディングは夕方に開始して次の日の明け方5〜6時ごろに終わりましたし、「桜が散ったら」も朝8時ごろに終わりました。 でも几帳面にしただけで厳しくしたわけじゃないですよ(笑)レコーディング自体が初めてだった子達が多かったので、僕が厳しいことを言ったらかえってさらに緊張して作業に支障が出るんじゃないかと思いました。自分のメンバーたちに対してはディレクティングをもっと強くする時が多いので。

 

ーどれくらい厳しくするんでしょうか。

 

ジニョン:そんなひどいことをするわけではなく…メンバー達が録音室に一旦入ると、かなり長く閉じこもったままにはなります。 1人当たり2.3時間ほどかかる時があって。 実は僕は修正箇所について厳しく言うのではなく、彼らが録音したものをもう一度聞かせながら自ら自覚させるスタイルです。 ほら君が録音したのを聴いてみて、こんな感じですることが100回言葉で言うよりもマシなんじゃないかと思います。メンバーたちとはあまりにも長い間呼吸を合わせてきたので、こうすれば本人たちも何を変えればいいかすぐに気がつくんです。

 

ーB1A4の「Sweet Girl」や「Lonely」のような曲を聞くと、おぼろげなムードのせいかそれとなく最近のグループの歌と接しているようだ。

 

ジニョン:聴く分には曲に対する好き嫌いがないんです。 EDMもいいし、ゴリゴリのヒップホップも好きだし、ガールズグループの歌も好きだし。以前に作った曲を見てもジャンルは色々です。 一方で、雰囲気という面では何というかおぼろげな感じを好きな部分はありますね。 歌がそのままぷっつり終わるのではなくて、何でも余韻が残ればいいと思う。 だから歌を作る時も思い出を刺激しようと努力します。 僕自身が思い出という言葉をとても好きというのがあって。

 

ー具体的にはどのようなスタイルの演出をしているのでしょうか。

 

ジニョン:「SOLO DAY」という曲は口笛で始まるし、「歩いてみる」は風の音で始まります。 特に「歩いてみる」が収録されたアルバム全体を聞いてみると、イントロではとても寂しいその他のメロディーが流れて、リアルな足音が聞こえてきて、それが終わると、「歩いてみる」が始まります。「Lonely」はノイズが入ってます。 子供たちが遊び場で遊ぶ音がこっそり混ざってます。 こんな風に特定の感情を触発するためにいろいろな試みをたくさんしてみています。

 

ー作る歌のそのような雰囲気のせいで「若いのにすでに世の中を知っている感じがする」というような評価を受けたりもするんじゃないでしょうか(笑)

 

ジニョン:それは本当によくあります。 僕が実際に親しいミキシングの技師さんやプロデューサーのヒョンたちはほぼ40代なんですが(笑)その方たちとお酒を一杯やると「君は違和感がない。正直年齢をごまかしてるんじゃないか?」と言われたりもします。そんなわけはないんですが……えっなんでそんな事を言われるのだろうと気にしたりもしました。 自分では自分のことがよくわからないので。

 

(②に続く)

 

 

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【ize訳】ガールズグループは極限の職業│②I.O.Iの極限芸能

ガールズグループは極限の職業│②I.O.Iの極限芸能
2016.06.28

 

http://m.ize.co.kr/view.html?no=2016062610087276209

 

いつからか、芸能番組に特にガールズグループが多く登場し始めた。 人気のバロメーターと判断する人もいるだろうが、実際にガールズグループが芸能番組に出演するということは、さまざまな点で深刻な感情労働に耐えなければならないという意味だ。 今のバラエティ番組ではガールズグループに何をどれほど要求しているのか、TWICEとともに最も活発に出演中のI.O.Iの芸能番組での歩みを分析した。 I.O.IがMNET「スタンバイI.O.I」の放送を開始した4月22日から2ヵ月の間に起きたことであり、メンバー全員または一部が出演したプログラム全てが該当する。

 

目の保養のためのダンス
I.O.Iが出演した番組において'PICK ME'ダンスは必須要素だった。 KBS「オソオプSHOW」の最初の生放送にはI.O.I全員が出演し、テレビショッピングとまったく関係のない'PICK ME'のステージを見せ、「ビタミン」も放送のラストを突然'PICK ME'のステージで一緒にシメた。 「SanEが大好きだから」(イフィジェ)少し聞いてみようと言った「バトルトリップ」、JTBC「あなたとともにシーズン2-最高の愛」(以下「あなたと一緒に2」)などI.O.Iは要請を受けさえすれば、客席でも自分たちの宿舎でも踊りを見せなければならなかった。 MNET「プロデュース101」ですでに100回以上'PICK ME'を練習したというI.O.Iに対して、ダンスが不要な放送でさえこのような要求するのは、単に「我々の目を楽しませてほしい」という意味であり、それ以上でも以下でもない。 さらに、「オソオプSHOW」では運動のやり方を見せるため、出演していたSISTARとキムセジョンがSISTARの曲に合わせて踊り、「アジェ(おじさん)」MCたちがそれを我先に眺める姿とともに花びらが咲いたCGを挿入した。「このようなヘルスクラブ(スポーツクラブ)があったら、一生通いたいものだ、一生!」という、ノホンチョルの発言も一緒に。


愛嬌
「ガールズグループの必須項目です。 これをうまくやれば個人の特技がなくても構いません。 愛嬌パレードを始めましょう」「おじさんファンたちの朝を起こしてくれるような愛嬌や個人技など何かないでしょうか」「I.O.I愛嬌スキル電撃伝授」これらはKBS FM「パク・チユンの歌謡広場」とKBS「生放送朝がいい」でMCたちがI.O.Iに投げたコメント、そして「ハッピートゥゲザー」に登場した字幕である。 愛嬌がどうしてガールズグループの必須項目でなければならないのか、なぜ愛嬌や個人技をやることで敢えて「おじさんファン」たちの気力を奮い立たせてほしいのかという事に対して少しも悩むことなどないような言葉に対し、I.O.Iは舌足らずの赤ちゃんのような声色でご飯をおごってほしいと話したり、「おばけのゆめ見ちゃの(기싱 꿍꼬또)」愛嬌を披露した。 また、JTBC「知っているお兄さん」は、本放送とは別に待機中のI.O.Iの姿をライブで放送したこともあるが、「愛嬌を見せてほしい」という視聴者の意見が掲載されると、I.O.Iメンバー11人全員の愛嬌を執拗に引き出そうとした。 躊躇するメンバーにキムヒチョルは「これはよくない。(パク)ジニョンヒョンも「週刊アイドル」に出演して愛嬌をしたばかりだ」だと指摘したが、新人ガールズグループと一つの会社の代表、それも中年男性が感じる愛嬌に対する圧迫感は同じはずがない。

 

モクバン
いつも過酷なダイエットとハードなスケジュールに追われる少女たちに、美味しい食べ物を食べさせてもてなしたいというのはわかる。 しかし、彼女たちが食べる姿をあえて執拗にカメラで見せる必要はない。 「知っているお兄さん」はI.O.Iにジャージャー麺と酢豚などを与え、「本格I.O.Iモクバン開始!」とか「食べる姿さえも花のようにきれいな少女たち」という字幕を付け、KBS「不朽の名曲-伝説を歌う」では「とてもよく食べる姿が良い」という理由でアレックスが渡したパンを大きくちぎって食べているカンミナの顔をアップにし、男性出演者たちの笑顔をうつした。 たとえ善意から始まったことだとしても、このような視線でガールズグループを対象化するということがどういう事なのかは、JTBC「よく食べた少女たち」でより明確になった。 I.O.Iの代表格で出演したカンミナは、観客と他の出演者たちが自分の食べる姿をじっと眺めているようなプレッシャー下でも明るく笑い、チキンの食べ方を一生懸命に説明しなければならなかった。 さらに、勝った出演者はまた食べなければならないという点で、「よく食べた少女たち」は放送分量と「モクバン」を引き換えにする、悪い企画としか言いようがない。

 

外見の指摘
番組はカンミナの食べる姿が良かったと話すと同時に、カンミナの体型をひそかに冷やかしている。 I.O.Iがホストとして出演したTVNSNL KOREA」の'サニー'コーナーではカンミナがポケットからパン出して食べる場面の後、「さっきも食べてたのにまた食べるの?」というイセユンの台詞のあと、大げさに自分の体をなでおろし「私はいくら食べても太らない」というカンミナの台詞入れて観客たちの爆笑を引き出す方式で、カンミナを笑い物にした。 外見の指摘に加担するのはTV番組だけではない。 MBC FM4U「テイの夢見るラジオ」には「CMの間もミナはひっきりなしに食べてるね?」という聴取者のコメントが掲載され、カンミナは慌てた表情で笑ってカロリーゼロのお茶を飲んだだけだと釈明しなければならなかった。 このほかにも「あなたと一緒に2」ユンジョンスはカンミナに対して「今日は眼がかなり腫れているね」「ジャージャー麺のようになった」「目の下がとても薄い。 何かちょっと入れたらいいんじゃないか」等と理解し難い発言を連発しており、雰囲気がおかしくなると番組は「簡単には克服しがたい世代の違い」いう字幕で解決しようとした。 しかし、誰かの外見を評価するのはいつでも不快なことであり、問題は世代の違いではなく、自分より若い女性相手だからこそ配慮なく無礼な指摘を吐き出したユン・ジョンスの態度だ。

 

すっぴん公開
まもなく放送予定のMNET「レンソン友達I.O.I」のプロモーション用Vアプリ放送では、開始から顔を隠した誰かがI.O.Iの宿舎で「皆さんのエンジェルI.O.Iの大ヒットすっぴんまもなく公開!」という文字が書かれたボードを持っていた。 そして、約25分間続いた放送に登場したのはまだ寝床から抜け出す事ができないI.O.Iメンバーたちの姿と、ちょうど眠りから覚めたばかりのメンバーたちの素顔だけだった。 リアリティ・ショーのためにプライバシーが守られなければならないアイドルの宿舎の隅々にカメラを設置しておくこと自体が多少暴力的なことでもあるが、それ以上の問題は、眠りから覚めかけの少女たちの素顔を見せるためにあえて'ライブ'放送をして視聴者からのリアルタイムの反応を狙ったという部分だ。 女性の外見はいつも評価の対象となり、その中でもメイクアップを落とした女性芸能人の顔にはさらに厳格な物差しが適用されるという点で、'すっぴん'公開はボーイズグループよりガールズグループの方にさらに激しいストレスを与えるしかない。 現代の韓国でガールズグループをするには、自分の感情や欲望を一体どれだけ放棄しなければならないのだろうか?


文 ファンヒョジン
校正 キムヨンジン

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기싱 꿍꼬또愛嬌=プインプインやキヨミに続く愛嬌トレンド。幼児が舌ったらずに「おばけのゆめみたの」というのが可愛いので、それ真似して言うのが流行っているらしい。

 

モクバン=人が食べている姿の事。一時期韓国ではモクバンブームと言えるものがあり、特に俳優のハジョンウが火つけ役になったと言われている(哀しき獣)日本でいうと永谷園のお茶漬けのCMやラーメンのCMであえてガツガツ食べる場面を見せて視聴者の食欲をそそるという手法が流行ったりしたが、それの延長上と言えるかも。


izeはサブカルメインのウェブマガジンでありますし、今年若者の間でフェミニズムが盛り上がるような事件が立て続けに起こった(江南のカラオケボックスで女子大生が殺害された事件で犯人が女性が憎く、女性なら誰でもよかったと発言したことなど)こともあってか、特にフェミニズムや女性の扱われ方に関して敏感な記事を載せる方だとは思います。日韓のサブカルチャーについて大学で教鞭をとっている韓国人の知人によると、日本も大概だけどミソジニーの韓国のネット民の言葉にはとても口には出せないような表現が多々あり、性別+年齢のダブルで抑圧の来る若い女性のプレッシャーは大きいかもしれないとの事でした。その一方で身内の女性をとても甘やかす文化(カップル記念日など)も強く、その極端な愛憎の乖離っぷりが日本とはまた別種の拗れ方をしているのかもしれません。

それはさておき、そういう風潮を受けての記事ではないかと思います。アイドルとファンの間での相互コンセンサスを考えると、わかったうえでお互い納得してやってるからいいのでは?という部分もありますが、問題はここにファン以外の一般の人の反応が絡んでくることで根本にアイドルに対するポジティブな感情、尊敬や崇拝がない目線が入ってくると、そこには自然と一般社会における若い男女に対する扱い方の違いが反映されてくるということなのかもしれません。


例えば韓国版ニコ動のようなアフリカTVでは素人女性が食事をする姿を放送するチャンネルが人気だったりしますが、女性のモクバンは擬似デートだったり(孤食文化がそもそもあまりなかった韓国では家でのひとりごはんのお供に見る人もいるらしいですが)ある種のフェチズム的な代替行為としても見られがちというのは多少あるかもしれないなと。実際にはそういう対象は女性に限らないとは思いますが、それを踏まえた上で作られたであろう「よく食べた女性たち」のような企画に関しては特に女子アイドルがそういう形で消費されていると思われても仕方のない面はあるかもと思いました。しかしそれを言ったら日本の女子アイドル業界はどうなっちゃうんだという気はしますが。
(そしてやはりグループの’育ち'による格差も感じたり感じなかったり。たとえ新人でもこういうことをまったくやらないでもある程度の人気があるし事務所もやらせない、という女性アイドルたちもいると思うので…)

 

個人的には「知っているお兄さん」でのヒチョルのコメントは笑いで和ませてフォローしたんだろうと思いました(過去様々な極限の無茶ぶりに耐えてきたスーパージュニアゆえに)

 

 

 

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【ize訳】ガールズグループは極限の職業│①GIRL IS NOT A DOLL

ガールズグループは極限の職業│①GIRL IS NOT A DOLL
2016.06.28

 

http://m.ize.co.kr/view.html?pDepth1=i2101&no=2016062610097241665

 

昨年12月、izeはMNET 「プロデュース101」の予告ステージを見て次のような記事を出した。 「『プロデュース101』、2016年には更に地獄の日々だろう」。そして、ちょうど半年が経った今、これはガールズグループ市場の不吉な予言のようにも読み取れる。市場が不況という意味ではない。むしろその「プロデュース101」を介して「夢を見る少女たち」のスローガンを抱いてデビューしたI.O.Iと同じ放送局のサバイバルプログラム「SIXTEEN」でデビューしたTWICE、初期の少女時代の感覚を再現したGFRIENDなどの登場により、久々に市場ではエンターテイメント問題の中心となった。いわゆる「アジェペン(おじさんファン)」の流入と一緒にファンドムの全体のサイズも大きくなった。しかし、このように注目が集中する状況でガールズグループが過去半年の間に苦しまされた事件を指摘してみよう。去る1月、TWICEのメンバーであるツゥイはMBC 「マイリトルテレビ」のインターネット放送で台湾の国旗を振ったことから謝罪動画を撮らなければならなくなった。 KBSは旧正月特集番組「本分金メダル」の中で、ガールズグループの本分であるイメージ管理をどれだけできるか確認すると言う名目でガールズグループの体重を公開し、模型のゴキブリドッキリを仕掛けた。 OnStyle「チャンネルAOA」で安重根義士の顔がわからなかったソルヒョンとジミンは、その後のショーケースで涙の謝罪をした。 そして今週にはガールズグループメンバーたちがよく食べる姿まで見せなければならないJTBC「よく食べる少女たち」が放送を控えている。

 

後づけ的なこじつけかもしれない。 先にあげた記事は実際にはガールズグループだけに関するものではなかった。 地獄という表現を使ったのは「他の参加者たちをどうにか蹴落とすことが必須」である「権力のある側が作ったハンガーゲームような競争のルール」のためだった。 しかし、ハンガーゲームのような各自が生き残る道のためのサバイバルゲームが問題であるのは、皆が公平にこの地獄に参加しているということだけではない。 皆が各自生き残らなければならないとき、より多くの荷物と苦痛を甘受しなければならないのは結局弱者だ。 特に自分に過ちがなくても謝罪しなければならないし、大きな過ちがなくても百拝して謝罪しなければならず、笑えと言われば笑い食べろと言われたら食べなければならない。 これらの事件とは別にSBS「ベクジョンウォンの三代天皇」やJTBC「知っているお兄さん」のようなプログラムでガールズグループのメンバーらを呼んできれいな背景のように活用するのは、現在の放送市場の階級におけるガールズグループの位置を可視的に示している。 最近、
JTBC「冷蔵庫をお願い」でMCのキムソンジュはゲストであるTWICEのジョンヨンとツゥイ、FIESTARのチャオルをこのように紹介した。 「製作陣が(シェフたちのための)大きなプレゼントを準備しました」ゲストではなく、プレゼントとして。

 

もちろん、アイドル産業は基本的にファンタジーという財産を提供する方法で市場を維持する。先日、KBS 「ハッピートゥゲザー3」にI.O.Iと一緒に出演したS.E.S出身のパダは「ガールズグループそのものの本質は、人々に幸せと喜びを与える存在」と言ってI.O.Iを励ました。しかし、パダの深い助言にもかかわらず、この日の放送は意図せずしてボーイズグループとは違うガールズグループだけに適用される奇妙な物差しを表わした。この番組のタイトルは「昔の姉VS今時の妹」である。対決構図が問題なわけではない。ボーイズグループはデビューする時もオッパであり、Sechskiesのように十数年ぶりに再結成をしてもオッパのままだ。オッパという呼称は年齢と関係なく一種の階級という説もあるが、ボーイズグループは命脈を維持すればオッパであり、文字通り偶像(IDOL)であることができる。ガールズグループはそうではない。 S.E.Sがそうであるよう、彼女たちはある瞬間には妖精から脱落し、昔のオンニになる。その場所は旬の妹たちが埋める。 1990年代後半から本格化したアイドル市場の歴史は年を重ねるごとに多くのオッパたちを累積してきたが、逆に多くの妖精を脱落させ、その場所により若くよりかわいい存在を詰め込んだ。適用される競争のルール自体が違う。生き残るのが難しくなるほどに、耐えなければならないことはより増える。

 

「プロデュース101」の国民プロデューサーシステム以降、たくさんの「アジュペン(おじさんファン)」が流入し、ガールズグループに対するファンドムに干渉がひどくなったのは、これらの理由から無視できないシグナルである。 I.O.Iのデビューが確定してDCインサイドのキムセジョンギャラリーがいわゆる「貢物」を準備したところ、「最初から高価な贅沢品を使うなんて行儀が悪くなる」という世論を集めたのは有名なエピソードだ。LOVELYZは3月の大学のイベントでイベントに当選した男性に突然無理やり抱きつかれたりしたし、APRILは5月に放映した国防TV 「慰問列車」で兵士に同意なく腰を抱かれるVTRを撮られたりもした。パダの言葉のように、ガールズグループは幸せと喜びを与える存在かもしれない。彼女たちにとって世界は慰問列車のようなステージだ。これは、お互いに合意のある上でのマーケットの本質である。問題は、この慰問列車に勝手に乱入してもいいという考え方、それすらもガールズグループは従わなければならないという考え方である。それさえも体系化されたタスクの放送でさえ、彼女たちがおじさんタレントの愛嬌自動販売機のように活用されている状況では、この歪んだ信仰からガールズグループを守る感情的なセーフティネットはほとんどないと見ても差し支えないだろう。

 

だから、今のガールズグループはアイドルではない。偶像ではないという点でそうだ。彼女たちは憧憬を受けるためにファンタジーを維持することができない。目しか出ないのに笑わなければならない。芸能界は、特にアイドル市場は当事者の多くの感情労働に支えられているが、ガールズグループはその労働に値する尊敬を受けない。いや尊重されないことが今やこの極限の仕事の本質であり、彼女たちの役割になってしまった。ギブ・アンド・テイクの世界で彼女たちが受け入れた生活と言うこともできる。それでも生き残ることができれば、イベントと広告で少なくないお金を稼ぐことができる。 それならいいのだろうか。 セーフティネットのない競争で生き残るためには何をしても良いと、あるいは何でも放棄してもいいと言っている世の中は、果たして地獄のようではないと言えるだろうか。 2016年がちょうど半分すぎた今、少女たちが経験する世の中は。 

 

記事 イグンオ
校正 キムヨジン

 

 

 

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【ize訳】防弾少年団のK-POPアップデート

防弾少年団K-POPアップデート
2016.10.20


http://m.ize.co.kr/view.html?no=2016101610387290457&pDepth=pえQa


ボーイズグループ防弾少年団の「WINGS」は、今週「ビルボード200」チャートに26位でデビューした。 K-POPアーティストの中で歴代最高順位だ。もちろん、K-POPが海外のチャートに名前を上げることは、もはや珍しくはない。時折海外の成功事例として報道されている「ワールドアルバムチャート」や「ワールドデジタルソングチャート」が狭い基準のチャートに過ぎず、いわゆる「メインチャート」と呼ばれる「HOT100」または「ビルボード200」の方が凄いのだという区分を作ったりすることも不要なほどだ。しかし、防弾少年団の成果は、K-POPや特定のグループが海外で人気のあるというシグナル以上のものである。

 

ビルボード200」を一言で表現すると、アルバムチャートである。 「HOT100」は相対的にシングルチャートと説明する。しかし、両者の違いは音楽を販売する単位ではなく消費形態にある。 「HOT100」チャートのスコア算定はアルバム販売量、ラジオ放送回数、ストリーミングを統合する。平均的な割合は、それぞれ40%、35%、25%である。ストリーミングスコアはYouTubeまで反映する。PSYの江南スタイルがついに「HOT100」で2位にまで上がった理由は、YouTubeスコアが2013年2月に導入されたためである。しかし、「HOT100」のランキングを左右する最も弁別力のある要素はラジオ放送である。米国でラジオが音楽消費者に与える影響はまだ大きい。アルバムを購入したりストリーミングが積極的消費であるとするならば、ラジオは消極的消費である。無数のラジオ局はリスナーを捕まえておくために耳慣れたヒット曲を数え切れないほどかけ、したがって歌による貧富格差が発生する。米国のインディーズミュージシャンたちが「ビルボード200」1位ではよく見かけるのに「HOT100」では見つけることが難しい理由だ。米国に拠点を置いていない海外のミュージシャンには当然非常に難しいことである。PSYは本当に特別なケースだ。

 

一方、「ビルボード200」は、純粋に積極的消費を反映する。フィジカルのアルバム1枚につき、デジタル音源10曲、ストリーミング1,500回と同等である。防弾少年団は最初の週に16,000点単位のスコアを記録した。このうち11,000点がフィジカルアルバムの販売量である。このスコアと26位がどの程度なのかを知りたい場合は、上位にどのようなアーティストがいるのかをみればわかるだろう。要するに、海外でK-POPは、いまだにいくつかの特定の消費者層の文化であるという事ができる。しかし、その一部が全体の音楽市場に対して意味のある動きを作り出すことができる位には大きくなっている。

 

では、なぜ防弾少年団なのかという質問が残る。なぜ大手事務所の有名アーティストではなく、防弾少年団なのか。このような疑問は、防弾少年団をはじめ最近の世代のアイドルが共有する「海外で人気があるんだよ」という認識と似ている。これらは昔のように偶然海外で人気を得るか、または、国内でトップの位置に上がった後海外に進出するという過去の方式に従わない。彼らにはYouTubeやストリーミング、SNSやインターネットがデビュー時から与えられている。海外のファンがK-POPの国際進出のバージョンを知った後、彼らの過去を改めて勉強する必要はないのだ。すでにかなりの規模に達した海外K-POPコミュニティは、彼らのデビュー直後から国内のファンと同様にコンセプトと成長物語を完全に消費している。

 

したがって、同世代の中でも防弾少年団が一足先に抜きん出ていたことは何かと言うならば、常にファンにコンテンツを供給し続けている誠実さについて言及しなければならない。防弾少年団というグループやメンバーたちのキャラクターは、TV芸能などの一般的なルートの上にではなくファンとの直接的なコミュニケーション、あるいは自発的な露出が積み重なったものだ。つまり現代のK-POPアーティストは、ジャスティン・ビーバーが偶然そうなった「お父さんたちには分からないが、私たちはすべてを知っている」存在という概念を意識的に国際的なレベルで再現する。その意味で、防弾少年団の「血、汗、涙」がジャスティン・ビーバーの最近の活動を連想させる面は興味深い。 「血、汗、涙」は、Diploと一緒にプレイしたジャスティン・ビーバーのように、大衆的には不自由しない程度のレゲエトーンをきれいに具現化しているものの、その代わりにK-POPの情緒は逃さないようなリフレインを組み込んでいる。 結果的に「血、汗、涙」はKPOP界の最新トレンドを迅速に追い続け、KPOPで可能なリフレインとラップ、コンセプトを中心にダンスや舞台などビジュアルの融合という伝統的な公式、または成功の秘訣を着実に完成させている。

 

要するに、市場は広がり環境は変わったが、アイドルを世に紹介してファンと感情的に繋がらせ、それに合ったふさわしい音楽を提示する基本的な公式は依然として作動している。 誰がよりもっとうまくできるかの問題であり、私たちは今、その最新バージョンのアップデートを見ている。


記事|ソソンドク(音楽評論家)


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防弾少年団のアメリカBillboardランキング入りについての分析記事でした。Billboard200ではフィジカル(CD音盤)のポイントが高いので音盤が売れてフルアルバムを定期的に出している人たちは有利なようです。アルバム販売数でいえば正直そんなに多くないわけですが(アメリカの人口に対する1万枚なので)一定数のファンががっちりといている強みがランキングに影響を及ぼすというのは、日本での2次元アイドルなどの状況と似たものを感じました。マニアがメジャーに力を及ぼせる時代というか。

 TVだと特定の国以外は見づらいですがウェブ番組やストリーミングなら世界中で見ることができますし、特にバンタンはアメリカでファンイベントをやったり、マメに日常っぽいVアプリを公開するなど地道に積み重ねてきたものがここにきて結実しているのかなという感じはしました。

【idology訳】クィアだってアイドルが好き

【idology訳】クィアだってアイドルが好き

 

http://idology.kr/4771

 

byブロック on 2015/07/02


去る6月28日、市庁前ソウル広場に行った。Seoul Queer Culture Festivalのステージイベントやブースイベント、パレードが開かれたのだ。市庁前には多くの人でいっぱいで、ブースのイベントも楽しかった。きれいなものがあまりにも多くてお金をポンポン使ってしまったりもした。いつのまにか有名になったマーク・リッパート駐韓米国大使も姿を現し、ホン・ソクチョン、キム・チョグァンスからツイッターのスターたち(?)まで、多くの人を見た。クィア仲間たちも一堂に会することが出来て、いろいろと幸せな時間だった。

 

そのような幸せを育ててくれたのは、やはりエキサイティングなイベントだった。徳寿宮側広場正門方向と旧市役所横でキリスト教団体が反対デモをしていたが、太鼓の音やスローガンコールが思ったより楽しかったため、たくさんの人がその辺りで遊ぶこともした。文化祭のステージイベントもとても充実していて楽しかったが、プロの姿が見えたら見る人ももっと楽しく迎えるのではないかと思う。


こうした行事にはやはり音楽は欠かせない。 舞台やパレードではさまざまな音楽が流れていた。 ビヨンセの「Crazy In Love」、レディー・ガガの「Born This Way」からブルーノ・マーズの「Uptown Funk」、オムジョンファの「裏切りの薔薇」などの多彩な音楽と接することができた。 中にはアイドル音楽も含まれていて、SISTARの「Give It To Me」「Lovin'U'」、BoAの「Kiss My Lips」、EXOの「Growl」、REDVELET「Ice Cream Cake」、ガインの「Blooming」「Paradise Lost」、ヒョナの「パルゲヨ」、少女時代の「また巡り逢えた世界などかなり多くの曲が流れた。 そのおかげで楽しく歌ったりもした。

 

アイドルは異性愛中心主義に見えるが、これらの曲をクィアパレードの中で楽しむというのは面白いことだ。 単純に考えると楽しい雰囲気そのものを楽しむものであって、あまりにも皆に愛されている有名な歌だからかもしれない。 しかしこれは同時に反転の場面であり、また、他の再現の瞬間でもある。 アイドル音楽で意味を探したり、他の意味を解釈して受け入れこともあるのだ。

それならアイドル音楽をどのように解釈すればクィアパレードにおいてこれを「意味」を持って楽しむことができるだろうか。 方法は意外に簡単だ。 クィアの観点からアイドル音楽を聞いてみることだ。 少女時代は誰が見ても「スーパーヘテロ」だが、これらの曲の中でも「また巡り逢えた世界」は違う意味を持つように聞こえたりもする。 クィアが自分のアイデンティティに出会った後、再び接する世界に対する感情を語る時にとても当てはまるような歌詞を持っている。 f(x)の「NU ABO」の場合は愛の対象と"オンニ(お姉さん)"という呼称が重なったりもする。 このように同じ歌詞も、誰がどう読むかによって変わり得るものだ。

 

愛してる君をこの感じのまま描いた迷いの終り
この世の中で繰り返す悲しみにもうさようなら
たくさんある知らない道の中にかすかな光を私は追いかけて
いつまでも一緒にいるまた巡り会えた私の世界

–少女時代「また巡り逢えた世界」

 

私の話聞いてくれませんかオンニ? I'm In The Trance
今のこの感情は何ですか? わたしは初めてなのに

–f(x)–「NU ABO」

 

意外にも女性の欲望を現したヒョナなどの曲も十分に意味があるように解釈することができる。 キムワンソン、オムジョンファ、イヒョリがゲイのアイコンだった点を考えれば、三人の共通点がどのような部分かという点で理解することができる。 彼女たちにはそれぞれの理由があるはずだ。 例えば、オムジョンファの場合はヴォーギングを借用するなど積極的にゲイたちの文化を吸収しており、かなわない愛を盛り込んだ歌詞、性的魅力の表出などがその理由だった。 ゲイのアイコンの中にはカリスマのある女性ソロ歌手が多い。 これらを集めてみるとある程度「こっちの人間たちの」の好みを読むことができるが、だからといって彼らが偏狭に楽しんでいるということはない。

 

クィアもアイドルが好きだ。 アイドルはおおむね皆に幸せをくれる存在だ。 ゲイアンセムとしてのアイドル音楽もまた十分に想像することができるし、またすでに先達も存在する。 考えてみたらBoAは2009年にサンフランシスコのゲイ・パレードに参加したりもした。 これからはもしかしたらQueer Culture Festivalにアイドル出演の提案も可能じゃなかろうか。だから、今年の良い祭りを経験した方は是非サポートをしに行こう。 サポートに力を入れればもっと素敵で充実した祭りを見ることができるだろう。


クィアヘテロイメージのアイドルが好きだ

たまに悩みが押し寄せてくる時がある。 自分の政治的な、あるいは個人的な信念とは関係ないように感じられる何かを楽しむとき、「自分がこれをこんなに楽しんでもいいのだろうか」と感じる悩みだ。 実際には「何を」楽しむかということより「どう」楽しんだのかという事も重要だと思う。 批判的に解釈したり、逆に自分なりの解釈を加えて楽しむかもしれないのだ。 そんなに深刻ではないものの、深く掘り下げてみると反転的に解釈したり、フェミニズムあるいはクィアの観点で解釈して楽しむことができることが確かにある。 もちろん、勇敢な兄弟の歌詞やユセユン、チャンドンミンなどを転覆的に楽しむ事は難しいけど、少なくとも面白く接することのできる領域は幅広くなる。

 

フーコーロランバルトなどが言う文化の構造主義的アプローチというのは「意味は構築すること」であり、象徴的なアプローチを反映すると言う。実際に一つの作品を読んだときに、その中で見つけることができる(あるいは作り出すことができる)象徴的なアプローチはさまざまである。これは、記号論を含むいくつかの調査が成し遂げた成果でもあるが、人々が文化の中で象徴体系を共有しているからこそ可能なことでもある。それゆえに作品というもには、完成された瞬間に創作者の手を離れて一つの生命体のように有機的に構成されていくというような事を言う人もいる。

 

アイドルというテキストはいつでも開いている。これは、絶対多数が別段悩む事もなく楽しく接することができるものだが、クィアフェミニストたちはその中でもある程度のクオリティと意味を考えていくつかの異なる楽しみ方をする。ここには各自の性指向性など、もう少し複雑な分岐が混在しているだけでなく、私の話したことが関連した話の全てというわけではない。今後クィアとアイドル、フェミニズムとアイドルの話もっと悩んで、まとめて書くことが私なりの課題ではないかと思う。ここで多くの人がアイドルを能動的に深く楽しみ、idologyが多くの愛を受けるよう願っている。


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「アイドルはおおむね皆に幸せをくれる存在」って素敵なフレーズ。
文中でも触れられていますが、BoAは2009年のサンフランシスコのLGBTQプライドパレードに出演しています。当時はサンフランシスコゲイプライドというタイトルでしたが。
当時BoAアメリカでも活動をしており、ゲイクラブでも公演したりしていたからか、複数のプライドパレードからも出演依頼があったそうです。
https://youtu.be/LavtQFvqFss

 

そういえば2010年前後のゲイクラブでもKPOPナイトがわりと頻繁に開かれており、Kドルパロディのクラブフライヤーをいくつか見かけたことを思い出しました。自分が見かけたのはオレンジキャラメル・T-ARA・f(x)などほぼ女子アイドルのパロディでしたが、以前からKPOPのcampだったりqueerだったりする感じは気になっていたので、イヒョリやオムジョンファが韓国のゲイアイコンだったときいて膝をうつ思いがしました。

 



【idology訳】ジェフ・ベンジャミンインタビュー②「究極のパッケージ、もっと多様性を」

【idology訳】ジェフ・ベンジャミンインタビュー②「究極のパッケージ、もっと多様性を」

 

http://idology.kr/5281

 

 

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キムヨンデ:最もきれいなアイドルは?

 

ジェフ:ああ...ちょっと待ってください...(しばらく間が空いて)そうだなあ。SPICAのジウォン。真の美しい女性だ。あとはWonder Girlsのユビンとヘリムもきれい。

 

キムヨンデ:ユビンは直接話をしてみるとより魅力的に感じられるようだ。典型的な韓国女性という感じでもない。

 

ジェフ:正直に言うと惚れてしまったようだ(笑)英語も本当に上手だ。クールな態度も好きだ。

 

キムヨンデ:過去の記事を見るとWonder Girlsに愛情があるように見える。ある見方をすればKPOPの歴史の中で決定的な役割をしたグループなのに、同時にそれにふさわしい扱いをを受けているのかよく分からない。

 

ジェフ:そのとおりだ。個人的にはWonder Girlsの「Wonder World」(2011)は、現代KPOP音楽の頂点だと思う。特に米国内におけるKPOPの存在感においてその役割は非常に大きかった。 Billboardが最初にKPOPを注目するようになったのも彼女たちのおかげだ。彼女たちのBillboardライブパフォーマンスは歴代最も多くのヒット数を記録した。さらにアデルやブルーノ・マーズよりも上回った。今後行われるKPOPの流れに先駆的な役割を果たし、またその風を確立したグループである。彼女たちは長い時間を経て数々のことを経験し、年月を耐えた。

 

キムヨンデ:今後はバンドに戻るようだ。メンバーが二人抜けたのも大きな変化である。

 

ジェフ:「Reboot」というタイトルがすべてを物語ってくれると思う。それにふさわしい変身であり、ティーザーに完全に惚れてしまった。単に80年代サウンドを復活させたのではなく幼稚ではない高レベルのサウンドで蘇らせているという点が重要である。誰でも耳に突き刺さる歌を作ることはできるが、それ以上を作り出すのは容易ではない。
(*注:このインタビューは「Reboot」アルバムが発売される前の8月初旬に行われた)

 

キムヨンデ:最近のアイドルの音楽についてもう少し話してみよう。今年の初めのアイドルの最大争点の一つは、BIGBANGとEXOのリアルタイム音源争奪戦だった。EXOは2集とリパッケージを連続ヒットさせ、BIGBANGはシリーズで発売されたシングルで賢く対抗した。明け方にはEXOが、日中はBIGBANGがメロンチャートの1位を奪還する壮観が繰り広げられた。あなたは、米国内売り上げ数についても多くの情報を持っているようだが、それの状況はどうだった覚えてますか?

 

ジェフ:売上高だけを言えばBIGBANGが上回った。BIGBANGが1、2位、EXOが3位に上がってきた。1曲だけでなく3曲が同時にワールドシングルチャートのトップを争ったのは異例のことであった。また、Billboardのスタッフも本当に素晴らしいと言っていたのは、二つのグループのシングルが歴代販売量の両方を更新したというものである。個人的にはこの曲が見せる音楽的完成度が刺激的だった。 KPOPについて知らない人がチャートでプレビューだけ聞いても十分に気にいることができるだけの普遍的な魅力を持った曲だ。

 

キムヨンデ:全体的に米国内ではBIGBANGの人気が相対的に高いほうなのか?

 

ジェフ:それはそうだが、アルバム販売ではEXOが上回っている。もちろん、いまだにBIGBANGが3年近くフルアルバムもしくはミニアルバムを出さずにいるからでもあるが。だからなおさらBIGBANGがどのようなアルバムをリリースして反撃を狙うのか期待が大きい。

キムヨンデ:最近BIGBANGの新曲と関連してあなたと私がほぼ同じ内容のレビューを書いたのを見て笑った覚えがある。 「SOBER」を聞けば、BIGBANGが既に平凡で典型的なアイドルを完全に「卒業」したことが明らかに感じられる。 「Loser」も同じだ。一見「Bad Boy」が連想される部分はあるが、はるかに成熟したという点は疑問の余地がない。最近の音楽に対してどう思うか?

 

ジェフ:最も顕著なのは、各曲に様々な音楽的志向とスタイルが染み込んでいるということだ。アルバムとしてどのように結実するのかはしっくりこないが、それぞれが素晴らしい曲であることは明らかである。 「Loser」は、今年出てきた音楽を全てあわせても最も優れた曲の1つだと考えているし、「Bae Bae」も同じだ。 「BANGBANGBANG」に関してはいくつかの部分は気に入らないが、全体的に興味深い曲である。

 

キムヨンデ:EXOは結成当時はSMエンターテイメントの究極のアイドルという評価を受けた。ユニットシステム、音楽、パフォーマンス、ルックスなどすべての部分で完成版と言える高いクオリティを持つグループである。最速で最も多くのファンドムを集めたグループでもあるが、中国人メンバー3人が離脱する不運を経験したりもした。 SMの現地化戦略の失敗ではないかという分析もあり、逆に彼らの脱退とEXOの人気は無関係という評価もある。

 

ジェフ:EXOの結成過程や背景についてはよくわからないが、彼らが例外的なことは、グループの忠誠心を強く結束させている点である。メンバーたちが抜けたにもかかわらず米国内での新譜の販売量ははるかに多くなった。離脱したファンもほとんどいなかったのではないかとみなしている。音楽がやはり素晴らしかった。 「Love Me Right」は、非常に優れたポップミュージックと評価したい。

 

キムヨンデ:JYPエンターテイメントについて話をしてみよう。韓国では、JYP危機説も出てきていて、他の事務所も同様な事はあるだろうが、彼らの音楽に対する好き嫌いもあるようだ。

 

ジェフ:そうなんです?正直に言うと、個人的に他のどの事務所の音楽と比べてもJYPの音楽が気に入っている。音楽のクオリティについて、彼らは非常に多くの神経を使っていることを感じることができる。その点を常に尊重している。ソンミやmissAのミニアルバムもすべて素晴らしいし、特に15&の音楽は、本当に印象的だった。

 

キムヨンデ:GOT7はどうなのだろう?今年のKCONを見たところでは、米国現地での人気がますます高まっているという感じがした。 「Next big thing」ではないか?

 

ジェフ:実際、初めに音楽だけを聴いたときはとても印象深いというわけではなかったが、彼らのパフォーマンスをライブで見て考えがまた変わった。空中で回って走るなど膨大な舞台演出で 「おっと、これは完全に新しい!」と感じた。 JYPの音楽について言いたいことはこれだ。人々はしばしば忘れているが、とにかくKPOPアイドルも「音楽」である。その点をいつも忘れていなければ良いし、私もいつもその点に戻って考えようとする。 他の事務所がより全体的な「パッケージ」としての優れた音楽を作る傾向にあるとするなら、JYPはいつも音楽自体の高い品質を気にするようだ。

 

キムヨンデ:PSYの話をしないわけにはいかない。PSYは現在のKPOPシーンでは非常に異色のミュージシャンだが、最も成功したKPOPスターでもある。この皮肉こそその界隈ののミュージシャンがKPOPの地位を証明したと見ることもできる。とにかく、彼の未来には誰でも大きな関心を抱かずにいられない。かつて彼の人気とK-POPの人気は関係がないと言う人もいたが、結果は正反対だった。

 

ジェフ:「カンナムスタイル」を出す前から彼を知っていたが、私とっては彼はユニークなラップミュージシャンだった。まさかKPOPで最も成功したワールドスターになるとは思っていなかった。ある日、Billboardの編集長が私に当時まさに韓国で人気を集めていた彼の新しいミュージックビデオを見たかと尋ねてきたので不思議に思ったが、すぐに世界的なヒット曲となった。PSYが作った重要な変化は、いずれにしろ韓国の音楽に無知か、関心のない人をKCONと隣り合わせの席に導いたという事だ。実際にはミュージックビデオは誰でも見ることができる。しかし、チケットを買ったりまたはコンサートを探したり、それによって消費が発生するのは全く別の問題だ。PSYがその触媒になったということは明らかである。

 

キムヨンデ:PSYの未来はどうだろうか?彼はずっと米国での存在感を振り切ることができますか? 「カンナムスタイル」は成功したが「ジェントルマン」はそれほどでもなかった。その後はこれといったヒット曲はない。

 

ジェフ:実は個人的には「ジェントルマン」は「カンナムスタイル」よりも好きだった。ビート、編曲、すべての面で「カンナムスタイル」を凌駕する曲だと思っていた。

 

キムヨンデ:個人的には「ジェントルマン」のBillboard1位を予想していたが、結果は残念ながら違った。しかし、「カンナムスタイル」の成果を常に基準としなければならない理由はないと思う。ポップス音楽はそんな風に予測不可能なのものなのではないか?

 

ジェフ:当然だ。彼はいつも楽しく、自由な「ラッパー」になりたいと言っていた人で、そんな自分のポリシーを一貫して推し進めれば当然良い結果があると考えている。 「새」のような曲はどれくらい良いかって?米国でも十分に通じることができると思う。彼が元々よくしていたもの、風刺的でありながらユーモラスなラップ、そんなアイデンティティを見つけていくと、彼が定着できる余地は常にある。

キムヨンデ:PSYある瞬間ワールドスターとなり、その名声は現在の力であると同時に負荷でもある。今や世界的なヒット曲を出さなければ失敗とみなされる状況である。

 

ジェフ:本当に難しいことだ。韓 -米両国を行き来しながら、両方の大衆にすべてアピールしなければならないということなら、なおさらだ。

 

キムヨンデ:CLはどうだろうか?すぐに米国デビューを控えている。PSY以来の最高ソロアーティストになるかもしれない。音楽的才能はもちろん、英語、インタビュースキル、アティテュードなど、米国市場でのニーズに値することを備えている思うが。さらに、最近では「I AM THE BEST」が世界的に広まった。

 

ジェフ:順調に進行中だと聞いた。すぐにCLとスタジオで会って新曲関連の話を聞く機会があるようだ。最もポジティブな点は、彼女がスクーター・ブラウンと働いているということだ。ブラウンはジャスティンビーバー(Justine Bieber)、アリアナグランデ(Ariana Grande)、トリ・ケリー(Tori Kelly)などをマネージメントしているが、彼らの共通点は音楽の才能だけでなく独特の個性を備えているという点である。これはCLも同じだ。まだ多くの人が彼女を2NE1のメンバー、あるいはインスタグラムセルカスターという程度にしか知っていないが、彼女はいくつかの楽器を演奏して曲を書くことができるミュージシャンであり、とても面白い人である。その点でスクーター・ブラウンとCL相性は良い。彼はCLをよくしてくれるだろう。

 

キムヨンデ :なぜ2NE1ではなく、CL単独だったのか。普通の人なら自然に抱く疑問である。

 

米国市場は異なっている。米国市場は…

 ジェフ:どうやらアメリカではガールズグループは魅力が弱い。Pussycat Dollsの後にはこれといったグループもない。ガールズグループ、特にアジア系でガールズグループというフォーマットは、米国の大衆にとって消化しにくいというのが定説である。CLはラッパーであるうえに英語が第一言語ではなく、アジアの女性にとっては容易ではないポジションなのに、それでも最近は状況が良くなった。オーストラリア出身のラッパーであるイギー・アゼリア(Iggy Azalea)の成功の後、アジアの女性ラッパーがよくない理由はないとの意見がますます出ている。CLにとっては肯定的な部分である。心配な部分はラッパーCLがとにかく韓国の「ガールズグループ 」出身という点で、もし注目されればメディアはその部分に焦点を合わせるかもしれない。

 

キムヨンデ:むしろ音楽面に関しては大きく心配する部分はないようだ。良いスタッフが一緒にすることで、ステージングなどについてはすでに検証された。個人的にPSY以降最初のBillboardシングルチャート入りを期待できないだろうかと思っている。

(訳注:CLの全米デビュー曲Liftedは2016年10月にPSY以来初めてHOT100チャート入りしました)

 

ジェフ:音楽さえよければ他の問題はすべて解決されるだろう。 KPOP初の「ラジオヒット」シングルが出てくるような予感が強くしている。

 

キムヨンデ:「カンナムスタイル」は正確にはラジオ級のヒットとは言えなかったから。米国FMの閉鎖的なプレイリストシステムが非主流たちには大きな関門である。

 

ジェフ:タイミングが良くなかった。 「カンナムスタイル」のYouTube人気がピークに達した頃に肝心のラジオプレイがされていなかったから。一歩遅れて出始めたが、すでに人気が下火になった後だった。今なら十分に1位が可能だっただろうと思う。その時点で「カンナムスタイル」よりも良い曲が何曲あっただろうか?Maroon 5の「One More Night」がそれほど長く1位をキープするだけの曲だったのか疑わしい(笑)60年代には本物のいい曲をDJが主観的に選曲し、プロモーションすることが可能だった。今は同じ曲5曲が1ヶ月にわたって繰り返される。CLがその障壁を貫通することができればあまりにも幸いなことかもしれないが、たとえそれが出来なくてもそれがすべてではないと言いたい。

 

キムヨンデ:ガールズグループの勢いがすごい。SISTAR、EXID、AOA、APinkや少女時代とWonder Girlsまで。これまでよりも多くのグループがK-POPシーンを掌握しているようだ。量的にはもちろんのこと、全体的な曲の完成度もかなりアップしたが...ところが同時に何かが欠落しているという考えもある。 AOAやAPinkなどについて考えると、パフォーマンスもちろん欠点のないキャラクターや音楽的な個性、それぞれが持っている何かオリジナリティのようなものがもう少し必要ではないかという気もする。最近APinkの「Remember」についてツイッターで物足りなさを表していたのはどういう流れだったのか?

 

ジェフ:「Remember」に限定して言えば、コンセプトが少ししっくりきていないと言いたい。曲もいくつかの不自然な面がないわけでなかったし、特にミュージックビデオに登場する風船を持った画像などは、すでに20代前半の年齢などを考えるとあまりにもわざとらしいのではないかという意見も聞いた。私はガールズグループのセクシーさや露出については何の問題もないと思うが、グループがあまりにも定型化されているのは問題だと思う。あなたもその点を指摘したいのではないか?自然にセクシーなものではなく、無理にセクシーにしようとするのは良くない。エキサイティングな音楽、素晴らしいパフォーマンスも良いが、とにかくこのジャンルの音楽のパフォーマンスの主体は若い女性や少女だ。自身の立場からどのように自分自身を示して表現できるかどうかについて、より考えてみたら良いだろう。

  

セクシーさは危険なものではない

 キムヨンデ:それでは話が出たついでにガールズグループの露出の話に移ってみよう。現在のアイドルは当然のように年を追うごとにさらに「セクシー」になっていて、セクシーなコンセプトに対する批判の声も出ている。露出やセクシーさも明らかに一つのコンセプトと音楽的な表現であると言うこちはできるが、同時に、さっき言ったように何か定型化されているという問題もある。魂のないセクシーさというか? (笑)とにかくアイドルは徹底的に10代の音楽である。これらの側面を考えるとき、個人的に思うところはありますか?

 

ジェフ:まあ...私は人の親というわけではないので...(笑)ガールズグループの露出やセクシーダンスが存在しなくても、子供たちは最終的に何かをどこかで学ぶものだ。そうではないか?少し柔軟に見守る必要がある。結局、露出やダンスは舞台の上やコンセプトに限定される。その他の部分では、むしろ礼儀正しく、優しくて、正しい行動を介して青少年たちに良い影響を与える場合も多いのではないか?

 

キムヨンデ:まさにその点なのですが、韓国のアイドルが米国と異なる点は、悪ガキだったり多少エッチなイメージがついていたとしても、実生活とはほぼ関係していないということだ。インタビューをしてみると、むしろ韓国のアイドルは「健全な」側に属すると言う人もいる。

 

ジェフ:まさにその通りだ。米国や英国を見ると、舞台の上でわいせつな行為をしたりカメラマン殴ったり、暴言のようなものを吐いたりするポップスターたちが多い。もちろん、女性アイドルの露出は「対象化」されるという点で、男性アイドルとはまた別の問題を引き起こすこともある。男も服を引き裂いたり腹筋を見せたりすることもありますが。私が言いたいのは、リスナーはそれほど愚かではないということだ。いくら幼くても彼らにも判断力があり、時にはそれらを尊重して見守る必要がある。

 
K-POPはなぜグループパフォーマンスをするのか?

 キムヨンデ:韓国アイドルの音楽の特徴はグループのパフォーマンスだ。あまりにも当然の質問であるかもしれませんが、なぜとりわけKPOPでこのような傾向が目立つと思いますか?アメリカの大衆音楽の歴史を振り返ってみると、これはむしろトレンドの支持に近い。音楽産業は80年代以降急激に保守化され、安定した成功と収入のために特定の個人に投資を集中させる、いわゆる「全部取り」が主な戦略だった。しかしKPOPはその逆の道を歩いている。

 

ジェフ:本当に良い質問です。個人的には同意しないが、韓国特有の儒教的文化がグループにより合っていると見る人もいる。アメリカの文化では個人ではなく「チーム」の概念を前提にしてポップグループを運営するということはほとんど不可能に近いという側面がある。特に芸術的な面で集団ではなく、個人のニーズを優先する文化があるからである。

 

キムヨンデ:それでも90年代にはボーイズグループの全盛期もあった。

 

ジェフ:でもほとんどは最終的にリーダーや特定のメンバーに人気が集中して、結局は各自のソロ活動に帰結されたりする場合がほとんどで持続性を担保するのが難しかった。そのような面で、米国の産業ではボーイズバンドやガールズグループは危険な投資であると考えているのだ。

 

キムヨンデ:まさにその点である。どういう理由でこの方法が韓国では成功し、影響力のあるボーイズグループやガールズグループをこのように継続的に作り出すことができるのかということ。例えば米国では、第2のニューキッズオンザブロックや第2のイン・シンクのようなものはなかった。しかし、韓国を見るとH.O.T.以来系譜が続いている。それだけ韓国の芸能事務所がノウハウを確保していると見るのが良いだろうか?

 

ジェフ:そうだろう。個人的には韓国のアイドルはファンドムのニーズを反映している点において、非常に繊細だと思う。リーダー、末っ子、ビジュアル担当、ダンサー、ラッパーなど...事実アメリカ人の立場から見れば幾分荒唐無稽な概念ではあるが、それぞれのメンバーを個性的に作り上げ、ファンドムを確保していくにも有利であると考えている。もちろん、グループ内でのトップボーカルやラッパーに人気が集まるのは当然だと言ってもだ。ファンドムもこのようなアイドルグループの個性的な構成に慣れてきて期待感を抱くため、グループのファンが他のグループにも自然に適応することが十分に可能である

 

雑食性のオールインワンパッケージ

 キムヨンデ:私は70年代後半に生まれた、そんな私たちの世代にとってのポップといえば即アメリカのポピュラー音楽を意味した。私たちにとって韓国の音楽の世界的な普及と人気、そしてあなたのような外国人たちの韓国の音楽に対する関心は不思議であると同時に不慣れだ。 こんな風に言う人もいる。 「アメリカ音楽の亜流とも見なせる大衆音楽KPOPに、米国のファンをはじめとする世界の若者たちが熱狂する理由は何だろうか」あなたこそ、このような考え方に反論できる最適の人物ではないかと思っているのですが…(笑)

 

ジェフ:まあ言わんとすることはわかります。私はこう言いたい。私はKPOPこそ現代のポピュラー音楽において究極の「オールインワン」パッケージと考えている。言い換えればKPOPアイドルの音楽はトレンディなものは何でも取り入れるし、それを最大値に整え魅力を最大限に引き出している。エンターテイメントビジネスといえばこうあるべきという事を全方位的に備えたものである。ずば抜けた歌の実力、ブレイクダンス、ラップ、カラフルなミュージックビデオ、群舞...このようなものが集まり完全なエンターテイメントに変貌する。

 

キムヨンデ:同時にメンバーひとりひとりの魅力的な性格も重要な部分である。メンバー個人への忠誠心によってファンドムが維持されることもあるからだ。

 

ジェフ:そうだ!それは米国では見つけることが難しい部分である。さっき言った「亜流」の話に戻ると、... KPOPをアメリカンポップスの亜流と言う人もいるかもしれないが、逆に考えると最近のポップミュージックで果たして「オリジナル」と呼べるものがどれだけいるのかと言うことは確かに難しいのが事実である。とにかくK-POPは「ウケること」が何なのかを常に研究してそれらを集め、洗練させつつ興味深いことに組み合わせて人々をさまざまな方法で「動かす」音楽である。

 

キムヨンデ:理由を問わず、とにかく「受け入れられる」ということ。

 

ジェフ:まさにその点である。以前のように欧米で受け入れられるような事を見つけるのではない。日本市場、他のアジアの大衆、ヨーロッパと南米の大衆の好みも研究して反映する。 (過去のアイドル音楽のように)「少女」好きに対してアピールするカテゴリを超えるものである。より大きな事だ。

 

キムヨンデ:かつてKPOPはJPOPに続くもう一つのアジアンポップにすぎないという懐疑的な視線もあったし、周辺部の本格的な反乱になるという漠然とした期待もあった。今では、より現実的な目で見ることの時点ではありませかと思う。個人的には、KPOPはここ最近はこの傾向を維持するだろうと思う。少なくとも適当な「代替材」が登場するまでは、だ。

 

 さらに遠くに行くために

 ジェフ:一つ言えるのは、現在の状況をあまりにも当然視してはならないという点だ。 韓国の大衆音楽産業は現在、世界8位として知られている。 しかし、ポピュラー音楽産業はいつも可変的だ。 来年には誰かがそのポストを奪ってもおかしくない。 ポップスプロダクションに望むところが一つあるとするならば、様々な試みにさらにドアを開けて欲しいという事だ。 ひとつのところに留まる事なく、なぜ人々がこの音楽に熱狂するのか、人々が彼らに注目するその核心と本質は何なのかという事をもっと探求して反映しなければならない。

 

キムヨンデ:それでトレンドと言わないのか。 留まれば流される。 具体的に提示するだけの新しい流れというか、代案案があるだろうか。

 

ジェフ:そうですね…この言葉がふさわしいかどうかはわからないが(笑)…米国内のゲイ・コミュニティーでKPOPの人気が高いという噂を聞いた。 特にガールズグループの人気が高い。 正確な韓国の情緒は分からないが、韓国内ではこの点がタブー視されているかもしれない。 絶対言われたくないと考えるかもしれない。

 

キムヨンデ:ゲイ・コミュニティー? 発想の転換だ。 一方では70年代末にアフリカ系アメリカ人のゲイ・コミュニティーの全面的な支援を受けたディスコや、シカゴのハウスミュージックシーンなどが連想されたりもする。 考えてみればSHINeeの「View」もジャンル的によく通じるような曲だ。 アイドルたちもそのようなニュアンスを微妙に活用する感じだ。 ファンフィクションも類似の文脈で。

 

ジェフ:少女時代のようなグループがゲイクラブに現れる場面を想像してみないだろうか。 マンガの主人公のような8人の女性が彼らの前でステージパフォーマンスを披露したら…「世界中に…」多分みんなクレイジーなほど盛り上がるだろう。 私のツイッターフォロワーにも相当数のゲイたちがいる。 とにかくこうした事は本当に一つの例に過ぎない。 様々なステージとチャンスと可能性が散らばっている。 しかし、事務所たちはそのようなことを果敢に試みようとしない事が残念だ。 言葉では「グローバル」になりたいと言っているが、「グローバルマインド」を備えていないのではないか…

 

関連記事:クィアだってアイドルが好き byブロック

 

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キム・ヨンデ:KCONに来てみて思ったのは、本当に多様な人たちがKPOPやアイドルのすべてのものに飢えているいうことだ。

 

ジェフ:まさにその点だ。 どうしてみんな消極的な考え方をするのかわからない。 パフォーマンスと音楽も重要だが、そのままここに来てファンたちに会って挨拶してくれるだけで膨大の効果がある。 今後もう少し積極的な姿勢で色々な所に進出する事をためらわないでほしい。

 

キムヨンデ:長時間のインタビューだった。 同じジャーナリストをインタビューすることは初めての経験だ。 最後に話したい言葉があれば?

 

ジェフ:はい。 少しぎこちない感じはしたけど良い経験だった。 自分の文章を読んで反応してくれる韓国の読者がいるということが光栄だし、ありがたい。BillboardFUSEを通じてさらに多くの話を一緒にできたらいいな。

 

興味深い、深い話を聞かせてくれたジェフ・ベンジャミンに感謝している。 ジェフ・ベンジャミンはBillboardFUSE、そして本人のツイッター@Jeff__Benjaminを通じて会うことができる。


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韓国のニュースサイトで「KPOPがアメリカで話題になっている」という記事が出るときは大体この人の記事がソースになっているのではないかと思います。いわばKドルオタのライターさんのようです。概ねKドルがコンスタントに話題となるのはFUSEBillboardですし、先日記事になっていた防弾少年団のWINGSに関するレビューもこの方の記事でした。

 

元々韓国には音盤も音源も日本のオリコンのような統一チャートがなく複数に分かれており、数年前にビルボードコリアができて国内のある程度の統一チャートができるのか?と期待されていたようですが、結局現在はアメリカビルボードのKPOPチャート自体はなくなってしまいました。ワールドチャートは欧米以外の国から出されたアルバムの売り上げチャートなので、いわばマイナージャンルチャートのひとつであるようです。
(ビルボードは詳しい集計方法は公表していませんが、音源音盤ストリーミング動画再生などをトータルで評価しているようです)

ビルボードアメリカのチャートでもビルボード200の100以内かHOT100に入れば「アメリカでファンがついている」と言っても良いのではないかと思いますが、2016年10月までにビルボードHOT100にランクインした事があるのはワンガのNobody(75位)CLのLIFTED(94位)そしてPSY(カンナムスタイルが最高2位、Daddy・Hangover・Gentlemenも100入りしています)の3組で、ビルボード200の100以内に入ったのは2NE1のCrush(61位)、EXOのEXODUS(ランクイン時フィジカル販売数6000枚で95位)そして防弾少年団のWINGSがフィジカル11000枚を売り上げて韓国のミュージシャン過去最高位の26位にランクインしました。
(ビルボード200はフルアルバムのランキングでHOT100は曲単位のランキングです)
この辺の事に関してはいずれ少しまとめてみたいと思っています。

 

KPOPは何故グループが多いのかという話ですが、個人的には歴史的に絶対に日本のアイドルグループからの影響が外せないと思うのですが、アメリカ人のライターさんだからかその辺の発想はまだないようですね。日本のアイドル業界に関する知識はないのか、それともあえて触れていないのか?SMはジャニーズを参考にしたと昔言っていたようですが。継続性という点では同じアジアでも個人かグループかどちらを優先させるのかという文化的違いがあるようなので、外国人メンバーをグループに入れる場合は国によっても向き不向きがあるのかもしれないと思いました。

 

それにしても、アジアのアイドルにとっては欧米に行くだけでも他のアジアに行くのに比べて予算的にかなり違うという事、アメリカ人にはピンとこないのかな…と思いました。曲を売ったりネットを通じて活動するのと実際現地に行くのとではかなり違うし、特にグループだと人数も多いし。アメリカ在住の日本人の方が近年アメリカの物価がかなり高騰している部分があり、出張のために一般的なホテルを探していたら1泊数万を越えるのが普通でとても簡単には泊まれないと言っていたので…年1ファンミ位は可能かもしれませんけど、日本や中国に行くのとは訳がちがうよなぁと。移動距離が長いとアイドル本人にも体の負担が大きいでしょうしね。特に大手事務所はそれぞれ1回失敗に近い経験をしているので慎重にならざるを得ないだろうし、逆に中堅事務所の方がチャレンジしやすいかも。そのあたりもグローバル進出の障壁のひとつなのかもしれません。

【idology訳】ジェフ・ベンジャミンインタビュー①「K-POPはジャンルよりも大きい世界 」

【idology訳】ジェフ・ベンジャミンインタビュー①「K-POPはジャンルよりも大きい世界 」

 

http://idology.kr/5268

 

byキムヨンデ on 2015/09/05

 

韓国メディアよりも早く韓国の音楽を記事にする情熱的なアメリカ人のコラムニスト。BillboardFUSEK-POPのレビューと記事を書いているジェフ・ベンジャミン(Jeff Benjamin)とKCON LA 2015の現場で会った。韓国大衆音楽評論家と米国K-POPコラムニストが出会った珍しいインタビュー。彼が直接会ったアイドルたちの話、彼が見るK-POPの現在と未来について聞いてみる。

 

 

K-POPYouTubeが全てではない

キムヨンデ:正直に言うと、私はK-POPの国際的な人気について懐疑に近かった。しかし、昨年と今年のKCONの人々の熱狂的な反応は、大変な衝撃だった。毎年規模も大きくなっている。誰もがこの人気はすぐにおさまるだろうと予測していなかっただろうか?

 

ジェフ:その通りだ。今のK-POPYouTubeがすべてではない。billboardの記録だけを見ても、より多くのK-POPアルバムがランクを上り下りし、より多くのセールスを記録している。昨年は歴代で最も多くの韓国歌手が米国でコンサートを開いた。今年は、その記録を更に破ることを期待している。これは、意味のある記録だ。K-POPがラジオ放送で流れるような事は2NE1を除けばまだないし、米国全域に多大な影響力を及ぼしてしているとは言いがたい。しかし、献身的なファンが安定した傾向で増えているということは大変なことであり、これは音楽を作る会社やミュージシャンの両方にとって大きな意味になる。

 

キムヨンデ:KCONで昨年防弾少年団に対して沸いた歓声は何か「啓示」のように感じられた。 ヒップホップアイドル、あるいはアイドルヒップホップという概念が新たに登場して、これがKPOPの新しい章を開くような感じ? 今年はblock.BとMONSTA Xも含まれていた。 ヒップホップのファンとしてこれは依然として見慣れぬ風景だ。 リアリティとアーティスト性が命であるヒップホップと、プロデュースによって誕生するアイドル音楽はその根本と志向が完全に違うものだ。 最近のKPOP界でのヒップホップの流行やアイドルの変化についてどう思うか。

 

ジェフ:何が言いたいかはよく理解できる。 ある面で今、KPOPシーンは90年代末-2000年代初頭の米国のポップス音楽を連想させる。

 

キムヨンデ:KPOPが10年ほど遅れて米国に追従していると言うことか?

 

ジェフ:ある程度はそうではないかと言える。「アイドル」という言葉を使用してはいないが、アメリカでボーイズバンドやガールズグループの流行が90年代末にあり、その後ヒップホップがメジャージャンルとして浮上した。 エミネム、50セントなど…だから単純にどのような音楽のスタイルが登場したかというよりは、内部でもっと多様なジャンルとスタイルに大衆たちが目を向け始めたという言い方もできると言うことだ。 ヒップホップが流行ではあるが、最近ではインディーズ音楽やロック音楽が以前よりははるかに主流に近づいた姿を見せている。 テイストがより多彩になっているという解釈をすることもできる。

 

キムヨンデ:バブルガムポップからアイドルヒップホップへの移行、あるいは自作曲を作るアイドルの登場がもう少し、「リアリティ」を確保した音楽でK-POPを変化させる役割を果たしているということか。

 

ジェフ:まず私はKPOPを単一の「ジャンル」とみなす意見に納得していない。 KPOPは何というか、一つのシーンだと思う。何かもっと大きな一つの世界と呼んでもいい。 KPOPの最も大きな魅力であり特徴は、すべての要素が総合されて完成された一つの「パッケージ」であるという点だ。 何のジャンルなのか、自分で曲をを書くのかどうかが決定的な要素ではない。 ただし、このようなものが興味深い対話のテーマである可能性はあるとは思う。 例えばBoAの最近のアルバムで彼女はほとんどの曲を自分で作っている。 多くの人たちが知らなかったり気づかれない部分ではあるが...自ら曲を書いて、ポップス歌手として自らのイメージを構築してラッピングすることなどは興味深い姿だ。

 

キムヨンデ:新たな局面ではないか? アイドルヒップホップで興味深い点は、彼らがたとえアイドルではあっても、自ら曲を書いたりフリースタイルをするなどの能力を求められるという点だ。

 

ジェフ:そういう面もある。 とにかくKPOPにおいてはヒップホップというものはまだ装飾にすぎないものに近い。 彼らが曲を書いたり、歌詞を作ることが必ずしも「必須」とは思っていない。

キムヨンデ:あなたのコラムを初めて読んだ時、他の外国人の視線とは違うと感じた。 昨年末にBillboardに書いた記事だったと思うが、'2014年ベストポップアルバム'という記事で、国内でもたくさん取りざたされたと記憶しているが、特にロックバンドであるCNBLUEやNellのアルバムをTOP10に掲載したのは非常に意外だった。 特にCNBLUEの場合はロックのリアリティと関連して韓国内では様々な批判にも悩まされた。 昨年、自分にある日刊紙で最も過小評価されたアルバムを挙げてほしいという依頼があった時、CNBLUEについて話した記憶がある。 その後Billboardの記事を見て、「この記事を書いた人は何者?」と思ったことを思い出した (笑)

 

ジェフ:あ、なるほど(笑) KPOPだけでなくロックスタイルの音楽にも興味がある。 CNBLUEの場合は昨年KCONにも来たし、ニューヨークに公演に来たとき初めてちゃんと見たが…とても印象深かった。 コンサートのすぐ後に重要な約束があったが、公演に熱中しすぎて残りの打ち合わせに遅れた覚えがある。演奏自体もすばらしかったが、舞台演出とか熱烈なファンの姿に特に驚いた。

 

キムヨンデ:人々はよく理解していないが、チョン・ヨンファは良いソングライターでもある。ヒップホップとも似たような状況と言えるだろうが、ロックは特にマニアが多く、彼らの音楽的基準やリアリティの尺度はいつも難しい。アイドルロックバンドというコンセプトに漠然と拒否感を持つ人がいるのは当然のことではないかと思う。

 

ジェフ:その通りだろう。 FNCエンターテイメントがCNBLUEと別のロックバンドであるFT ISLANDを日本に最初に進出させて成功させたのも、おそらく似たような理由だと思う。興味深いストーリーだ。

 

 

神話、KCON LA 2015

キムヨンデ:神話がついにアメリカに来た。 K-POP史上最も有名で、また成功したグループのひとつと言っても過言ではなく、米国のファンの間でもgodなどと一緒に「伝説」として広く知られている。個人的には、K-POPが今まさに一つのサイクルを完成した時期なのではないかという感じがする。同時に、神話のようなベテランのグループが今の世代のK-POPファンからどのような反応を得るかという個人的な憂慮(?)があったのも事実である。

 

ジェフ:神話のKCON登場、そして彼らの存在は先ほど私が言った点、すなわちKPOPを一つの「世界」あるいは「コミュニティ」として見る視点の延長線上にある。ただ人気のあるいくつかのグループ、もしくは今のチャートに名前が上がっている人たちだけに興味が限定されないということだ。神話はアメリカのファンたちが韓国の音楽をCDで輸入して聞いていた以前の時代を代表するグループである。だから彼らのKCON訪問は流行としてのKPOPではなく、「文化」と「歴史」としてのK-POPの存在を証明する「宣言」とも同じだと思う。もう一つ、神話は現在の韓国のアイドル音楽と最も高い関連性を持つグループでもある。今回のKCONと大変よく合う組み合わせだと思う。

 


「ジョン・パクのマブダチ」ジェフベンジャミン?あるいはどのようにしてKPOPにハマったのか

キムヨンデ:あなたについてもっと知りたい。文章を書き始めたきっかけは何か、音楽はどのようなものが好きなのか、なぜ韓国の音楽なのか等。突然だがまず気になる事が思い浮かんだ。あなたはアメリカンアイドルとスーパースターKに出場していたジョン・パクと親しいという事が韓国でよく知られている。その縁が気になる。

 

ジェフ:私はシカゴで生まれ育った。母は元歌手であり、ビートルズを筆頭にロック、ダンスミュージック、イタリアオペラなどすべてのジャンルの音楽を彼女と一緒に聞いて育った。後にシカゴで20分ほど離れた北の郊外に引っ越して行った、まさにジョンと私がご近所さんとして住んでいた地域だ。私はグレンビュー(Glenview)、ジョンはノースブルック(Northbrook)とう都市に住んでいた。彼は私より少し年上で、姉と同じ学校に通っていた。それで彼の事はいつもよく見聞きしていた。私たちの世代では最も優れた歌手といつももっぱらの評判だったし、ソロコンサートもよく開いていた。私も合唱団に所属していたが、当然のことながら彼と並べるような実力はなく...(笑)特に彼と親しく過ごしたという記憶はない。それでもアメリカンアイドルに彼が出てきたときはとても嬉しくなったし、後にBillboardK-POPチャートでジョン・パクという名前が登場したときは、不思議でもあった。 「この子知ってる!」ちょうどそんな感じ...(笑)

 

キムヨンデ:大学では何を専攻したのか?

 

ジェフ:ニューヨーク大学に進学し、当初は音楽ビジネスを勉強し始めた。 ところがどうやら、私は音楽を通じて人々と交流して関係を結ぶのは好きだが、ビジネスには全く適性が合わないということだった。 統計や会計のような経営学の授業聞いても私がうまくできることがまったくなかった。 しかし唯一、教養として聞いたライティングの授業に興味があった。 ビジネスの勉強よりは、毎日夜遅くまでブログや新聞を通じて私が好きなコラムニストや記者たちの文を捜して読むのに時間をついやした。 そうするうちにKPOPに関する話が色々な経路でじわじわと目に入ってきた。 私もその前からJPOPについてはある程度知っていたが、米国人たちがKPOPについて話す内容が非常に興味深く、私を完全に捕らえた。 「これは私が長い間聞いたことのない、最も素晴らしいポップミュージックだ!」と思った。 単に音楽をダウンロードして聞くことにとどまらず、ミュージシャンについて、シーンについてさらに深く知りたくなった。

 

キムヨンデ:最もクールな音楽だと? (笑)

 

ジェフ:そうだ。 それから彼らのライブを直接見る機会があったが、アメリカでは見られない完璧に組まれた振り付けにあまりにも深い印象を受けた。 例えるなら、高品質の商品を見るような感じだと言える。 最終的に私は専攻を音楽ビジネスから音楽ジャーナリズムに変えており、それと同時にBillboardインターンとして仕事を始めるようになった。 これが多分SMタウンが初めて米国を訪問し、少女時代がデイヴィッド・レターマンショーに出たくらいの時期だったのだ。Wonder Girlsがチャートに上がって…。このような小さな動きが加わり、私には何かがすぐ起きるということを感じることができた。 小僧っ子のレポーター見習いに過ぎなかったが、当時の編集長にKPOPに対する記事を書くことを提案することになった。 最終承認が得られるまでにはちょっと時間がかかったが、とにかく数字は嘘をつかないから。 チャートで、コンサートで、ダウンロードやYOUTUBEですでにポップの人気は確実に立証されており、結局BillboardもKPOPに紙面を割愛すること決めた。

 

 

BillboardFUSE、KPOPをみつめて

キムヨンデ:BillboardにKPOPチャートが初めて登場したのも、同じ時期だったような。

 

ジェフ:少し後だったが、ほぼ同じ時期だった。

 

キムヨンデ:この決定にもあなたが関与したのか?

 

ジェフ:あ、それはありません。 私は本当にインターンに過ぎなかったから。 当時の編集局長にBill Werdeという人が韓国の大衆音楽の現状とか見通しにとても関心が強く、今後このジャンルが何かすごいことになるという直観を持っていた。 彼の主導の下で仕事が発生した。

 

キムヨンデ:今はなくなったが、当時は唯一のアジアンポップチャートだった。

 

ジェフ:もちろんその前にJPOPチャートがあったが…差があるとすればCD販売量だけではなく、ストリーミングとダウンロードを合わせた集計方式だった。 実際韓国人たちが音楽をどのように消費するのかというパターンを見せてくれるので、興味深い作業だった。

 

キムヨンデ:あなたは、現在Billboardではフリーランス・ライターとして働いているということであってます? FUSEではスタッフの記者で。 Billboardではどのような人が韓国の音楽を担当していますか?独立した部門がありますか?

 

ジェフ:Billboardでは私は正式には「コラムニスト」に分類される。韓国の音楽を別に担当するチームがあり、私は韓国系にジェシカオーク(Jessica Oak)をはじめとするBillboardのKPOPチームと一緒に仕事をしながら記事を書いて、インタビューをして、決算などをする。 FUSEは専業で働くところだと見れば良い。

 

キムヨンデ:FUSEは新しいK-POPニュースや新曲を休みなく忙しく監視しているようだ。非常に勤勉である。私にテキストメッセージを送信した時間帯を見ると夜明けにもいつも目を覚ましているようだ。

 

ジェフ:いつもそうではないです(笑)一番難しいのが韓国との時差ですが、そのために夜明けまで起きている場合も多い。しかし、今はある程度慣れてきて生活とのバランスをキャッチできるよう最大限努めている。

 

キムヨンデ:BillboardFUSEで働いていて、別の観点というか、それぞれのアプローチはどのようなものか?

 

ジェフ:FUSEは主にポップス、ヒップホップ、ダンスなどの「トップ40音楽」に集中する。K-POPのコラムを書くことも多いが、それはすべてではなくいくつかの実験を自由にする。最近では、マイノリティをはじめ様々な人種や文化の音楽を扱うセクションを開いた。 Billboardでははどうしても外国音楽のコラムニストであるため、彼らが期待するK-POPのコラムにも集中する。どうやらBillboardが期待しているのはより深い内容の記事のようだ。

 

キムヨンデ:より評論に近い文章。

 

ジェフ:そうだ。個人的に私は新曲やミュージックビデオについて真っ先に最初に報道しなければならないという強迫観念のようなものは持っていない。私とは合わないやり方だ。 「さあ新曲のミュージックビデオが出たから早速見てみよう」というような文ではなく、読者が実際に自分の考えや文章を読んでくれて考えてもらいたいと願う。これはなぜいいか、あるいは気に入らないかの具体的な話をしたいと思う。私が言いたい事がどのようにすれば正しくよく伝わるのかどうかについてはまだ悩んでいる。単にこういうことを書いたというレベルにとどまるものではなく「こういう事を言いたい」「このような観点がある」ということをお見せしたい。良い音楽を褒めたりするのではなく、分析する文章だ。そのような部分をまだ気にして努力している。

 

キムヨンデ:似たような文脈で、しばらく前に同僚の評論家ソソンドクが「「K-POP絶賛」の記事を書いたとしても信頼できる海外メディアリスト」にFUSEを挙げていた。もちろんあなたが書いた記事だろう。これで韓国ファンも海外からの視線にひたすら無批判的に反応するのではなく、隠されたメッセージを読み取る準備ができている。同時に文章を書く人として持つ難しさの一つは...ファンは基本的に「嫌な言葉」を聞きたくはないだろう。あまりにも当たり前?誰かについての良い文章を書けばそのファンドムがあなたの記事を熱心に拡散するかもしれないが、過度に分析的だったり批判的であれば、その分の反発も甘受しなければならない。

 

ジェフ:まず、私の文章を信頼してくれる人が多ければ感謝している。実際には、今述べた側面が本当に難しい。私はいつもバランスを維持しようと努めて、賞賛だけではなく批判もしようとしている方だが、それにもかかわらず産業の摂理というものもある。あなたの言葉のように、悪い評価を熱心に広めようとする人は多くないからだ。 (笑)

 


ジェフが出会った人々、あるいはアイドルおしゃべり会withジェフ

キムヨンデ:多くのミュージシャンに会って話をした経験があると思うので、彼らの話をしてみよう。最も自然体で話しやすいと思った人(たち)は誰ですか?

 

ジェフ:最も自然体だと感じた人は...CLだ。彼女に初めて会ったのがおそらく2月だったのか、本当に寒い冬だった記憶があって、とても分厚いジャケットを着て現れた。インタビューのためにジャケットを脱いだとき、思っていたよりもはるかに小柄な事に驚いた。

 

キムヨンデ:あのこじんまりとした体格のどこからそのような自信と存在感が出るのか分からない。

 

ジェフ:その通りだ。私たちは、2NE1の音楽やもうすぐでるだろうCLのソロアルバムの話などをした。彼女は単に有名になること、アイドル歌手としての名声以上のことを考えている人であり、それは私が彼女を応援している理由でもある。

 

キムヨンデ:最も興味深い、あるいは最も個性的な性格を持っていたのは誰ですか?

 

ジェフ:そうだな... B.A.PもしくはINFINITEだと思う。両グループともとても熱心なスタイルである。 B.A.Pはとてもかわいいグループだったが、ニュースを通じて私たちの存在を知っていたと言っていた。インタビューが終わってからもマネージャーが別に訪ねてきてメンバーたちの感謝の気持ちを伝えてくれたりもして、これはあまり経験しなかったことだ。お互いの言語を知らないのに心が通じる感じがあった。INFINITEも似ているが、その中でもホヤが記憶に残っている。本人が英語は苦手にもかかわらず、熱心に私に何かを説明して会話をしようとする姿がキュートでよい印象を持った。少女時代のティファニーもおもしろかった。テティソ活動時代に会って話をきいたが、面白くて、気さくで...それに...

 

キムヨンデ:まさにカリフォルニアガールという感じだ。

 

ジェフ:ハハ。そうだ。そのような生気溌剌さを感じた。

 

キムヨンデ:私たちの間では「同胞」スタイルとも呼ばれている。

 

ジェフ:ああ、そうなんですか? (笑)とにかくそんな感じが可愛らしくて良かった。あっ!もう一人の話をしても? IUだ。昨年のKコンで初めて会ったが、非常に面白くて賢い人だった。特徴的なところは…彼女の歌う声は甘くて優しいのに、喋る時は非常に低く、ハスキーで暗いトーンを持っているということだ。米国ドラマ「モダン・ファミリー(Modern Family、2009〜)」の話を私にしてくるのはなんだかぎこちなかったが楽しかった。 「ああ、思ったよりしっかりしている女性なんだ」という感じの声も聞いた。ほとんどのインタビューは何だか形式的で重く、不自然なことが多い。言語の障壁もそうだが、「このような質問はしないでください」というような雰囲気の中で自然な質問をするのが難しい時も多いが、IUはそういう事がなくてよかった。

 

キムヨンデ:最もきれいなアイドルは?

 

ジェフ:ああ...ちょっと待って...

 

ジェフベンジャミンが挙げる最もきれいなアイドルをはじめ、彼が出会った数多くのK-POPアイドルの話、ガールズグループ大戦、K-POPだけの魅力と国際市場での展望など数多くの話はパート2で。

 

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同胞スタイル:在外同胞=トッポと呼ばれる。在外僑胞=キョポという呼び方が以前は一般的でしたが、若干のネガティヴなニュアンスが含まれるため呼ばれる方はあまりいい気がしないらしいので、今はトッポの方がいいかもしれません(無理に現地ノリで呼ばなくとも在外同胞でいいと思いますが)
「帰国子女ノリ」的な感じでしょうか。

 

 

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