サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【質問箱お返事】「タイトル曲」を複数出すことのメリットについて

【お題箱からのご質問】

アルバムの曲をダブルタイトルやトリプルタイトルにすることの利点って何があるのでしょうか?もしわかりましたら教えてください。
 2023/06/19 23:45:16

https://odaibako.net/detail/request/04780d76-bfa0-47e3-b74f-4e1c1600db93?card

 

Twitter上で答えても良いかもというようなシンプルなご質問なんですが、「タイトル曲」というのがほぼ韓国にしかない概念みたいなので、この機会に一度ブログに記録としてまとめておいたらいいかもと思ってこちらで回答します。

 

韓国で「タイトル曲」という概念ができたのは韓国の音楽ビジネスでは「シングルリリース」という慣習が定着しなかったという歴史が大きいようです。

日本やアメリカでは先にシングルカットの曲が出て、それを集めてアルバムにするというやり方が昔からの定番のやり方ですが、韓国ではレコードがSP盤からLP盤に移行した時に、1・2曲の為に盤(テープ・CDなども)を作るのはもったいないという傾向から、歌手が新曲を出す際には基本的に「アルバム」が普通になったため、アルバムのプロモーションでTV番組やイベントなどで歌う時に「その中でメインで推したい曲はこれです」というのを明らかにするために「タイトル曲」という概念が出来たようです。

後にアイドル業界ではフルアルバム未満のEP=ミニアルバムという物が出てきましたが(これはYGがはしりのようです)、単曲リリースの場合はデジタルが多いですね。f(x)の「Chu〜♡」とかWINNERのようにシングルで音盤を出す例もありますが、割と珍しいと思います。

 

以上のことを踏まえると、「タイトル曲を複数設定する」と言うのは「シングル曲を複数リリースしたのちフルアルバムを出す」を逆にやってるということですね。

具体的に言えば、プロモーション出来る曲が増えるという事ではないでしょうか。

 

・MVが増える→最近はタイトル曲以外もMV撮影するパターンはありますが、基本的にタイトル曲には必ずMVがあるので。

 

・音楽番組でパフォーマンスできる曲が増える→デビューやカムバステージ以外は、音楽番組でパフォーマンスできる曲やチャート集計対象になる曲は基本的にはタイトル曲だけです。

(例えばタイトル曲以外がバズったりなどのチャート結果次第で途中で変更になる場合もあり)

ただ、カムバック活動に際して複数のパフォーマンスを予め用意しなければいけないので、ゴリゴリに踊るタイプのグループなどの場合は負担が大きいのではないかと思います。

 

・音源配信サイトで「タイトル曲」表示される曲が増える→韓国の主要音源配信サイト(VIBE以外)ではアルバムの曲一覧の中に「タイトル曲」というのが表示されるため、リリースの際にどの曲をタイトル曲にするのか1曲は指定しなければいけないそうです。そして、ファン以外の一般のリスナーがアルバムを聴く際はタイトル曲しか聴かないパターンも少なくないので、タイトル曲を多く設定するとそれだけ大衆的に聴かれやすいというメリットはあると思います。

 

上記の理由から、1枚のアルバムの中で複数の曲をプロモーション出来るため、「音源チャート」での複数曲の上位チャートインやロングランの可能性が上がるというのが最も大きなメリットではないでしょうか。「タイトル曲」はそれだけでプロモーションの露出機会が多いので、特に元々楽曲人気が高く音源チャートでの好成績が期待しやすいグループの場合、そういう効果は得やすいと思います。

逆に、ファンダム中心すぎるアーティストの場合はスミンや投票対象が分散して逆効果になることもあります(その場合は途中からチャート順位が高い方をメインにするようファンダム側も計画変更することが多いと思いますが)ので、特に音源成績が良いアーティストが主に使う戦略だと思います。

過去を見てもアイドルの場合、複数の楽曲をタイトル曲にしたことがあるのはIU・少女時代・2NE1・BIGBANG(アルバムの全曲がタイトル曲だったことも)・WINNER・IVEなど、元々音源成績が良いアーティストが多いと思います。今度トリプルタイトルで1集フルアルバムを出すNEW JEANSもそうですね。