サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【idology訳】幸せの秘訣に健康と知性(チソン)を挙げるあなたへ

【idology訳】読者寄稿:幸せの秘訣に健康と知性(チソン)を挙げるあなたへ

2021年5月9日

https://idology.kr/15706

 

NCT DREAMの初正規アルバムを祝って

この悩みは、ある日あなたが送ってくれたDMから始まりました。当時、私はアイドルに関心を持ったばかりの一般人で、外部者なので簡単に言える言葉を無礼に投げる人でした。 そして、その言葉を読んだあなたが相談を依頼してきたのです。 私は手紙をもらってとても恥ずかしくなりました。そして時間が経った今、このように文を書いています。 あなたがその日に見せてくれた、「保護されない未成年アイドル」と「それにもかかわらず消費するファン」として持つ、アンビバレントな気持ちに答えるためです。

 

まず、あなたが愛するグループの初正規アルバムが発売されたことをお祝い申し上げます。 長い間努力した結果なので、私もすごく期待しています。 同時にあなたがあの日に悩んだことも一緒に考えるようになりました。「未成年のアイドルを消費する事は搾取を再生産することになるのか」という質問でしたね。 私はその日、「公論の場でないところまで、厳しい倫理的態度を保つ必要はない」と答えましたが、それは充分ではない答でした。 それで、私は「青少年(未成年)アイドル」という非標準的労働の特殊性の前で、ファンである私たちができる話をしてみようと思います。 話は、その日あなたが悩んだ「アイドル産業の未成年基本権侵害」を中心にします。

 

NCT DREAMは(今年全員成人になりましたが)デビューした当時平均年齢15.6歳だった 「未成年」グループでした。青少年連合というコンセプトはSUPER JUNIORやBOYFRIENDのように過去にも存在する形でしたが、このように前面に「日常的未成年」というキャッチフレーズを掲げたグループはDREAMが初めてでした。 デビュー当時、最年少アイドルに選ばれたグループの末っ子NCTチソンは、メンバーたちと一緒に撮った小学校の卒業写真があるくらいです。 そのために個人の力量とスター性に対する期待も大きかったが、未成年メンバーの幼い年齢に対する懸念も多かったように記憶しています。 その懸念の中心には、私たちが話そうとする未成年の教育権と自己実現の衝突という問題があります。

 

2019年に韓国コンテンツ振興院が発行した「大衆文化芸術産業実態調査報告書」と同年、文化体育観光部が発行した「芸能マネジメント産業実態調査および環境改善方案研究」を参考にしてみました。 報告書は文化芸術家の中で満19歳未満の青少年(未成年)芸能人を対象にアンケート調査を行ったもので、細部事項としてマネジメント分野の実態を明示しておきました。

 

報告書によると、マネージメント会社の青少年(未成年)芸能人の保有比重は6.2%です。

 

1.未成年という特殊性を反映した別途の契約条項、ポリシーおよび生活心得を設けるケースは広い範囲では57.0%であり、このうち契約条項にこれらを含むケースは23.6%に過ぎません。

 

2.設けられている条項は学習権の保障が56.4%、長期欠席に対する同意が49.2%、撮影時間の制限が49.5%で、食事管理、携帯電話使用禁止などの条項が含まれます。

 

3. 未成年芸能人の平均活動時間は、15歳未満が6.3時間、以上が6.8時間で、一週間の平均時間は約22〜24時間です。

 

4. 未成年芸能人の在学現況は、回答者基準90%が在学中であると調査されており、在学していないケースは国籍上の理由が39%、検定試験準備が34.1%、活動上の理由は10.1%です。

 

5. 未成年芸能人の活動のうち、登校回数はほぼ毎日が43.9%、週2〜3回のケースは33.0%です。登校が全くできないケースが13.7%です。 一度でも芸能活動で登校できなかった経験がある場合は83.8%で、これに対して91.7%が会社側と事前協議を行ったと回答しています。 主要芸能事務所の場合、活動によって卒業が困難な場合は会社の斡旋を通じて卒業検定試験の受験を支援しています。

 

まとめてみると、芸能人派遣労働者のうち未成年は10%、そのうち特殊性が認められない労働者は38.6%、90%の労働者が公教育在学中で、43.9%は活動中でも毎日登校しているが、83.8%が活動上の理由による欠席経験があります。 活動上の理由で登校できなくなった場合は、会社との協議となります。

 

私は、この調査内容を基に2つの示唆点を導き出しました。 第一に、未成年芸能人の教育権は一般的な認識よりも制度的に保障されています。 第二に、マネジメント会社は制度を保証し、芸能人の権利行使を自発的に放棄するよう誘導しています。 協議下の権利保障は、個人の不安と競争という環境を考慮したとき、教育という責任を青少年個人に転嫁するものと思われます。 個人は自己決定権を持っている存在です。 ですが、未成年の場合でも個人の同意が基本的権利の侵害を正当化できるのでしょうか?

 

アイドルという職業が持つ特殊性について考えてみます。 文化体育観光部は、アイドルという特殊雇用職種が既存の芸能人と区分される部分を「ブランド性」と定義しています。 アイドルの仕事はパフォーマンスに限らずコンテンツ産業全般にわたっており、これはアイドルを一般のアーティストと差別化します。 業務上、脱分野性に基づいたサービス提供は実際の人間に対するコンテンツ化に拡張され、個人の生活全体をアイドルの「業務領域」と規定します。 これを明確にすれば、(個人の商品化に対する倫理性は今後議論すべきところでしょう)自然と人間のブランド化に伴うマネジメント会社の役割について考えざるをえません。アイドルが単なる芸能サービスではなく一つのブランドなのであれば、会社はブランド価値の維持及び持続のために個人全般の管理を担当することになります。 改めて報告書によると、未成年芸能人の66.7%は「会社からプライバシーを管理されているが侵害だとは思わないし、8.3%が侵害だと思うが必要な部分だとは思う」と回答しました。 同時に、芸能人としてのブランドとありのまま人間としての私生活のうち、重視する領域については58.3%が私生活をより大切に考えているという調査結果でした。 ゆえに、この点でも私達は同じ質問をすることができます。 商品化について理解しているのであれば、また、希望すれば未成年でも個人を商品化できるのでしょうか?

 

NCT DREAMがデビューした2016年は、エンターテイメント産業内における未成年アイドルに対する保護指針を骨子とした「大衆文化芸術産業発展法(2014年施行)」が本格化した時期です。 同法は、芸能人、練習生が未成年である場合を対象に、個人の自由選択権、睡眠権、学習権などを保障しています。 しかし、処罰規定が設けられておらず、年齢基準は15歳に指定されており、芸能の現場に対する考慮がなされていないという指摘が持続的に提起されてきました。 単に時間制限だけで睡眠権を保障することは無理があり、安全権及び人格権に対する保護条項が欠落しているとの指摘もあります。 実際、上記に引用した報告書では無理なスケジュールによる個人の自発的な登校拒否、過度のダイエット要求による健康悪化等の内容が報告されています。このような現状を基に、ハンビットメディア労働人権センターなどでは2020年1月に「児童·青少年大衆文化芸術家の労働人権改善討論会」を通じて青少年芸能人の授業および進学に対する保障、サービス活動環境上の安全保障、扇情的な表現の強要禁止などの内容を法的に明示し、児童人権保護官制度の導入を要求しました。とすれば、私達はまたこのような質問をすることが出来ます。 未成年という理由だけで、特定の職業を実現するための制度的規制を適用するのは公正なことですか?

 

質問は1つの問題に収束します。 未成年という特殊性の前で、制度は個人の自己決定権をどこまで尊重できるのでしょうか。 私はこの事案においてイギリスの事例を参考にすることができると判断しました。 英国における未成年者の公演活動についての議論は、「最大限の機会保障」という目標のもと、教育と自己実現間の不一致を解消しています。 一例として、公教育への参加が困難なエンターテイメント産業の現場を考慮し、未成年芸能人に担任教師と密接にコミュニケーションが可能な個人教師を提供することが勧告されます。 芸能活動の目的は活動を通じた個人の利益の実現であり、国は安全権と教育権に限り、最小限の介入だけを追求しています。

 

この事例を反映すれば、私たちはアーティストを応援すると同時に、心配する者として個人の自由意志に対する支持と構造的批判を同時にすることができます。 最小限の範囲での事後的制度介入を促すのです。 アメリカのネバダ州ではリゾートなどの店舗で未成年者を雇用する場合、レッスン日基準で91日以上を超えた場合には相応の教育サービスを提供しています。 青少年労働基準法によると、デリバリーのアルバイトの場合、一日の業務でも労働契約書作成および労災保険加入が義務付けられています。 私たちはこのような規定を参考にして、関連の保護指針を未成年芸能人にまず設けることを業界に求めることができるでしょう。

 

経験的な面から、個人の活動は多くの場合推奨されていることが望ましいです。 未成年という特殊性を反映しようとするならば、選択を制限するのではなく、変更・撤回の自由を提供することが正しいでしょう。 先の質問を通じて、私は先制的規制よりは事後的セーフティネットが必要だという立場を固めました。 「未成年アイドルの消費に対する倫理的問題」については、私は消費自体に対する倫理的判断はできないという立場です。 まず判断されるべきことは、ファン個人の消費ではなく、競争市場内で自由の権利が扱われる方式です。そして、制度の実効性です。 これを前提とすれば、ファンとして、アーティストに対する支持と理解を持っている人として、実効性のある指針作りのためのさまざまな話をすることが出来るでしょう。 これはむしろ、消費することによって支持を実現する人だからこそできる議論なのでしょう。 もちろん、今日は応援するべきことを優先して心から応援しましょう。 初の正規アルバムの喜びを、 アーティストと一緒に味わってください。 これから1ヶ月間はお祝いするだけでも足りませんから。

 

NCT DREAMが、そして多くの未成年アイドルたちが、早く始めた分だけたくさん経験してもっとたくさん学んで、長い間幸せになれることを願っています。 NCT DREAM初の正規発売、おめでとうございます。 私たちの役割は、彼らの5年後、10年後を期待するだけでも十分だと思います。 悩むより歓迎の気持ちで一ヶ月を過ごせるようになることを願います。

 

*本稿は明示された報告書のほか、青少年人権活動家C氏、TEENTOPリッキーのファンA氏との対談を基に作成されました。

文:M.リモ

 

青少年は一般的には「少年と成人の間」の12〜25才くらいを指すようですが、青少年保護育成条例などでは18歳未満の未婚の男女のことなので、こちらの意味合いで訳しました。