サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【ize訳】BLACKPINKの色は何だろうか

BLACKPINKの色は何だろうか
2016.11.07

 

http://m.ize.co.kr/view.html?no=2016110608557271401&pDepth1=i2301


BLACKPINKは新曲「火遊び」で"恐怖よりは君に惹かれた気持ちがもっと大きいから"、"私の全部をあなたっていう世界に全部投げたい"と歌う。 ミュージックビデオでも男性の腰を先に抱きしめたり、近づいてくる男性を力一杯ハグするなど、ためらわない。 2016年、ガールズグループのトレンドは届くような届かないような愛のときめきと内気な心を伝えることだったが、BLACKPINKはそこからは少し離れた道を選択した。 これは2NE1からBLACKPINKまでYGエンターテインメント(以下、YG)のガールズグループのプロデュースを担当しているTEDDYの力量のおかげでもある。 2NE1はデビューの頃からガールズグループとしては異例であるほど自己愛を誇示するチームであり、よく遊んだり物事にチャレンジングでありそうな彼女たちのイメージはBLACKPINKにも相当部分移植されている。

 

しかし、BLACKPINKが「BOMBAYAH」でオッパと叫んだように、「火遊び」もやはり受身的でおとなしい、幼い少女の顔を完全に放棄しない。 「火遊び」には「うちのママは毎日私に話した」という歌詞が登場し、ミュージックビデオには地味に見えるがそれとなく露出が浮き彫りになっている服を着ておとなしく座っているメンバーたちの姿が入っている。 ダブルタイトル曲「STAY」は傷つきながらも愛を渇望する内容で、多少時代錯誤的ともいえる純粋な女性の雰囲気を補強する。 2NE1の「FIRE」や「ネガチェチャラガ」とは違う誰かに捨てられて痛みを見せる女性の歌を合間合間にリリースし、「強く見える」イメージを中和させようとした戦略と類似している。 そのためにTWICEとBLACKPINKが追求する方向の本質的な違いはとても微細な程度に止まり、大衆的な認知度を得たTWICEに比べて後発ランナーであるBLACKPINKの色はそれだけ曖昧になるしかない。

 

これは逆説的に2NE1とBLACKPINKの違いでもある。 BLACKPINKは2NE1に似た印象を与えられたが、2NE1のコンセプトにはメンバーのカラーが特に作用した。 CLの目立つキャラクターや腿を大胆に開くミンジのダンスのようなインパクトがなかったら「FIRE」は完成できなかった。 一方、BLACKPINKはYGが2NE1を通じて見せたのものに最近のガールズグループの流れを混ぜあわせ、メンバーら一人ひとりの個性は浮上しない。 デビュー曲「口笛」では魅惑的な雰囲気を造成するロゼのボーカルが、「BOMBAYAH」ではリサの覇気あふれるラップが目立っていたが、「火遊び」ではむしろメンバーたちの声を一つに調整してしまっている事も関係している。 全般的にブレスを多く混ぜない堅く力を入れて吐き出すトーンは、注意深く聞かないとジェニとジス、ロゼ、リサの中で誰か区別がつかない。

 

BLACKPINKは最近のインタビューで「ファンがたくさん待っているので、コミュニケーションの機会をくれたらと思う。 ファンと会う場や音楽放送も出てみたい」と話した。 TWICEとI.O.Iのいずれもデビュー前からリアリティ・ショーを通じてキャラクターを見せてくれたし、最終的にはひとり一人の個性を動力にしてパン・大衆的な成功まで勢いを加えることができた。 しかし、BLACKPINKには公式で撮影したいくつかのMVビハインド映像があるだけだ。 それなりの理由があるが、結果的にはデビュー後3ヵ月の間で、メンバーたちに個性を現す機会がなかなか与えられなかったという話だ。 2NE1がMnet「2NE1TV」などを通じて、当時他のガールズグループと差別化されたキャラクターを持つようになったのと対照的だ。


このような状況でムーンバートン系列の「火遊び」をタイトルに掲げたのは良い選択のようには思えない。 ムーンバートンは世界的にトレンディだが国内では依然として不慣れなジャンルであり、それだけに何をやっても応援を受けるほど堅固なファンドムを有していたり、慣れない音楽さえも魅力的に感じさせるほどメンバー個々のイメージがはっきりしていない新人には消化しにくい服だ。 よくトレンディと形容されるYGのイメージを除けば、やっと二番目のアルバムを発表したBLACKPINKがムーンバートンジャンルのタイトル曲を呼ばなければならない理由は、とくに見当たらない。 さらに、「火遊び」の舞台は印象的な一瞬を描くこともできない。 最近、アイドル市場で、ある場面に要約できるパフォーマンス演出の重要性は次第に強まっている。 トゥワイスが「CHEER UP」で見せてくれた"シャシャシャ"や指で'T'を形作る'TT'の振り付け、GFRIENDが「ガラス玉」で見せてくれた蹴りなどと比較すれば「火遊び」を代表するような振り付けは想起することはできない。 「火遊び」という単語は「TT」や「VeryVeryVery」よりも特定のイメージを直観的に表現されるが、タイトルの強烈さがコンセプトの全てを代替するわけではない。

 

2NE1がデビューした時、人の機嫌を伺わずに愛を歌っていないながらも、いくらでも視線を引き付けることができる女性のキャラクターは当時、YGだけが作ることができた。 一方、今のブラックピンクはどんな女性像を描きたいのか分からない。 トレンディさときれいに整えられた音楽と何とか洗練されたビジュアルスタイリングは存在するが、そこで浮き彫りにされるのはYGという会社の仕事だけであり、BLACKPINKというグループとそのグループを組むメンバーの個性に関する考慮は見えない。 どんな芸能事務所とも違うスタイルと方向からアーティストの色を鮮明にしたYGは、今や流行に追いつくことだけでもYGの名前と規模で市場に充分にアピールすることができると信じているようだ。 そしてその間にTWICEが「TT」で受動的な女性像をほんの少しだけ脱したように、他のグループたちも変わり始める。 市場の要求と時代の流れと会社の固執の間でまだ適切な線を見つけられなかったBLACKPINKはどこに足を踏み入れなければならないのだろうか? BLACKPINKだけでなく、すべてをグループが悩まなければならない質問でもある。


文|ファンヒョジン
校正|キム・ヨンジン


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ムーンバートン=moombahton /BPM110前後の緩やかなベースミュージックのジャンル。最近のKドルの曲だと防弾少年団の「血、汗、涙」などが該当すると思われます。

前回のデビュー時に続くBLACKPINKに関する記事でした。前回同様他のガールズグループと違う個性は何なのか?という疑問とともに、YGからデビューする最近のアイドルが一見普通のアイドルのような顔を見せながらも「一般的なアイドルっぽい売り方」をしない事に対する疑問も感じられる論調ですね。