サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【news Ade訳】アイドルの世界を作る人たち、A&Rを知っていますか?

【news Ade訳】アイドルの世界を作る人たち、A&Rを知っていますか?

 

2016-09-10 11:10:17
http://news-ade.com/?c=news&m=newsview&idx=1000011705

 

[ニュース・エイド=パクヒア記者]

 

「最近の芸能事務所たちが繰り広げる熾烈な戦争は結局、A&R戦争と変りません」

 

アイドルグループのトレーニングを担当しているある関係者の言葉だ。 この関係者だけではない。 数多くの実務陣が口をそろえてA&Rの重要性を強調する。 ところでA&Rとは一体何だろうか?

 

#A&R=レーベルの資産管理士

アルバムジャケットの最終章まで真剣に見つめたことがあるだろうか? 多分「私のアイドル」が誰と働いているか知りたいファンならば、このクレジットを一度は関心を持って覗いて見たことあるだろう。 コンセプトは誰が企画するのか、広報は誰がするのか、衣装やヘアスタイリングは誰がしてくれたのかどうかなどなど...。

 

このクレジットの1ページには、アイドルグループが舞台に立つまでの幾多の苦労が圧縮されている。 そして多くのスタッフの間でA&Rも一桁を占めている。 たまに「Artist & Repertories」と書いてくれている会社もあるが、用語解釈なしに簡略に記されている場合がほとんどだ。これによってファンも短くて太いこのポジションについて何の考えもなく通りすぎてきた可能性が高い。

 

しかし、A&Rは芸能企画社内の実務者の中でも最も核心的な役割を果たしている言っても過言ではない人たちだ。 先立ってちょっと言及したように、A&Rはアーティスト・アンド・レパートリー(Artist and Repertoires)を略して呼ぶ言葉だ。そしてアーティストは言葉通り、所属ミュージシャンたちを意味する。 それならレパートリーは何を意味するだろうか。 アルバムレーベル内でのレパートリーとは、会社が保有している曲を意味する。 つまり、A&Rは会社のアーティストと曲を管理する人ということだ。だが、単純にアーティストのコンディションを管理して曲を集めておく業務と思うのは間違いだ。

 

「A&Rはとても仕事をよくする実務者と見ていいです 会社ではとても重要な人物です。何故なら、彼らが結局は管理者になるんですよ。 これは資産管理です。 レーベル会社の資産はお金ではありません。 アーティストと曲です。 その資産を管理する人だと考えてみてください。 A&Rのポジションは結局、資産管理士なんです」
(大衆音楽評論家チャウジン)


#コンセプト鑑別士+賢いヘッドハンター=A&R

この「資産管理士」たちがしている仕事は独特だ。 A&Rチームは新人アーティストを発掘することからレコードを企画して製作することまで全般に関与する。 しかし、会社の規模や体系によって担当する業務が異なるため、業務範囲を特定することはできない。

 

「一般的にする仕事は、アーティストに合った音楽を探し出して制作過程に参加することです。 場合によっては追加的に広報や他のコンテンツ製作に参加する場合もあります。 アーティストキャスティングから入る場合もあります。 今回のNU'EST『CANVAS』はA&Rチームがアルバム制作初期段階の過程から製作チームと共にコンセプトを構築しました」
(NU'EST アルバムプロデューサー兼A&R BUMZU)

 

「韓国の音楽市場が海外にまで拡張されました。 そのため、歌を1曲作るのに関わっていた人が以前には1人や2人だったとすれば、今はとてもたくさんいます。 ひとまず最も重要なのは、曲そのものを作る人たちです。 順序は変わる可能性があります。 コンセプトを先に決めて曲を受けたり、曲を先にもらっておいてそこから良いコンセプトを引き出しても構わないです。 ここでにアートディレクター、スタイリスト、ヘアメイク担当者まで全員が曲のコンセプトを司る人たちです。 ところでこの全てのことをハンドリングする主体は誰なのか。 それがまさにA&Rチームです」(チャウジン)

 

彼らは与えられたコンセプトによって該当アルバムに収録される曲の雰囲気を構想し、コンセプトにふさわしい曲を作れそうな作曲家や作詞家の元を訪れる。 所属アーティストのコンセプトをうまく生かしてくれるミュージックビデオの監督、フォトグラファーなどを渉外することも彼らの役目だ。 したがって、歌手を育成するエンターテインメント会社でのA&Rは「非常に勇敢」でありただ会社内の業務に関与しているだけではなく、まるで人事チームのように賢いヘッドハンターの役割を遂行する。


#「A&Rチームがどんな仕事をしているのかって?訊かないでください!」

会社によって具体的な業務内容は多少の違いがあるが、共通してすべてのA&Rチームがすることは「良い」音楽を掘り起こしてアルバムコンセプトを引き出す事だ。

 

「NU'EST各メンバーに合わせたスーツを着せるように、ぴったりの音楽と歌詞を作らなければならなかったんです。 数多くのジャンルの曲を作ってみてデモを収集しました。 NU'ESTのボイスカラー、ビジュアル、パフォーマンスという三拍子がよく調和したジャンルを選びました。 フューチャーベースとディープハウスを主なジャンルとして選択し、1番トラックと4番トラックはNU'EST本来の声を一番よく生かすことができるアーバンR&BとFusion 90'R&Bを選択して配置しました。」(BUMZU)

 

このようにアルバムに入る曲を収集した後、チームの色にぴったりの曲を選びだすのだ。 トラック数、コンセプトによるジャンル別配置まで悩むのがA&Rの第一の任務だ。 プロデューサーとともにこのような部分を細かく相談し、全体的なフレームを構築してアルバムおよびミュージックビデオまでを完成させていく。

 

現在はA&Rの概念が会社ごとに少しずつ変わっている最中だ。 ビジュアルおよび映像コンテンツをA&Rから分けて配置するところが増えた。 面白いのは、このようにA&Rチームを細分化した理由や仕事の範囲については説明できないという会社が圧倒的に多いということだ。

 

「うちの会社の場合はA&Rとコンテンツ制作チームが別々に分離してあるんですけど。 ビジュアル部分は音楽部門と異なる担当者をおいています。 アーティストの発掘作業は、新人開発チームが担当する部分も大きいです。」
(芸能事務所関係者A)

 

「なぜA&Rを細分化したのか、またどこまでがA&R業務に含まれるのかお答えするのが難しいです。 一種の会社の機密なんです。 どのように作業が進められるのかというのは、自分の会社のA&Rたちがどのような方式で働いているのかというのとほぼ同然です。 最近はコンセプトの戦いですから。 会社ごとにコンセプトを引っ張ってくるプロセスが異なると考えて頂くといいです。 だから隠すしかないんです」
(芸能事務所関係者B)

 

#3秒しか聴かなくてもわかります

当然の話だが、A&Rチームのスタッフたちは音楽的にかなり詳しい知識を持っている場合がほとんどである。

「イントロを3秒聞けば何のジャンルか当てられます。 そのくらい音楽が好きで親しんでいる人がなります。 それでこそ、その時その時に自分の歌手に合った曲を収集することができるじゃないですか。 誰が更に良いコンセプトの曲を持って出るのかが最近のアイドル市場の勝敗の決め手だと思います。 作曲家・作詞家たちとのミーティングも盛大に行います」
(芸能事務所関係者C)

 

「音楽に関心が多いことで有名な某グループのメンバーは、A&Rチームにいるスタッフたちを本当に実の兄、実の姉のように慕っています。 海外ツアーに行ってもそのスタッフがいる部屋まで来て、音楽のことを話してほしいとせがむくらいです。 精神的にもとても支えになるんでしょう」
(芸能事務所関係者D)

 

ただ、A&Rが何かを「創造」する人々だとみなすことはできない。 彼らは作曲チームに曲を任せたり貰ってくるだけだ。 作曲家と意見を交わして金額の調整を行ったりもする。 様々な作曲家たちやミュージシャンたちと所属事務所内のプロデューサーたち、アーティストとのコラボレーションを率いることも、A&Rチームの役目だ。 彼らが直接曲を作る人たちではないということだ。 一方ではアーティストと信頼関係を形成して人間的に疎通し、彼らのコンディションを鋭敏に把握しなければならない兄や姉になる必要もある。 結局、A&Rは会社内で最も有能な「実務者」だ。


#A&R採用、なぜ難しいのか

このように重要な仕事をする人たちなので、会社の立場からも採用する際に厳しくなるしかない。

 もし各芸能事務所別のA&R募集広告を探してみたことがある人なら、「海外A&R」を別々に選ぶケースを見たことがあるだろう。 最近はA&Rチームを選ぶ時、音楽的に豊富な知見を備えているかは別にして、外国語の能力が高い応募者を好む傾向が強まっている。 先立って言及した採用広告のように国内と海外を区別して選ぶケースもあるが、最近はA&Rの募集広告自体に「外国語(英語、日本語など)会話能力に優れた者」を優遇事項として明記している会社が少なくない。 なぜだろうか。

 

答えを探すことはそう難しくはない。 最近カムバックしたRED VELVETの3枚目のミニアルバムのタイトル曲「ロシアンルーレット」を作曲したのは誰だろうか。 当該アルバムには合計何人の海外の作曲家たちが参加しただろうか。 EXOの「MONSTER」曲製作にKenzieとともに投入された作曲家は誰だったか?

 

もちろん、すべてのグループが海外の作曲家と作業することはない。 防弾少年団やNU'EST、SEVENTEEN、Block.Bなど概ね国内の作曲家たちと働いたり、メンバーたちが作業の過程で主要任務を任されることも少なくない。

 

しかし、すでによく知られたChad Hugo(Red Velvet『Happiness』)やLDN Noise(SHINee、EXO、SMステーションなど多数参加)など海外有数の作曲家たちが国内メジャー音楽市場に大きな影響力を行使しているのが現状だ。 このため、海外の音楽家らとミーティングを開き意見調整をするためには外国語のコミュニケーション能力が必須だという。

 

「A&Rチームで働いている友人のほとんどが英語が上手です。 とても優れている必要はないけど、海外の作曲家やプロダクションと疏通できる程度くらいは出来るべきでしょう。 大手事務所に選ばれるA&Rチームのスタッフたちは、英語の実力がとても優れています。 留学派も多いですね。 そうならざるをえません。 作業を最初から海外チームとしますから」
(芸能事務所関係者A)

 

実際、海外有数の大学で関連専攻を履修した後、韓国の大手事務所に就職して自分の力量を広げる人たちもよくいる。 国内派A&Rスタッフも、海外で多様な経験をしていたり外国語の実力が優れている場合が多い。

 

ますます洗練されたものを求めてさ迷う大衆を満足させる為にはやむを得ないことだ。 国内にも良い音楽家たちが多いが、最大限多くの機会を作らなければならないというのが関係者たちの共通した意見だ。

 

#A&R、さらに重要になるだろう

多くの韓国アイドルグループが海外ツアーをする。 わずか10年前までには描きにくかった絵だ。 このような現象が瞬間的な好況で終わることを願う人は多くないだろう。

 

アイドル産業が本当に、まともに、しっかりと!作動するには、音楽だけでなくグローバル産業に鋭敏な感覚を持ったスタッフが投入されなければならない。 そうだとすると、会社内の実務管理者と変わらないA&Rスタッフの役割も自然に大きくなるしかない。

 

K-POPの産業構造が、大資本が投入されても大きなリスクを最初から抱いて出発する構造で固まってきています。これは映画産業と似ています。プリプロダクションは練習生であり、資本がたくさん入って完成するのにも時間がかかる。発売されるやいなやそれがすぐに会社の運命を左右することになります。このような点では、会社の最も重要な部分を総括するA&Rチームの役割が重要になるしかないという気がします」(チャウジン)

 

今のところ、韓国のレーベル各社は海外に比べて小さい規模で運営されているのが現実だ。したがって、徹底したプランの中で体系的に動くA&Rチームは片手に余る。 小規模のレコード企画会社の場合にはA&Rチームがアルバム発売時までスケジュールを管理するスケジュール管理者程度の役割になっている場合も存在する。

 

しかし、韓国アイドル市場はますます海外に向かっていて、これに向けてアイドルを作っており、大きな金額を投資して必ず成功に繋げようとする会社の熱望は続くだろう。 そうすればするほど緻密でしっかりした実務者、A&Rの役割が大きくなるしかない。


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去年の記事ですが、プロデューサーや作曲家やAD、スタイリストなどのクリエイター陣と比べるとスポットが当たりづらいA&Rについての記事でした。SMみたいにほぼ社外の仕事が多い会社は特に重要なポジションそうです。

 

確かにクリエイター陣が頑張るだけではうまくいかないのがビジネスというものだし、各種の国内外コラボもアイドル本人がやりたがって魔法のようにうまく実現するというわけでは無いので、そこで必ず条件や方法や金額などを交渉するスタッフが存在して、それがA&Rである場合が多いということなんでしょうか。ファンは気軽にあの人に作って欲しいとか撮って欲しいとかコラボしてとか言いますが、全てお金の関わるビジネスである以上は「会社の提示する予算に収まるか」「そもそも引き受けてもらえるか」「双方のスケジュール上の問題はないか」など越えるべきハードルがたくさんあって、それ故に実現して世に出たものにはたくさんの人たちの仕事が関わっているんだなあと改めて思った記事でした。