サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【ize訳】ガールクラッシュコンセプト |②2018ガールズグループ 変化のモーメント

【ize訳】ガールクラッシュコンセプト |②2018ガールズグループ 変化のモーメント


2018.11.20

http://m.ize.co.kr/view.html?no=2018111921357231153


少女時代・BLACKPINK・IZ*ONE・(G)I−DLE・PRISTIN V・WekiMeki・gugudan、ここにソンミとテヨン・ユリ・ヒョヨン・IUなど。 2018年は韓国アイドル市場で最も多くの女性歌手たちが"しっかりと自由奔放な"イメージを前面に出して活動した年といっても過言ではない。ここ数年女性たちがフェミニズム問題に関心を持つようになり、若い女性の価値観が変わり、自然に見える変化がアイドル市場にまで影響した結果だろう。 今年1年、ガールズグループ市場の変化を実感させた瞬間を集めてみた。


#(G)I−DLEの善戦

2018年にデビューした新人ガールズグループの中でデビュー曲で1位になったグループは、CUBEエンターテインメントの(G)I−DLEとオーディションプログラムであるMnet<プロデュース48>を通じてデビューしたIZ*ONEだけだ。 中でも(G)I−DLEの場合、ほとんどのガールズグループがデビューアルバムでは溌剌としてかわいい面を強調するのとは異なり、自分のやり方で愛し、その感情に揺れる若い女性たちの姿を見せた事で人気を集めた。 特にリーダーのソヨンはMnet<プロデュース101シーズン1><Unpretty Rapstar>で見せてくれたラップの実力とともにタイトル曲"LATATA"作曲と作詞を担当した。 ボーイズグループの場合はデビューから作詞・作曲・プロデュース・振付創作などの領域に参加し「実力派」というイメージを得てかっこいいとほめちぎられることが多い。 しかし、ガールズグループは容姿の話が話題のほとんどを占めるという点で、ソヨンの役割と(G)I−DLEのコンセプトは、多くの新人ガールズグループにもう一つの可能性を示すきっかけとなった。


#APinkの変身

S.E.SとFin.K.Lから始まった韓国ガールズグループの清純系譜を引き継いだAPinkは今年7月に"1度もない"という曲でカムバックした。 "NoNoNo" "Mr.CHU"などのヒット曲に比べれば相対的に暗い雰囲気の別れの歌である"LUV"を歌ったこともあるが、従来とは正反対のセクシーなコンセプトで出たのは初めてだった。 JTBC4<私だけ知りたい秘密のお姉さん>に出演したメンバーのハヨンさえ、「ファンが気に入らなかったらどうしよう」と悩んだほど彼女たちにとっては大きな変化だったわけだ。 しかし、APinkの変身は単に清純なイメージで大きな人気を集めたガールズグループが生き残りをかけていくため、現在のトレンドを基盤に作り上げた結果物という点で意味がある。 ソンミ・BLACKPINK・RED VELVETなどの暗くても洗練されたコンセプトが人気を集める状況まで重なり、APinkはパステルトーンの可愛らしいミュージックビデオと溌剌とした振り付けの動作からも脱却した。 "セクシーだ""ガールクラッシュだ"と言われそうな演出を組み合わせたようなミュージックビデオのように、結果物の完成度自体が高いとは言い難い。 しかし、清純コンセプトで象徴的だったグループがまさにこの時期に変化を図ったことは意味深い。


#MAMAMOO ファサの復興

MBC<私は一人で暮らす>でMAMAMOOのメンバーがホルモンを食べる場面が出てから、全国のホルモン焼き屋が食材の需給に困難を覚えた。 ある焼酎ブランドでは、ファサが流行させた「カラマンシー焼酎」の製造法を基に自社の焼酎を購入すればカラマンシーの原液の一定量を提供するイベントを行ったりもした。 人気のあるテレビ番組に出演したからといって、常にこのようなことが起こっているわけではない。 ホルモン、のり天、焼酎など自分の好きな食べ物を自分が好きな空間で楽な姿勢で食べる彼女の姿そのものが、料理をさらに美味しく見せたからこそ可能だったことだ。 ガールズグループのメンバー達は常にダイエット問題でストレスを受け、周囲の人々の視線を意識せざるを得ない状況に置かれている。 しかし、「舞台の上を走り回る」という表現が似合うほど、興に満ちて華やかなパフォーマンスが話題になった時のように、彼女は食べ物を食べる時も化粧気もなく、ただ自分が好きなように、食べたいだけ楽しく楽しむ。 ファサを通じて、大衆は少なくとも自分が好きなガールグループが多様な趣向と性格を持った人々で構成されていることを悟ったことだろう。


#IZ*ONEとTWICEの選択

Mnet<プロデュース>シリーズで誕生したIZ*ONEのメンバーはショーケースで次のように語った。

 「私達も可愛いらしいイメージをするんだろうなと思っていた」

メンバーたちですら"新人ガールズグループ"と言われたとき、すぐに連想されるイメージがあったという意味だ。 しかし、彼女達のデビュー曲"La Vien Rose"は今後の覚悟と情熱を赤いバラに例えて強烈な印象を残すことに力を注ぎ、強烈なパフォーマンスが良い反応を得てデビューを成功裏に決めた。 これに加えて、かわいい振り付けと男性の告白を待つ女性の姿を明るく表現し、4年間最高の人気ガールズグループの座を逃さなかったTWICEまでが"Yes Or Yes"を通じてまず先に男性に告白する女性の唐突さを強調し始めた。 制作者たちは新人のガールズグループにも「情熱」「赤」のように強烈なキーワードを使い、歌詞と振り付けの基調を修正しながら男性と女性の反応をうかがう。


#BLACKPINK ジェニのソロ

ある有名ガールズグループ企画会社の関係者は次のように話した。 「ジェニのソロアルバムは、ガールズグループが低迷する季節にアーティストのイメージをアピールしようとする良い試みだ」彼をはじめ多くの大衆音楽産業関係者らが強調するように、秋と冬は季節感のためアイドル音楽がバラード音楽に押されて弱気にならざるを得ない時期だ。 このような時期にガールズグループのメンバーがソロアルバムを出すというのは、一見無謀に見えるが実はソンミやテヨンのようにアイドルとアーティストのラインを行き来しながら活動している彼女たちと肩を並べる機会でもある。 ただし、ジェニのデビューと音源チャート1位が可能だった理由は、彼女がBLACKPINKとして披露してきた姿のおかげで可能だった。BLACKPINKは2NE1に続いてYGエンターテインメントを代表するガールズグループになり、その基調を受け継ぎ、ヒップホップサウンドを基盤にした楽曲を披露した。 この影響力をもとにジェニは"SOLO"で「Baby/ダーリン ハニー 会いたい/全部つまらない」と歌うことができたわけだ。 そして彼女は現在まで音源チャート1位を維持している。この結果はBLACKPINKの人気には彼女たちがパフォーマンスを通じて見せてくれる女性としてのアティテュードと緊密な関連があるという点を示している。 大衆、特に女性消費者は今現在カッコいい女性の姿に反応している。 ジェニの"SOLO"は、BLACKPINKの影響力を産業的に有利に運んだ結果物であると同時に、ガールズグループに期待する大衆の姿が少し変わったことを示している。


文 パクヒア

【ize】ガールクラッシュコンセプト │ ①ガールグループを制作するのは難しい

【ize】ガールクラッシュコンセプト│①ガールズグループを制作するのは難しい


2018.11.20

https://www.ize.co.kr/news/articleViewAmp.html?idxno=24599


「最近は"ガールクラッシュ"を作曲キーワードとして提示されるケースが多い」

作曲家A氏の話だ。 A氏以外にも多くの作曲家たちは口をそろえて「今現在うまくいっているように見えるガールズグループの中には、清純で可愛いイメージよりも"ガールクラッシュ"が多く、それに付いて行こうとする傾向がある」と語る。綺麗で素敵な女性たちというイメージで人気を呼んだBLACKPINKは"DDU−DU DDU−DU"で派手なブラウスとスカート姿で銃を撃つ振り付けを見せた。 清純なコンセプトで愛されたAPinkは、7年ぶりに初めてセクシーで堂々とした女性のイメージを強調した"一つもない"で変身を図った。 gugudanは映画"オーシャンズ8"のイメージを借用し、猪突的な女性キャラクターを活かした"Not That Type"でカムバックした。 更には「女の子は簡単に心をあげちゃいけない」という歌詞などで消極的な女性像を表現していたTWICEさえも"新しいTWICE"として従来より大きくなった動作中心の"Yes Or Yes"の振り付けを出した。 今年、

デビューと同時に1位になった"(G)I-DLE"と"IZ*ONE"のデビュー曲もまた、可愛かったり清純というイメージとはかけ離れていた。


だが今年5月、(G)I-DLEの所属会社CUBEエンターテインメント関係者はシックな姿を見せようとしただけで、ガールクラッシュのように強いコンセプトをしようとしたわけではない」と説明した。 "ガールクラッシュ"だと思えるくらいのイメージは見せても、いわゆる"とても強い"姿を見せることには負担を感じている。作詞家のB氏は「いくら"ガールクラッシュ"を生かしてくれと要請されても、依然として大部分はキス・ポッポ・愛・スキンシップのような直接的な単語は使わないようにと言われる」と語った。WekiMekiの"Crush"はこうした曖昧な状況に置かれたガールズグループの現在を見せてくれる。 ミュージックビデオの最初の場面からオートバイに乗る女性を登場させ、強烈な感じを与えようとするものの、いざ歌詞を見れば「これ以上/手遅れになる前に近づいて/先に言ってみる」のが最も積極的な愛情表現だ。 TWICEの"Yes Or Yes"も堂々とした女性像を主張するが、「ちょっと簡単に言えば/あなたはは何を選んでも私に会える」(TWICE"Yes Or Yes")のように、まず告白する状況自体を表現する事にとどまっている。関係者数人は"ガールクラッシュが人気を得ている"という分析自体が錯視である可能性もあると話す。 11月中旬現在、音源サイトmelonのリアルタイムチャート50位内に入ったガールズグループ・あるいはガールズグループメンバーはBLACKPINKのジェニTWICEとIZ*ONEのみである。 作曲家C氏は「今現在チャートにいるガールズグループはすべて所属社のファンダムが大きかったり、有名番組の出身だ。 ガールクラッシュコンセプトのためではなく、そもそも認知度が高いとみるべきだ。TWICEの"Yes Or Yes"は厳密に言えばガールクラッシュではないのではないか」と語った。 作曲家のB氏も「海外のポップスターや映画の中のクリシェを真似るよりは、清純なコンセプトやセクシーなコンセプトのように確実に自分のグループのカラーを備えるのが長期的には生き残れる道」と強調した。 "ガールクラッシュ"コンセプトの効用がないというわけではない。 A氏は「今の10代たちはYouTubeを通じて世界中の素敵な女性ポップスターを見ている」「"ガールクラッシュ"の楽曲は基本的にヒップホップを基盤にしているため、うまく消化すれば魅力的な感じを出すことができる。 そういう意味でYGエンターテインメント所属のBLACKPINKは非常に有利だ」と語った。 YGエンターテインメントという大型企画会社からデビューし、同時にヒップホップ・レーベルという認識の強い企業から出たガールズグループであるため、いわゆる"真正性"をアピールできるという意味だ。 続いて作曲家のA氏は「無理のある女性像を演じるのは、韓国のラッパーたちが米国のラッパー模倣して笑いを誘うような逆効果を生む」とし、MAMAMOOを"ガールクラッシュ"の好例に挙げた。 「韓国で育った練習生たちが大多数含まれたガールズグループが、海外ポップスターの雰囲気を出すのは難しい。 すでに大衆がYouTubeでそういう感じに慣れ親しんだ状況でswagスタイルを試みるよりも、むしろステージで興じる自然な姿が"ガールクラッシュ"に近い」と述べた。 "ガールクラッシュ"とは、単に舞台衣装や曲の雰囲気のようなもの以前に、MAMAMOOのように消費者が直観的に感じられグループ全体の雰囲気またはアティチュードがきちんと現れることがより重要だという意味だ。 その点で今、韓国の制作会社の中に"ガールクラッシュ"の概念を明確に何がしか定義し、企画している会社がどれほどあるのか疑問だ。


"ガールクラッシュ"をめぐる韓国の大衆音楽産業の流れは、制作者が最近のガールズグループ制作することを過去よりも難しくしている理由だ。 ガールズグループプロデューサーのD氏は「清純・セクシー・キュートのようにひとつに説明できるグループが多い時こそ、個性があってかえって良かった」と嘆いた。 今はどのようなコンセプトを出しても成功が容易ではないだけでなく、流行っている"ガールクラッシュ"を持ち出そうとしてもそれが何を意味するのか"ガールクラッシュ"のターゲット消費者層である女性がどこに反応するのか分かりにくいということだ。 これには、女性プロデューサーまたは製作者の数が絶対的に少ない韓国大衆音楽産業の現実も影響を及ぼす。 「金銭的に余裕ができれば一つのコンセプトを押し通す事もできるが、実質的にそうできる企画会社はごく少ない。 まずチャートで一番興流行っているスタイルを試みる事になる」製作者のE氏の言葉は今デビューを控えている、あるいはデビューした数多くのガールズグループがグループのカラーをつかめず右往左往する理由を示している。 D氏はこのように付け加えた。 「とりあえずチャートで強いTWICEやBLACKPINKのようにしてはみるが、会社の能力についてくる運次第の面もある」

消費者の要求はますます多様になり、変化は早い。反面、まだ彼ら彼女らに対する準備はできていない。 しかし、だからと言ってこれまで準備してきたことをやめるわけにもいかない。 多くのガールズグループの制作者たちがこのようにため息をつく理由だ。 

「ガールズグループの制作は実に難しい」

 

文 パクヒア

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とかく流れの早いKPOP業界で2018年末現在の今は、ガールズグループもダントツ一強というよりは同時に人気のあるグループが複数存在している時代ですが、作中にあるように結局はそのグループだけの特色を得ることができたグループが成功しているように感じます。コンセプトチェンジというのはいわば「自分探しの旅」のようなものなのかも。今年で言えばヨドル((G)I−DLE)のように、コンセプトというよりは最初から楽曲やメンバーの雰囲気、ソヨンのようなメンバーの存在という様に既存グループではあまり見られなかった独特のものが見出されたという事なんじゃないかと思いました。

ヒップホップジャンルに関しては男女関係なくある程度のリアリティが求められるので、やっぱりメンバーにもともと自分でそういうジャンルをやっていた人がいるとか、事務所に元々そういうイメージがあるというかそのジャンルの音楽をある程度の期間継続的にやっていて、「流行りで付け焼き刃的にやっているわけではない」という事が聴衆の方にも見えないと上手く行きにくいのかなとは思います。

 

それにしても、韓国アイドルの女子グループの歌詞は結構自主規制のようなものがあるんだなあと思いました。「DDU−DU〜」の歌詞に描かれている女性像が結構過激だと韓国人の男性が言っているのを見たことがあって、その時はそこまでかな?と思ったのですが、ガールクラッシュとはいえ直接的すぎる表現は控えるように言われるとか強すぎる女性像は控えるように注文があるというのをきくと、2NE1とか当時どれだけショッキングだったんだろうかと思いました。

【質問箱】韓国の音楽シーンその他について

またもや1000文字の限界ギリギリのご質問が来たので回答が長くなってしまいました。

【質問箱への投稿より】

こんにちは、この1年ほどで韓国アイドルや韓国の音楽に興味のどんと出てきた者です ブログを少しずつ楽しく読ませて頂いています メジャーなシーンではMAMAMOOにとても興味があり、彼女たちのことというか彼女たちを取り巻く韓国や海外ファンの環境や反応をすごく知りたいです 最近メンバーのファサが「シングル男のハッピーライフ」という番組に出ているのをたまたま見ましたが、ああいったドキュメンタリー風のバラエティにアーティストやアイドルが出演するのは韓国ではわりとよくあることなのでしょうか?お部屋なんかも普通に出てきたりするので、どこまで本当かはわからないけれど相当公開するプライバシーの範囲が広いのかなあと思って驚きました すっぴんも公開していて驚いたのですが、これはMAMAMOOが他のガールズグループと少し立ち位置が違うからできることなのでしょうか、それとも他のグループでもできることなのでしょうか すごく気になりました また韓国ではアイドルのシーン以外にも様々なジャンルのシーンがあると思うのですが、そういった音楽のファンとアイドルやK-POPファンの間の距離感なんかも知りたいです イ・ランさんやドゥリンジ・オーさんなど弘大(で合っているでしょうか)のフォークやインディーシーンがアツいと聞いており、私も大好きですが、彼らの韓国内での認知度や扱われ方なども興味があります HYUKOHというバンドの事も最近恥ずかしながら初めて知って、こんなすごいバンドがいてしかもとても韓国内で人気があって受け入れられているということがほんとにすばらしいなあと思ったのですが、韓国の方は音楽に対して柔軟度が高いというか、色々なものを聴きなれている感じを勝手に受けます トロットやポンチャックなどは日本と近い部分もある気がしますが、現代風の音楽ではグルーヴ感や音感が日本人とちょっと違う感じがして面白いです SsingSsingのようなバンドもいてすごく面白いと思うのですが、例えば彼らのようなタイプのミュージシャンは韓国のテレビ等には出演したりするんでしょうか?韓国のシーン全体がとにかく気になりすぎます たくさんの質問をいっぺんにしてしまい申し訳ありませんでした、全てにお答え頂けなくても全く構いませんので一読頂ければと存じます ほとんど1000字いっぱいになってしまいすみませんでした、今後も応援しております。

 

https://odaibako.net/detail/request/e1fc0de1646c4279b8443e1dfdff28db

 

まず、アイドルが私生活を見せる系のバラエティは数年前から流行しており、多分「わたしは1人で暮らす」あたりをきっかけに類似番組が沢山出たので今ではあまり珍しくないと思います。流行はあると思いますが。すっぴんを見せるか否かはグループというより本人のキャラクターに左右される部分も大きいんじゃないでしょうか。最近はVliveみたいな生放送系アイドルコンテンツが出てきたので、MAMAMOOもですがそういうコンテンツにおいてホテルや寮・自宅などからの放送で男女ドルのすっぴんにお目にかかる機会は増えたと思います。そもそもデビュー直後に寮生活などを含めたリアリティ番組をやる新人アイドルは多く、韓国のアイドルは日本のアイドル以上に世の中に晒さなければいけないプライベートの部分はかなり多いと思います。仕事から仕事への移動時間や空港ですら、写真を撮影するファンはついてきますし。

(本当は仕事の移動中の撮影は一般への迷惑にもなるし事務所的にもよしとはしていない事が多いですが、完全なプライベートじゃないからいいでしょう的な扱いに現状ではなってしまっています)

 

MAMAMOOに関しては「不朽の名曲」という番組で一般層に名前が知られた印象ですが、コアのファン層としては女性の熱心なファンが多くついているイメージです。日本でのショーケースでも女性客の比率が多く、韓国語や中国語などの言語も聞こえていました。年末にコンサートをやる予定でしたが、その前にカムバックもあり年末までの仕事のスケジュールがハードすぎるとファンから猛反発があり、事務所が年末のコンサートを開催するか否か投票を募るという事態になっています。

(開催延期が多数だったので延期になるのかもしれませんが、年明けは日本でもコンサートの予定がすでに決まっておりこちらに影響がないのかという)

 

韓国のエンタメ関係の方々が良く言うのが、「日本の音楽シーンは色々なジャンルの人たちがそれぞれビジネスとして両立しているのが良い」という事じゃないかと思います。現在韓国のメジャー音楽シーンはほぼアイドル、一部ソロシンガー(若手はアイドル出身・バラード系・R&B系がほとんど)やヒップホップ系アーティスト、時々インディーズ系のアーティストが出てくるくらいという印象です。きちんとビジネスとして成立しているジャンル的にはそんなに広くはないのではないかと思います。Hyukohはインディーズでありながら例外的にメジャーで売れているバンドだからこそ有名なのですが、彼らが有名になったきっかけも最初は口コミから曲が話題になりIUが紹介したこと、そのタイミングで人気バラエティ番組に出演した事など様々な要因があると思います。今韓国でメジャー級に人気のあるMeromanceや赤い頬の思春期、10cmなどもいわゆるインディーズです。日本の音楽市場はメジャーだけでもとにかく広くそれぞれ細分化されているため、各分野それぞれ好きな人でなければとても追いきれませんが、韓国の音楽業界はある意味コンパクトで全体の数は少ないけど、平均的にクオリティが高いアーティストが多いため、初めて入る方にとってはdigりやすく当たりの確率も高いんじゃないかと思います。特にアコースティック系やR&B系、クラブミュージック系は多いので、その辺りのジャンルが好きな方には特に聴きやすいのではないでしょうか。
しかし特にバンドでチャートインするレベルで売れるグループは、アイドル系以外は非常に少ない印象です。一度gaonチャートの1〜100位を見てもらえればわかるのではないかと思います。
(こういうバンドがいるということと、音楽だけで食べていけているのかという事はまた別でしょう)
韓国でのバンドミュージック=アーティストの少なさについては以前お答えしているのでそちらをご参照ください。
http://nenuphar.hatenablog.com/entry/2018/09/09/184816


アイドル音楽とほかのジャンルの音楽ファンの距離は、ごく一部を除けば日本以上に遠い部分もあると思います。どのような音楽をやっていてもどれだけ技能が高くても「所詮アイドル」と見なす視線は日本よりも強いし、そこの部分ジャンル的な割り切りができていないところもあるかもしれません。韓国の音楽市場では現在音楽パフォーマンスで生きていきたい若者が志せる現実的な職業がほぼ「アイドル」という選択肢のみになっている(最近は若手ラッパーも道も広く拓けて来てはいますが)ため、日本だったらアイドルという扱いではなさそうだったり、そもそも最初からアイドルを目指してなかったのではないかという人たちも「アイドル」として多く活動している・活動せざるを得ないという状況なのではないかと思います。
逆に言えば「アイドル音楽」がメジャー音楽シーンの先頭になっているという状況だからこそ、韓国ではアイドル音楽のジャンルの偏りはあっても「クオリティが高い」と言われる部分があるんじゃないかと思います。インディーズの人気アーティストや実力派と言われるアーティストがアイドルの楽曲制作に関わる機会も多いですしね。韓国の音楽業界では現状一番お金が集まってくるところなので、自然とそうなる部分があるんじゃないでしょうか。

 

そういうわけでチャート上位に入る歌手やアイドルグループ以外が出る音楽番組は現在ではとても少ないのですが(ゼロではなく、ランキング番組にもたまに出る事はあります)日本でもKBS WORLDで見ることができる「ユヒョルのスケッチブック」という音楽番組は、地上波で色々な種類のアーティストが出演する数少ない長寿音楽番組だと思います。MCのユヒョル氏自体がアーティストであり、アンテナミュージックという芸能事務所の社長でもあります。

 

弘大のミュージックシーンについてはもともとクラブやライブハウスが多い土地柄もあり、数年前までは一般人オーディション番組の流行とともにインディーズアーティストが集まり活動する場所としてかなりホットだったようですが、逆に弘大自体がメジャーになった事で再開発が進んで地価が上がり、カルチャー発信地となっていた老舗のライブハウスやカフェが移転・閉店するケースが2015年あたりからかなり増えたようです。ご質問で名前が挙がっていたイ・ラン氏についても2017年に韓国大衆音楽賞というアワードでフォークソング部門賞を受賞しましたが、その受賞スピーチでトロフィーを競売にかけたことがとても有名です。「受賞できるかはわからなかったが、預金通帳を見てもらったその場ですぐに競売にかけようと思っていた」とご本人が言っていました。イ・ラン氏の場合は音楽に留まらず日本でもエッセイ集が発売されたり、ミュージシャンというよりはマルチアーティストという感じなのかもしれませんが。

 

というわけで韓国にも色々なミュージシャンはいるのですが、「音楽で食べていく」と言う面ではなかなか厳しい現実があるようです。アイドルは集客や海外活動もそうなのですが、広告やマーチャンダイズだったりバラエティや演技など仕事の幅が広いところがビジネスとして収入源が色々広がりやすいんじゃないかと思うんですよね。個人的には興味がある韓国のアーティストにはチャンスがあればより積極的にお金を落とす方向にした方が良いのではないかと思っています。

私も業界関係者ではないですし内情が分かるわけではないですが、各種のドキュメンタリーや過去の事件、チャートの状況や音楽媒体の記事等などからだけでも韓国では特に音楽のクオリティとは関係なく、「アイドル業界」と「そのほかの音楽業界」については完全に分けて考えた方が良いように思います。日本とも業界を取り巻く環境は相当違いますので、ライブや音楽にお金を払ってくれるお客さんに対する切実度がかなり違うんじゃないでしょうか。公演できる会場も日本より少ないというか、日本はハコの大小のバリエーションも広いし数も多いし、首都以外の土地にもある程度の会場がちゃんとあって、音楽にお金を払う人も多いので、音楽をやる環境としては恵まれているという事かもしれませんが。

【ize訳】ガールズグループのパフォーマンス①IZ*ONE「La vie en Rose」

【ize訳】ガールズグループのパフォーマンス①IZ*ONE「La vie en Rose」

 


2018.11.09

 http://m.ize.co.kr/view.html?no=2018110823507210556

 


ガールズグループIZONEのデビュー曲"ラヴィアンローズ"はステージの上でチャン・ウォニョンが真ん中に立つことから始まる。「センター」だからだ。 このグループのメンバーはMnet「プロデュース48」の視聴者投票で選ばれた。 「センター」は得票数1位に対する補償だ。 「プロデュース」シリーズ、またはオーディションプログラムによって結成されたグループの特徴である。番組放映当時に形成されたメンバーの人気、キャラクター、ストーリーなどがデビュー後のコンテンツにも影響を及ぼす。 楽曲・ミュージックビデオ・パフォーマンスの完成度は重要だが、デビュー前から形成されたファンたちが望むものを反映しなければならない。 「プロデュース101」のシーズン2でデビューしたWANNA ONEのデビュー曲"Energetic"ではセンターであるカン・ダニエルのパート分量の問題で、ファンたちが制作会社に抗議した。


"ラヴィアンローズ"のパフォーマンスは、新たな市場のニーズを満たしている。チャン・ウォニョンは始まりと終わりにセンターに立ち、歌の最初の小節を歌い、1節のサビで真っ先に立ち、ポイント振り付けを披露する。 クォン・ウンビとイ・チェヨンのように「プロデュース48」で実力を強調していたメンバーは、「より深まった眼差しの中で赤くなった」のように1節と2節で最も力強く全身をフルに動かすパートを消化する。 宮脇咲良のように韓国語に慣れていない日本人メンバーには、曲のハイライトが出る前に顔面に視線が集中するパートを任せ、長所である表情の演技を際立たせる。


IZONEのメンバーのキム・ミンジュは「プロデュース48」を放映した当時からいわゆる「ビジュアルピック」と呼ばれ、容姿が話題になった。 "ラヴィアンローズ"で彼女はイントロにおいてチャン・ウォンヨンの次に登場し、ファンがいわゆる「きれいな子の隣にいるきれいな子の隣にいるきれいな子」と呼ぶこのグループのルックスの持つ長所を浮き彫りにし、2節サビの中央に立って身体の比率を強調することができるポイントの振り付けを披露する。  "ラヴィアンローズ"はメンバーに対するファンの期待を反映しながらも、メンバーの実際の特徴を結合させ、各自にふさわしい場を探す。 第1節でクォン・ウンビとチョ・ユリはそれぞれ自分が踊りと歌に特化したメンバーであることを披露し、続いてチャン・ウォニョンが真ん中に立ってポイントの振り付けを披露する。 メンバーたちが自分のパートを消化するだけでもグループで果たすべき役割への説得力があり、その結果、デビューしたばかりのグループメンバーの全体的なバランスとシナジー効果を3分30秒あまりのパフォーマンスで具現化している。ガールズグループデビューアルバム初動(最初の週の販売量)の記録を2倍以上更新するほど大きなこのグループのファンドムが「プロデュース48」と以後デビュー前のコンテンツで想像していたメンバーの特性がステージの上で表現された。 「プデュアイドル」という小さなジャンルの誕生とも言えるだろう。 


しかし"ラヴィアンローズ"のパフォーマンスの興味深い点は、ファンドムの風を越える覇気にある。 曲のイントロ部分でチャン・ウォニョンがセンターに立っている間、メンバーたちは彼女を取り囲んで絶えず動く。 真ん中で円を描いていたメンバーたちは歌の展開に従って左右から1回ずつパートを交替させながらゆっくり横へ広がり、キム・チェウォンが「こんな感じはルビーよりももっと」と言うときに前に出てくるす。 メンバーたちのパフォーマンスは、ますますテレビ画面を徐々に満たすと同時に、前に出て立体感を与える。 "ラヴィアンローズ"のテーマがバラであることを考えれば、開花の過程をパフォーマンスに取り入れたという事で、イントロではステージ後方で小さく動いていたメンバーがサビではどんどん大きく、広く力強く動くドラマチックな展開でもある。 バラをテーマにしたパフォーマンスは明確な方向性を持ち、これによって12人のメンバーは、動作の統一性が維持されてこそ格好良く見える群舞を続けなければならないし、一つのグループに統合される。 センターを真ん中に置いて始まるパフォーマンスが左右前後をすべて活用する構成は、動線を汚さないようにしながらも、このグループのメンバーが12人である理由をステージの上でも説得する。


特に、2節のサビが終わった後メンバーがクォン・ウンビを中心にVサインをするパフォーマンスは、多人数のチームだけが披露できるものだというだけでなく、IZONEが一つのグループとしてエネルギーをどくらい放出できるのかを見せてくれる。 12人が集まれば、別々の時には想像することができなかった大きくて力強いパフォーマンスが可能だ。 キム・ミンジュと宮脇咲良を中心にして12人のメンバーが一斉に歩いて出てくる部分は、"ラヴィアンローズ"のパフォーマンスがIZONEに何を与えたのかを見せてくれる。 2ヵ月前に視聴者の投票で選ばれたメンバーが、むしろファンまたは大衆を圧倒する瞬間を作り出す。 視聴者の欲望によって作られたが、ただそれだけでは終わりそうにないエネルギー。 IZONEは"ラヴィアンローズ"を通じて、彼女たちに与えられたルール内でファンドムの外の世界にまで欲張りな基盤を築いたようだ。 コンテンツが産業の要求をどのように反映し、同時に超えるのかという点で、近年最も印象的なデビューパフォーマンスだ。 その度に、「プロデュース101」シーズン1のガールズグループI.O.Iの"ドリームガールズ"は一体なぜ...という疑問は浮かんでくるのだが。

 


文 カン・ミョンソク

【ize訳】「チムスンドル(野獣系アイドル)」は有効なのか

【ize訳】「チムスンドル(野獣系アイドル)」は有効なのか


2018.11.12

http://m.ize.co.kr/view.html?no=2018111123217225254

 

「ご飯をおごってくれるオンニ」と「私のIDは江南美人」の極度に意図的なキャスティングはストライクだった。 今年の春はチョン・ヘインで夏はチャ・ウヌだった。 友人とのカカオトークで最もよく行き交う写真の主人公であり、会うたびに出演する場面単位での話を聞いていた名前。 チョン・ヘインとチャ・ウヌは線が細くて柔和なイメージが似ていることから何かしらの傾向が見つかるのではないかと考えるかもしれないが、このリストは特別な基準があったり普遍性を意識するものではなく、ほぼ全てのタイプの男性芸能人たちが登場する。 そのため期間を分けて時間をさかのぼる事ができれば、より多くの名前を付けられるはずだが、とにかく今は「ショヌ」だ。


ダンスや歌のように舞台を構成する技術の単位よりは、人物そのものに先に集中するのが適当なアーティストたちがいて、逆に特定のパフォーマンスを通じて人物に接近していく方がより簡単なアーティストたちがいる。 後者は限られた自分の分量の中でキリングパートを作り、それを流行させなければならないKPOPミュージシャンが大衆的認知度を確保するために使用する、中核的戦略の一つになった。 約10年の間に成功した事例はかなり多く、KPOPの一時代を掌握したフックソングはこの技術を最も効果的に応用できる易しい解答だった。 リスナーたちも今はそのような文法に慣れていて、どの部分がヒットになるか把握するのにあまり時間がかからない上、発売から少し時間が経ってもそのパートを消化する人物の力量について評価までしている。 フックソングは非常に古典的なジャンルになり、KPOPがどのような音楽であるのかを定義づけることも複雑になった時代に、MONSTA Xの"Shoot Out"はサビではなくイントロにそのパートを配置し、その攻撃の役割はショヌに与えられた。


相応に経歴の積んだアイドルグループにはその分堅固なファンドムがあり、彼らの一挙手一投足を見守るファンは人物の魅力に対する賛辞を多様な側面から1日中あふれさせる事ができるため、ファンダムの外である部分が話題になった時は不思議に思うだろう。 "Shoot Out"の導入でエンジンの音とともにエンジンをかけるように上半身を張るショヌの「マナーモードダンス」がそのケースに属しているようだ。 彼はバラエティによく登場するボーイズグループのメンバーの1人だが、いざ放送中となるとたいてい言葉が少なく、はにかむ姿が多いという印象だ。 演出された状況に半拍子遅れ、バラエティでは必須に近い刺激的なリアクションもあまり使わない。 KPOPのパフォーマンスはその大半がコンセプチュアルで、舞台の内外の隙間劇が「人物の魅力」になったりするが、彼のこのような特質は、言葉よりも動きを通じて存在感を示さなければならない舞台でもそのまま延長されているように見える。 "Shoot Out"のイントロ部分は、ショヌが暗くて荒々しい雰囲気のセットの中心に立ち、ジャンプスーツを着てレンズの焦点が捕まった頃、攻撃的な振動パフォーマンスにつながる激情的な群舞の始まりを知らせる。 一種のサイレンのようなこの瞬間は、かつて見たことのない全く新しいイメージであるとともに常に需要のあった男性性に近いため、多くの人々が彼に対して深く突っ込んで知らなくても熱狂できるキャッチーなポイントとして働く。


韓国において「セクシー」というコンセプトは、どのような性別が消化しても主に男性の視覚と趣向から作られやすいため、女性たちは受動的な対象になり、男性は対象となるよりはうわべだけの欲望に応じる主体として動く。 それが繰り返されてきた結果、女性ミュージシャンは舞台の上でセクシーさを標榜しても舞台の下では愛嬌があって親切で可愛いものであり、本人の無害さを証明しなければならず、男性アーティストたちは積極的な誘惑のジェスチャーよりは、断面化された「挑発的態度」を軽く発散し、本人の家父長制的な男性性と威信を守るという素晴らしく尊い方向で終わる。これに対する適した反例ではないが、とにかくパク・ジニョンは本人の性的魅力を自ら満喫し、陶酔する形で貫徹させた最初の韓国人男性歌手だった。 主にシースルーでできたぴったりした上着とレザー、あるいはビニール素材のズボンで仕上げたルックは、本人が専ら標榜する「性に対して開放的で自らを対象化できる男」として見られたし、彼は舞台の上やプライベートでも一様に「大人の男性」として振る舞った。 しかし、そのような積極的なアクションが当時の女性たちにとって消費しやすいイメージになりえたのかは、よく分からない。 おそらく、このような点を補完して登場した歌手がRainだ。彼はパク・ジニョンが準備したセクシーさを誇示する男性モデルではあるが、より能動性がない方に属する。大きな体格と長い手足、全身を最大限に活用してGroovyなダンスを踊ること自体だけでも人気がまずあったが、Rainが過去に決定的に人気になった理由は、苦しそうな吐息で本人が積極的に欲望の対象となることには躊躇がないが、実際のイメージはそのジェスチャーが脅威的だとは感じさせないようなかわいらしい微笑みのためだったと確信する。


しかし、結果的にパク・ジニョンは成功したプロデューサー、Rainは「ワールドスター」となり、それをきっかけとして男性ミュージシャン基盤の産業が徐々に消費者を相手に何かを強くアピールするというよりは、大衆の反応を通じて獲得した名誉と権力を守る方向に変わった。 過去、彼らの構築した肉体を誇示していたカテゴリのパフォーマンスもやはり徐々に稀なものとなった。そのような側面から見れば、Rainの商業的な成功と名誉に憧れてこの世界に入ったであろう今の多くのボーイズグループの中で、本人の肉体を対象化しその魅力を潔くアピールする人物を探すことは、実に難しいことだ。 「チムスンドル(野獣系アイドル)」というタイトルで上着を破っていたが、ペク・チヨンの隣をボディーガードのように死守し、女性ゲストの一言に黙々と畑へ行くというイメージで、オク・テギョンが10年間も一人で当該ジャンルの系譜を引き継いでいると信じるのがその証明だ。


韓国において男性芸能人、特にアイドルに対する対象化は容易に偶像化につながる。 韓国社会において男性対象化に対するフェミニスト消費者の意見が分かれざるを得ない理由だ。 特にエンターテイメント産業での女性アーティストと男性アーティストの目に見える態度の格差と、女性消費者と男性消費者それぞれに要求される消費パターンを比較するならば、そのような議論そのものが無意味だというのが正しい。 男性対象化の最も単純な結果だけを見ても分かる。 「年下男子」「チムスンナム(野獣系男子)」「チョシンナム(草食系男子)」のように、簡単に消費しやすいイメージ言語は広告を通じて直ちに女性に訴求するために使われる。 女性のセクシーさが千篇一律な姿で男性消費者たちに対象になることも、やはり消費当事者である男性たちが市場の主体であるからこそ可能なことだと思わなければならない。 しかし、女性消費者は消費の主体であるだけで、市場の主体ではない。 男性に対するイメージを女性が主体的に流通させることが不可能な状況で、セクシュアルな含意を盛り込んだ「大衆文化の中の男性像」を解釈することは不可能なことのように感じられる。 それでも多くの女性たちは常にセクシーなイメージを欲しており、その魅力について力説したがっている。 前述の多様な理由として列挙した私の言葉もその一つだ。 欲望と消費する間の「私」を消さないこと。複雑で難しいが、慣れ親しんでいることに埋没したり、ある感傷に偏らず、常に新しい価値を通じて自分が持っているイメージを警戒すること。 完全には楽しめないというなら、私のような女性消費者が取るべき最善の防御だ。


文 ボクギル(コラムニスト)

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最近のMONSTA Xのカムバック(ワカワカワカ)で韓国ではショヌが一躍一般女性の間でホットな存在になったという...

その流れからの韓国での女性向けコンテンツの消費に対する文章でしたが、日本とも似ているようでまた少し違う感じはありますね。

つい先日、「少女漫画は女性が作る女性向けのコンテンツだけど、昔は男性の編集者がほとんどだったので結局男性の視点を一回通さなければいけなかった」という話を見て、女性が対象の消費物であっても男性が作っているという話にちょっと似てるのかなと。

(「女性向け」商品=ダサピンク問題とか、女性消費者が多いであろう映画やドラマなどのデザインや広報の仕方に対する不満などとも重なるかも)

 

少女漫画の場合は少女向けコンテンツだけど男性漫画家が描いていた時代からやがて女性自身が描く時代になり、男性編集者ばかりだった時代を経て最近では最初から女性主体で発信され、描き手もほぼ女性(男性もいますが)消費者もメインは女性というBL(ボーイズラブ)コンテンツの定着というような歴史があったので、アイドル業界もそうなっていくのにはもう少し時間が必要なのかも。今の「芸能」スタイル出来てからまだ30年くらいでしょうし。日本だと女性プロデューサーの男性アイドルグループもなくはないですが。


しかしさりげなく餅ゴリ社長(概念)への筆致が冷徹な気が笑

【お知らせ】Real Soundで色々書きました

毎度のReal Soundさんで色々記事を書きましたのお知らせです。

 

BTS、MV撮り下ろした「Airplane pt.2」日本語版 ダンスパフォーマンス際立たせる映像に」

 

リリースまでに色々あったBTSのニューシングルについての紹介文のようなものです。色々あった結果Airplane pt.2の撮り下ろしMV中心になりました。

元々エルマリアッチの意味がわからんな〜と思って聴いてたけど(7人編成が多いから?)日本語バージョンでもやっぱりエルマリアッチの意味はわからなかったです。フィーリングという事で解釈しました。逆にMVによりマリアッチみが補完された感じ?

ダンスが際立つ撮り方で好きなMVです。衣装がすごいアースカラーで韓国ではあまり見なさそうな感じ。

 

BTS(防弾少年団)はアメリカでどう評価されている? K-POP全体にもたらす影響を考える」

 

アメリカ国内での最近のBTS周りのマスコミ評価というか、報道のされ方や認識のされ方についての記事です。ファンドム周辺目線からの記事になったのではないかと思います。オタク側からの認識と外側からの認識には結構ズレがあるのではないかと思ったので(マニアとかファンの世界の事は現在進行形で中にいないとわからない事も多いのではないかと)そこの中間になったらいいなと思いましたが、書いてる人がドルオタなので結局...でもKドルオタって世界中どこでも基本的には同じようなノリだと思います。国によって行動の内容は違ったりしますが。色々御託をならべても結局は「むちゃくちゃ可愛い(かっこいい)からですわ」だったりする。そこに本当の理屈や理論はない...。

 

「TWICE、BLACKPINKに続く韓国ガールズグループは? Red Velvet、MOMOLANDらに注目」

 

2018年に日本デビューした女性グループの紹介記事という事で書きました。

この記事はYahooトピックに取り上げられて頂きまして(ヤフトピ自体をよくわかってなかったけど編集さんから連絡が来た)、ありがたかったのですがうっかりコメ欄を少し見てしまい噂のヤフコメ欄ヤベーと思いました。

 

ちなみに自分で書く内容を選んでいるわけではないです。何か書きたいネタがありますかときかれる場合もありますが、自分で提案するのは大体全体的な記事(韓国のチャートについてとか)やキュレーション的な記事(アイドルラッパーについての記事など)なので、特定のグループの記事については編集さんからの内容指定があった上でのご依頼です。

【質問箱】防弾少年団というアイドルグループについて

質問箱の方にきたご質問(?)への回答が長くなったのでこちらに書いておきます。

 

今回のBTSの一連の問題に関して個人的見解を感情的に述べると際限がないのですが、またか、という呆れが少なからずあります。(そしてぐだぐだ続くので、感情論部分は以下割愛)

世界を股にかけて活動し大きなファンダムを持つ彼らは、人種や国籍、言語や宗教の違いさえも飛び越えてひつとになることが可能だという証明をしてくれたように思います。互いを尊重し合うには、相手を認めて理解しようとする心がなくてはなりません。それをまさに彼らは体現してくれたのではないでしょうか。

だからこそ今回のことを沈黙で乗り切れると本人や事務所も含め関係者が考えているとしたら、本当に残念でなりません。彼らが国連でした素晴らしいスピーチも今までの活動の原始的な部分も、もはやわたしには聞こえのいい台詞やパフォーマンスを模倣しただけのものに成り下がっています。

今まで彼らが自身の音楽で表現してきた通り、しっかりと自分達の気持ちを世界に伝えるべきだと思います。それが彼らの根本であり、それに共鳴したファンのためでもあります。
そして、彼らにはそれを示す責任があると思います。

https://odaibako.net/detail/request/aaaaf876de8345628ebb8a2b5ddaf9cb

 

 

まず、ご質問者の方と私では防弾少年団というグループそのものに対する見解が少し異なるようです。

個人的にはデビュー時からの流れを見ると、一番「グローバル人気」になったらマズい過去を持ってるグループなのではないかとずっと思っていましたが...それぐらい他国の文化やポリコレ的な事柄に対して、悪意は勿論ないんだろうけど鈍いというか迂闊な事務所だったと思います。その都度謝罪はしてきていますが。
今言われてる事の中には「KPOPはイルミナティに支配されている」レベルの無茶なこじつけもありますが、ナチスの件などは国内では公式で謝罪済みであってもやはり今更ながら欧米圏で問題になってしまいました。

(秋元康氏がプロデュースしている欅坂も過去に同様の件で問題視されて謝罪したというのがまた皮肉というか)

 

それが何故今のようなイメージを構築するに至ったのかというと、やはり2016年以降のイメージ戦略が効果的だったのではないかと思います。花様年華でカムバした当時は主にPDによる世界観が主に語られており、現在多く持たれているような彼等の主体性のようなイメージよりは、あくまで事務所の作った世界観の中でのリアリティという認識がされていたと思います。そこからリアルと世界観のクロスオーバーが始まり(この辺がまさに秋元康氏プロデュースの欅坂や初期AKBの一部の曲のイメージとも重なるような戦略だというのがまたも皮肉なのではないかとも思いますが)、見ている方が最も良い具合にリアル=コンセプトとみなしてしまうような成果が出たのがLYSシリーズなのではないかと思います。


デビューから今までの行動をリアルタイムで一貫してみていると、彼らは自分たちの意思で国境や人種は関係ないというメッセージを送ってきたというよりは、事務所の定めた「そういうメッセージを曲に込めて活動するアイドル」としての役割を、実に真面目に従順に成し遂げてきただけなのだろうと思うのです。もちろんその過程で自分達なりに考えて成長するところはあったと思いますし、楽曲にもその痕跡は見えますが。アイドルとしての自由度もクリエイティブな面での自由度も、他の事務所と比べて特に優れているとか裁量権が広いというイメージはありません。どちらかといえば「自由に創作はさせるけど、それらの断片をコンセプトとしてまとめて作品として完成させるのは事務所のプロの大人たち」というイメージです。ここ数年の自分を愛そうというテーマもコンセプトはコンセプトであって、もちろん他のアイドルと同様に事務所が「連作のコンセプトとして」考えたものであると思います。なぜならデビュー時からずっとそうでしたし、彼らより先にかの有名なジャスティン・ビーバーが同名の曲をすでに出していました。だから最初からずっとそういう印象で見てきている方からすれば、正直今回の件は「毎度の事だけど事務所がもうちょっとセンシティブに注意を払っても良かったのでは?衣装じゃないけど仕事の撮影が入ってるんだから」という気持ちでした。


韓国ではむしろポリコレ的無神経さに我慢できずファンをやめるという層も過去一定数いましたし、今は韓国の外で「そういうイメージ」として認識されてしまい「そういうイメージ」でグローバルな人気がでた(という風に一般的には説明されている)ので、ファンの方もそういうスタンスを出してくるかもしれませんけど、根本的に最初からそういう事をきちんとできていた事務所とグループではないと思います。

 

でも、ご質問者の方のようにBTS=メンバー自身であり、彼ら自身がそのままグローバルなメッセージを彼らの意志だけで発信してきたと信じている(た)人たちにとっては、今回の事で彼らの自身から「直の言葉」がない事に何よりの不信感を感じるだろうというのはわかるような気がします。でも、だからこそそう思わせてきたことの罪深さも感じます。ファンの側が勝手にそう思ってのめり込んでいった部分もあるのかもしれませんが。メンバーが繰り返し言っている「どうしてこんなに人気が出たのか、自分ではわからない」という言葉は、その戸惑いも含めて多分素直な気持ちなんだろうなと感じます。

 

自分が常々「アイドルは政治的なものをわざわざ主張して背負う必要はない」と思っているのは政治というものが各国を分断する壁になっている現実があって、政治的になったアイドルは振る舞い方が制限される立場上自分自身が壁に取り込まれてしまい、壁そのものを壊すことはできなくなると思っているからです。政治的主張をする事で特定の熱狂的な層を引きつける事はできるかもしれませんが、メッセージの対象が大きくなればなるほど、彼ら自身が特定の国の人間で政治的メッセージを発しているという立場との矛盾が大きくなっていくのではないかと思うのです。国連のスピーチとの矛盾を感じられている方もいると思うのですが、「人種や国籍、言語や宗教の違いさえも飛び越えてひとつになることが可能だという証明をしてくれた」というの、確かにその通りだと思うのですが、実際にさまざまな違いを飛び越えて人々を結びつけたのは「BTSの発してきたメッセージ」そのものではないんじゃないかと思うんですよ。メッセージの内容が心に響いたと言う事も要素の一部ではあるかもしれませんが、基本は彼らのことを好きになった人々の単純な「好き」という気持ちが国境や人種を超えたんじゃないかと思います。

 

「好き」のチカラは絶大だと思います。「好き」になるのに理由は必要ありませんし、むしろ好きになってしまうとその理由を説明する事の方が難しくなったりしますし、ほぼ言葉が通じないのに結婚までする人もいますから言語や国境も関係ない。好きじゃない人から見たら欠陥にしか見えないことが、好きになってしまうと途端に魅力に見える事もあるでしょう。韓国アイドルとの出会いがきっかけでネトウヨ嫌韓をやめた人もいるぐらいですから、「好き」には諸々イデオロギーを飛び越える強大なパワーがあるという事だと思います。アメリカのファンだって好きな理由をきかれたら色々理屈はつけると思いますが、顔から入ったって断言してる人もいますから(そもそも歌詞は全くわからなくて後づけで訳で知る人が圧倒的に多いわけで、まずはビジュアルイメージありきだと思います)本音のところでは必ずしもメッセージ性が最重要というわけではないと思います。パフォーマンスや楽曲や歌詞やメンバーのキャラクターや関係性やルックスや、諸々の要素の中が合わさって「好き」という気持ちはできてると思いますが、「ファンにとって彼らが社会的に誇れる存在であること」というのはその中の一部に過ぎないんじゃないかと思います。人によって要素の配分は色々だと思うので、上記の事が「好き」のうちの多くの部分を占める人もいるかもしれませんが、その要素がなくなってしまってもまだ残る「好き」なところはあると思うんですよね。それが全てならなくなった瞬間は離れればいいですけど、他の「好き」な要素がまだあるからこそ諦めきれないし、最初からそうでなくても構わないというファンもいるでしょう。特に昔からずっと彼らを好きという人たちは、最初から「社会的に誇れる〜」の部分が無い状態からスタートしてる人も多いんじゃないかと思います。
(それをお花畑と呼ぶ人もいますが、本来のアイドルというもののあり方を考えるとそれでいいと自分は思います)

「好き」というある種の信頼感ありきでのメッセージだからより良いものにきこえるわけで、そこの部分の信頼感がない人がきけば「ただの聞こえの良い台詞」にしかきこえないかもしれません。

 

基本的にアイドルと言うのは「(音楽的なパフォーマンスをして)人から好きになってもらう仕事」だと思うんですよね。彼ら彼女らが様々な理由で愛されることで愛している方もまた幸せになるという、稀有な職業だと思います。人から愛されることそのものが仕事なので、本当はそこに大層な大義名分はいらないと思います。そういうものがないとアイドルを好きになれない(好きと表明できない)という人もいるかもしれませんが、基本はそういう事全てから解き放たれた純粋な「好き」で構成された自由な世界のはずです。だからこそ「好き」という事だけで国境や人種やその他のイデオロギーを超えたファンの間の共通認識やつながりが生まれてくるんだと思います。好きだからこそ通常は超えにくい壁や感情や、理性的な自分なら許せないような事でもいい方に考えてしまったり、時にイデオロギーが塗り替えられるくらいの考え方の変化も起きるんじゃないでしょうか。

 

そういう「好き」のパワーをどのような経緯であれ生み出してきたBTS(と事務所)がすごいのであって、曲でメッセージを発したり国連で立派なメッセージを言うから彼らが素晴らしいんだというわけではないと思います。ここまで彼ら自身が愛されるようになった彼らがただそれだけで凄いです。色々な事があってもBTSの日本盤ニューシングルは今のところ40万枚以上売れてます。やはり外野が何を言おうと「好き」は強いと言う事の何よりの証明だと思います。

 

しかし、グローバルにアイドルとして人気があるからと言って、それはただ世界中で愛されているという証明ではあるけれど、彼らが本当に国家やイデオロギーから自由になって自分たちの意志だけでメッセージを発している・発する事が出来るのだという証明や根拠にはなりません。だから実際は一介のアイドルに過ぎない彼らに、全ての国や人に対しての政治的な正しさを要求しすぎるのは酷なのではないのかという、今はただそう思います。

 

注:ご質問いただいてから何日かかけて書いているあいだに若干状況が変わってきましたので、後から追記した部分があります。

 

注2:私は別に防弾のファン=ARMYではないです。好きですけどね。

 

注3:すぐ謝ればいいだけなのになぜそれができないのか?という素朴な疑問がある方もいるとは思いますが、韓国でのそのあたりの事柄の報道や認識のされ方は日本とは違います。アイドルを取り巻く韓国の社会的目線、特にBTSを取り巻く複雑な環境についても日本のアイドルの状況しか知らない方にしてみれば理解しがたい面はあるかと思います。ご質問された方はある程度その辺りの知識や経験があるという前提で回答させて頂いています。