サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【ize訳】ファンサイン会に来れば全員がファンなのか

【ize訳】ファンサイン会に来れば全員がファンなのか

 

2017.04.12

 

http://m.ize.co.kr/view.html?no=2017041122347273348&pDepth1=i2401

 

最近のガールズグループのファンサイン会では様々な事件が起きている。 ある男性がガールズグループGFRIENDのファンサイン会に隠しカメラを設置した眼鏡をかけてきたことだけではない。 いくつかのガールズグループのメンバーたちは頬をつねられ、また他のガールズグループのメンバーは外見についてオープンな場で個人攻撃を受けた。 ボーイズグループのファンサイン会でもファンがアイドルの発言を密かに録音したり、受け入れがたい不可思議な贈り物をあげるなどの事件が起こることもある。 しかし、ガールズグループを隠しカメラで撮影しようとするのは、日常で行われる女性に対する性犯罪を連想させる。 ガールズグループのメンバーたちはファンサイン会でスターとしてだけでなく、社会で女性に加えられる犯罪の危険にも晒される。

 

「◯◯よ、金を稼がなきゃいけないだろう」あるファンサイン会でファンが自分が準備した衣装をガールズグループのメンバーが着用しなかったという理由で言った言葉は、ガールズグループのファンサイン会で行われる一連の事件を説明する手がかりだ。 ファンサイン会に応募するためにアルバムを買ったからと言って、ガールズグループメンバーに「お金に値するもの」を要求する無礼さ。さらにはファンサイン会を、お金を払って性犯罪予備軍にとっての多分な行動が可能な機会にする犯罪者。 彼らにとってガールズグループのメンバーは好きな芸能人ではない。 彼らはガールズグループメンバーたちにお金を出せば無礼な言動、さらには犯罪行為までしてもよいと考えている。 社会で公に言えば非難を受けるような女性嫌悪を、この一群の男性たちはファンサイン会というオープンなイベント内で犯している。 ガールズグループのメンバーはファンという理由から、よほど無礼な行動でも我慢して提供するしかない。 GFRIENDのイェリンが隠しカメラを発見した際、彼女は犯罪者の眼鏡をすぐに奪うことはできなかった。 代わりに彼の目を褒めて眼鏡を外すように促した。 このような状況でアイドルは、自分の推測が正しくない場合ファンに無礼な行動をしたという非難を受ける状況に置かれている。

 

ガールズグループのファンサイン会に参加する男性ファンで、このような場合は一部にすぎない。 眼鏡に隠しカメラを設置してくるような犯罪者は極めて少数に過ぎない。 しかし、あるガールズグループのファンサイン会で特定のメンバーに対する個人攻撃があった時、その場にいたファンたちは彼を制止する代わりに同調したり笑ったりした。 インターネットではファンの無礼な態度に泣いたガールズグループメンバーに対して「芸能人はその程度は我慢しなければならない」などという意見を目にする事は難しくない。 これも一部とは言える。 しかし、隠しカメラのような犯罪や無礼な言動に対する集団的な自浄の動きもない。 代わりにGFRIENDのファンサイン会事件について、「隠しカメラとファンサイン会でカメラを持って撮影する事の差は何か」という発言がSNSやインターネットコミュニティに掲載されたりもする。 女性たちを盗撮した写真と動画を掲載した性犯罪サイト・ソラネトの捜査や閉鎖を反対したり不可能だろうと断言してきたあらゆる男性たちの反応が、ガールズグループの問題でもほぼ同様に繰り返される。

 

最近デビューしたガールズユニットPRISTINEの所属会社では、最近ファンサイン会に来るファンたちに次のような告知を出した。 メンバーたちには敬語を使う、無理な要求は自制すること、頬をつねるような直接的な接触は慎むこと。また、メンバーにプレゼントしたいものはスタッフに渡して、答えにくい質問は自制してもらうこと。人が人に会う際に守るべき最低限のアドバイスだ。

 

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[ガイド事項]

1、私たちお互いにきれいな言葉、敬語で話しましょう。

2、PRISTINのメンバーたちに対するあまりにも無理な要求は自制してください。

3、PRISTINメンバーの顔にステッカーを貼ったり頬をつねるなど、直接的なタッチはご遠慮ください

4、用意してきたカチューシャなどは、STAFFに渡してくださればメンバーが着用できるようにお手伝いいたします。

5、用意してきたポストイットにとても意地悪な質問や回答しにくい質問を書くのは避けてください 。

例)家族の話、メンバーたちのプライバシー、ボディサイズなど

 

PRISTINとファンの皆さんの大切な時間ですから、お互いの協力のもとで良いファン文化を形成し、ファンサイン会文化を作って行きましょう〜❤︎

 

しかし、多くのガールズグループ所属事務所はこのような立場すら示さない。彼らにとってファンサイン会は収益だけでなく、ガールズグループの人気を証明できるアルバム販売量と直結するイベントだ。 多くの所属会社は、購買力と情熱を同時に備えたこれらのファンたちに対して最低限の線引きもしない。 その間、ファンサイン会参加者の中で誰かはアイドルにタメ口をきき、お金を稼ぐために要求を聞いてくれと言い、眼鏡に隠しカメラをつけた。 だから本当に基本的な話からしなければならないようだ。 ガールズグループのファンサイン会は、ガールズグループのメンバーを見られる機会だ。 しかし、お金を出したのだからといって何でもできるという意味ではない。 そして隠しカメラはそのまま犯罪だ。 これがそのように理解し難い事だろうか。

 

文 カンミョンソク
校正 キムヨンジン

 

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ソラネト=カナダや米国にサーバーを置いている韓国の成人向けサイト。サーバーが置かれた国の法律が適用されるため、入り口に成人かどうかをたずねる項目はあるが具体的な認証は必要でなく、未成年も閲覧できてしまうことが問題になっているらしい。


日本でもですが、接触イベントは何かあった時色々と難しいですね。しかしこれって女子に限らず男子グループでも散見される問題じゃないのかな...?PRISTINのガイドライン、ほとんどが男子グループでも割と普通に見られる光景ですよね。セクハラではなくても好きじゃないメンバーに失礼な態度を取ったりCD投げたりとかもききますし。日本での某男性アイドルのイベントでも卑猥な言葉をボードに書いて見せた人がいたのが問題になっていたような...Kドルに限りませんが、女性アイドルが対象だとセクハラ認識が容易だけど男性アイドルが対象だとまだ問題にされにくいのでしょうか。女性お笑い芸人がTVで男性アイドルに(芝居上でも)触るのはファンが騒いで問題になったりもしますけど、撮影の線引きとかマナーとか、ファン同士の自浄で全てどうにかなるのは韓国ペンドム界の歴史的文化的にも難しいと思うので、そろそろ男女グループ共に事務所がある程度ガイドラインを決めた方がいいんじゃないかという気がします...こういうのってデビューしたての最初にしっかり決めておくのが肝心でしょうから。

質問箱お返事 (2017/4/10〜4/12)

質問箱お返事(〜2017/4/12)

 

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当然といえば当然だと思いますが、会社がデビューさせるときに選ぶ子達や、グループを作り出すクリエイティビティが多くの人に支持されるくらい魅力があって素晴らしく、そしてその代わりがいないからではないでしょうか。グループのファンにとっても大衆にとっても、個々のメンバー達への思いを超えた部分で会社の企画力やクリエイティビティそのものへの信頼が高いという事ではないかと思います。自分たちが好きなのは会社が選んで、会社が組み合わせて、会社がイメージや曲をパッケージングして作り上げた商品のようなものなわけで、同じ材料や同じやり方でも他のところで同じものが出来るというわけではないでしょうから。もちろんファン全員が同じ意見ではないと思いますが、現状韓国でのアイドルというものが会社の企画なくしては存在しえないものである以上、会社とアイドルの関係についてなにがしかの不満をもっていてもファンはやめない・やめられないというのは、それぐらいの魅力を生み出す能力があるからとしか言いようがないと思います。

 

アンバーの件に関しては「何か辛いことがあるのかな。会社との事かな」等色々な想像はできますが、実際には内情が何も公になっていないので、何かを言いたくても漠然としてどこの何を批判したらいいのかすらよくわからないレベルの事だと私自身は認識しているので、彼らが苦しんでいる姿を見るのは辛いなという以外の事は言えません。今までの事から個人的な推測はできますが、たとえ何人が同調しようと推測はあくまでも推測にすぎないので、まるで真実を知っているかのように思ってしまうのも自分的には怖いです。

 

ただ、SMが全盛中の全盛を極めていた2010年代前半よりも関係者やアイドル自身が自由に発信できるツールや機会が増えていろんな事がオープンになりやすい時代になってきていたり、ファンや大衆がアイドルに求めるものが世相やファンドムの世界的世代的な広がりによって少しづつ変わってきているとは思うので、「会社の企画によって完璧にコントロールされ作り上げられたアイドル」というSMが得意な手法について、やり方を少々考えなければいけない時期なのかもなとも思います。そういうアイドルって、見る方としてはどうしても魅力的ではありますが...アイドルのやりたい事や自由は人として尊重したいけど、非人間的なまでに完璧にコントロールされた(そしてそれを普段は感じさせない)姿だからこその魅力もある。そういう矛盾ありまくりのSMEグループオタの苦悩というのは珍しくない気がします。

 

SMEロールモデルにしてきたという某日本の芸能事務所と同様に、SMEのアイドルというのはアイドルの美しさと矛盾と残酷さと尊さの結晶体のようなものだと思う時があります。だからこそ今でもトップでいられるような熱烈な支持も批判も受けるのかもしれないと個人的には思っています。

 

 

【melon mag訳】<アイドル探求生活> アイドルグループのリーダー一斉表示:ボーイズグループ編

【melon mag訳】<アイドル探求生活> アイドルグループのリーダー一斉表示:ボーイズグループ編[ウェブマガジンウェーブ]

2017.3.24

 

http://m.app.melon.com/musicstory/detail.htm?mstorySeq=4753&ref=twitter&snsGate=Y


アイドルグループが長い間命脈を維持するためには、頼もしいリーダーが必要だ。 1990年代後半から2000年代序盤までは「最も年長のメンバー」がリーダーの役割を引き受けるのが慣行だった。 しかし時代が変わり、グループリーダーを決定する基準にも変化が生じた。 アイドル市場が急速に拡大しほかのグループとの差別性が最も重要な生存条件となったため、以前とはやや違う傾向が生まれ始めたのだ。

この時から、本人が持つ音楽的な力をもとに、チームが追求する音楽的な色彩にある程度責任を持つことのできるメンバーのリーダーという役割が与えられた。 ここに2006年にデビューしたBIGBANGのリーダーG-DRAGONから現在最も人気が高いグループである防弾少年団のリーダーラップモンスター、2015年にデビューし、トップへの跳躍を準備中のSEVENTEENボーカルチームリーダーウジなど、各自チームのために奮闘しているリーダーを集めてみた。 一様に音楽、演技活動など自分だけのキャリアを積んで行っている最中だ。 あ、ここにいないからといってあんまり残念に思わないでほしい。紙面の都合上全員は取り上げられないというだけだ。

 

SEVENTEEN/ウジ(ボーカルチームリーダー)


SEVENTEENには合計3人のリーダーがいる。 13名のメンバーが3つのユニット(ヒップホップ、ボーカル、パフォーマンス)に分けられ、それぞれのユニットに個別のリーダーがひとりずつ存在する構造だ。 この3チームを総括するリーダーはヒップホップチームリーダーであるS.COUPSだが、今日だけはボーカルチームリーダーであり、SEVENTEENの音楽プロデューサーであるウジを紹介しようと思う。

 

S.COUPSが主にチームの雰囲気をリードしていく役割だとしたら、ウジはSEVENTEENの音楽的な色彩を描いていく役割を担っている。 実際にウジとともにSEVENTEENの音楽プロデュースを進行するボムジュ(BUMZU)は「ウジは主にSEVENTEENのカラーについて悩む」と話していたことがある。 またウジは、所属会社の後輩であるチュギョルギョンとイムナヨンが属していたI.O.Iに「夕立」という曲を作ってプレゼントしたりもした。 歌謡界に定着したばかりの青い若芽リーダー、ウジの安定した活躍を期待したい。

 

選曲リスト
「아낀다 ADORE U」17CARAT(SEVENTEEN)
「예쁘다 PRETTY U 」LOVE&LETTER(SEVENTEEN)
「夕立」(I.O.I)

 

防弾少年団/ラップモンスター


2017年3月現在、世界各地で最も熱烈な歓呼を受けている韓国のボーイズグループをあげるなら、断然、防弾少年団だろう。 防弾少年団を製作した所属会社代表兼プロデューサーパンシヒョクはある番組で、リーダーラップモンスターについて「アイドル」と断言しながらも、彼が着実にレベルの高い音楽を聞いて作りだす事を強調した。 そしてラップモンスターはこの期待に応えていると言うに値する結果を発表し、引き続き成長に向かっている。

 

彼は優れたラップの実力を見せるだけでなく、誠実な音楽制作を通じて自分とメンバーそれぞれのアイデンティティをはっきりと投影した結果物を作り出している。 防弾少年団のアルバム作業をはじめ、国内外のアーティストたちとも多様なコラボを行った。 Warren Gに続き、最近はWaleと共に音源やビデオを作業して驚きをもたらしたりもした。 このようにラップモンスターは自分が最も得意なことが何か、さらに上手くなりたいことが何なのか、何よりも今この時点でやるべきことが何であるのかを判定する事を正確に知っている人物だ。

 

選曲リスト
「P.D.D 」with Warren G
「Intro:What am I to you 」DARK&WILD(防弾少年団)
「Reflection」WINGS/You Never Walk Alone(防弾少年団)

 

EXO/スホ


EXOは各種音楽授賞式で初めて4年連続の大賞という記録を打ち立てた。 しかし、初の大賞を受けた当時、歓喜に溢れる表情で受賞の感想をうたっていたリーダースホの姿はめったに多くのファンの記憶から消えないだろう。 その後、彼は数回にわたって大変な瞬間を経験しながらもチームを維持するために尽力してきており、ついにEXOは韓国歌謡界に驚くべき足跡を残したグループになった。


スホのボイスはすっきりしたイメージにふさわしく身軽だが、非常に澄んでいる。 SM STATIONを通じて公開したソロ曲「カーテン(Curtain)」、自身が主演を務めたドラマ「宇宙の星が」OST「真昼に浮かぶ星」などはそのような長所をそのまま生かしたトラックだ。 きれいで端整なルックス、そこに必ずぴったりと合った澄んだボイスが低めに敷かれたストリングの間で鳴り響けば、気持ちがリラックスする。

 

選曲リスト
「CURTAIN」SM STATION
「真昼に浮かぶ星」우주의 별이 宇宙の星がOST
「나의 영웅 (My Hero)」SM STATION


Block B/ZICO


歌謡界で盛んに「アンダーグラウンド出身」という修飾語が乱用された時があった。 これに対し、快く思わない視線を送る人が少なくなかったが、彼らさえも直ちに認めたアンダーグラウンド出身のアイドルラッパーの代表的な事例がまさにジコだ。 同じ文脈で、「ジコのラップやプロデューシング能力が優れている」という評価に対する異論はほとんど存在しない。

 

彼が率いるグループであるBlockBは、とぼけていたずらっ子揃いの気質が多分に感じられるグループだ。 ジコは自分のソロ曲を作業する時より何倍も明るい雰囲気でBlockBのアルバムを満たす。 また、彼はプロデュース全般に関与するものの、自分を前面に出すよりも各メンバーが輝くことができるような様々な曲を書いており、1曲の中に複数のキリング・パートを植めこんでおく。 これは本当に驚くべき能力である。 自分一人で輝くのは簡単でも、みんなを称えるのは簡単ではない方法なのだから。

 

選曲リスト
「JACKPOT 」Block.B
エウレカ feat.Zion.T 」Gallery
「Tough Cookie feat.Don Mills」

 

B1A4/ジニョン


ここにきてジニョンを俳優と呼ぶべきか、歌手と呼ぶべきかたまに分からなくなるような状況に達した。 昨年、ドラマ「雲が描いた月明かり」で気品と博識さをあまねく備えたキムユンソンに扮し、相手役のキムユジョンだけでなくファンをもわくわくさせたジニョン。彼は映画とコントでももっともらしくとぼけた演技で注目を集め、確実に俳優としての位置を固めた。

 

しかし、俳優である前にジニョンはB1A4のリーダーであり、アルバム全体の重要な役割を担っている人物である。 B1A4のアルバムに載るほとんどの曲を自分で作っており、2016年には「プロデュース101」を通して焦がれる少女の心情が込められた 「こんな場所で」を発表した。書く曲ごとに雰囲気が似ているという批判があるが、これは逆に彼が持つカラーがそれほどはっきりしているという意味である。とにかく彼の未来はどこにより近い姿なのだろうか。歌手?俳優?

 

選曲リスト
「이게 무슨 일이야 これは何だ?」이게 무슨 일이야 (B1A4)
「같은 곳에서 こんな場所で」Girl On Top (PRODUCE101)
「거짓말이야 嘘だ」GOOD TIMING (B1A4)


SHINee/オニュ


来年にはデビュー10周年を迎えるが、依然として名前だけを聞いてもキラキラと光が出そうなグループがある。 すなわちSHINeeだ。 そして「輝くSHINee」のリーダーオニュは、韓国歌謡界ではあまり見られない独特な音色を持っている。 優しい恋人のようでもあり、柔弱な少年の雰囲気を醸し出している特有の情緒、まるで音をいちいち書き上げるように聴こえる清潔な発音、どんなメンバーとミックスさせても違和感なく相手と調和する柔らかなボイスまで。 このすべてのものがオニュの財産だ。


オニュはこれまで独特の個性を持つSHINeeのメンバーの間で、これらをきちんとそろえて中心を取る役割を果たしてきた。 現在彼はミュージカル、ドラマなど、様々な活動を通じて自分が望む未来を作り続けている。 ここにソロアルバムを待つファンの期待まで満たしてもらえたら、歌手としても俳優としてもかなり印象的なキャリアが完成するだろう。

 

選曲リスト

「내가 사랑했던 이름 わたしが愛した名前/The Name」(Onew Feat. キムヨヌ) 2009 Year of Us(SHINee)
「잠꼬대 Please, Don`t Go 」 ROMEO(SHINee)
「밤과 별의 노래 Starry Night」Onew with 이진아(イジア) SM STATION


BIGBANG/G-DRAGON


2006年にデビューしたのだから、もう11年目の歌手だ。 キャリアがキャリアであるだけに、BIGBANG5人のメンバーが揃った完全体を見ることはあまり容易ではないのが事実だ。しかし、未だ大衆は彼らが残したヒット曲をはっきりと覚えている。 その中でもリーダーG-DRAGONが作詞、作曲した「嘘」は2007年度に最高に人気を獲得した曲の一つであり、おかげでBIGBANGは確実な全盛期を迎えた。

 

10年以上のチームを率いてきたG-DRAGONは、BIGBANGのアルバムの他にも着実にソロ作品を発表してきた。時には絶賛を、時には批判を受けたが、いずれにしろ話題にされないことはない。ここで彼は様々なファッションアイテムと自由奔放なアティテュードまでを流行させたことを思い出してみると、彼が歌謡界を越えた一つの「カルチャー・アイコン」に位置した人物であることを否定することはできないようだ。

 

選曲リスト
「거짓말 LIES」Always(BIGBANG)
「Heartbreaker」Heartbreaker
「One Of A Kind」One Of A Kind

 

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メロンらしく音楽的視点から各グループのリーダーにスポットを当てた記事でした。元記事から曲リストがmelonアプリにそのままDLできます。

 

nenuphar.hatenablog.com

 

質問箱お返事(〜2017/4/9)

質問箱へのお返事です。

 

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まず、ご質問のVIXXラビのソロ「R.EAL1ZE」についての記事ですが、Idologyの「1stリッスン」コーナーでレビューされていましたのでリンクを貼っておきます。


http://idology.kr/8336

 

4人のライターさんが感想を書かれていますが、IDOLMAKERのインタビュアーでもあり、SUGAとラップモンスターのミックステープについても過去に記事を書かれていたパクヒアさんのレビューが一番同意する部分が多かったので訳してみました。

 

パクヒア
「2016年にVIXXが出した3枚のアルバムについて賞賛し、ラビの役割が相当大きかったと言及したことがある。 ラップがかなり上手だということもあるが、ボイスとフローが特異で、ミニアルバムでもフルレングスでもアルバムを退屈させないように作る力が現れている。 しかし、残念な事に他のラッパーたちと一緒にラップをするとこのような長所が相対的に目立たない方だ。 それゆえに今回のEPにはラッパー・フィーチャーを使わない事を期待したが、叶わなかった。 収録曲'Rose'、'Ladi Dadi'はラッパーのEPとは思えないほどボーカルが主になってしまった印象を与えており、特に悔しさが大きい。 VIXXのアルバムの時やVIXX LRのアルバムの時の彼はかなり十分なラッパーだったが、ここではかえってフューチャリング陣がフォーカスを受けるようで、いたずらに残念だ。 自分をさらにアピールできるようなソングフォームとトラック構成を考えてみたらどうだろうか。 'Lean on me'を推薦することもそのような脈絡からだ。 惜しさがあるが、一応はラビが誰なのか、何が得意なラッパーなのか知ることができる曲だ。」

 

 

私が思うラビのラッパーとしての活動についてですが、アルバムに対する個人的な感想というのは嗜好の問題に過ぎなくなるので置いておきますが(正直素人だから好き嫌い以外よくわからないので)、私がラビは本当にhiphopを真面目にやりたいんだなと思ったのはSwingsのサガジショーを見た時です。ガチのラッパーに知り合いがいる、しかも結構とっつきにくそうなSwingsというのも少し驚きましたが(実際Swings自身も唯一親しいアイドルラッパーと当時は言ってましたし)ミックステープをヒョンに渡しても聴いてくれないと不満を言ってるのを見て、ああ本当に真剣にhiphopがやりたいタイプなんだなと思いました。その後もShowMeTheMoneyに出たり、Bobbyのdisにもちゃんとレスしたりとアイドルでラッパーを真剣にやりたい人としては結果はどうあれ、今の所アティテュードは100点なんじゃないかと思います。今回のソロアルバムはミックステープでもなくちゃんと売るためにリリースされたもので活動もありましたから、それなりに歌詞の制約もあっただろうと思いますし。しかも彼は今世間的にアイドルラッパーの中で注目されているジコやBobby、ラップモンスター等と違ってそもそも所属しているグループが「ヒップホップ系アイドルグループ」ではないし、事務所も元々はバラード系のソロ歌手のイメージが強い会社で先輩にhiphopアーティストがいるわけでもないですよね。これってアイドルグループにいるラッパーがソロで活動するには結構大きなディスアドバンテージだと思うんです。「ヒップホップ系アイドルグループ」でデビューするというのは良きにつけ悪しきにつけhiphopがメジャーな韓国ではhiphop愛好家や一般層からも多少は注目されるわけで、防弾少年団みたいにデビュー前後に一悶着あったり、hiphop系のメディアでネタとしていじられたり、アルバムに星1つ半つけられたりする事もありますけど、でも逆に末席にしろ「hiphop」というジャンルには一応入れてもらってるんですよね。まったく視線にも入れてもらえないよりは上昇のチャンスがある分ずっと有利なのではないかと思います。
そういう悪条件の中で始まったラビのソロ活動なんじゃないかと思うんですけど、まだ1枚目ですしとにかく続けていくことが重要なんじゃないですかね?アイドルのソロ活動って、一部例外を除けばある意味ご褒美的なところもあって、ある程度売れて固定ファンがついたグループの特権である気がします。この先もアルバムリリースや活動があるかは売り上げ次第かもしれませんが、hiphopに関してはとにかく人脈とかフリー音源でも地道に作品を世に出す事が何より重要なんじゃないかと思いますし、蓄積が「リアリティ」にもなっていくと思うので、どういう形でも続けてくれたらいいなあと思います。ラビのラップって声にもフロウにも聴いて即ラビだってわかる個性がありますよね。hiphopで活動するなら、綺麗にまとまってるけど誰だかわからないラップよりそちら方が魅力になるんじゃないかと思います。

余談ですが、今個人的に韓国の男性アイドルで一番スタイルが良いのはラビだと思っています。フォーマルからカジュアルまで最高にどんな服でも似合うスタイルだと思います。以上です。全然関係ないシメになった上にお役にたてたか謎ですが、ご質問ありがとうございました!

【idology 訳】アイドルメーカー:⑦プロデューサー・tKAA代表 / チェジェヒョク

【idology 訳】アイドルメーカー:⑦プロデューサー・tKAA代表 / チェジェヒョク

 

『ビハインド・アーティストたちも所属会社の保護を受けなければならないと思いました』

 

byバクヒアon 2017/02/20

http://idology.kr/8497

 

(訳注:文中の太字部分はウェブ公開されてない部分から一部抜粋しています。部分抜粋ですので、全文が気になる方は「아이돌메이커」本誌をご参照ください)

 

華やかに輝くアイドル、その背後には自らの分野でこまめに働いてきたもう一人の主人公たちがいる。 彼らは、K-POPの熱風が吹いていた時期でもあった「韓流」という言葉が固有名詞として使われるずっと前から同じ場所にいた。 そして「アイドルメーカー」はもう少し詳しく違う見方や温度で、アイドル産業に入っている「人」の話を入れて見ようと企画された本だ。 7回にわたって本の内容の一部を抜粋して掲載する。 インタビューの全文は「アイドルメーカー」を通じて確認することができる。


#サウンドエンジニア

 

『エンジニアを始めたのは、プロデューサーになりたかったからです』

 

バクヒア:学校ではサウンドエンジニアリングを専攻されたと聞いています。特にその専攻を選んだ理由はありましたか?直で作曲の道に行くこともできたにではないかと思います。


チェジェヒョク:私がエンジニアを始めたのは、最終的にプロデューサーになりたかったからです。率直に言って当時はエンジニアという職業がどういうものであるかもよく知らなかった。ずっと夢が歌手だったからそちらの方面については知らなかったんです。そしてその時私は大学を中退する事に決めた状態でした。

 

バクヒア:専門的に音楽を勉強したかったんですね。

 

チェジェヒョク:実際カリフォルニア州立大学に志願して、奇跡的に合格通知書を受けました。両親はとても喜びましたよ。でも自分には無条件に音楽をしなければならないという気持ちがあって、最初からそちらには返事をしませんでした。その日から半年ほど、父とは顔を合わせずに暮らしました。しかしプロデューサーになりたいという思いがますます切実になり、ちょうどその頃録音室や機械を扱うことができれば役立つという話を聞いたんです。それがMI(Musicians Institute=米国LAにある実用音楽大学)に入学することになったきっかけでした。


BoAとソンダムビ

 

『PLEDISのハンソンス代表に仕事を学ばなくちゃいけないと思うようになったんです』

 

バクヒア:最初にPLEDISエンターテインメント(以下、プレディス)で働かれましたよね。 今のプレディスの形ではなく、完全な初期の時です。

 

チェジェヒョク:当時も、他の企画会社からはオファーがあったんですよ。 ところが自分には英雄心理があって、大きい会社に来いと言われても耳を傾けませんでした。 会社と自分が一緒に努力して成功したかったんです。 ちょうどソンダムビがデビューアルバムを出した時でしたが、その頃に一緒にするようになったんです。

 

バクヒア:いくら小さな会社といっても成長の可能性とか、いいオーナーがいたりとかそれなりの選択基準があったようですが。

 

チェジェヒョク:そうですね。 ある日家でTVを見ていたら、ダムビのミュージックビデオが流れていたんです。見るやいなや「これはきっと大ヒットする。本物だ」と思いました。 私はソテジ以後に出たアイドル歌手の中では特に好きだったアーティストがなかったんです。 ところが唯一、BoAが好きでした。 実際はBoAさんが好きというよりは全体的な企画とプロダクションを好きだったんですが、ソンダムビのミュージックビデオを見たときに「ああ、これもうまくつくったな」と思ったんですね。 ところが不思議な事に、2週間後にPLEDISファミリーがアメリカに来たんです。

 

バクヒア:それではハンソンス代表と一緒に仕事をしたいと思ったきっかけは何でしょう。

 

チェジェヒョク:私の知り合いがちょっと手伝ってほしいというので、その時私の家を宿舎としてPLEDISの全職員が泊まりました。 ハハ。一ヶ月ぐらいいましたが、ダムビがそこから振付を学びに通ったりもしていました。 ところで私の家に「History Of BoA」と、BoAさんのDVDが一枚あったんです。 ハン代表が私の家でそれを見て「これは僕が作ったんだよ」とおっしゃったんです。 その話を聞いて「ああ、ダムビとBoAを見てプロダクションがいいと感じた理由はこれなのか?」と思いました。 同じ方の手を経たためにそんな感じを受けたようでした。 当然、ハン代表に仕事を学ばなくちゃいけないと言う考えをするようになったんです。


#ビハインドアーティスト

 

『舞台裏で活躍するアーティストが明るく輝く事は、簡単というわけではないんです』

 

バクヒア:今はOH MY GIRLの音楽プロデューサーであり、tKAAの代表職を兼ねてらっしゃいますよね。

 

チェジェヒョク:誰か私のことを整理してくれたらいいんですが。自分でもうまく整理が出来てません。

 

バクヒア:それではまずはエージェンシーの話から伺うのがいいですね。アーティストエージェンシーをやろうという考えは、どのような事から来たんでしょうか?プロデューサーの仕事とは違いがとても大きかったと思います。

 

チェジェヒョク:きっかけは...実はビルゲイツの話を聞いた事です。ハハ。ビルゲイツが言った有名な言葉があるでしょう。すぐに全世界で家庭ごとにパソコンを所有することになるだろう、それが1980年代でしたが、当時は超大型コンピュータを使っていた時代でした。人々が信じないような状況でした。ところが最終的には今、現実のものになったでしょう。アーティストエージェンシーの概念もいつかはそんな風に慣れることでしょう。
私はアーティストをオン・ステージ(on-stage)アーティストとビハインド(behind)アーティストと考えています。立っている所だけが違うだけで、すべて同じように価値のあることをする人だと思うんです。だから「すべてのアーティストが所属事務所を持たなければならない」。これが私の望みであり目標です。ところが今の韓国エンターテイメント業界では「これは何ですか?何の話です?」と思われます。あまりにも見慣れない話ですからね。しかし、現実的に見なければならない部分があります。多くのバックステージミュージシャンやアーティストたちが共感している部分であるはずなのに...舞台上のアーティストは輝くけど、舞台裏で活躍するアーティストたちが輝く事は容易ではない。オン・ステージアーティストにだけ自分の才能を惜しみなく注ぐというのもそうです。同じアーティストではなく、オン・ステージのための一つのツール(tool)として扱われる場合があまりにも多いです。

 

バクヒア:使命感を持っているんですね。実際、複数の人の法定代理人になるというのは思った以上に負担でしょう。

 

チェジェヒョク:もちろん状況がこうなったのはシステムの問題であれ、意識の問題であれ、さまざまな理由があると思います。 しかし、とりあえずは所属会社があるかないかの差がとても大きいと思いました。 ビハインド・アーティストたちもオンステージ・アーティストたちのように所属会社の保護を受けなければならないと見ました。 所属事務所があることで不利益を受ける確率自体を減らすんです。


#OH MY GIRLプロデューサー

 

『大衆との一線をよく守らないといけません。とにかく大衆歌手ですからね』

 

バクヒア:OH MY GIRLの場合、音楽評論家や音楽産業関係者たちがとても関心を持って見守っているグループの一つです。 全体的なコンセプトもそうですし、音楽的な志向が他のグループとはちょっと違うと評価されています。 企画から参加したんでしょうか?

 

チェジェヒョク:はい。 ですが、全体的なコンセプトは一応会社から与えられていたので、私はあとから入って行ったんです。 また、この子たちの振付が良い評価を受けたじゃないですか。 その振付を作ったイソルミさんの場合ダムビの振り付け室で初めて会って以来の知り合いでした。 当時WMエンターテインメントはあちこちで振付師を探していたんですが、私が本当にいい知り合いがいるので一度会ってみたらどうでしょうかと提案しました。 OH MY GIRLの振り付け試案を見せたところ、会社が気に入ってくれました。 結果的に大衆からも良い評価を受けて気分が良いです。

 

パクヒア:OH MY GIRLは曲や振り付け、スタイリングなど、全体のプロダクションではアート的な要素を考慮していながらも、大衆に愛されることができるグループの典型的な雰囲気も一緒に持っているグループですよね。

 

チェジェヒョク:大衆との一線をよく守らなければいけないです。 とにかく、大衆歌手ですから。 (中略)
…………………………

あまりにも小さな部屋で音楽を作っていると、「世界は私のことを理解できない」そんな考えに陥りがちですよね。でもそのように生きている芸術家が、世界が自分を理解していないと考える理由はないと思います。そんな方で大衆芸術をされる方はいないですからね。

…………………………

大衆に認められたいなら事実彼らが望むことをするのが正解です。 ですから、OH MY GIRLは大衆歌手でありながら私的な感覚を守ることができるラインが向いているようです。 人によってそのラインの位置が少し違うでしょうが...

 

パクヒア:WMエンターテインメントのイウォンミン代表もOH MY GIRLを作るときにそれを重要と考えていたんでしょうか。

 

チェジェヒョク:そうです。 その部分が重要だったんです。 また、OH MY GIRLというグループが自分のアイデンティティを持つために必ず必要な部分です。

…………………………

あまりにも芸術的に行きすぎず、商業的に行きすぎずその中間地点を探せという事でしょう。
…………………………

 

バクヒア:もちろんOH MY GIRLメンバー全員が各自与えられた役割に最善を尽くしているでしょう。その中でも「この子は本当によくやっているな」というメンバーはいるんでしょうか...

 

チェジェヒョク:メンバーを必ず一人選ばなきゃダメですか?困ったな。ハハ。どうしても自分はOH MY GIRLの音楽と直接関連がある人だから、スンヒを挙げるしかないと思います。グループではスンヒが歌が最も上手です。だからスンヒには、私の期待値が高くならざるをえません。それほど望むことが多いんですね。おかげで初期は私に最もたくさん叱られました。それを考えると申し訳ない気持ちにもなるんですが、上手な子に対しての要求が高くなるのは当然の事なので... 仕方ありませんでした。

 

…………………………

 

#KーPOP

 

バクヒア:欧州の作曲家たちを次々と国内に紹介する役割をされています。
OH MY GIRLのアルバムに入っている曲もこの方たちの作品をたくさん採用されていますね。

 

チェジェヒョク:米国の作曲家の方々に始まり、今では英国の方もいらっしゃいます。その中ではスウェーデンの方がとても多いです。

 

バクヒア:最近の韓国アイドルのアルバムクレジットにはスウェーデンの作曲家の名前が頻繁に目立ちます。元々は日本でとても活躍した方なのに、今は韓国でも影響力を育てていっていますね。

 

チェジェヒョク:すごい国ですよ。アイデアあふれる国ですよね。スウェーデンの作曲家たちは一国でのみ活発に活動しているわけではないです。米国でもそうです。Maroon5ブリトニー・スピアーズ(Britney Spears)、ケイティ・ペリー(Katy Perry)の曲を書いた有名なマックス・マーティンもスウェーデン人です。国家レベルで専門職の人材を養成することに力を入れている。実力のあるミュージシャンを養成することができるシステムが整っているのが羨ましい部分です。韓国では直接お会いしたりskypeで仕事をする事もありますよ。面白いです。

 

バクヒア:米国で長く生活されて、アンドレアス・オベルグ氏のように韓国のアイドル市場に大きな影響力を持ち始めた欧州の作曲家たちとも仕事を一緒にしていらっしゃいます。だからこの質問を必ずしたいと思っていました。韓国歌謡と一般的なポップスの違いは何だと思いますか?

 

チェジェヒョク:答えるのが簡単ではない質問ですが、できる限りシンプルに考えてみます。とりあえずこの国でポップミュージックといえば「外国の曲」でしょう。ところがポップス=popular musicという語源もそうですが、実際は単純に大衆歌謡のことですよね。だからKPOPは、Korean Pop、韓国大衆歌謡ということでしょう。最近では、KPOPを一つのジャンルのように認識していますよね。しかし、私はむしろジャンル自体が以前のように音楽を分ける重要な基準になりうるんだろうかと思うんです。音源サイトに含まれている曲情報を見ると、慌てる時があるでしょう。ジャンルが「KPOP /ダンス/ヒップホップ」こんな感じの言葉が並んでるんです。さらに最近では何人かの方が私に曲を依頼する時に、このような注文をする時があります。 「希望のジャンルやリファレンスを教えてください」というとこんな答えが来るんです。「エキサイティングなヒップホップのバウンスのバラードで」どうしよう、一体どんな曲なんだろうっていう。ハハ。そちらから必要なリファレンスを送信していただいた時に、自分としては最大限似たような音楽を作って送っても、こういうのじゃないと言われたりします。そうするうちに、後でかなりかけ離れたとんでもない感じの曲を例に挙げられる事もあるんですよ。これはジャンルというのが意味がなくなったという事ではないでしょうか。このようにジャンル的境界が揺れるのを見て、私が個人的に下した結論がこれです。 KPOPというのは、業界でよく言われる「뽕(ポン)メロディ」がある音楽だと思います。これを公式のインタビューで使うにはきまり悪い単語と思うのかみんなあまり使いたがりませんけど、業界ではよく使う言葉ですよね。とにかくはっきり言って私の立場からすると「뽕メロディ」があればKPOPです。

 

バクヒア:「뽕メロディ」というと、一般的に考えられている演歌=トロットメロディだとおっしゃるのですか?

 

チェジェヒョク:はい、そうです。考えてみてください。芸能人が「この歌をトロットバージョンで歌ってみましょう」と言って笑う姿を見た事がありますよね?とても甘美なバラードでも、唱法をちょっと変えてトロットように歌えば本当のトロットそのものです。ペンタトニックスケール(pentatonic scale)という言葉があります。そこからいくつかの音を除けば、今話しているいわゆる「뽕メロディ」になるんですよ。外国の曲でもこのメロディーで書かれている場合は、かなり多いです。しかし両方の違いというのは言語的な部分で、個人的な感性も加わるようです。これは実際にあることなんですが、企画の方が海外で完成した曲を初めて聞いた時は「本当に良い曲が来た!」と喜んでるんですよね。海外の作曲家は通常、英語で作詞した歌詞を付けて完成した曲を企画会社側に送り、関係者の方は一旦英語の歌詞がついた曲を聞いて本当に気に入ります。しかし、いざ韓国語で歌詞を付けて子供たちに歌わせると駄目なんですよ。初めて聞いた時は分からなかった「뽕気」が感じられるようになると私は思います。同じ曲でも言語で違いが出てくるんですよ。これはジャンルに関係なく、韓国歌謡が持つ特徴でしょうね。

 

バクヒア:最近では歌い手が韓国アーティストであるだけで、実質的にすべての外国曲を受けて使う会社もありますよね。そのような場合にはKPOPではなく、私たちが思うところの外国の曲、すなわちポップスではないのかと思うんですが。

 

チェジェヒョク:そうですね。外国曲です。それがK-POPと呼ばれる理由は一つですね。アーティストが韓国製という事だけです。

…………………………


バクヒア:たくさんの事を色々されてみると、自分が守りたいの価値観というものが揺れる事もあるんじゃないでしょうか。そうならないために、普段常に再確認する言葉はありますか?

 

チェジェヒョク:「I am nobody who know somebody」この言葉です。 「誰かを知っている自分自身は、何でもない人だ」私は、実際に自分自身を特別な存在だとは思っていないんです。ただ「somebody」をつなぐ人だと思っています。多分私が自分自身にさらに集中したかったらエージェンシーを立ちあげたり、プロデュースを引き受ける代わりに自らがプレイヤーになることを願ったでしょう。
私はこうなんです。このようなことを選択したこと自体が、自分の持っている才能が優れていると思っていないからです。私より優れた能力を持っている人たちのためにインフラを用意してあげることが自分が上手にできることだと思う。酒の席で「三国志」の劉備や「指輪物語」のフロドの話をよくするんですよ。私は関羽張飛そして趙雲が必要な人であり、フロドのようにリングを溶岩に落とす任務のために良い友達にたくさん会いたいだけなんです。

 

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ペンタトニックスケール=五音音階の事。1オクターブあたり5つの音階が含まれる。世界的に民謡によく見られる。日本の演歌もそうらしい。

 

뽕기(뽕氣)=ポン気というのは、韓国語のスラングで「ポンチャック(トロット=韓国の演歌の俗称。日本だと李博士が知られてますが)っぽい」という意味の「ポンチャックっ気」を略してポンキというそうです。トロットみがある曲を「あの曲ポンキがあるよね」という風に使うとか。明確な定義はないそうですが、トロットっぽい通俗的なメロディ・こぶしっぽいビブラート・特有の鼻声などをそう感じる人が多いとか。やけに高音を張り上げたがるパートがある曲をポンキっぽいと解釈する人もいるようです。

 

プレディスのハン代表が元々SMのスタッフだったのは有名な話ですが、プレディスのスタッフだった方が今度はプロデューサーになってWMのアイドルのプロデュースをするという、こういう流れが出来ているんだなあと思いました。

 

【idology訳】アイドルメーカー:⑥ MV監督 GDWキムソンウク

【idology訳】アイドルメーカー:⑥ MV監督 GDWキムソンウク

 

『静かに強くなればいいんです。 そうすれば理解して変わります』

 

byバクヒアon 2017/02/13 

http://idology.kr/8485

 

(訳注:文中の太字部分はウェブ公開されてない部分から一部抜粋しています。部分抜粋ですので、全文が気になる方は「아이돌메이커」本誌をご参照ください)

 

《華やかに輝くアイドル、その背後には自らの分野でこまめに働いてきたもう一人の主人公たちがいる。 彼らは、K-POPの熱風が吹いていた時期でもあった「韓流」という言葉が固有名詞として使われるずっと前から同じ場所にいた。 そして「アイドルメーカー」はもう少し詳しく違う見方や温度で、アイドル産業に入っている「人」の話を入れて見ようと企画された本だ。 7回にわたって本の内容の一部を抜粋して掲載する。 インタビューの全文は「アイドルメーカー」を通じて確認することができる。》


#スポーツ選手や芸術家

 

「ビデオカメラでスケートボードに乗る姿を撮り始めました」

 

バクヒア:先日のインタビューでも何度か言及しましたが、キムソンウク監督の履歴はとても特異ですね。エクストリームスポーツの選手だったのに映像コンテンツを作り始めたのも不思議ですが、その上感覚的なことで定評があるチームを担当しているのが面白いと思います。また、最近、GDWを含めLumpensやデジタルぺディア(DIGIPEDI)などいくつかのミュージックビデオチームが脚光を浴びているでしょう。その中で唯一「専攻」ではない方でもあり。ナムヒョンオ撮影監督は、キム監督を「恵まれている」とすごく褒めておられました。

 

キムソンウク:まったく関係のない人生だったというわけではないんです。元々父は写真館を運営していて、よく知られている大企業の専属カメラマンとして働いていました。そして母はバスケットボール選手だったんですよ。たくさんの事を受け継いだみたいです。そうするうちにIMF経済危機が起こってうちの家族にも辛い時期が訪れました。その時に(スケート)ボードに出会ったんです。運が良かったと思います。突然家庭環境が悪化してグレる可能性もあったのに、ボードのおかげでそういう隙がなかったんです。その時を振り返ると、ハングリー精神というものがどの程度必要かわかります。自分を磨くことに役立ちます。

 

#ミュージックビデオ撮影

 

「ミュージックビデオは音楽を聴けばそれに合ったテンションが自然に浮かびます」

 

バクヒア:アイドルのミュージックビデオと、他のフィルミングの差は大きかったですか。

 

キムソンウク:アイドル作品を撮ったときは恐ろしいというより、新世界を経験している感じだったと思います。スポーツをしているような瞬間があるんですよ。前方にジャンプ台があると仮定したとき、どういう風に走れば自分が気持ちいいのかはわかります。ところが、実際に走り出すまではワクワクした気分と不安が共存してるんですよね。それと同じ感じ。僕は目の前に置かれた状況を運動経験になぞらえて考えるんです。初めての時は難しいと思っても、「こういう状況はあの大会に出た時みたいなものだ。そうだあの時も自分はよくやったじゃないか!」こんな風に乗り越えました。

 

バクヒア:REDVELVET「Happiness」のミュージックビデオはGDWの歴史の中で欠かすことができないですね。このミュージックビデオでGDWを知った方が多いです。

 

キムソンウク:本当に多いですね。

 

バクヒア:ユニークでかなりファッショナブルな点が目を引きますし、そんな要素が全体的な雰囲気を覆っていたのが魅力だったのではないかと思います。また、SMエンターテイメントの立場としては新しいガールズグループのデビュー曲だったのでより気を使ったでしょうね。 GDWのトレンディーさがSMエンターテイメントの新たな挑戦を完全にサポートしてくれた作品だったと思います。

 

キムソンウク:当時私たちのチームのクリエイティブディレクターだった、チェソヨン室長と一緒にファッション関連画像をたくさん見ました。オフィスの窓をいっぱいに覆いつくすほどたくさん集める作業を3日にわたって続け、ただ写真だけ見ていました。歌も聞き続けながら。会社の立場としては新しくデビューするグループだったので、既存のガールズグループとは完全に差別化を図りたいという気持ちがありました。 SMエンターテイメントのミンヒジン理事が希望されていたのも「Something New」、すなわち、「何か新しいもの」でした。(中略)

 

バクヒア:それでは、ミュージックビデオの依頼が入ってきたときに受けるかかどうかを選択される基準は何ですか? 「これは本当に必ずやりたい」という気持ちになる特別な要素みたいなものです。

 

キムソンウク:最も重要な点は、当社のカラーとよく合う音楽を選ぶ事ですね。実際2015年までは音楽ジャンルにとらわれず、できるだけ多様な経験をしてみたかったんですよ。だから本当にいろいろなジャンルに挑戦していたと思います。実際に経験が積もっていくと、我々のスタイルといくつかの楽曲、いくつかのアーティストとの相性の良さをますます感じました。作業の過程で直接アーティストと疎通して共同作業の形で行くのが最も適していると思う。だから、今は最大限GDW、また僕自身とよく合う音楽、アーティストに集中しようとしている。しかし、現実的には互いにスケジュールが合うのかチェックすることも必要です。

 

#アイドルMV

 

「誰でもできる仕事ではないんだという事を感じたきっかけにはなりました」

 

バクヒア:テミンさんが持っているキャラクターもとても独特ですよね。SHINeeの中でも、また歌謡界全体の中でのイメージもユニークです。 GDWが製作した「怪盗(DANGER)」のミュージックビデオには、テミンさんがアイドルとして持ついくつかのイメージが限られた色彩やシンプルなカット構成などで表現されています。

 

キムソンウク:最初に思ったのは「テミンがこれまで見せなかった姿を描こう」というものでした。パフォーマンスやビジュアルも重要ですが、あの子を見ていると内面から漂うどこか風変わりな感じがあるんですよ。そのような部分を表現してみたかったんです。それでセクシーさと力強さという、二つのキーワードが共存できるようにフォーカスを合わせました。僕がアイドルを見てカッコいいと思ったのはあの時が最初だったと思います。あの子が本当に一生懸命でいい子だというのもありますが。 第一に実力がとてもあります。(中略)


…………………………

また驚いたのが、ミュージックビデオを撮るときにテイクを複数繰り返すじゃないですか。回が重なるほど疲れていくものですが、そうじゃなかったんです。本当に熱心でした。数日間昼夜を問わず練習をしてきたのに疲れを見せず踊ってくれたと思います。驚きました。とてもきついだろうと思いましたし、誰でもできる仕事ではないんだという事を感じたきっかけにはなりましたよ。

 

バクヒア:作業過程もタイトだったと聞きました。

 

キムソンウク:その作業をしながら編集の実力が本当に上がりました。ミュージックビデオ公開の前日まで、我々のチームとミンヒジン室長とビジュアルアートチームの方がフィードバックや修正を繰り返して完成した作品です。短い時間の中でどのように最高のものを示すことができるのか信じられないほど悩みました。パフォーマンスがとても力強い子ですから。

…………………………

 

バクヒア:ボーイズグループの中では防弾少年団と最も多く仕事されていますね。Lumpensのチェヨンソク監督と一緒に作業した作品もお馴染みです。それを聞いた時は「チームの色がかなり違うようだけど、一緒にやるんだ?」と思いました。

 

キムソンウク:「SAVE ME」は僕達が企画、撮影、演出の中盤まで仕上げて、後半はLumpensの監督がやってくれました。お互いとても親しいんです。子供が同い年というのもあって。

…………………………

 

バクヒア:現場で面白かったり戸惑ったようなエピソードはありますか?

 

キムソンウク:防弾少年団「SAVE ME」の撮影時で不思議なエピソードがあります。その撮影はワンテイクで行われたんですよ。撮影当日、ある程度曇りは予想して行ったんですが、雨が降り止まなくて丸々4時間ほど撮影をストップせざるを得ませんでした。そうするうちに直前にまるで映画のように、非常に短時間だけ雨が上がったんです。本物のワンテイクでOKサインが出ました。ああ、それと僕が防弾少年団の作品の中で一番好きなのは「DOPE」です。

 

バクヒア:初めて「DOPE」のミュージックビデオが出た時インターネットコミュニティとSNS上で素晴らしいと非常に話題になりましたよね。ファンドムの間ではもちろんですが。撮影方式が画期的だったのもですが、グラフィックも興味深かったです。

 

キムソンウク:あれは実はパン・シヒョクPDのアイデアなんです。MCC(Motion Capture Camera)で撮影してはどうかと言われました。自分はMCCを一度も撮影したことがなかったので少し心配でしたが、他の方々にとてもよくしていただいてその時は8テイクくらい撮影して合成する事になりまして、オフィスにいるCGチーム長がグラフィックスを見事に作ってくださったんです。それに「DOPE」のミュージックビデオは途中の合成がとても多かったんですね。その分ひとりひとりに物理的な時間がかかっただけでなく、これをアートディレクションとしてどのように表現するかも大きな悩みでした。とにかく不安要素が本当に多かったんですが、チーム長が数日間夜通し働いて、とてもたくさんのフレームを組んで完成したのがあの作品でした。


…………………………

 

バクヒア:防弾少年団の「DOPE」という作品は、メンバーひとりひとり全員が明確な衣装や空間コンセプトを持っていましたよね。それ故にワンテイクのように見えるようにする過程で考慮すべき点が一つ二つではなかったのではないかと思います。

 

キムソンウク:そうですね。あのMVの衣装はあちらの担当者の方が持っていたコンセプトがあり、我々が引き受けたのは指定された画像をどのように映像で実際に見せるかという部分でした。美術的な面をどのように表現するのか、そこにどのようなシンボル的な要素を入れるのか、どのタイミングでカットを切り替えるかなど... それに、実際にはほとんどの人がインパクトを感じる瞬間はカットが切り替わる瞬間ですよね?でも「DOPE」の場合はカットの概念がないでしょう。だからこのミュージックビデオでどうやったら目を楽しませられるかかなり頭を悩ませました。
(中略)
…………………………

 

カットがない時に感じることがあるような退屈さをなくそうとしました。それぞれのキャラクターを生かすことができる空間コンセプトは、その空間同士の移動で、防弾少年団のパフォーマンスを最大化することができるように後半のカメラワークにインパクトを持たせて。
…………………………

 

とにかく僕にとってはこれは挑戦でした。初めて防弾少年団を正式に引き受けて撮影したミュージックビデオでもあったんです。それにあの子達は本当に一生懸命踊ってくれました。
…………………………

 

バクヒア:防弾少年団とは7本程お仕事をされていますが、そのうちの3本がラップモンスターさんのmixtapeトラックのために作成された作品です。RM氏のmixtapeのMVは、これまでのアイドルシーンで見ることができなかったような独特のスタイルですよね。さらにMV3本が同時に発表されたので、明らかに近い時期に作業をこなされたのではないでしょうか。

 

キムソンウク:実際に3本すべてを2日間で撮りました。

 

バクヒア:ひとりのアーティストのために同時に3つのフィルムを作る時に考慮した点はあるんでしょうか?

 

キムソンウク:一度に見ても退屈しないかどうか。いろいろ考えたんです。時間的な問題やコンセプト的な部分まで考慮した選択をしました。1本だけの場合は最初から勢いのあるイメージだけで通せるのですが。後から起承転結がつくように順番にオープンしていく感じにしようとしました。 「농담(冗談)」が最後になったのは理由があります。パンシヒョクPDがそう希望されたんです。ラップする姿だけを撮影した「覚醒」は当日現場でどのように行くか本当にたくさん悩みました。後に続く二つのほうがメインフィルムではあったんですが、一応「覚醒」はこの3編の中で最初に公開されるミュージックビデオだったんです。だから自分の立場からすると、同じように心配するしかなかったんです。残りの2つの作品をひきたたせなければならないので、これは最もミニマルに行くべきだと思い、その後でそれにはどんな効果がふさわしいんだろうかと考えたんですよ。結局、最終的には音楽がよく聞こえてアーティストがよく撮れさえすればそれがいちばん良いだろうという考えに落ち着きました。

 

バクヒア:スタッフの方々の言葉を聞いていると、監督が防弾少年団と親密で、そのような関係に基づいて作品を作っているんだなと思いました。

 

キムソンウク:本当に防弾少年団の子たちは遊び心に溢れてるんですよ。ハハ、この子達は僕が見てきたアイドルの中でも、本当に礼儀正しいグループです。撮影チームもそうですし、一緒に呼吸を合わせたチーム全員が同じように言いますね。このチームは本当に礼儀正しく、初心を失わないように努力している子達です。おそらく彼らも理解しているんだと思いますが、いつも同じように謙虚でスタッフたちにも礼儀正しいです。
…………………………

 

バクヒア:一緒に仕事をしながらパンシヒョクPDとたくさん話されたかと思いますが、個人的にどのような印象を受けたのか気になります。

 

キムソンウク:パンシヒョクPDは自分が会った中でもアーティストや監督を心からリスペクトしてくださる方の一人です。防弾少年団の子供たちもそういう点が似ていると思います。

 

#強者になる方法

 

「静かに強くなればなりません。そうすれば理解して変わります」

 

バクフイア:GDWチームメンバーたちのために自分なりに努力されている部分はありますか。

 

キムソンウク:個人的に徹夜で撮影するのが嫌いなんですよ。僕自身は実際には大丈夫なんです。監督ですし、一旦完成してしまえば誰が作ったのかという時にキムソンウクという名前が出ますので。ところが、僕たちのチームは背後に隠されているでしょう。実際の現場でも僕たちは雰囲気が最高のチームの一つだと思います。大変な時もみんな笑ってやり遂げようとして。ダメっぽい時や、これはないと思うときは果敢にやめる事もあります。あれ、なんでこういう話になったんでしょう。ハハ。

 

バクヒア:とにかく、その部分は非常に重要ですよね。監督もさっきおっしゃっているように、後ろで作業するスタッフを尊重できないとうまくいきませんよね。

 

キムソンウク:この言葉を使っていいのかわかりませんが。たまに文明的じゃないなと思う時があります。マナーがなく、尊重という言葉を知らない人があまりにも多いです。さらにこんな人もいます。我々の会社の末っ子プロデューサーに対して車駐めておいてくれよって車のキーを投げていくような人がいました。そんな姿を見ると本当にとても歯痒かった。でも、そのような状況だったら自分で自分の能力を証明して見せればいいんです。我々のチームが強くなるほど、その人も態度が変わっていきました。相手が強くなれば態度が変わる人をしばしば見ましたよ。強くなるぞと意図的に声に出しながら働くという意味ではないんです。静かに強くなればなりません。そうすれば理解して変わります。それが一番強いパフォーマンスだと思います。決して悲しんだり、自尊心を挫かれる必要はないと思います。後々理解してあなたに頭を下げると思います。

 

バクヒア:本当にオールナイト撮影は全くないんですか?長い間の慣行のように続いてきた事でしょうし、正直信じられないです。

 

キムソンウク:今は本当に、一切やってないんですよ。人としてやるべきじゃないと思ってます、本当に。昔の自分だったらどうかはわからないですが。でも今は家庭があり、子供がいて、家族を世話する時間が必要なのにそれではね... 繰り返され続けるべきことじゃないと思ってます。だからひとまず、僕たちから少しずつ努力しています。

 

バクヒア:10年のキャリアのあるディレクターの重みが感じられる言葉ですね。

 

キムソンウク:ようやく10年も越えれば、自分の力でできることが多くなるんですよね。

 

(〈아이돌메이커〉, 박희아, 안녕출판사より)

 

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確かにGDWの「Happiness」は本当に良い意味でも悪い意味でも話題になった一本でした。このインタビュー内でもCG部分は下請けに出してるとは言ってましたが、テミンのDangerのMVは公開当日の午前ギリギリまでミンヒジン氏&ビジュアルアートチームと一緒に調整したとのことなので、Happinessの例の画像の件はSMのデザイン部署もチェックしただろうし、その時に気づかないのかな...? みたいな疑惑がわいてきましたが... :)

 

徹夜撮影しないというのは演者のためにも良いことだと思うので、全体の慣例になったらいいなと思いました。KドルMVメイキングといえば「今は朝の4時です」みたいなのがおなじみなので。製作チームは徹夜作業なくならないかもしれませんけど...(あるある)

 

GDWはむしろアイドル以外のMV(DOK2、CRUSH、Primary、Beenzinoからイハイやチャンギハなどまで)の方がキャリアがあるんですが、本文ではそちらの方の話もされていました。

 

【idology訳】アイドルメーカー:⑤ デザイナー チャンソンウン

【idology訳】アイドルメーカー:⑤ デザイナー チャンソンウン

 

『すでに人々によく知られているものを、自分の視点を通して新しいものにするんです』

 

byバクヒアon 2017/01/25

http://idology.kr/8358

 

《華やかに輝くアイドル、その背後には自らの分野でこまめに働いてきたもう一人の主人公たちがいる。 彼らは、K-POPの熱風が吹いていた時期でもあった「韓流」という言葉が固有名詞として使われるずっと前から同じ場所にいた。 そして「アイドルメーカー」はもう少し詳しく違う見方や温度で、アイドル産業に入っている「人」の話を入れて見ようと企画された本だ。 7回にわたって本の内容の一部を抜粋して掲載する。 インタビューの全文は「アイドルメーカー」を通じて確認することができる。》


#YG X チャンソンウン

 

『ここは単純に自分の夢を叶えるためだけの場所ではないのだということを悟りました』

 

バクヒア:YGエンターテインメント(以下、YG)には本格的にエンターテインメント会社で働いてみたいというお考えで入社したんですか?

 

チャンソンウン:いいえ。 それは全然なかったんです。 それに、会社に入って働く気も全然なかったんです。 会社生活そのものが嫌いということではなく、自由に働きたいという欲求がありました。 誰もが夢見るロマンじゃないですか。 しかし、人生が計画通りに行かない方が合ってるみたいです。 ロシアに行くつもりでしたけど、それも事情で行けなくなったし。

 

バクヒア:それでは、エンターテインメント会社に入社して新たに悟るようになった点や特別に感じた点があったんじゃないでしょうか。 これまでは外部で作業していた事が、今度は業界の内部状況を近くで見て適応しなければならない状況だったでしょうから。

 

チャンソンウン:実際にYGの中に入って見てみたら、芸能人1人の影響力が私が思っていたよりもはるかに大きいのです。 外でデザインし、コンセプトを作っている時は自分の仕事にだけ焦点をおいていたからそれがどんな事なのかよく分からなかったんですよ。 あまり考えが至っていなかった。 ところが、YGに入ってからは何か感じるものがありました。 ファンたちは雨が降ろうが雪が降ろうがブランケットをかぶって自分が好きなアイドルを待っていて、すべての一挙手一投足を追ってアイドル達の人生を真似したりもしています。 ここは単純に私の夢を叶えるためだけの場所ではないのだと悟りました。 使命感を持って仕事をする人が必要だと思いました。

 

バクヒア:YGでの会社生活そのものはどうでしたか?

 

チャンソンウン:私にとってはYGはとても楽な所でした。 すべてのことを認められて入社しましたし、それだけ待遇もよくしてくださいました。 実際に何よりも一番よかったのは、YGが放牧型会社だったという点でした。 私が自分で内容を認識して仕事ができるようにそのまま任せてくれました。 おかげで任された部分は責任を持って納得いくまでやり遂げる事が出来ました。 そのためか、会社づとめだったにもかかわらずある程度は自由だったと思います。 会社に泊まることもできたし、ご飯もタダだし、運動もできたし…これも良かった事ですね。 ハハ。
すべての条件がよかったのは確かです。 それに、ヤンヒョンソク代表が私がフリーランスの時に受けていた仕事を続けてもいいとおっしゃってくださったんですよ。 もちろん勤務時間内には外部作業はしませんでしたが、一応そうおっしゃってくださったこと自体がありがたかったです。 「うちの仕事をきちんとよくやってくれさえすれば良い」とおっしゃったんです。

 

#パッケージ作業

 

『たくさん歩き回って、見て、聞いてみなくてはいけません』

 

バクヒア:それでは素材や材料はどのように決定しますか。 あまりにも一般的ではないものをたくさん使われましたよね。

 

チャンソンウン:デザインをしていく過程で自然に素材の候補たちが浮かびます。 例えばRainのアルバムを製作した時は、私は「雨」に関連したすべての要素を全部使ってみたかったんです。 雨粒、虹などたくさんありますよね。 だからとてもたくさんの事を考慮しました。 絵で雨のしずくを描くのか、さもなければ本当に水を入れるのか、写真に撮って使うか、印刷効果や構造を通じて表現するかなど…。色々な方法の中でベストを選ぶんです。 この過程を経て完成されたプロトタイプのいくつかを会社と交わして最終案を決定します。

 

バクヒア:結局、デザイナーも現場経験が本当に重要な職業ということですね。

チャンソンウン:はい。 デザイナーが持っていなければならないのはアイデアだけではないです。 AからZまですべてのプロセスを経験してみなければなりません。 現場で印刷担当の方達の話を聞いてみると、足を動かさないで机の上だけで作業するデザイナーたちがとても多いと言っていました。 足で走るなんてアナログ式だというのはその通りです。 でも、人が体で覚えたことは一生記憶していると言うじゃないですか。 デザインも同じです。 若い時、足を使って走り回って材料も直接報告して印刷される過程を見守りながら、自分が画面上で作業したのものが実際にはどうなるのかもチェックしてみなければなりません。

(中略)

 

#アーティストキーワード

 

『YGが持っている全体的なブランドイメージはあります』

 

バクヒア:製作したパッケージでも分かるように、YGはあまりにも個性の強いミュージシャンたちが集まっている場所じゃないですか。 彼らと作業をしながらその個性を一つ一つを生かすために特別に考慮したことがありましたか?

チャンソンウン:YGだけがそうだとは思いません。 もちろん、YGが持っている全体的なブランドイメージはあります。 既存の一緒に仕事をした他の会社と確実に違いがあることはあります。 YGはアイドルやヒップホップでよく知られた会社ですから。 私もYGではそのようなユニークなアイデンティティをデザインに盛り込もうとしました。 また、アイドルとそうでないアーティストたちの間に存在する年齢差があり、そこから始まったイメージの差もあります。 また、デザイナー1人と10年間一緒に働きながら一貫したブランドイメージを構築したという点も特徴です。 でもどこの会社と仕事をしても、作業するときはアーティストごとに持っている固有の雰囲気、会社やアーティストとのつながりを探そうと努力します。 だから実際の作業過程においては全てのアーティストが似たような話なのです。

 

バクヒア:MDの中で一番気に入っているものは何ですか。

 

チャンソンウン:2NE1の…

 

バクヒア:2NE1に愛情が多いようですね。

 

チャンソンウン:アハハ、そういうわけではないです。 MDが特に気に入っているんです。 一つはノートです。 方眼ノートなんですが、よく見ると中にO・Xがあります。 友達を待ったりしていて特にすることがない時なんかに、Oを全部塗ってみるんです。 そうすると2NE1のメンバーのうち1人の顔が完成します。 ドット作品を作る感覚で構想しました。 この方法を活用すれば、どんな歌手の顔でも表現することができます。 ノート系のプラットフォームを作成する必要があると思い、それなりに野心的に作りました。他だと2NE1のトランプです。 これは社員たちみんなで非常に苦労をしました。 いちいち全部手描きで作ったので。

 

#デザインというもの

 

『すでに人々によく知られているものを、自分の視点を通して新しいものにするんです』

バクヒア:先ほど寛大な性格が長所だとおっしゃったでしょう。 ところが、デザインであれ音楽であれ、いわゆる「私はアートをしているの!」という感じの人たちには繊細な部分が多いようで、社会的にそのような固定観念が少しありますが…

 

チャンソンウン:この仕事をしていてこんな考えをしたことがあります。 「音楽をする人たちやデザインする人たちは、大衆の目と耳を楽しませる尊い人たちだ。でも、なんでそんなに敏感なんでしょ?」ハハ。でも自分が経験してみると鋭敏にならざるを得ない理由があったんですね。 一般的な見方で物事を見ることが100と表現するなら、デザイナーはこれを6400倍に拡大して見るんですよ。 人々が見ることもない部分が目に見えるんです。あえて事物をそんな風に見るわけです。 これが両刃の剣です。 ところがそんな過程を毎日繰り返してみるとずっと目が整えられてきて、細密になって、少し綿密になっていきます。 最初は見えなかった間や行間、全体的なバランスなどが見えてくるんです。 別の表現をすると、さわるんです。 それで私は作業をする度に現実で中心を忘れないように、と、常に誓います。 それがデザイナーの人生であると思われます 

 

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チャンソンウンさんは今はYGから独立してMA+CHというデザイン会社を経営されています。
元々はCDジャケットデザインを受けていたデザイン会社の社員でそこからフリーランスになり、ヘッドハンティングされてデザイン室長に就任して時期的に2NE1やBIGBANGメンバーのソロアルバム、PSYなどをイメージコンセプトから担当していたそうです。
アイドルのビジュアルデザイン関係だとKPOPファンの間ではSMのミンヒジンさん(今は理事になられたそうで)が有名かと思いますが、おそらく最初にアイドルのジャケットデザインにアート感覚というか、変わった形や素材のパッケージだったり表ジャケットにメンバーがはっきりわかるような写真をあえて使わないというような今ではおなじみのスタイルをとりいれたのは、2006年前後(BIGBANGデビュー前後)のYGが最初だったのではないかと思います。それゆえにデザイン界では有名な方で海外のデザイン賞も受けられています。

 

去年デザイン関係のインタビュー記事(https://univ20.com/37228)を読みましたが、「デザイナーの仕事はクライアントの証明を第一にする事で、作品の中に自分を残してはいけないと思う。アーティストにはその人だけのシグネチャーがあり、それがアーティストとの違い。でも最近はアーティストとデザイナーの境界は曖昧になってきているし、そこにとらわれないで自由にやっていいと思う」というような事を言っていたのが印象的でした。あくまでアーティストを立ててデザインの中に「我」が出過ぎないようにするタイプのデザイナーさんのようですが、確かにYGはそれぞれの個性が強いアーティストが多いのでそういう方があっているのかもしれません。