サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【週間東亜訳】KPOPではない、BTSポップだ!

【週間東亜訳】KPOPではない、BTSポップだ!


2018.09.16

https://m.news.naver.com/read.nhn?mode=LSD&sid1=103&oid=020&aid=0003169922


相次ぐビルボード席巻後、防弾少年団とARMYの次の「高地」は?

米国の大衆音楽産業の最も権威のある指標、ビルボード。今年防弾少年団(BTS)が二回連続で「ビルボード200」チャートのトップに上がった。 ビルボード200は米国内のアルバム販売量を集計するチャートで、非英語圏アーティストが自国語で2回1位になったのは例のない成果だ。 特に韓国伝統音楽要素を借用した最近のヒット曲「IDOL」はまるで「アジア人がここまで来られないと思ったか?」と威張っているようであるにもかかわらずだ。

 

防弾少年団ビルボードの次の目標にグラミー受賞を挙げる人が多い中、グラミー側でも彼らに関心のジェスチャーを送った。 9月12日、グラミーミュージアムが、防弾少年団を招待して特別イベント「防弾少年団との対話(A Conversation With BTS)」を開催したのだ。 

グラミーは白人男性に焦点を置く保守的な性向の授賞式とされているが、最近は変化の姿が感知される。 グラミーは2016年、ドナルド・トランプ行政部の人種主義的性向に批判の声を出している。 それからわずか数日後、マイノリティ連帯のメッセージを盛り込んだ「Not Today」ミュージックビデオを発表した防弾少年団は米音楽産業が探していたアーティストだった。 

同年ビルボードミュージック・アワード受賞を皮切りに、防弾少年団は気が遠くなるほどその都度記録を更新し、米国市場を破竹の勢いで攻略した。 最近、「クレイジーリッチアジアン」「サーチ」など米国内のアジア人の人生を描いた映画がヒットし、アジア人の人種的な可視性が米国内で大きな流れになっている。 このような傾向は、米国の主流市場に防弾少年団を紹介することにも肯定的な気流として作用している。 

国内メディアも防弾少年団の異例的な成就を連日特筆大書している。 その中心には「K-pop)アーティストがここまで世界で成功するとは思わなかった」という驚異がある。 東アジア大衆音楽が北米市場で説得力を持つためには、女性アーティストが有利というのが2000年代まで通念だった。 すでに2000年前後にアジア地域と欧州の一部地域で韓流が発生し、男性アーティストたちが成功していたが、北米は全く違う「高地」だった。 これは大体において英米圏の「正統」に第3世界が追いつくことができないためだと解釈された。 どうせ米国人と本質的な部分で競うことができなければ、西欧人にとっては東洋男性よりもずっと魅力的とされる東洋女性がより勝算があるという認識が一般的だった。 実際に韓国と日本の女性歌手たちが北米市場進出を意欲的に試みた事例が少なくない。


「米国のポップスとは別のもの」

このような通念に亀裂が入ったのは、2000年代後半からだ。 海外でKPOPをリアルタイムで楽しめるYouTubeという「高速道路」が開通し、海外ファンドムが多く広がってみると、本当に人気があるのは、ボーイズグループだった。 少女時代、Wonder Girlsや2NE1などのガールズグループも人気がなくはなかったが、これらは魅力的な「友達」というイメージが強かった。 海外ファンドムの主流が集中した対象はBIGBANG、B.A.P、EXO、2PMなどだった。 これは結局、KPOPが米国のポップスと「競う」必要がないことを見せてくれたことでもあった。 移民家庭の女性子供とセクシャルマイノリティが中心となった彼らの関心は、米国のポップスを凌駕することがなく、「米国のポップスとは別のもの」にあるためだ。 

防弾少年団はそこからさらに一歩進んで、現地化戦略のあらゆる詳細事項を廃棄した。 現地語に上手く橋渡しの役割をする外国出身メンバー、現地語の歌の参加、現地人が理解しやすいコンテンツと、はなはだしきは発音しやすい名前など、防弾少年団はすべてが反対だった。 メンバー全員が国内出身で、韓国語で歌い、それぞれ出身地域の色を強調したり、教育システム又は住居環境など韓国内の特殊な文脈も歌詞に入れた。 過去の現地化戦略が天動説なら、防弾少年団の戦略は地動説と感じられるほどだ。 海外ファンにとっても有効なアピールは全く異なるものだった。

 

BTSだけが好き」

その一つがコンテンツの叙事性だ。 連作アルバムというフォーマット、自然と人である各メンバーのライフサイクルを基にしたテーマ選定とこれによるコンセプトアルバム、ビルボードミュージックアワードの受賞演説のように現実に起きた事件を再び敍事の中に引き入れたりするなど、すべて動員されている。 今、彼らがセールスするのは、レコードやツアーというよりも寧ろ防弾少年団という長編ドラマに近い。 叙事性の強いコンテンツが海外ファンにアピールするというのは、海外でより大きな反応を得ている近年のDREAMCATHERやLOOΠAからもうかがうことができる点だ。 新曲が出るたびに新たなエピソードを受け取り伏線を解釈していく面白さは、韓国メディアに対する接近性が低い海外のファンたちも全く疎外されない消費方式だ。 

国内のファンにとっては放送と芸能ニュースの支配力が高い。 KPOPアイドルは新曲発表、音楽放送とテレビ番組の出演、芸能ニュース報道、その他のイベントなど、多様なルーツでのファンと出会う。 彼らに比べて海外ファンたちにはツイッターYouTube、V LIVEなどのニューメディアがより重要だ。 また、このようなニューメディアは防弾少年団という豊かなコンテンツをもっと明快に提示してくれる役割もする。 公式音源やプロモーションビデオで鑑賞が集中され、これをソーシャルネットワークサービス(SNS)の活動で補完する。 コンテンツはほとんど所属会社とメンバーらが直接関与する公式的なものとして統制力が強く、鑑賞者としては集中度が高い。 特に物理的に遠距離にある海外のファンたちには、このような方式がより有効であったのだ。 

一方、防弾少年団の歌が聞かせてくれる率直な自己告白と真正性は、KPOPファンドムがいつも望んでやまない部分だった。 KPOPの完璧な造形美に熱狂しながらも、それが「人工物」または「フェイク」だと考える認識はいつも心にひっかかる部分だった。 国内ファンはこのようなすっきりしない部分を克服することができる。 スターと近くで接し、実在感を経験するためだ。 しかし、海外のファンは事情が違う。 彼らにとって防弾少年団は、造形美と真実性を備えたソリューションに迫るのだ。その結果は、海外ファンドムの構造の変化として如実に表れている。 様々なアーティストを同時に好きなのが一般的だったが、今は防弾少年団だけが好きなファンとその他に再編されている。 KPOPファンドムで防弾少年団という解答を見つけた人であるなら、他のアーティストを好きでいながらも感じるすっきりしないことにもはや耐えることができないからだ。 「防弾少年団はKPOPではなく、BTS-POP」という主張もこれと無縁ではない。 

これまで世界のポップス地図で、韓国は一種の宗主国の役割を果たしていた。 海外でもっと人気のあるアーティストが時折いるが...という程度に限界があった。 海外のファンたちも国内での人気度を意識してきたからだ。 これは国内で人気がないためにキャリアが続かないとか、国内ファンから「気がきかない」というようなアドバイスを受けるなどの経験から始まったものだ。 しかし、海外ファンドムは地道に独自の趣向集団として進化してきた。 最近はDREAMCATHER、LOOΠA、Stray Kids、KARDなど、海外の反応がもっと熱いアーティストが続々と登場している。 このような現象は、防弾少年団以降さらに加速化するしかない。 国内ではそれほど関心が得られなかったキャリア序盤から防弾少年団を圧倒的に支持してきたのは海外ファンドムであり、それが爆発力を得て北米市場で大きな成果を出した後、国内に「逆輸入」されたためだ。これからはKPOPという産業において、韓国市場の数字はその重要性が低くなるのだろう。当面は国内で認知度とは別に、海外でセールスするKPOPアーティストが増えるだりう。究極的には国内市場と無関係ないわば「脱KPOPアーティスト」の登場が期待される。


米音楽界、ARMYの自発的行動力に'驚嘆'

その反面、韓国は依然としてKPOPの文化的ヘゲモニーだ。 防弾少年団とともに最も多く呼ばれている名前、彼らのファンドムARMYがこれを裏付けている。 防弾少年団が一つのドラマであるなら、ARMYは「参加する文化」だ。 ビルボードに到達してから話題となり、海外ではARMYの活動に鋭い関心を示す。 「BTSを100%楽しむためには、ARMYの一員になってダンスと歌を真似してスローガンを叫んでオンライン投票もやってみろ」といういう感じだ。いわば防弾少年団が一種の体験型のコンテンツのように考えられることもある。

このすべては韓国流のファン文化だ。 米国のポップスが経験しなかった文化だ。 英米圏ではあらゆるアーティストのファン集団の名前が大衆によって自然につけられている。 ジャスティン・ビーバーのファンドムである「ビリーバー」、One Directionのファンドム「ディレクショナー」などがそうだ。 一方、KPOPでは所属プロダクションとアーティストによって命名されるのがファンドムだ。 彼らは、同じアーティストを好きで同様の性格を持った集団ではない。 「名づけられた」存在、アーティストと「縁」という感覚を感じる存在だ。 これは英米のポップスと区別されるポップ文化特有の感性でもある。 アーティストの成功を念願して自分を献身するようにする原動力であり、膨大な人員の集団行動へと具体化される。

音楽やミュージックビデオの再生回数、彼らが言及されるすべての投票に乗り出すのは基本だ。 ARMYは多方面で彼らをそれこそ「サポート」する。 PSYの「カンナムスタイル」(2012)と最も差別化される部分でもある。 PSYは一般大衆の間で歌が話題を集めてヒットしたため、運も大きく作用した。 一方、ファンドムの力でチャートを打って値上がりした防弾少年団は人の努力によって果たされた成功であるため、パンシヒョクビッグヒット・エンターテインメント代表が言うように「モデルとしても有効になる」。米音楽産業界がARMYの自発的な行動力に驚嘆して注目する理由でもある。 

ところが、ファンドムに向けられる視線は国内と根本的に違わない。 ファンドムに関する研究論文の多くは、ファンたちがアーティストの広報を遂行することに焦点を置いている。 言い換えれば、所属会社の資源と労働力が入るべき業務をファンが「自発的に」することで発生する経済効果に注目しているのだ。 似たような見方がアメリカの音楽産業界にもある。 軽いものではSNSで何の意味もなくARMYを呼称して関心を誘導する場合があり、それほど意味のない人気投票を作ってARMYのクリック数を受けている。甚だしい場合には、芸能メディアや音楽記者が自分たちが何かの賞候補に上がると、ARMYに投票をお願いするケースさえある。

もちろん、ほとんどの関係者はARMYの力やARMYと防弾少年団の格別な絆に惜しみない尊重を表明する。 しかし、ARMYの経済的価値を利用しようとする彼らの存在は、米音楽産業と韓国のファンドム文化の間をただ純粋に眺めてばかりはないようだ。初めての出会いのピンク色の気流の中でどんな力学が発生するのか、見守る必要がある。 

逆風の恐れもある。 国内でアイドルファンたちは、長い間否定的な視線を受けてきた。 「若い女性の好み」に対する非難は、程度の差はあるものの多くの文化圏で共通的に発見されている。 今はまだ肯定の視線が支配的だが、少女たちの集団行動という現象を目の上のこぶとみなす彼らはいつでも出現することができる。 すでに米国有力紙でも「FAKE LOVE」のステージをレビューし、「堂々とフェイクの愛と歌うが、それでもいいと歓呼するファン」と皮肉られてもいる。防弾少年団は「Love Yourself(自分を愛しなさい)」キャンペーンを展開したり、ファンもこれに応えてARMYの「火力」を慈善募金などの善行に利用することもある。 また、最近では防弾少年団の空港の入国場では、ファンが秩序維持とアーティストの保護に向けて紐で安全線を作るキャンペーンを繰り広げたりもする。 このように、アイドルグループやファンドムについて認識改善が行われ得る事例も積もっている。 しかし、依然として熱いファンドムは熱い逆風を受けやすい。 防弾少年団とARMYがこの気流の中でどのような均衡点を探していくかは慎重に見守るべきことだ。


健康的で楽しいファンドムの文化に向かって

アルバム「Love Yourself結'Answer’」はビルボード200 で1位から8位に、タイトル曲「IDOL」はビルボードHOT100の11位から81位に落ちた。アルバムが曲よりも売れるという点や発売初期に集中することは、典型的な「ファンドム主導型」の成績ともいえる。 防弾少年団の力がファンドムであるならば、その限界もファンドムの大きさであるわけだ。 失望したり馬鹿にすることは全くない。 まだ米国のメジャー市場の一般人を対象に定着することはできなかったという意味であり、これは自然と防弾少年団とARMYが眺めている次の目標であろう。 


国内外のマスコミが見る防弾少年団に対する興味は、やはり成績に焦点が合わさざるを得ない。 彼らが建てた金字塔と成功の原因、経済的価値のようなものだ。 残念だが、それがメディアの摂理だ。 懸念されることは、このような世論がファンドムの目標指向性をさらに刺激しないかという点だ。 特に韓国メディアの無関心に長く苦しめられた韓国のファンらは、補償心理を大きく感じていそうだ。 また、これと同時に国内で活動時間が少ない事についての欠乏感とこれによる疲労を訴える現象も現れている。 成績表と数字の後ろで注目しなければならないもう一つのテーマは、どのように健康で楽しいファンドムの文化を作っていくのかということだ。 努力と献身を要求する韓国式ファンドムの文化を出発点としてこれだけ離れて来た時、防弾少年団がKPOPに輸入した革新をファンドムの文化でも目にすることになるのだろうか。 その答えも防弾少年団とARMYは一緒に作っていくことになるだろう。


ミミョウ(idology編集長)

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「健康で楽しいファンドム文化」って、今現在防弾少年団とARMYから一番遠い言葉では...ここにきて共依存的不健康な関係性しか感じなくなってきてますね。少なくともARMYと防弾少年団が答えを作ることは絶対に無理だよ〜(震)

(個人の感想です)


アイドルの名前で募金するのはどこのファンドムも昔からやってるし、空港で迷惑かけないとか人として最低限の事ができてないのができるようになったところで...と日本のファンとしては思うだけですが。逆風も女子供の趣味だからというより、同じアイドルファン同士でというも多いのでは。

(南米に8万人規模のアンチ防弾団体があるっていう都市伝説みたいな話がもうあるらしい)

しかしこれはある意味究極のファンドム依存型ビジネス成功例と言えるかもしれないと思いました。すごいけど怖いですね。ファンドム内のマジョリティになれないファンは弾き飛ばされそう。