サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【ize訳】The Unit vs MIXNINE│①こちらにつきなさい

【ize訳】The Unit vs MIXNINE│①こちらにつきなさい

 

2017.11.07
http://m.ize.co.kr/view.html?no=2017110700217279475


「YGが参加することがこのプログラムが他と違うところだ(OSEN)」
最近放映を開始したJTBC「MIXNINE」の製作者ヤンヒョンソク・YGエンターテインメント代表はKBS「The Unit」との比較についてこう語った。 両番組はすべての多くのプロダクションのアイドルを集めて新たにデビューさせるオーディション番組だ。 この2年間音楽産業全体を揺るがしたMnet「プロデュース101」の成功以降、他の企画会社と放送局が同様のプログラムに向けた挑戦に乗り出した。 「MIXNINE」は「プロデュース101」ファーストシーズンの演出だったハンドンチョルPDが演出する。 そしてヤンヒョンソク代表は、相次いで出ているアイドルオーディション番組との差別化としてYG、より正確には自分自身を挙げた。 これは今のアイドルオーディション番組が何なのかを示す象徴的な場面だ。

 

「プロデュース101」を通じて結成されたガールズユニットI.O.IとボーイズグループWANNA ONEは大きな人気を得た。 従来のオーディション番組の目標が放送中の視聴率と話題性だったとしたら、「プロデュース101」は放送中の人気がデビュー後にもつながりかねない可能性を示した。 オーディション番組が巨大なフリーデビューショーになったわけだ。 制作発表会で「BIGBANGや防弾少年団を超えるファンダムをMIXNINEを通じて逆転したい気持ちもある」述べたハンドンチョルPDの発言は、「MIXNINE」の核心がどこあるのかを示している。 そしてデビューするアイドルグループには資本と企画力が必要なのはもちろんだ。 ヤンヒョンソク代表がYGエンターテインメントを差別性の根拠にした理由である。 「プロデュース101」のプロデューサーで、JTBCが放送をして、YGエンターテインメントがデビュー後の資本と企画力を出す。 それでも成功するかは分からないが、普通のグループよりは成功確率は高まるだろう。「MIXNINE」初回に登場した企画会社YAM&HOTCHICSのベユンチョン代表は「資金が足りない」と涙を流したりもした。 このような状況の企画会社にとって「プロデュース101」や「MIXNINE」は資本、企画、メディアを一度に解決できる方法でもある。 「The Unit」もデビューの経験があったアイドルたちがKBSを通じて再び自分の名前を知らせ、デビューする機会を得る。 「The Unit」と「MIXNINE」中小事務所、その中でも「小」に該当する企画社たちがアイドルグループを直接製作することより自発的に大きな企画会社とメディアの力を借りるのが当たり前と思い始めたということを示している。

 

多人数のアイドルグループを制作するのは他の歌手たちよりもっと多くの費用がかかり、踊り、ラップ、歌、更に演技や外国語まで教えなければならないという点でもっと長いトレーニング期間が必要である。 しかし、それにもかかわらず「The Unit」に出演したユナキムとイスジが所属していたガールズグループThe Arkのようにデビュー2ヵ月で解体されるケースもある。 「The Unit」と「MIXNINE」とはこのような問題を提示しながら、彼らにとってオーディション番組が必要な理由とともに企画会社にはリスクを減らそうという信号を送る。 ヤンヒョンソク代表は「海外基盤が良いので、ワールドツアーをできるようなグループになったら良いかもしれない」と話した。 運営するグループの海外進出に自信があるからこそ、ここに合流するようにというメッセージだと理解しても無理はないだろう。「The Unit」のハンギョンチョンCPとパクジヨンPDが「一度どこかで傷受けた人々がこのプログラムを通じて、治癒を受ける過程を感じて欲しい」と言ったことも、KBSが名前すら知らせなかったグループにとって大きなチャンスを与える可能性があるという意味でもある。

 

しかし、両番組に参加した瞬間、それぞれの所属事務所と出演者は事実上できることが何もない。 「MIXNINE」でヤンヒョンソクがあるガールズグループを見て審査中で柔和な態度を見せた時、一緒に審査を見ていたラッパーCLに「社長、お好きなタイプですか。さっきとあまりにも違ったんじゃないですか」とつっこまれたりしている。「MIXNINE」の最初のオーディションは完全にヤンヒョンソク代表の好みによって決定される。 どんなに多くの研究生が参加しても、彼の判断によって一人も選択されない可能性もある。 場合によってはいわゆる「悪魔の編集」によっての所属演習生の実力やイメージが悪い反応を得る可能性もある。しかし、そもそもヤンヒョンソク代表がこのプログラムのアイデンティティである「MIXNINE」においてこれに不満を提起することはできない。 練習生だけでなく、企画会社も更に大きな企画会社の代表からオーディションを受けるようになったわけだ。 6人の審査委員が出演者を評価する「The Unit」は相対的により客観的な装置を設置している。 6人の審査委員が投票をする前にも観客たちに票をたくさんもらったらすぐに合格することができる。 しかし、アイドルを「リブート(再点火)」させるというプログラムの名分らしく、デビューの経験がある出演者たちは審査のために自分の歌ではなく他のアイドルたちのヒット曲を歌っている。 また、芸能人ミナのボーイフレンドであるフィリップのように事情がある出演者によりスポットライトが行くのは避けられない。 自分が活動しながら作ってきたキャラクターや所属事務所の企画が反映されたステージは不可能だ。 企画会社から出演者を確保するアイドルオーディション番組が増えるということは、大多数の会社がもはや練習生をある程度トレーニングしてオーディション番組に送り出す役割だけにとどまる可能性が高いという意味だ。

この新しい環境で、企画会社たちは未だにどのような立場を取るべきか混乱している。 プロデューサーA氏は「オーディション番組が持つ話題性を無視できなくなり、子供たちを出さざるを得ない」と言いながらも、「従来私たちが持っていこうとしていた方向性は使えなくなった」と話した。 グループとしてのアイデンティティを掲げた企画で着実にファンを増やそうとしたが、彼の言葉通り「一度死んだ」ということだ。 また、関係者B氏は「参加者たちが見せる姿があまりに『生々しい姿』に近すぎる。私たちがあえてアイドルたちを参加させようとしない理由だ」と話した。 「プロデュース101」のように大きな成功を収めたプログラムであれば出演だけでも利益だが、そうでなければイメージを消費された状況で再びデビューを準備しなければならない。 「長い間一つのグループ作るために一生懸命企画したんですが、きちんと試みもされずに一見で終わるのを見ると悔しい」というアイドル産業の関係者の言葉は誇張ではないだろう。 「MIXNINE」と「The Unit」の登場は多くの「小」企画会社にリスクを減らすことができるという提案をするが、これらの番組が定着すればするほど、小さな会社は番組出演のほかにできることが減らざるを得ない。

 

トレーニング〜企画〜デビューという従来の方式の代わりに、オーディション番組出演で成功するかどうかが産業の新しいシステムとして登場した。 直接何かをすることが可能なスタイルは段々とさらに減っていき、代わりにオーディション番組を制作する放送局と、大手事務所の資本と企画力を信じなければならない。 放送局と肩を並べるほどではなければ、いくらトレーニングをさせて企画をうまくやっても何もできないかもしれない時代がきた。 その間誰かはメディアと結合したり、「プロデュース101」以降のNU'EST のように鋭敏な選択で成長することもできる。 一方、大手企画会社ではなかったりNU'ESTのようになれなかった多くの会社は、練習生たちがデビューすらできないまま消える可能性もある。 アイドルグループが音楽産業の最も大きな市場に定着してから20余年ぶりに、一番大きい変化の時期がきている。 そして多分、かなり多くの彼らにとっては以前よりも更に大変な氷河期になるだろう。

 

文 パクヒア
校正 キムヨンジン