サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【ファーストメディア訳】アイドル話⑦「エンタメスタッフ」として生きること

【ファーストメディア訳】アイドル話⑦「エンタメスタッフ」として生きること

 

2017年5月5日16:12 パクヒア

 

アイドル話
韓国にはすでに数百人にのぼるアイドルがいる。 全体人口数に比べるといくらもない数字だが、社会的に彼らが占める割合は様々な面で少なくない状況だ。そして大多数の人々は気楽に軽い気持ちで彼らを消費するが、見えない裏には気を使っている色々な話が見え隠れしている。 そこでアイドルたちが成功の軌道に進入するためどのような熾烈な努力を傾けていて、その過程でいかなる心理的苦痛を経験しているのか、また、どのような悩みをするのかなど、関係者らの言葉と素朴な経験を借りて何度か記録を残してみようと思う。


http://www.thefirstmedia.net/news/articleView.html?idxno=34708


芸能事務所のスタッフたちが経験する苦情についてはすでに何度も話が出たことがあります。 最近は企業評価サイトに掲載されたいくつかの芸能事務所たちに対する評価がSNS上で大きく話題になったりもしました。 業界の特性上、上辺では華やかに見えるが、それがそのままスタッフ自らの名誉や富と直結するわけではないという内容でした。

芸能事務所のスタッフたちは毎日焦燥した中で会社生活を続けて行きます。 最近は1年365日が「活動期」に他ならないからです。 特にアーティストが多数所属している会社なら、一つのグループが活動を終えた瞬間、また他のグループが活動を開始したりします。 同時に数グループが活動する場合もあります。 前者であれ後者であれ、仕事が絶えず動き続けて休む暇がありません。

さらに、シングル、ミニアルバム、レギュラーアルバム、ミックステープに至るまで、アーティストが音源を発表するやり方も非常に多様化しました。 また、オフラインで正式活動を終えてもSNSやその他のインタビュー、番組の撮影などを通じて顔を知らせる必要があります。 ツアー公演にすぐ取り組むべき場合もあります。 空白期を長く持っていれば他のアイドルグループにファンを奪われることもあるために、カムバック周期も短くなりました。

こういうわけで、スタッフたちは毎日のように他のグループと差別化する何かを捜し求めるために忙しいです。 他のグループのチェックも絶えずしなければならず、かぶってしまうものはないのかを細かくチェックしていき、次のコンセプトの準備も怠ることができません。

 

#嵐のようなカムバックシーズン

カムバックを前にすると緊張感で会社内はさらに忙しいです。 真夜中にティーザーを公開する場合にはその後で何時間にもわたってファンの反応を見てから初めて帰宅の準備をしたりもします。 ファンが不満を提起でもしたら、しばらくは殺到する罵詈雑言を見ながらも最後まで耐えなければなりません。

「在宅勤務でチェックする場合もあります。 しかし、どうせしなければならない仕事と仕事が終わる時間が決まっていないので、できるならそのまま会社にいます。 ティーザーを公開してからSNSをずっと見て、次の朝に会議で発表しなければならない内容を整理していたら早朝の二時、三時です。 そのくらい時間に帰宅するのが思ったより多い方です。 ところが、そこに不満や非難の言葉まで見続けるのは精神的にとてもきついです。」
(関係者A)

ただし、職種によって忙しい時期と類型には少しずつ違いがあります。 マネジメント部門と広報部門、経営部門など各部署によって引き受けている仕事が違いますからね。 しかし、どこの会社でもカムバックの前後にすべてのスタッフがアイドルに劣らず膨大な量のスケジュールを消化するのは事実です。

「重要な打ち合わせのためにご飯を食べるときもノートパソコンを持っていかなければならない場合があります。 会議もまともに終えなければならないが、約束の時間の30分前、ひどい時は10分前に所属芸能人らに急に仕事が入る場合もあるんですよ。 いきなり上層部が急な仕事をさせる時も多くて、ずっとまともに考えられる時間がないと思ったほうがいいです。 一度に一つのことを処理できる場合がほとんどありません。」
(関係者B)

このスケジュールと少し違った動きをする部署があるとしたら、練習生のキャスティングやトレーニングを担当している場所(通常は新人開発チーム)です。 状況によって支援人材が派遣されたりしますが、基本的には既存のアーティストの活動の日程に付属したスケジュールがないために若干違いがあります。 例えば、他のスタッフが一般サラリーマンたちのように週末に休むとしたら(残業がないという仮定の下で!)、トレーニングチームのスタッフたちは逆に平日に休む場合が一般的です。 練習生のレッスンスケジュールは週末に多く入るからです。

 

#不足している?時間とお金


アイドル芸能事務所で働く上で最も大変な点は何なのかと聞きました。 インタビューを受けた方の大半が余暇時間をきちんと楽しむことができないという点と、金銭的な困難を挙げました。

「自分の時間がないんです。 自分の人生がないということ。だから私は周囲にエンターテイメント業界で働きたいという人がいたら、手遅れになる前に自分の人生を捜し求めて外を見ろと冗談のように話しています。 ハハ。」
(関係者C)

「お金が問題です。 若い頃アルバイトで得たものよりはるかに少ない収入ですが、時間は昼夜を問わずにフルタイムで働かなければならない。 私は自活していますが、あまりにも給料が少ないため、引き続きカードの泥沼から脱することができない状況で生きてきました。 病院へ行く時間もありませんが、ずっと通院するにはお金がなくて行きにくい場合も多いです。」
(関係者D)

昨年アイドル業界関係者インタビュー集「IDOLMAKER」を進めながら最も印象深く迫った部分があります。 ボーカルトレーナーキムソンウン氏が言った言葉です。 彼女はアイドルトレーニングの過程では本来家庭と学校でしなければならない社会化トレーニングもしなければならない為に、トレーナーたち自身も必死で責任感を持たなければならないとしていました。 しかし、多くの子どもたちに会って授業に熱中するほど、反対に自分の人生がなくなっていくのが虚しいと。

「自分がアーティストとして持つことができなかったものをトレーナーとして感じる生きがいで埋めていたんですよ。 (中略)子供たちが一つずつ良くなって歌手となっていく事がすごく嬉しくて、自負心もあります。 また、子供たちがデビューしてからも誰よりも頼もしく支えてくれる存在、社会生活で大変な事があればいつでも来られる先輩のような役割をしながら、感情的な交流が行われるじゃないですか。 今まではそんなことだけでも十分幸せだったのですが、同じような事がもっと必要になったんです。」(「IDOLMAKER」43p)

キムソンウンさんがおっしゃる「同じような事」というのは自分の作品に対する情熱でした。 忙しいスケジュール、練習生たちを中心に帰って行く自分の日常にたびたびむなしさを感じますが、それよりもっと残念な点は、ボーカリストとして本人がやりたいことを十分に果たせるような時間がないという点だとおっしゃいました。 もちろん、キムソンウン氏はボーカルトレーナーであり、特定のプロダクションに所属されている方ではありません。 しかし、芸能事務所の内部スタッフも結局は本質的に同じ悩みを持っています。 具体的な状況と業務形態が違うだけです。 彼らの人生を気使いながらも、いざ自分自身の人生はきちんと得られていないという考えをする時があるそうです。

「ステージに上がっているアイドルたちを見ながらも、ある瞬間に『自分』が何をしているのかわからなくなる」と話すスタッフがいました。 普段は余暇さえまともに楽しむのが難しいほど多くの仕事をしているが、いざ自分に残るのものは何なのかと考えようになるのでしょう。 今の困難が本当に「自分」の為なのか疑問になると言っていました。 ここに低い賃金まで不満に感じられたら結局、仕事をやめる事になるのでしょう。

一方、実際のプロジェクトを進行する際に生じる困難について吐露するスタッフもいました。

「本当に徹夜で企画して、難しいコンファームも受けて撮影がまさに進行すれば出来上がる状況だったんですよ。 ところが部署同士の協力がうまくいかず、子どもたちも『撮影しないのかな』と。 企画段階で言ってくれればよかったのに、全部の準備が終わった段階でこのような状況になったので、本当に腹が立ちました。」
(関係者E)

「自分が出したアイデアが会社内部で問題が生じて失敗に終わったんですが、それをしばらく後で他のアイドルグループが使って成功したんです。 あれは辛かったです。」
(関係者F)

 

部署が異なるスタッフ間の問題というのは一般の会社でもよく発生します。 しかし、コンテンツの主人公が「魂のない物」ではなく、「自意識がある人間」であるという点が違います。 コンテンツを企画することはスタッフの役目ですが、アイドルたちが核心的な役割を遂行しなければならないために、意見が合わないと仕事が白紙化されることもあります。 また、芸能業界の特性上多くの部分をスタッフ個々人の感覚に依存している為、適切なマーケティングタイミングを逃すと予想よりさらに残念な結果を受け取ったりもします。

#どうして引き続き「エンタメスタッフ」をするのでしょう?

このように様々な特殊な状況に耐えながらも、仕事を続けている理由を聞きました。

「子供たちがうまくいけば気持ちが良いです。 1位なら良いのは当然で、そうなれば会社の雰囲気も自然に明るくなります。 明け方まで会社で働いていても、子供たちが通り過ぎながら、『ご苦労様です。 ありがとうございます』と言ってくれればやり甲斐が感じられますね。 そして新人のころから『私たち一緒に頑張って成功しよう!』とお互い応援してきて本当にうまくいけば、その喜びがあります。」
(関係者A)

「音楽好きな人たちに大きな満足を与えことができる職場です。 そして、会社が有名なら周りの人たちの間で「この会社で働いてるの?すごい芸能人と働くんだ」という話を聞くこともあります。 若い時にしてみるべき価値はあります。」
(関係者C)

中には目に見えて現実的な理由を持つ方たちもいました。 冗談半分、本気半分で漏らした本音だと思いました。

「部屋の家賃を払うお金が急いで必要だから? ハハ。本当にそれが理由のようですけど。 でも、当然仕事から得るものが面白いからやめないというのも大きいですね。 私の場合、メンバーたちと会社を連結する役割をしているのでコミュニケーションが完璧に成功した時に達成感があります。」
(関係者D)

「この業界で働いていると、周辺には羨望する人が半分、無視する人が半分です。羨望する人には『自分はこれだけやっている』ということを見せなければいけないし、無視する人には意地でも耐え抜いている姿を見せなければならないと思うんです。個人的にはスーツを着て働くことに自信がないので、服装の点が楽です。」
(関係者F)


大変な状況でも「エンタメスタッフ」達だけが感じられる喜びとやりがいがあります。 自分には直接的にスポットライトが当たるわけではないが、高いアルバム販売量と年末の授賞式の成績を合わせた時に感じる快感は言葉で説明できないほど大きいと言います。 私もその話をしながら目を輝かせ方たちを素敵だと思いました。 しかし、包装紙をむけば、思ったよりも涙ぐましい日常が明るみに出ますね。

 

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ここでいうエンタメスタッフとはもちろんいわゆる事務だけでなく、制作に関わるミュージシャンやコレオグラファー、ダンスの先生なども含まれるんでしょうね。昔アーティストとして事務所に所属していた人が後にスタッフの転ずる例も多いですし。

 

以前古家さんが雑誌のコラムで書いていましたが、韓国は日本に比べてマネージャーが頻繁に変わる事がとても多くて、ほとんどが仕事がとても大変な割に給料も休みも少ないからだそうです。自分の意思としてはやりたくても体がついていかないとか。

確かにマネージャーというのは常にアイドルに帯同する上に担当のアーティストのスケジュールがない間も会社マネージメント業務があるので、相当大変だろうなあと。しかも韓国のアイドルは売れっ子ほど海外スケジュールが多かったり寮で共同生活をしていて同性の場合は一緒に住みこむパターンが殆どなので、自分の時間はほとんどなさそうですね...