【idology訳】
アイドル × hiphop ⑥ [対談]ロボトミー x ハバククx igology(2)
by Editor on 2014/08/17
BIGBANG:ヒップホップアイドル VS YGアイドル
ハバクク:BIGBANGは、初期 - 中期 - 後期に分けることができる。初期はまだ「俺たちはヒップホップ」という感じがあった、おそろいの服を着ていた時代。中期は「嘘」 - 「最後の挨拶」 - 「ハルハル」でストリートファッションで押し通していた時代。後期はメンバー一人一人のソロ活動が目立つ時代。
ロボトミー:テヤンがコーンロウをしていた時代 - ハイトップスニーカーを履いていた時代 - GDがランボルギーニに乗っている現在。
微妙:初期と中期には時期的に非常に近いね。
ハバクク:最初のシングルがリリースされたのが2006年8月で、「嘘」が出たのが2007年8月だ。
ロボトミー:その期間中に「This Love」とか「Dirty Cash」なんて曲もたくさん出した。
ハバクク:個人的には当時のYGは言葉はサイレントだが、やっていることはよく分からない一種の暗黒時代と思われていたような感じだ。BIGBANGというヒップホップグループが出てきてMAROON5の曲を歌うんだ、こんなに風に見られた時期だった。
微妙:たぶんデビューさせてみたけど路線変更が必要だったんじゃないかな?アイドル的なポテンシャルを生かす方向としては、いくつかのレイアウトで行かざるを得なかったとか。
ロボトミー:韓国音楽市場自体にも答えがなかった時代ですし。だからマイナーなヒップホップ〜R&Bをやる事は本当に大変だっただろう。
ハバクク:でもBIGBANGが初めてメンバーを採用した時から何か考えがあるのだろうかと思っていた。グループが5人でボーカルが3人で、ラッパーが2人だけど、そのうちの1人はボーカルもしばしば担当している。結成した当初からヒップホップベースで行こうとしたとは思わない。 「嘘」のような曲はラップパートがはるかに長くボーカルパートは短いのに、それを3人のボーカルで分割している。
キムヨンデ:アイドルがラップをするのは新しくないけど、YGの立場では「俺たちがやればそれが正解だ」というマインドがあるようで、個人的には「ヒップホップアイドル」よりは「差別化されたアイドル」を作り上げようとしたという感じがする。そのツールとして本人がよく「わかっている」ヒップホップとブラックミュージック、そしてその中心には全てのスキルがあって商業性まで備えたGDがいるんだろう。キープシックスから1TYMへ、再び1TYMへ行ってBIGBANGへと変化した過程となる。
微妙:今の話は、ヒップホップの世界というのが音楽スタイルとプラスαがあるとしたときに、その「プラスαの残り」の部分のヒップホップをももたらしたグループとしてBIGBANGが設定されたと見ることも可能だろうか?
ハバクク:何気なく作った「嘘」が大ヒットしてしまい、その次は制御できない状況になってしまったのではないかという気もするけど(笑)
キムヨンデ:もしかしたらヒップホップに方向設定をしていたかもしれないけど「嘘」がヒットした瞬間「これだ」と思ったのかも。アイドルというのはジャンル的リアリティの可変性というのが特徴だ。 「私たちはジャンル的リアリティがないのではなく"新しい試み"をしたのだ」、「EDMと私たちのお気に入りのヒップホップ・サウンドを"私たちだけの方式"で組み合わせた」こんなのが多くないだろうか。
微妙:一つの話でコミックスも出してアニメ、ゲームも出して関連商品も作るみたいな事かな。
ハバクク:ソテジは元々ロックベースだったけど、ダンスミュージックで人気が上がってその後ふたたびロックをしたようなものじゃないか。 G-DRAGONもそのような感覚が少しあるかもしれない。
キムヨンデ:例えばヒップホップを掲げてデビューしたけどEDMが人気が出たから方向転換して、再び市場がヒップホップに優しくなるとヒップホップに戻ってきて、自分たちは「元からヒップホップだった」というような事が可能だ。
ハバクク:G-DRAGONとソテジの感覚に差があるとしたら、ソテジはその後継続しロックベースに行ったけど、それでもGDは自分がアイドルであることをよく自覚しているようだ。エゴトリップもしたけど、「僕たちのファンウチュチュ〜」する曲も歌ってバラードもして、ロックもして。
微妙:ソテジは昔のメタル世代らしく、鮭の回帰願望のようなものもあったんじゃないかと思う。
ハバクク:今回GDが「ピタカゲ」を歌っている姿を見ても、ロックをしたいと思っているというよりはロックスターのコスプレをしたいのかなという雰囲気が多くあった。
ロボトミー:BIGBANGでなくソロでワールドツアーに戻ってみたら、「あ、フィナーレに手を上げて走る曲がなきゃいけないな」という感じで考えた結果という感じかな?
キムヨンデ:もしもヒップホップが完全にダメになっていた場合は、今のYGがどのようになったのかちょっと気にはなる。
微妙:アイドルというのは基本的に他の世界に憧れる存在だから、ヒップホップが韓国で生まれたものではなかったために「第1世界」(欧米)がロマンの中心にあるのは仕方ない部分もあるようだ。
キムヨンデ:アイドルというのは基本的に、まるで私たちがしたいことをしているかのように見せる技術だけど、YGのヒップホップというのはそのような面でメリットがあるのではないかと思う。 YGという集団レベルで常に追求する方向だから、アイドルということにリアリティが重ねられるのだ。実際には企画されたものだとしても、その企画が本人の興味や根っこの部分を逸脱しないから。GDはその一種のパラメータになるだろうし。
G-DRAGON:統制権を握ったアーティスト
ハバクク:私はその確かな分岐点となるのが「One of a Kind」だと思う。ソロ1集だけでも「Heartbreaker」を歌った。 2集では他のタイトルが支えてくれるし「One of a Kind」と歌ってもいいだろうという自信があったんだと思う。
微妙:「Heartbreaker」がBIGBANGの「嘘」のようなものだったのだろうか?
ハバクク:個人的には「Heartbreaker」は確実にヒットを狙って作った曲だと思う。そして影響があるのかは分からないが、1集と2集の間にBIGBANGが再契約をした。GD 1集は一時期BIGBANGより多く売れた。ヤン・ヒョンソク代表が直接公の場で明らかにした事実だ。さらにBIGBANGの再契約とYGの上場、両方とも2011年だ。スターを持っていれば、上場した会社の立場では特に良いカードを1つ持っているということだから。
微妙:つまり再契約時にGDがやりたい事ができる面が強くなったという話なのかな?
ハバクク:今のGDは本当にすごい。バランス感覚もあるので事前公開曲で「One of a Kind」を出し、その後は「그 XX」で活動したのだろう。特に、「One of a Kind」はその年<rhythmer>で「今年のヒップホップシングル」に選ばれた曲である。 YGを批判していたヒップホップファンまでもが口を閉じた。完成度も高く、ミュージックビデオの「カッコつけ」もお遊びではなく「私たちはお金もあって実力もあって、他の人は真似もできないようなレベルのヒップホップ曲をいくらでも出すことができる」こんな感じだ。GDはアイドルのポジションを逸脱する事なくカニエ(Kanye West)のような存在になるのではないかと思う。
微妙:それでも、すべての意思決定をひとりでしているわけではないかもしれない。専門家のインフラが整ったところだから、干渉は受けず諮問は受けるシステムである可能性が高いだろう。
キムヨンデ:YGという会社全体で見れば、GDの存在は、所属歌手が音楽的な統制力を備えていること・それが機会に応じていつでも発揮されていることを誇示するための手段になることもできる。それが他の事務所との大きな違いだろうし。
微妙:米国でティーンアイドル出身者が、それでもある程度の制御を握るシステムを取得した感じにもなる。音楽も本土、システムも本土..のような感じ?
キムヨンデ:だからGDの場合は、アイドルというシステムの中で統制権を握ったミュージシャンを育てたのだ。 「とにかく、私たちの中で解決する」は、YGのユニークなマインドだと思う。たとえクオリティが特A級の品は出ないとしても、他の作曲家の名前が押された曲とGD・TEDDYの名前がちりばめられた曲ではインパクトが異なる場合があると見ているのではないか。
微妙:BIGBANGも初期にはまだ勇敢な兄弟やChoice37のような人々が横で手伝ってくれたが、今では実力も多く成長したと見ることができるだろう。
ハバクク:特に大きな成功を収めたアイドルは、音楽で国内だけでなく海外も考慮することがあるのではないか。 GDは国内向けとして出す曲もあるが、一応海外での自分の見られ方というものを意識しているのだと思う。
キムヨンデ:例えばウィル・アイ・アムを使いたい時も、ウィル・アイ・アムが「いつもGDの曲が好きだった」こんな感じになるという。
ハバクク:ジヌションがMobb Deepをフューチャリングした時には、実際にはあんな図は滅多に実現しなかった。ところが、今では可能になった。
キムヨンデ:フィーチャリングをお金で買うという感じがあまり気に入らない。むしろ逆に「ウィル・アイ・アムも苦しいのかな?アジアを狙おうとするなんて」のような反応が出てもおかしくない。必ずしもネトウヨ的思考でなくても、その認識の転換は大きいと思う。
ハバクク:そうですね。テディ・ライリーと少女時代、DJ PremierとDynamic Duoのような場合もあるが、その点で最も「アーティストのアーティスト」の感じが大きいのは、やはりGDだ。私は男性ヒップホップアイドルはすべてBIGBANGをロールモデルにしていると見ているが、それは当然そうするしかないからだ。あまりにも空前絶後の成功モデルだ。お金も稼いでオシャレでもあって、swagも補ってアーティストとしても認められていて。
微妙:そういえば、本当に史上初だ。
韓国内のヒップホップ×アイドル
キムヨンデ:私はヒップホップを媒介としたアイドルがこのように独自の領域にあり目立つようになったのは、ヒップホップが「欧米のヒップホップ」-「韓国のヒップホップ」に分けられたのが大きいと思う。BIGBANGやGDがロックミュージシャンだったらイケそうだと思われる構図だ。ポップジャンルの中で唯一韓国内のものが独自にファンを持っているのがヒップホップだ。もちろん依然として国内ヒップホップ以外はまったく聞かない人もいるから。ロックやその他のジャンルはその比較対象が増え、外国のいくつかのアーティストを許容する可能性が濃厚だが、GDやYGの場合は国内ヒップホップとだけ競争すればよい。そして必ずしもお互いに競争しているというわけでもなく。韓国ヒップホップという個別のカテゴリがある程度の強度を授かったので、それによってアイドルにおいてのヒップホップアイドルというカテゴリーの正当性のようなものもより生まれてくる。
微妙:今でも他のジャンルに比べて、ローカルシーンが最も強固なのでは?
ロボトミー:事実上、現在「グクヒプ(韓国ヒップホップ)」というジャンルが個別に誕生したということは間違いないと思う。
ハバクク:グクヒプは確かにシーンがある。コミュニティも他のジャンルに比べて活発で、今韓国での音楽ジャンルのコミュニティで残っているのはヒップホップしかない。そのため、ヒップホップアイドルは他のアイドルと比べて一度は話題になる。ノイズにせよ肯定的にせよ、ヒップホップというジャンルでデビューするだけでも他のジャンルよりも注目されることができる。
キムヨンデ:アイドル産業というのはジャンル的にはシーンの機運だけ吸うのだから、全体のパイは大きくなることができる。その中で区別させようというメカニズムがまた働き始めて、それによってさっき言った「韓国にも本当のヒップホップはある」のようなコメントも動かすことができるだろうし。
ロボトミー:アイドルにロックをさせることはどうやっても冒険だけど、ヒップホップをさせるのはするべき課題だということだ。
ハバクク:ヒップホップもティーンのアイドルも、10代の市場とターゲットが重なる側面もある。少なくともクラスにヒップホップを聞く子たちが半ダースはいる計算だ。つまりグクヒプを聴く子達と防弾少年団聴く子達が半々くらいで両方いるということだ。そしてグクヒプを聴く子は防弾少年団を聴く子に「こんなのもあるから聴いてみて」と言い、そして防弾少年団を聴く子達は「私たちがヒップホップを紹介している」という名分も獲得する。
ロボトミー:普通は喧嘩して、お互いに無視する。
ハバクク:たしかに(笑)
微妙:大麻が薬物への入門編である「ゲートウェイドラッグ」と言われるように、アイドルヒップホップは「ゲートウェイヒップホップ」なんだ。
block.B:ヒップホップアイドルのリトマス紙
キムヨンデ:block.Bは外国でも判断がわかれるところだ。 「この程度ならヒップホップではないのでは?」という反応もある。
ハバクク:block.Bは韓国ヒップホップとアイドルのリトマス紙だ。 (ロボトミーがノイズの実験音楽とグクヒプのリトマス紙だったように...)
微妙:ロボトミーはどう思う?
ロボトミー:イメージ自体はヒップホップではなく、「ワチャワチャしている感じ」に持って行くというか...block.Bは全くBIGBANGを最もよく継承したグループなのに、運があまりにもない。過去の曲「Jackpot」の公開日にセウォル号事件が起きたりとか。とにかくblock.BはBIGBANGのように、あえてヒップホップでなくても構わないんだと思う。
ハバクク:ところでZICOはラップがすごく上手い。BIGBANGですらラップ自体は大衆的にフィルタリングしている感じがあったが、ZICOのラップは殺伐とした感じだ。
キムヨンデ:そしてヒップホップで重要な「レペゼン(出自)」のようなものもある。アンダーグラウンド出身だし、ミックステープも出したしととにかく認められるような要素を敷いていく。
微妙:つまりblock.Bにとってはヒップホップをする必要が生まれつきあったのではないかな?
ロボトミー:BIGBANGが様々な偏見を正させたことで、あえてヒップホップでなくても許されるように道を敷いてくれたようだ。BIGBANGもいわばGDが小学生の時からラップをしていて、YGファミリーでありながらいくつかの「ヒップホップ戦士」的なそれを持っている状況であった。ところが、BIGBANGでソロ活動もしながら「総合的に気の利いたミュージシャン」のようなことをした結果、ラップしている仲間たちがアイドルになった時に必ずしもヒップホップではなく、いくつかの「気の利いた音楽」をすればいいという道をあけてくれたんじゃなかろうか。
ハバクク:「ワザングチァング」アイテムをもらったわけだ。
(와장창=本来はものが突然音を立てて崩壊するさまですが、ウェブ漫画で爆発オチなどの大混乱時に擬音として使われたりもする事から大騒ぎとかごちゃまぜといった意味でも使われるようです)
真正性(リアリティ)
微妙:block.BはもともとチョPDのスターダムエンターテイメント所属だったよね。
ハバクク:EvoLも同じ所属会社だった。
キムヨンデ:block.Bを作りながらチョPDが天命をした。 ヒップホップグループを作るという。 それで初のミニアルバムと正規1集の間に「ヒップホップを基盤とするが、多様なジャンルで実験を広げる」というような言葉も出たと記憶している。
微妙:「韓国ラップ第1世代」としてチョPDは、「アイドルの端くれ」などは作らないという大義名分も、もしかしたら必要だったのかも知れない。
ロボトミー:デビュー曲は「NalinA」で合ってる? その曲を書いた友達もヒップホップ系のビートメーカーだ。 私はその曲をグクヒプとアイドルポップのラジカルなフュージョンというような感覚で受け入れた記憶がある。
(※block.Bのデビュー曲はFreeze!" (그대로 멈춰라!)。NalinAをZICOと一緒に作曲したDelly Boiは最近だとSMTM4でBlack Nutのトラックを作ったり、HeizeやDEANのアルバムに参加したりしています)
キムヨンデ:ZICOとVerbal Jintが一緒に錄音したのはデビュー前かな?
ロボトミ:そうだね。
キムヨンデ:チョPDとVerbal Jintの「種の起源」にも参加していた。 ところで海外でblock.Bを説明する時に、「作られたアイドルだけど、ヒップホップをするのではなくてシーンで登場した」という言葉が必ず出てくる。 さっき言った国内のヒップホップのおかげというのもそうだ。
ハバグク:block.Bが本当にヒップホップだなと思うのが、事件をたくさん起こしたじゃないですか。 一つの失言でアイドルキャリアが崩れそうになったりもして。 まだ規模が大きくないけど、ある面ではBIGBANGよりももっとヒップホップだ。
ロボトミー:BIGBANGと比較すると、block.Bは首都圏の周辺都市の雰囲気がある。 城北洞、洗剣亭…
ハバクグ:G-DRAGONがいくら舞台で反抗児コスプレをしても、芸能番組に出る時は大人しく礼儀正しいが、確実にあんなイメージはどうやっても人工的に作ることは難しいという点で、より「リアリティ」がありそうな部分があるみたいだ。
キムヨンデ:GDは「音楽は才能のひとつで、何をしても君たちよりもっとよくできる」こんな感じのニュアンスだけど、block.Bのようなパターンは稀だから。 「シーン出身」というイメージは真っ当な方式の気がする。
微妙:ところで結局、そのメンバーを集めて結成して企画したのは事務所資本なので、いわばさっき話したSupreme Teamより確実にもっと「アイドル出身」ではないかな?
キムヨンデ:その通りだ。 それでも国内ファンの間での区別ポイントは分からないが、米国ではblock.Bが訴えかける部分はそういう部分だ。
ハバクグ:シーン出身でもあるから実力も訴求ポイントだろう。 他の「アイドル」が上手なこととは違う手法でお上手だから。
ロボトミー:国内で見ると真正性にのみ吸引されたのはファンドムが大部分ですけど、私が見た時にはこのポイントに対してヒップホップー反抗ーアティテュードが妙に作用したようだ。 「遊ぶように現れたオッパ達が、ヒップホップを(上手に)しながらワチャワチャしてる場面」
微妙:アイドルファンドムが外部に向かって切る様々なカードとしてのジャンル的リアリティというのはあっても、アイドルファンドムがジャンル的なリアリティに惹かれて入ってくるわけではないってことかな?
ロボトミー:そうだ。 そのもの単独では効果はなくて、他のことを経て入ってくる。「粋ポイント」にはなれるようだ。 ジャンル的リアリティはあるが、そのジャンルが反抗児的ジャンル→「あらオッパったら、見かけは不良なのかと思ったら…」という。
キムヨンデ:block.Bの海外雑誌のインタビューで奇妙なものがある。 好きなアメリカのアーティストはという質問に、ジェヒョはマイケル・ジャクソン、P.O.はファレル・ウィリアムズ、テイルはスティービー・ワンダー、ZICOはアフリカバンバータと答えていた。
微妙:アフリカバンバータって突出してるな (笑)
ハバクグ:ロボトミーはどこに行ってもMANTRONIXって答えてる。
ロボトミー:昔からそう言ってるんだ。
キムヨンデ:好きなミュージシャンがアフリカバンバータ…やばい。 あまりにもリアリティがありそうだ。 こんな人物は初めて見る。
女性ヒップホップアイドル
微妙:今度は女性ヒップホップアイドルを簡略に話をしてみよう。 特に目立つことはありました?
ハバクグ:女性アイドルは私が作成した表を見ると、共通する特徴がある。 企画者や作曲家はリアリティが高いが、肝心のミュージシャンとやっている音楽はほとんど…
ロボトミー:ヒップホップの部分はほとんど外見だけという感じだ。
ハバクグ:D-UNITは企画者がDM、WA$$UPはレッドロックだ。 ちょうど同じような激しいラップする方々が、揃って女性アイドルを育てましたが(笑)WA$$UPのNADAなんかを除けば、メンバーたちがヒップホップが好きなのかすら分からない。
ロボトミー:WA$$UPはそれでもTLCっぽさは若干仕上がっているが、「韓国版TLC」は成功したことがない。
微妙:昔のO24の事例を見ても、市場は激烈な「ヒップホップ戦士」の少女をあまり望まないのではないか。 女性ーヒップホップ・アイドルのフォーミュラはまだ実験中のものと見るべきかな?
ハバクグ:唯一の成功事例が一つだけある。 2NE1。
ロボトミー:それを突破してしまったのが2NE1なら挑戦しがいもあるけど、2NE1は実際は全く違うモデルだ。 TLCではなく、4人のレディー・ガガがM.I.A.の音楽をしているという見方の方が合っているようだ。
微妙:これは2NE1という巨大な変種を除けば、国内では突破口がまだないということだろうか。
ロボトミー:2NE1成功の核心は、高級化戦略と考えている。 素敵なお姉さんを女性達が真似したくなるには高級に見えなければならないが、2NE1はBIGBANGーGDの成功でトップに上がったYGからデビューしたというだけでも高級に見えた。
ハバクグ:2NE1が初めて登場したのは「ロリポップ」のCMでBIGBANGとの競演だったが、とりあえず最初のイメージからして非常にファッショナブルだった。
ロボトミー:その通り。 真似してみたくなるのがキーポイントだ。
ハバクグ:「Fire」のミュージックビデオは二つのバージョンがあったが、その2つのタイトルが2NE1のすべてを説明しているのではないか。 「スペースバージョン」と「ストリート・バージョン」、ストリート・カルチャーがベースのフューチャリスティックなイメージだ。
D-UNIT:"KPOP is swag"
微妙:そういう面ではD-UNITはイントロから"KPOP is SWAG!"を叫んでいたけど。
ハバクグ:私はD-UNITも曲は良かったと思う。
ロボトミー:それにメンバー達のボーカルのキャラクターもいい。 「さすがYGの練習生出身」だと思った。 ところがイメージが「ただのフォロワー」以上のものを出せなかった。
ハバクグ:KUSHがあまりにもポップな曲をよく作ったりもする。 YGをやめた後発表した曲はすべていいけど、不思議な事にヒットしなかった。
ロボトミー:なんというか、やはりビジュアル的に目に留まるような何かがなかったというか。
キム・ヨンデ:他の可愛いグループとは差別化された強いイメージ、その背景がヒップホップやエレクトロニックである、という感じ。
ハバクグ:中小の企画会社なので確実にはプッシュしてくれなかった感がある。
ロボトミー:よくやってるとは思うので、転換点が大きく一つあってこそ反転する可能性もあると思うけど、活動がない。
ハバクグ:今はプロデューサーが変わった。 もともと担当していたKUSHが再びYGに戻って、最近のアルバムはZICOがプロデュースしていた。
微妙:むしろ、「ヒップホップ好きな少女のロマン実現期」のような感じで行ったらどうだろう。
ロボトミー:音楽を「非常にヒップホップ」な感じにして…それでもだめかな? (笑)
微妙:どうしてもゴリゴリのヒップホップでガールズグループは難しいという考え方になるようだけど、そのバランスが悪かったのではないかという気もする。
ハバクグ:だから女性ヒップホップチームの企画者はリアリティを重視するけど、メンバーたちはほとんどそこに及ばないんだよね。
キムヨンデ:一つのイメージで行くのが冒険でもある。 (アイドルは)変身をしなければならないから。 ヒップホップとガールズグループの調和はイメージがかなり固定的にならざるを得ない。 可愛いと失敗したり...
WA$$UP:ヒップホップのDIVA?
ハバクグ:WA$$UPは製作者の好みもあって...NADAを信じて果敢に打って出たようだ。 しかし、他のメンバーが期待に及ばなかっただけではなくて韓国の情緒に合わないのが大きかった。 企画者たちが何も知らない女の子を連れてきた「プリンセスメーカー」という気もする。
(プリンセスメーカー:日本の育成ゲーム。韓国でも有名)
ロボトミー:「TLCを育てる」というのはヒップホップをする方たちのロマンの一つだ。
キムヨンデ:「ヒップホップのDIVA」という概念はないか。 それをWA$$UPが借用しているのを見てちょっと面白かった。
ハバクグ:NADAはちょっと可能性があると思う。
キムヨンデ:「ヒップホップのDIVA」というのは、歌が上手いという意味のディーヴァとは全然関係なくて、簡単に言えば「ちょっとエッチな色黒のお姉さんたち」だ。 トワーキングをして派手なポーズを取り、成人雑誌の撮影したりという。
微妙:でもそんなことが韓国の状況で可能だろうか。 そうでなくてもセクシーコンセプトをすると安そうだとか侮辱されるようなのが現実だ。
ハバクグ:韓国で受け入れられにくいキャラクターではあるが、ヒップホップシーンではラップの実力を備えていれば十分に訴求するできるキャラクターだ。 みんなビッチの真似事でまともなビッチがいなかったから。 もちろん、ヒップホップの世界は男性中心的なので悪口を言う人も多いが...
ロボトミー:普通アンダーグラウンドでやれば当人のメンタルが耐え切れず、メジャーでは水位調節するとどっちつかずの扱いをされてしまう、そんなテクニックだ。
微妙:韓国では無理、という気もするけど、そんなことを地道に一つずつ撃破していったらこの先どうなるかはわからない。
キムヨンデ:韓国のガールズグループもだんだん露出や態度に寛大な方向に向かっているから、ある程度の接点はつくり出すことができるのではないかと思ったりもしている。
微妙:しかし、それがアイドルで可能だったのは、アイドルは基本的になりきる遊びなので「セクシーだけど、姪っ子みたいでいい子なんですよ」というような感じになったんだけど、それが他のルートに乗っても上手くいくのかはよく分からない。
ロボトミー:私は消費者の構成上難しいと思う。
キムヨンデ:「これは文化だから!」というラベル付けをしてうやむやする方法もある。 ただ腰を振るだけなら下品だけど、「これはトワーキングというものなのだ」というふうに。
ロボトミー:本格的な移植は個人的には不可能だと思うけど、ポジショニングのためのテンプレートの役割くらいならどうか分からない。
微妙:確かに、トワーキングは日本ではちょっと文化的なものとして受け入れられている部分がある。 ギャルが受容される社会でもあるけど...
ハバグク:日本はダンスホール・クイーンが存在する国だから(笑)
キムヨンデ:可笑しいのが、WA$$UPがするトワーキングがあまりにも変わりばえがしない。 それが名前に影響を与えてる部分もあると思う。
ハバグク:私は音楽市場では本当に難しいだろうと思う。
キム・ヨンデ:皮肉な事に、ガールズグループは主人公の場所であるのに対してヒップホップのDIVAはやや従属的な位置だ。 主流になるのには難しいことばかりだ。
微妙:韓国ではメジャーシーンでダメだったらどこでも上手くいかないでしょう。
キムヨンデ:それはそうですね(笑)
ロボトミ:急に思い出したけど、女性アイドルラッパーたちの現在を見て好きな部分が一つある。 もう誰もユン・ミレのモノマネはしていないんだ。 やはり2NE1の恩恵かな...
まとめ
微妙:整理しますと、ヒップホップのアティテュードがアイドルのファンタジーと結合する共感の形態、アイドルがヒップホップ/ラップを眺める方法を話して、YGと関連して…とにかくいっぱい話をした。 幼稚園の同級生のように2人3脚のアイドルとヒップホップの同伴成長期にも目を通した。 そして、韓国内のヒップホップとヒップホップのリアリティがアイドル、アイドルファンドムと連結される方式を語り、女性ヒップホップ・アイドルの難しさと展望について話した。 何か付け加えたい話があれば聞かせてください。
ロボトミー:えーと、女性ヒップホップアイドルの定着に向けて、YGで一度だけもっと責任を背負ってくださるように祈っていますという事を申し上げつつ、ZICO+P.O.のユニットを作ってくれるならありがたく拝聴したい。
微妙:そしてロボトミーのアルバム「protoLEMON」をよろしくお願いすると言っておきます。
キムヨンデ:個人的にはまず数日後のKCONでの防弾少年団に対する反応が気になる。 そして米国シーンでの流れと韓国ヒップホップがアイドルシーンと交差する部分をずっと見守りたい。
微妙:次はハバクク代表。
ハバクク:私はヒップホップアイドルというのが生まれた理由、GDが自分がやりたい音楽をできる理由、そしてアンダーヒップホップMCたちがバラードラップということをしながら悪口を言われる理由も、結局、韓国に音楽ファンがいないからではないかと思う。 いざ新しい音楽が出ようとする時アングラにはそのような音楽を支持するファン層がなく、妥協をしなければならず、アイドルグループは「うちの子達はきれいで何をしても良いから」新しい実験をより果敢に試みている。 それゆえに私は韓国で最も面白い音楽はK-POPだと思っている。 一方、インディーズチャートのインディーズ音楽は退屈な場合が多い。 ただのリスナーならこれもそれなりに興味深い状況だが、私はアンダーグラウンドの世界で食べていかなければならない人間なので、音楽ファンが増えるためにももっと音楽的な話を沢山してアンダーヒップホップでもヒップホップアイドルでも、その音楽の中でやれることが多くなったらいいなと思う。 #ほっこり
微妙:対談では編集しましたので、これに先立ってヤンサに送りたいメッセージはビデオレターにして送ってください。 皆さん遅い時間までお疲れ様でした。ありがとうございました。