サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【ize訳】アイドルとリアリティーショー① アイドルにはリアリティショーが必要である

アイドルとリアリティショー① アイドルにはリアリティーが必要である

2013.12.17
 
 
アイドルリアリティショーというものがおなじみの概念になって久しい。 2000年に放送されたMBC「目標を達成!土曜日」内の「GODの育児日記」をはじめ、アイドルのリアルな姿を見せてくれるプログラムは以前から着実に製作されていた。しかし、MBCエブリワン「EXO'S SHOWTIME」とTVN 「清潭洞111」、MNET 「WINNER TV」、昨年10月に放映終了した「WIN」やyoutubeなどを通じて公開されているVIXX TVまで、最近登場したアイドルリアリティショーでは微妙かつ新たな流れが捕捉される。プログラムの数が増加しただけでなく、公開されるチャンネルと方法や出演対象なども多様化されたものである。 izeは今何のためにこのような変化が起きているかどうか、これがアイドル業界においてどのような意味を持つのか分析した。加えてMNET 「スーパースターK 2」と「WIN」「WINNER TV」など、デビュー前からすでに三つのリアリティショーを経験したカン・スンユンとのインタビュー、企画会社とアイドルのためのリアリティショー制作ガイド、現在放送中のアイドルリアリティショー5本に対する評価も付け加えた。
(注:全4回シリーズの記事です)
 
 
 
 現在いくつかのアイドルリアリティショーがある。 FNCエンターテイメントはFT ISLAND、CNBLUEを含む所属アーティスト全員と代表、従業員まで登場するリアリティ番組TVN 「清潭洞111」を進めている。VIXXはデビュー初めから今までYouTubeで「VIXX TV」を、A-JAXは「夜間食堂」という自主制作のリアリティショーを披露している。 YGエンターテイメントとSMエンターテイメントも積極的である。 MNET 「WIN」でサバイバルリアリティを見せてくれたYGはデビューが確定されたチームWINNERとして「WINNER TV」を準備した。「BIGBANG TV」と「2NE1 TV」の後に相次ぐという戦略である。 SMは「EXO'Sショータイム」を出撃させ、ステージの外のEXOを公開した。 WINNERのようにデビューする前の練習生も、あるいはEXOのように巨大なファン層を既に確保したアイドルもすべて同じ状況である。現在リアリティショーは経なければならない必須コースになった。
 
 単純な広報のためならEXOやFTISLAND、CNBLUEがあえてこのような番組に出演する必要はないだろう。問題は着実に新しい側面を示すことができる窓口ということだ。4分余りの舞台はキャラクターをアピールするのにあまりにも短く、EXOのようにコンセプトと音楽でキャラクターを作るとしても、すぐに消費されてしまう。新人の場合、壁はより高い。他の多くのアイドルを抜いて芸能プログラムに出演する可能性は希薄であり、出演しても芸能感に優れた他の出演者たちに押されがちである。だから放送時間中、グループだけに集中することができるアイドルリアリティショーが積極的に製作されるのは当然の結果だ。さらに、会社で必要なコンセプトとキャラクターを目立たせる方向に番組を作っていくこともできる。メンバーたちの行動はリアルのものだが、これはあくまでも放送用に編集して加工した現実の中の出来事である。<ショータイム>がもつを食べたり自転車に乗るなど余暇時間の中でのEXOの自然な姿を映し出したり、<清潭洞111>が練習生たちへの指導をテーマにFTISLANDとCNBLUEの音楽的な力量にスポットを当てている点などは良い例だ。
 
もちろん、このように作られたキャラクターは、ファン層のためのものである。 DSPの関係者は「会社の立場からするとリアリティショーは、高視聴率や巨大な大衆性を望んで作ったというより、関連資料がたくさん歩き回りながらグループを紹介して回っているようなものと考えている」と明らかにした。実際のファンはメンバー別のキャラクターがあらわれる場面を集めて映像で見ることができる「プレイヤー」や、印象的なシーンをキャプチャーして「チァルバング」を作成し、共有し、愛情を強固にする。キャラクターの消費こそアイドル産業の中核であり、アイドルリアリティショーは、消費のためのソースをファンに提供する工場として機能するわけである。そして、この事実を早目に把握した企画会社はより積極的にファンの介入を誘導し始めた。プレディスは昨年から<SEVENTEEN TV>で練習生17人の日常をCCTVで中継し、定期的なコンサートを開いてファンたちの評価を受けた。それより以前にアイドルとして壮大な数のファンを集めたのはYGだった。 2009年に放送されたMTV <リアルドキュメンタリーBIGBANG>は、BIGBANGの最終メンバー選抜過程を経て成長中の練習生が持つ力を見せ、<WIN>はファンにデビューの選択までおまかせする事で忠誠心を高めた。おかげでYGの練習生はデビュー前からかなりのファン層を持つようになった。リアリティショーで実質的なデビューをしたようなものである。
 
 
 アイドルは引き続きあふれ出てくる。結局勝負を分けるのは、誰が最初に、誰が長く、誰よりも堅くファンたちの愛を占める事ができるかだ。最近SMが発表したスター孵化システム「SM ROOKIES」の登場は注目に値する。厳密に言えばSMRはリアリティショーではないが、運営方式はリアリティショーにほかならない。正確にはアイドルリアリティショーが持っていた、一種の育成ゲームとも同じ属性をそのままインポートしたシステムである。 YouTubeフェイスブックなどのSNSに掲載された映像の中で姿を現わす練習生たちは一つのキャラクターのように見え、今後の歩みは見守る人々の選択にかかっている。 「開かれたシステムでは、何か決まっているわけではない。ファンと同伴成長しながら彼らのブランドや進むべき方向を定めるだろう」というSMの関係者の言葉は、産業の変化を明確に示している。 SMが報道資料を通じて明らかにしたように、プロシューマー(生産者+コンシューマー、生産に参加する消費者を意味する)とコ ・クリエーション(顧客を開発プロセスに参加させること)という概念がいよいよアイドル産業にも直接導入され始めた。
 
 今のファンはアイドルのキャラクターを消費するためにとどまらず、企​​画や開発にも徐々に関与することになるだろう。加えて、アイドルリアリティショーは単純なカテゴリーを超え、会社とファン層の間を直接結ぶ重要なコンテンツとして作用する。ただし、確信するのはまだ早く、企業間の格差はさらに大きく広がる可能性が高い。 SMとYG、FNCは全てをTV番組に丸ごと費やすことができた。すでに名前が知られている所属アーティストたちを動員して、新人や練習生たちのキャラクターをより確実に露出することもできた。激しい市場で優位を占めた人のように、放送番組を配当することができたり制作費に余裕がなければならず、少なくとも自主的にリアリティショーを作ることができる人材とシステムが必要である。資本とコンテンツ、規模を持つ企業であるほど、アイドルのスタートラインを繰り上げて生命力をさらに強化させることができるわけである。ファンはアイドルの世界に夢を預けてきたが、会社は彼らの手を引っ張り始めた。だから、アイドルにはいつもリアリティショーが必要である。誰でも、どの場所にいても。
 
校正:キム・ヨンジン