サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【質問箱】KPOPグループの国内人気と海外人気の乖離について

【質問箱への投稿より】

こんばんは。

Stray KidsやAteezがカムバしたことで、K-POPの海外人気と国内人気の乖離について最近気になっています。

どちらも再生回数や音盤成績の伸びの割に、国内の音源成績が「いくら男子グループとはいえ・・・」レベルで伸びません。

女子に目を向けるとアイドゥルなんかもマシといえばマシなのですがYouTUbe再生回数1億回常連、女子では珍しく音盤10万枚超えるレベルにしては音源成績は物足りない感じがあります。

またKARDのようにほぼ海外活動のみで黒字化に成功したグループも出てきました。

(一方でオマゴルのようにこれらと逆パターンのアイドルもいますが・・・。)

このように海外成績の割に国内成績が物足りないグループについて人気グループと見なしてしまっていいのか判断しかねています。

特に最近上記のようなグループの人気や格付けについて、K-POP好きな10~20代と第一、第二世代からK-POPを見てきた層で、SNS上で揉めてるのも見受けられます。
個人的には上の世代が現状に寛容にならないとK-POP全体が下り坂になりかねない気がするのですが・・・。

K-POPBTSを機に世界で認識されるようになった今日日、何をもって人気グループの判断をするのが妥当なのでしょうか?

また、国内外の人気の乖離から生じる各所への影響で予想されること(音楽番組1位の価値の低下など)なども併せて知識人の方のご意見を伺いたく思い投稿しました。

2020年8月5日4:55

https://odaibako.net/detail/request/cf402f04-cc8a-429d-90bf-4010ca31c574

 

自分が人気だと思ったグループが人気って事でいいんじゃないですかね...

 

前から言っている事なのですが、今って「人気」がものすごく多様化してきていて、「知ってる人は知ってるけど知らない人は全く知らない」という「人気者」がたくさん生まれている時代だと思います。インフルエンサーや配信主みたいに「その界隈では有名」とか「フォロワー○十・百万人」だとしても、そもそもそのサービス自体を使ってない人にとっては「無名人」だろうし、でもチャート上位には入ったり確実にお金は動いて支持者もたくさんいるという事は普通だと思います。日本のアイドル業界もすでにそうなっていると思いますが、韓国のアイドル業界でも5年位前から大衆からコアなファンドムが支えるアイドルへという動きになるだろうと言われていて実際そうなってきており、音源成績が良くなくても相当規模のファンドムを得ているグループというのは一般的になってきているのではないかと思います。

 

音源チャートに関しては、特に男子グループではすでに何年も前から「トップ規模ファンドムを持っているがゆえに音源チャート上位常連だが、実際は必ずしも大衆的に知られている流行曲というわけではない」というケースが一般的になっていますし、女子の場合は逆に「曲が音源チャートでバズってもグループ本体への人気に必ずしも繋がらない」という例もあり、「音源チャートと一般人気・認知度のズレ」というものはすでに存在していると思います。YouTubeの視聴回数にしても世界的に「タダなら見る」という無課金層やスミンも含まれる事を考えるともはや1億回というのが具体的な何かの目安にはならなくなってきてしまっていますし、女子グループは以前は大衆人気が高まってからそのピークを過ぎるとコアファンドムが支えるというスタイルが主流でしたが、最近は男子グループのように最初からコアファンドム中心の人気スタイルで継続しているグループもあり、それを考えると漠然と「人気」という大きな括りではなく、「国内ファンドム」「国外ファンドム」「一般人気・認知度」というものをそれぞれ別に考える必要がある時代になったということではないかと思います。

 

ですから、多角的な角度からの「人気」というものを見る必要があると思いますが、それはビジネス関連の人たちにとっては「必要」な分析かもしれませんけどファンにとっては「必要」な事でもないと思いますので、個人的にはファンの側はむしろ格付けや順位みたいなものから今よりはもっと自由になっていっても良いのではないかと思ってます。アイドルって基本的には競争させるものじゃないはずです。そもそもアスリートじゃなくエンターティナーなので、自分たちを求めてくれるリスナーやファンをどれだけ楽しませられるか・好きでいさせるかというのが本分ではないですか。

基本的にファンがつける(考える)人気の順位ってマウンティングとかファンのお気持ち満たし以外の意味がないと思っているので、ファンがそれぞれ好きに「ぼくのかんがえたさいきょうのKPOPグループせいりょくず」的に楽しめばいいんじゃないでしょうか。

「特に最近上記のようなグループの人気や格付けについて、K-POP好きな10~20代と第一、第二世代からK-POPを見てきた層で、SNS上で揉めてるのも見受けられます。」っていうのも、ファン同士が勝手にランクをつけて勝手に揉めてるって事ですよね?「そういうオタ活」ということなんでしょうし、誹謗中傷とかがなければ好きに議論したらいいんじゃないかと思うんですね。ファンが権威になる事ってあり得ないと思いますし、権威がない以上特に意味はない(アイドル側に与えるような影響力は実質ほとんどない)行為だと思うので。世代の異なるファンの意見を無理やりすり合わせる必要もないと思います。

 

KPOP業界はそれ自体に権威があるのかどうか謎のなにかしらの冠や順位をつけたり賞レースにしたり投票させたりでファンの競争欲を煽ったり、競争を煽って意図的にエモい現場を作り出す事で盛り上げてきた部分も多分にあるんじゃないかと思うのですが、同時に「音楽番組1位の価値の低下」もすでに10年近く前から言われてきており、音源や音盤の売り上げが目に見える現状で実際視聴率は1%に満たないという実態(オンラインで見る層が増えていると言うことも含めて)からはすでにアイドルがアイドルファンに対して広報する為の場所になってると思います。そしてそれだけでも意義はあると思いますが、「音楽番組で1位を取っても音源チャートでは100位内も難しい」という例が「全体的な音楽消費のほとんどが音源」という国で出てくるとなると、「音楽番組での1位」というものの意味は既にオタクの世界の外では形骸化している事は否めないのではないかと思います。

 

「海外人気と国内人気のズレ」に関しては、個人的にはきちんとマネタイズ出来て黒字になるなら良いのではないかと思います(メンバー自身の気持ちはわかりませんけど)し、単純に「どこどこの国で人気のグループ」という事で良いのではないでしょうか?

いわゆる「海外人気」の点で問題だったのが、これは実際に海外公演もしている事務所の方に伺った話ですが、アジアではない欧米・南米圏では物価や貨幣価値の差、移動コスト、プロモーターへの配分等でコンサートの規模がアリーナ以上と大きくなるほど実は利益回収が難しくなっていくという点でした。ライブハウス・ホールクラスを細かく回るスタイルや逆にスタジアム即完クラスなら別ですが、アリーナ以上の会場を州をまたいでツアーで回る場合、実際は一箇所につき複数回の公演を全て完売にするくらいでないと十分な黒字にするのは難しいそうです。ツアーに伴う収入で最も大きいはずのグッズに関してもアジア圏に比べるとあんまり売りあげは芳しくないそうで、滞在時間の長期化や移動等でメンバーの肉体的負担が大きい&それにより国内やアジア圏での活動時間も減る割に特別収益がいいわけでもないというケースも多々ある為、最初から「今の規模ではプロモーション的な側面が大きく、コストも大きい為実際の収益は大きくない」という話をメンバーにしておく必要があるそうで。そういう意味で、「韓国よりも海外=欧米圏の方が人気がある」という事が人気の規模によっては必ずしもビジネス的にはプラスにならないケースもあるため、ライブが主な活動の場合は近場のアジア圏での人気の拡充もビジネス的には必須という事なのでしょう。

 

しかし今、実際に海外に行くこともコンサート自体も難しくなり主な活動場所がオンラインになって、国内向けも海外向けもかかるコストはほぼ同じでアクセス条件もフラットになった状況では、「国内」と「国外」の活動やファンを分ける意味はあまりなくなりますよね。後はどこの国のファンであれ、どのくらい「どのようなコンテンツでも実際にお金を払って見てくれる人」がいるのかという事でしかなくなるのでは。これもまた、これから先のひとつの「人気グループ」の目安になり得るんじゃないでしょうか。