サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【rhythmer訳】[国内レビュー] Baekhyun(ベッキョン)「Delight」

[国内レビュー] Baekhyun(ベッキョン)「Delight」

http://m.rhythmer.net//src/magazine/review/view.php?n=19010
2020-06-16


アイドルメンバーがグループを離れてソロアルバムを出す時、一番先に考慮しなければならない点は自分の魅力である。グループ・カラーに埋もれていたアーティスト固有の色を取り出すべきであり、そうしてこそ、グループではなくソロアルバムを出す名分を打ち出すことができる。 大半がチーム活動でしていないジャンルをソロアルバムで駆使しようとするのは、そのような理由からだ。

ベッキョンも同様だ。KPOPグループ「EXO」内のプレーヤーではなく、ソロアーティストとしての姿を見せるため、普段好むジャンルのR&Bでソロアルバムを埋め尽くした。 「Delight」は彼が「City Light」ぶりにリリースした2枚目のソロアルバムでありR&Bアルバムである。

 

ベッキョンのアルバムはいつも華麗なラインナップを誇る。 今回のアルバムには、プロデュースチームのStereotypesが前作に続いて参加し、レディー・ガガ、クリス・ブラウンなどのアルバムを手がけたマイク・デイリーもラインナップされた。 この他にも著名なプロデューサーの名前がぎっしり並んでいる。 janeやColdeのような国内のR&Bアーティストも名を連ねた。

 

そのおかげで、アルバムはうまく進行されている。シンズサウンドが夢幻的な雰囲気を醸し出す「Candy」からトラップビートにブラスを組み合わせた「RURidin?」、ギターと穏やかなドラムサウンドで比較的シンプルに構成された「Love Again」まで、PBR&Bに基づいたプロダクションと流麗なメロディーが各トラックで際立っている。 特に、「Bungee」ではピアノの旋律を柔らかく溶け込ませジャージーなムードを作り出し、「Poppin'」では8bitベースを使って聴く味を生かした。

 

ただし、いくつかの曲でのボーカルは残念だ。 グルーヴィーなビートとその上に乗せられたメロディーと調和しないまま、そっと空回りしてぎこちない。 ベッキョンは柔らかくて淡白な音色が特色であり、強みのボーカリストだ。 そこに強固な力もある。 2016年スジとともに出した「Dream」や赤頬思春期と共に歌った「蝶と猫」ではその長所がはっきりと現れている。 EXOの曲でも同じだった。 ベッキョンは柔らかくて強いボーカルで曲全体の雰囲気をしっかりつかむ役割をした。 しかし、本作ではそのようなメリットは現れない。 不自然でさえある。

 

歌詞の側面からも物足りなさがある。 例えば、「隣にいるの?」と聞いた後、「僕のかな?」と聞く歌詞は、単線的で感興がわかない。 「君の愛は最小限の息/僕の両手を握った絆」のように比喩が印象的な「Underwater」と、話者の心象が明確に描かれる「Love Again」のような後半部の曲を思い浮かべると、前半部の曲の歌詞的な部分での物足りなさがより濃くなる。

 

歌詞の面で一番特記すべき曲は「Candy」だ。この曲での甘さの対象は、他者ではなく男性話者である自分自身だ。 男性話者の歌詞には通常、女性性を甘さで形象化した後所有するという態度が溶け込んでいた。 しかし、「Candy」ではその関係が覆された。 これに加えて話者は女性リスナーを誘惑するが、選択を待つ受身的な態度を持つ。 自ら選択しなければならないと強要しない。 誘惑の道具もまた、ほのかに広がる「ポケットの中の香り」だ。 力、社会的地位、財力などで女性を所有しようとしない。 社会的男性性が排除された誘惑を描いている。

 

「Delight」はトレンディで洗練されたプロダクションが引き立つアルバムである。今日のメインストリームR&Bサウンドをよく表現している。 しかし、それだけに他の作品でも簡単に接することができる音楽でもある。 更に、彼のキャリア内でもこの程度のプロダクション的な完成度は、まさに前作で触れることができた。 今回のアルバムのプロダクションは完成度とは別に、ベッキョンの魅力をうまく表現するにぴったりな道具ではなかったようだ。

 

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PBR&B=Pabst Blue Ribbon(ビールの銘柄)+R&BオルタナティブR&Bとも呼ばれる。

(I Started a Joke: "PBR&B;" and What Genres Mean Now | Pitchfork)

アーティストで言うとThe Weeknd、Frank Ocean、MiguelやDrakeなどが入るらしい。

 

rhythmerは歴史のある韓国のブラックミュージック専門メディア(韓国ナンバーワンブラックミュージックメディアと自称しておられる...)なのですが、それだけに記事の中でアイドル関連の作品をレビューするのは珍しいので訳してみました。顔出しだからなのかYouTubeの方は結構日和ってる感じがしますが(コメント欄見てもツッコミが...) 元々率直で辛辣な批評でも有名なメディアだと思います。