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【ニューストマト】『ユンヒへ』イム・デヒョン監督、東アジア女性とフェミニズムについて

『ユンヒへ』イム・デヒョン監督、東アジア女性とフェミニズムについて

http://www.newstomato.com/ReadNews.aspx?no=931296

2019-11-05 16:49 キム・ヒギョン

 


イム・デヒョン「女性の物語作品を作ることについてとても悩んだ」

キム・ヒエ「女性が中心であっても面白い映画だと証明されることを」


「韓国と日本の女性は確かに違います。しかし、男性中心的な社会秩序が強固に成立した国で生きてきたという点では似ていると思いました。「ユンヒへ」は東アジアの女性たちが互いに連帯し、愛を分かち合う姿を見せたかった」(イム・デヒョン監督)


イム・デヒョン監督が寒い季節を迎えるにあたり、「暖かいマフラー」のような映画を準備した。単に一人の女性のロードムービーとも見られるが、広く解釈すれば東アジア社会に生きる女性たちの物語を描いた宝石のような映画が訪れる予定だ。


5日午後、ソウル広津区ロッテシネマ建大入口店では映画「ユンヒへ」(イム・デヒョン監督)マスコミ試写会と記者懇談会が開催された。同日の席にはイム・デヒョン監督をはじめ、俳優のキム・ヒエ、キム・ソヘ、ソン・ユビンが出席した。


「ユンヒへ」は感性ロマンス映画で、偶然一通の手紙をもらったユンヒ(キム・ヒエ)が忘れていた初恋ジュン(中村優子)の記憶を求めて日本の小樽に向かう話を描いた。2019年釜山国際映画祭クロージング作にも選定され、封切り前から多くの話題を得た作品だ。


イム・デヒョン監督は「男性として、該当作品をできるだけ女性の目線で眺めるために努力した」と口を切った。「台本を書くにあたり一番悩んだのは、男性として女性のストーリーを解いていくのが果して穏当なことなのかという事だ」打ち明けた。しかしそれでも「ユンヒへ」に挑戦した理由は、それだけの価値があるからだと打ち明けた。


「もし(女性を)僕と違う存在、あるいは遠くにある存在だと思っていたらこのような作品は出なかったはずです。しかし、私たちの周りにはすぐそばに母と妹がいます。代理経験ができる存在がありました。彼女たちの目で見るために自らを疑い、質問もたくさんしたと思います」(イム・デヒョン監督)


今回の映画では韓国女性のユンヒと日本女性のジュンとの初恋を描いた。似ていながらも確実に異なる2人の違う国籍の女性。イム・デヒョン監督は韓国と日本の共通点として「長い間男性中心的な社会秩序が成立している国」と説明した。


「韓国の書籍『82年生まれキム・ジヨン』が日本で大ベストセラーになり、日本の書籍『女ぎらい ニッポンのミソジニー』が韓国でベストセラーになる事が偶然とは思わないです。このようにフェミニズムの話題が時代精神として定着しているこの時点で、東アジアの女性たちが互いに連帯し、愛を分かち合う姿を映画でお見せしたかった」(イム・デヒョン監督)

 

キム・ヒエは今回の作品を演じながら、同性愛と異性愛の違いを念頭に置いては演じなかったと説明した。劇中のユンヒと娘のセボムの家族が二人でもお互いに完全な存在になるように、ユンヒとジュンも彼女たちだけの完璧な愛だからだ。

 

「私は、ある意味娘と一緒に旅行に行くシンプルなロードムービーとして見ても良いのではないかと思いました。一人の女性が忘れていた思い出を求めて旅立つ穏やかなドキュメンタリーとでも言えるでしょうか。題材のプレッシャーは気にしませんでした。中村さんとの呼吸はとてもよかったです。俳優さんの目を見た時に本当に真心が感じられ、私もその方に報いる演技を差し上げるために最善を尽くした記憶があります。お話は長くできませんでしたが、目で全部したみたいです」(キム・ヒエ)

 

キム・ヒエは最近、大韓民国の代表的な俳優として有意義な演技的変身を試みている。「Her Story」では慰安婦被害者たちに身を捧げるムン・チョンスク次長に変身し、「優雅な嘘」ではこの世を去った末娘の秘密を暴くため、過去を取り戻そうとする母ヒョンスクに挑戦した。その他にも「消えた夜」「セシボン」など多彩なカラーの映画に顔を出し、その存在感をアピールしている。これからも彼女は「女性キャラクターの多様性を構築できる作品が出ることを望む」と口を開いた。


「私はもうこの年齢なので、配役の大小よりは面白いシナリオである事が作品選定の基準になりました。私の年齢で主演になれる作品はほとんどないと思っても構いません。でも『ユンヒへ』を通じて私たちのような女性キャラクターが前面に出てもできるのだということをお見せしたいです。既存の映画界に存在する先入観を破ることができる力になればと思います」


イム・デヒョン監督の暖かな目線とキム・ヒエの情熱的な挑戦が合わさった「ユンヒへ」。果たして今秋の観客の心を温かく溶かせる映画になれるのか、帰趨が注目される。封切りは14日だ。

 

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キャストとストーリー、舞台の殆どが小樽ということで個人的に興味がある映画の関連記事を訳しました。

「女ぎらい」は上野千鶴子氏の2010年の著作で、韓国では「女性嫌悪を嫌悪する」のタイトルで翻訳出版されており、今でも韓国ではフェミニズムの入門書としてよく推薦されているようです。