サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【京郷ニュース訳】「ウェクイ」「ホワイトウォッシング」...KPOPは「人種主義」の罠にはまったのか

【京郷ニュース訳】「ウェクイ」「ホワイトウォッシング」...KPOPは「人種主義」の罠にはまったのか


キム·ジヘ記者

2019.3.4

http://m.khan.co.kr/amp/view.html?art_id=201903041746001&sec_id=960100&__twitter_impression=true


今年1月、タイなど東南アジアKPOPのファンドムでグループBLACKPINKのタイ人メンバーのリサが人種差別を受けているという世論が起こった。 


「化粧をしたときはロシアのエルフみたいだったけど、化粧を落とすとタイ人の女性だね」

今年1月に国内ポータルサイトに掲載されたグループBLACKPINKのメンバーリサの記事写真に、このような匿名の書き込みが掲載された。 このコメントはタイを含む東南アジアKPOPのファンに翻訳された。 タイの放送や海外KPOPユーチューブチャンネルなどはこの書き込みを紹介し、リサがタイ人という理由で韓国で人種差別の被害を受けているという問題を提起し、憤った。海外ファンドムはツイッターで「リサを尊重せよ(#RespectLisa)」というハッシュタグキャンペーンを展開した。 以後、Eニュースなど海外のマスコミは先立ってグループMissAの中国人メンバーフェイ、英国人歌手シャナンなどの被害事例を取り上げ、韓国社会で外国人芸能人が経験する人種差別について新たに取り上げた。


防弾少年団のファン・ムンさん(24)の趣味はツイッターで他のファンが掲載した防弾少年団関連の掲示物を見て回る事だ。ところが、時々眉をひそめる。韓国のファンが防弾少年団の写真を白く明るく補正した事に対し、海外のファンが「ホワイトウォッシングをするな」という書き込みを残したり、むしろメンバーの顔を実物より黄色く見せた後「これがアジア人の肌色だ」と言うのを目撃する時だ。 「ホワイトウォッシング」とは、海外ファンがKPOPアイドルの肌を元より明るく補正する多数の国内ファンを人種主義的だと批判する時に使う言葉だ。 「何故有色人種としてのアイデンティティを否定し、白人の肌の色を追求するのか」という批判だ。 ムンさんは「海外ファンは伝統的に明るくて欠点のない肌を好む韓国の社会・文化的特性を理解できず、自分たちの基準で人種差別を論じている」と述べた。


■"人種主義"という暗礁に乗り上げる

KPOPの世界市場進出が日増しに活発になり、KPOPのファンドムだけでなくアイドルメンバーの構成員も「国際化」している。 昨年から今年までデビューしたアイドルグループ(ユニットを含む)を対象に調べた結果、40%に達する10グループが外国人メンバーを含んでいることが分かった。 こうした変化の中、KPOP消費文化をめぐる人種・国籍・文化的葛藤が次第に頻繁になっている。 人種的多様性に慣れていない韓国大衆と人種主義に対する敏感度の高い海外のファンドムが出会って、時々衝突をもたらすのだ。 その衝突の様相も単に「外国人卑下」と要約できないほど複雑になっている。


このような衝突を含蓄した単語がまさに「ウェクィ」だ。 「外国人のファン」と「ゴキブリ」を合成したこの単語は、国内のファンが海外ファンを指す蔑称だ。 最初はアイドルやファンドムに害悪を及ぼす過激な海外ファンを皮肉る言葉だったが、徐々に海外ファン全体に至る一般名詞に変貌した。 KPOPアイドルグループのファンであるイ・ミンジさん(29才・仮名)に「ウェクィ」という表現を使う理由を尋ねたところ、「公演のたびに芸能プロダクションが用意した海外ファン専用の座席を占領して密かに写真を撮るなど、『マナー違反』ばかりだし、正当な写真補正に対してホワイトウォッシングだと言って問題視する海外ファンを見ると腹が立つ」と話した。 一方、同じグループが好きなキム・ソンファさん(28才・仮名)は「最近ではウェクィは海外ファンに対する一般的な用語になり、自分を『ハンクィ』と呼ぶ国内ファンも出てきている」とし、ウェクィは差別や嫌悪的な意図を持った表現ではないと主張した。

 

昨年6月、米ニューヨーク・プルデンシャルセンターで開かれた"KCON2018"コンサートには2日間で約2万4000人余りが海外の韓流ファンが集まってフェスティバルを楽しんだ


海外ファンの見方は違う。 自分たちを「ウェクィ」と呼び、敵対感を持つ国内ファンたちが生まれる理由は、自分たちが「人種差別」問題を問題視しているためだと主張する。 グループ防弾少年団のファンであるインドネシア人アナヤ(18才・仮名)は「海外ファンが嫌悪の対象になるのは、ホワイトウォッシングやサセンファンなど韓国ファンドム文化で発生する問題について積極的に声を上げるからだ」と話した。 グループNCTファンのパキスタン人・レマ(23)も「アイドルメンバーやファンドムが人種差別的な行動をしたとき、『韓国の文化』と庇う韓国のファンが多い」とし「KPOPガールズグループのメンバーがインド人を侮辱する踊りを踊ったとき、韓国のファンが彼女を弁護する姿を見た」と話した。 彼は「多くの韓国人が人種主義に対する認識が不十分であるということは知っているが、弁明にはならない」と述べた。


専門家達は、一部で起こっているこのような国内外のファンドムの葛藤が、人種主義に対する感受性に欠けた韓国社会全体の問題と結びついていると指摘する。 アイドル専門のウェブジンIdologyのミミョウ編集長は「最近まで自分が朝鮮族や他文化出身であることを伏せるアイドルがいたり、異国的な容貌を持った芸能人に対して『東南アジアっぽい』という表現が通用したほど、韓国社会はまだ人種多様性に対する人権感受性が低い」とし、「写真を白く補正するのはホワイトウォッシングではなく極東アジアの自然な美的感覚だという国内ファンの主張は説得力があるが、先に韓国社会の人種主義的問題を経験した事がある海外ファンとしては懸念する部分だろう」と説明した。


また、「もちろん、KPOPの国際化により、国内外のファンドムともに人種主義イシューに対する敏感度がここ1~2年で急上昇したのは事実だ」と付け加えた。 実際、防弾少年団のファンダムARMYは海外ファンを「ウェクィ」の代わりに「ウェランドンイ」(海外ファン+愛しい人)と呼び彼らの活動に感謝の意を表し、海外ファンは国内ファンを「Kダイアモンド」と呼び、彼らの活動方式を学ぶ姿を見せるなど、国内外のファンダムが人種的・文化的偏見なく和合しようとする姿を見せた。


■"多様性のアイコン"となったK-POPの落とし穴

 

グループSEVENTEENが昨年5月、ソウル市江南区清潭洞のPLEDIS練習室で「スポーツ傾向」創刊13周年を記念してポーズを取っている。このうち4人のメンバーが外国国籍を所有している。 

 

このような努力にもかかわらず、専門家たちはKPOPの消費文化において人種主義問題が今のように引き続き突出すれば、KPOPの競争力低下につながると警告する。 特に最近、北米をはじめとする世界市場で防弾少年団などKPOPグループが「(人種的)少数者が成し遂げた快挙」「多様性のアイコン」として消費されていることを勘案すればなおさらだ。 ミミョウ編集長は「実際にKPOPグループの海外公演場に行ってみると、多数のファンが有色人種とセクシャルマイノリティであることが分かる。 だが、マイノリティに差別的なKPOP消費文化の一面を見れば、KPOP全体に対する失望につながるのでは」と述べた。


実際、グループSEVENTEENが好きな英国人アングラード・トーマス(16)さんは「SEVENTEENのメンバー・バーノンが他文化家庭出身という理由で差別を受けたということを聞いて、胸が痛んだ」「KPOPファンドムでもこうした人種差別行為が続けば、海外ファンは背を向けるしかない」と話した。 パキスタン人のレマも「KPOPが世界の主流にまで拡大するには、人種的・文化的多様性に対する敏感度を高めなければならない」と述べた。 先月26日、韓国国際文化交流振興院が発表した「2019海外韓流実態調査」によると、KPOPの好感を阻害する要素について、回答者の7.6%が「韓国歌手・関係者の不適切な言動」6.2%が「自国社会,や道徳的価値に反する内容が含まれている事」を挙げた。 一部の海外ファンは既にKPOPに対して国家・人種・文化的葛藤に起因する不便さを感じていたわけだ。


それならKPOPはどのようにして「多様性のアイコン」としての真価を発揮できるだろうか。 音楽評論家キム・ヨンデ氏は「アーティストの普段の発言や態度、ミュージックビデオや歌詞など音楽コンテンツにも気を使わなければならない部分が多くなった」と話す。 これは実際KPOPが産業的に世界に広がる過程で先立って是正してきた問題でもある。 取材の結果、国内の主要アイドル企画会社は海外公演に臨むたびに該当国の文化的タブーや政治的に敏感な話題などを予め収集し、情報を共有する程度のマニュアルを備えていることが確認された。 ある芸能企画会社の関係者は「海外公演ごとにアイドルメンバーは政治・社会・歴史的な観点での個人的な意見や発言を禁じられており、人種差別的・性差別的・障碍者卑下ともみられる発言などについて随時教育を行っている」と伝えた。


LOOΠAの最初のミニアルバムリパッケージの活動曲「Butterfly」のミュージックビデオにはヒジャブをつけて駆けぬける少女の姿が出てくる。 


単に「失言に気をつけよう」という対応を超えて、音楽コンテンツを通じて人種的多様性を積極的に追求しようとする試みもあった。 クリエイター側の立場でKPOPが包容できる多様性の限度を拡大しようとしたのだ。 2017年、グループB.A.Pは早くも6番目のシングルアルバムのタイトル曲「Wake Me Up」のミュージックビデオで、黒人・黄色人種・白人など多様な人種出演者が一堂に会する場面を演出したことがあり,先月19日にカムバックしたグループLOOΠAのミニ1集リパッケージ活動曲「Butterfly」には多様な人種が登場する。


■韓国人のいないKPOP?産業はすでに進んでいる

KPOPを消費する韓国の大衆文化が、依然として人種多様性の面で「停滞中」である中、産業としてのKPOP躍進してきたわけだ。 しかし、一部のKPOP産業従事者たちはすでにさらに遠い未来を描いている。 KPOPの拡散に障害になる国籍と人種の問題を最初から越えているのだ。 現地の人材と「KPOP制作ノウハウ」を結合して制作したアイドルで現地市場を攻略する、「韓国人のいないKPOP」に対する構想だ。 多様な衣装とビジュアル要素、メイクアップ、ミュージックビデオ、振り付けなどに対する総合芸術ソリューションとしてのKPOPだけを残し、韓国という国家的なアイデンティティを消してしまうのだ。


こうした「現地化アイドル」は既に一つずつ姿を現している。 今年1月にSMエンターテインメントは、韓国国籍のメンバーがいない中国・タイ人だけで構成されたグループ(訳注:ドイツ人やマカオ人のメンバーもいます)WayVを披露した。 JYPエンターテインメントも日本のソニーミュージックと共同で進める「Nijiプロジェクト」を通じ、今年7月に全て日本人で構成されたガールズグループデビューを計画している。 JYPは昨年、中国人6人で構成されたボーイグループBOYSTORYを中国市場に正式デビューさせた。 これらのグループは全てKPOPを標榜してはいないが、音楽や外観、構成など全ての面でKPOPの要素を備えている。


先月23日にはアジア7カ国出身の男女アイドルグループZ-GirlsとZ-Boysがソウル蚕室オリンピック競技場でデビューステージを行った。 小規模企画会社ゼニスメディアコンテンツのZ-POP Dream Projectの一環として出たものだ。 ゼニスメディアコンテンツのカン・ジュン代表は「KPOPを羨望するアジア人たちに夢と希望を与えるプロジェクト」とし、「各国からオーディションを経て選んだメンバーを韓国式トレーニング・プロデュースを通じてKPOPスターに似たアーティストに育て上げた」と説明した。


KPOPはすでに、人種と国家を超えた一つの産業モデルに変わりつつある。 専門家たちは「KPOPと韓国の関係は、これからバレエとロシアとの関係のように変わっていくことだろう。 韓国が"宗主国"になるが、KPOPを独占することはできないだろう(ミミョウ氏)」「これからはKPOPは国家に従属した産業ではなく、一種のスタイルなった」と話す。 KPOPはもはや「韓国に由来したポップスの文法」を意味する用語に変貌していくかもしれない。


現在まで、これらのグループのうちで従来のKPOPグループほど成功を収めたものはいない。 しかし、ミミョウ編集長は「KPOPというサブカルチャーの特性上、海外ファンの間では自国でも『KPOPスター』を輩出したいという熱望が非常に高いと聞いている」とし、「今後は『韓国人のいないKPOPグループ』の中から商業的に成功する事例が一つ二つは出てくるだろう」と述べた。 評論家キム・ヨンデ氏も「こうした形もKPOPのひとつのモデルとして定着するだろう」とし、「KPOPで重要なのは、韓国がどれだけ主導権を行使できるのかどうかになるだろう」と分析した。

 

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参考

ダ、ダイヤモンド...確かに何かと超硬そうではある(?)

いい話に関してはファンドム名をあえて出すけど、ネガティブな話に関しては極力所属ファンドム伏せているあたりに気づかいを感じる...


確かに韓国のファンの間で色々暗黙のルールというのがあって、独特の観覧マナーとか、どこでも写真撮っていいわけじゃなくて絶対にダメな所もあるのにどこでも撮っていいんでしょうというような勘違いは海外のファンの方が圧倒的に多いので、本国のファンがイラつくのはわからないでもないですが、それにしてもすごい呼び方だ。前も何回か書いておりますが(上記の参考記事)確かに韓国の文化を無視して色白を良いとするのを白人主義ってみなすのも、逆に差別という気がしますが。アジア人の肌が黄色いっていう認識自体が他の人種からの偏見で、実際にアジア人の当事者である日本や韓国や中国などでは自分たちの肌の色が黄色いとは思ってないのでは...象牙色とかアイボリーのイメージの方が強い気がする。結局、みんなどの人種も「自分と比べて」という比較でしか肌の色を語らないから、双方に認識の齟齬が出てくる気もしています。

国家的起因の不便さは日本のファンもなかなか強く感じる部分じゃないかとは思いますが(...)

しかし、日本のファンは韓国のファンにもそのほかの国のファンにも迎合出来ず、ビジネス関連の立ち位置的にも人種的にも微妙な存在だなあと思いました。そもそも海外ファンでひとくくりっていうのも乱暴すぎますけど。

 

「多様性のアイコン」という海外での認識も、国内ファンからしたら表層しか見てないのに勝手に貼られたレッテルとも言えるのかも。ハマった初期は海外の人から見たら多様性に富んでいるという認識でも、逆に深く知れば知るほどちょっと考えている様なものではなかったと思うようなケースもあると思いますし。表面的にはそういう仕掛けが多くしてある(ように見える)けど、個人的にはKPOPを通してLGBTQなどを語る時にその辺のねじれを感じる時はあります。人種についても、色々問題はまだあるにしろ、有色人種の外国人のハーフ(ダブル)のメンバーが複数いるLDHのような「アイドル」がメジャーなシーンで活躍していて、実際に広く人気のある日本の方が「多様性」を感じる部分もあります。

 

そもそも海外の(特に欧米の)ファンが「非人間的」と思わないような「自由」の上では今の「KPOPアイドル」という文化はほとんど成り立たないようなものだけど、自分たちの「アイドル文化」がほぼ成り立ってない文化圏でそこまで理解しているファンがどれだけいるのかどうか。自分たちが尊重していると思って消費しているものが、実際はどういう構造や犠牲のもとに成り立っている世界なのかをわかっているファンがどれだけいるのかという。「海外ファン」の言動を見るとその辺疑問符がつく事はあります。正直、「韓国ならではのローカライズ」要素が全くなくなってメジャーになったKPOPって果たして面白いのか...?とも思いますしね。楽曲やパフォーマンスだけがイコールKPOPを体現しているわけではないですし、自覚の有無はともかくむしろそういう部分以外(特有の人間関係の濃さとか)に惹かれているファンも多いのでは。

(差別的な要素を許容すべきという意味ではないです。ただやっぱりトップクラスのアイドル達は日常や人間生活においては他国の基準からしたら非人間的な生活だとは思うし、そこまでやってるからこそ鬼スケジュールでのコンテンツ供給量やダンスや歌の精度もあると思うので。ゆったり休んでると何か見せろといちばんうるさいのは、ウェブ越しにしか見られない海外ファンでもあるし...)


「取材の結果、国内の主要アイドル企画会社は海外公演に臨むたびに該当国の文化的タブーや政治的に敏感な話題などを予め収集し、情報を共有する程度のマニュアルを備えていることが確認された 」の部分は本当かな?みたいなツッコミは出ました。

しかし結論の「KPOPはいずれエンタメのスタイルのひとつとして人種関係なくなっていくのでは」というのはあり得ると思いました。例えば日本のマンガやアニメスタイルの画風やクリエイションが世界的に定着したみたいに、「日本の漫画みたいな画風だけどマンガではない」とか、「外国の人が描いた日本ぽいスタイルのマンガやアニメ」みたいな感じで。

(KPOPをすぐ二次元文化になぞらえる癖のあるブログ)