サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【GQ KOREA訳】アイドル消費者は王様なのか?

【GQ KOREA訳】アイドル消費者は王様なのか?

 

2018.03.29
http://www.gqkorea.co.kr/2018/03/29/아이돌-소비자는-왕인가/

 

アイドルコンテンツの消費者という理由だけで、REDVELVETのアイリーンにどのような本を読めとか読まないでなどと言うことはできない。

 

REDVELVETのアイリーンは、小説「82年生まれキム・ジヨン」を読んだと語った。 2016年に出版されて以来今まで50万部以上が販売されたこのベストセラーは、1982年に生まれ、結婚と出産でキャリアの断絶を経験して育児うつで苦しむキム・ジヨンの人生を時間順になぞりながら、女性たちが毎瞬間経験しなければならない性差別をよく表している。これまで気づかなかった女性の現実を不快なまでに生々しく描写したため、分類するとしたらフェミニズム小説であり、まさにこの部分が一部の男性ファンの機嫌をそこねた。 REDVELVETのファンコミュニティにおいて、彼らは「俺たちが金を使うおかげで生きている」ガールズグループメンバーのアイリーンがフェミニズム小説を読んだということに怒った。 アルバムに入っていたアイリーンのフォトカードを破って写真で認証した者もいる。「消費者である自分は怒っている」という表現であり、「2度とあなたにお金を使わない」という意思表示であった。 この騒ぎには何重もの問題が重ねられている。 ガールズグループは自分の考え方を表明せず、ただ見目が良くきれいに存在しなければならないという考え方。フェミニズムは悪いものだという偏見。そしてもうひとつ、ファンはすなわち消費者であり、消費者は王様であるという意識だ。

 

ファン達はアイドルにお金を使う。 ガールズグループであれ、ボーイズグループであれ同様だ。 グッズを買ってアルバムを買ってコンサートを見に行く。 音源の順位を高めるために一生懸命にストリーミングを回したりもする。 アイドルをめぐる何かを消費する文化は以前から存在してきたが、今のアイドル企画会社はファンを消費者待遇する事にはるかにもっと積極的だ。 シーズンごとにいろんなグッズを作って休む暇なく販売し、音楽チャート番組と各種の授賞式で1位になれるように投票してほしいと呼びかけている。 メンバーが公式にSNSアカウントに自ら文字を上げることもある。 写真集、アルバム制作などに向けてクラウドファンディングで資金を集める場合もある。 内需市場が小さい韓国で最大値の利益を出すには、お金をたくさん使うコアファンドムを増やさなければならない。 ファンがアイドル製作にどのような形であれ関与するというやりがいを感じるようにすることこそ、忠誠度の高いコアファンを確保する方法だ。

何よりも、アルバムを販売する方式が露骨だ。 好きなアイドルメンバーと顔を見て疎通できるファンサイン会はアルバムを購入すれば応募できる資格が与えられ、通常はアルバムを何枚も買うほどに当選確率が高くなる。 お金を使うほど待遇を受ける消費者は特別な消費者になる。 「ファンサイン会に行けば、アイドルがとてもよくしてくれます。 お金をたくさん使ってここに来たファンたちだからです。 サイン会を始める前に企画会社で事前に教育しているのではないかと思います」あるボーイズグループのファンは話す。当然、ガールズグループの場合も変わらない。 ファンサイン会では非常に短い時間でもアイドルと目を合わせて対話を交わすことが可能だ。

 

給料を使ったとしても、アイドルという人間を購買するわけではない。 しかし、アイドル産業は基本的に人を商品化するとても特殊な産業である。 だからファンたちを消費者と命名した瞬間、錯覚が発生する。 アルバムを何枚か買えば、アイドルに勝手に対面することができる権利が与えられるように思う人々が現れる。Mnet「プロデュース101」は、そのハードルを相当引き下げた。 1票あたり100ウォン程度の文字の投票だけしかしていなくても、お金を支払った消費者としてアイドルについてどうこう言うべき権利が生じた。 しかも、インターネット投票は無料だったにもかかわらず、練習生たちはきちんと視聴者たちを「国民プロデューサー様」と呼んで頭を下げて挨拶をしており、番組はアイドルのデビューを「国民プロデューサー様」が決定すると絶えず強調した。 何の消費活動をしなくても、もっと正確に言えば番組を見ただけでも消費者としての資格を付与したのだ「プロデュース101」と関連する有名なエピソードがある。 I.O.Iのメンバーであり、現在はgugudanで活動中のキムセジョンのある男性ファンが他のファンたちと資金を集め、デビュー祝いの贈り物を準備する状況で「最初から高い物を使うと行儀が悪くなる」として手頃な物を買うべきだと主張した。 一人の意見に過ぎなかったが、当該男性が募金に「銃床的に(自己犠牲的に)」乗り出したという点、募金過程で資金を横領した情況が疑われるという点のために論難は大きくなった。 彼の主張は「自分はキムセジョンのデビューを手助けした消費者であり、しかもキムセジョンは若い女だから」人間性にも口出しする権利があるという言葉と変わらなかった。

 

特に、ガールズグループはボーイズグループよりはるかに広範に消費される為にあちこちで消費者のふりをしようとする者がいる。自分が好きで関心を持つから君が食べていけるんじゃないかと、だからいつもにこにこ笑って愛嬌をしなければならないと消費者の権利について話す人々が多い。 実際にアイドルを制作するのは、彼らのそれぞれのプロダクションだ。 アイドルは誰かにとってよく見えるためではなく、職業がアイドルである為にステージで歌ってダンスをするという自分の仕事をする。 ファンがお金を使って購入するのはアイドルという人ではなく、アイドルと関連された無形あるいは有形のコンテンツだ。 そのコンテンツに100ウォンを使おうと1000万ウォンを使おうと、倫理的に間違っていない事に関して消費者の権利を主張し、アイドルを非難してもいい人は誰もいない。 彼/彼女がどんな本を読んでいようと、どんな携帯ケースを使おうと、言うとおりに愛嬌を振りまいてくれないとしても、そうなのだという意味だ。 アイドルは商品ではなく人間だ。 このように当たり前のことを、2018年にも言わなければならないとは思わなかった。


文 ファンヒョジン(コラムニスト)

 

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「82年生まれキム・ジヨン」は少女時代のスヨンも読んだと言っていたと思います。この前にAPinkのナウンが使っていたスマホケースに「Girls Can Do Anything」と書かれていたことだけでフェミニストだとバッシングを受けるという事があり、この件へのカウンターとしてGirls Can Do〜の文言をプロフに書く事でフェミニストだと宣言しているのをよく見かけるようになりました。


韓国ではここ数年人文関係書で一番売れているのがフェミニズム関連だったりブームと言っていい現象が起こっているようですが、一部行きすぎた行動への反動でフェミニズムミサンドリー(男性嫌悪)と即時見なされたりする弊害なども出てきているようです。
(もちろん両者はイコールではないのですが、他国と同様一部の過激派ラディカルフェミニストの言動や活動が殊更取り上げられて本来の意味が歪んで捉えられつつある部分もあるという事です)

 

この件ではフェミニズムでしたが、確かに過干渉の家族みたいにアイドルにこうあるべきとかこれは失望したとかやたらと進言したがる人はいるな...と思いました。そもそもこの件もアイリーンはただこの本を読んだと言っただけで、だから彼女はフェミニストだと言い出したのはフェミ寄りのファンであり、それによってアンチフェミの男性ファンが騒ぎ出したという流れだったと思います。女性アイドルがフェミニストである事は勿論問題であるはずがないですが、本人が語る以上の事を勝手に本人以外がレッテルづける事自体は、それがどのようなレッテルであれいい事のはずがないと思います。
これはセクシャリティ等にも言える事ですが、他の人が見せているある面だけから人格や考え方の深いところまで省察して断じるのは、それがどういうものであれ割と身勝手な行為のように自分は感じます。思ったり妄想するのは自由でそれもファン活の一部ではありますが、それが一個人の妄想や推察やジョークを超えてあたかも唯一の真実であるかのように発言したり振る舞うのは正しいとか「良いファン」の行動とは思えません。

 

しかし事務所がファンに消費機会を与える事はむしろ双方に良いことのはずで、問題はお金を使う側の意識が大きいとは思います。アイドルから形にならないものを受け取る「お礼」であったり自分が見たいから・聞きたいから・会いたいからその為にお金を使うのであって、「自分たちの使った金で生活してる」とか、自分が自主的に消費した金額に物理的なもの以上の見返りを期待するのは、もうアイドルファン向いてないとしか言いようがない気が...基本的には「アイドルのため」じゃなくて「自分のため」に消費するからこそ楽しいし気持ちよく消費できるんだと思うし、変な見返りも求めないんだと思うんですけどね。日本ではそれがほぼ基本的な考え方になってきてるので(そうじゃない人が問題を起こす事もありますが)よほどのケースでなければ販売スタイルが一番の問題ではないと思うんですよね...心弱い人は踊らされがちなシステムだとは思いますが。

サイン会での態度だって、個々のファンに接する機会があれば大抵のアイドルは誰にでも同じ程度よくしてくれるんじゃないかと思いますし、積んでる客だからその中でも特にやさしくしてる訳でもないだろうと思います。人気のあるアイドルの場合は、個別に対面する機会はどうしても消費金額に比例してしまう事になるかもしれませんが。