サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【MoneyS訳】[変化するアイドルファンドム文化] ②フェミニズム、ミラーリング、そして男性アイドル

【MoneyS訳】[変化するアイドルファンドム文化] ②フェミニズムミラーリング、そして男性アイドル

 

2018.01.06
http://m.moneys.mt.co.kr/view.html?no=2018011117268028935&mtype=&msubtype=search

 

 

今時の女性たちは、我が社会に蔓延した女性嫌悪に立ち向かうため積極的に行動に乗り出している。 彼女たちは差別の不当さを知らしめるために直接デモに乗り出してフェミニズム書籍を購入し、女性の人権について学ぶ。

 

江南駅女性殺害事件1周忌の2017年5月17日午後、ソウル江南駅10番出口でボムフェミネットワーク「私たちの恐怖は勇気になって帰って来た」追悼文化祭参加者たちが菊の花を手向けている。写真=ニュース1
(訳注:原文の写真キャプション)

 

オンライン上では「ミラーリング」が彼女たちが使用する代表的な抵抗スタイルだ。 これは日常の中で女性に無意識的に加えられる嫌悪表現のワーディングを、嫌悪対象の性別だけを変え、男性たちに返す方式で行われる。

 

このように、過去と違って女性が日常の中の女性嫌悪に積極的に対応し始め、彼女たちが多数を占めている男性アイドルファンダムも過去と変わっている。

 

◆推しの歌手でも我慢できない…無条件の庇護は消えた

ある男性アイドルメンバーがSNSに桜の写真とともに「君達が咲いている」という書き込みを掲載した。 書き込みが来てすぐファンの間では「女性(ファン)」を「花」に例えるのは誤った見解だという反応が続いた。 SNSの書き込みを通じての議論が続いて、結局、論議の末に該当アイドルは掲示物を削除しなければならなかった。

 

ファンは女性嫌悪表現を使用しているアイドル歌手のために直接「フェミニズム本」をプレゼントしたりもする。 /写真=ツイッターの書き込みキャプチャー

直接作詞した曲の歌詞が議論になっている場合もある。 有名グループ防弾少年団とグループWINNERのメンバーソンミンホもかつて、女性嫌悪表現が含まれた自作曲の中の歌詞で物議を醸したことがある。

 

このようにファンたちは、自分が好きなアイドルだとしても女性嫌悪の発言と表現を容認しない。

 

むしろ彼らは積極的にヨヒョム(女性嫌悪)議論を突破する姿も見られる。 ファンは、自分の歌手がフェミニズム女性嫌悪について勉強できるように「フェミニズム本」をプレゼントしたり、直接制作に乗り出したりもする。

 

このようなファンドムの変化に、所属会社も研究生の教育課程に「性教育」を含ませるなど積極的に対応している。

実際にJYPエンターテインメント所属のアイドルグループGOT7はある放送で、「練習生の時から一ヵ月に一度の割合でクソンエ先生から教育を受けた」と明らかにしている。

 

◆男性アイドル、「男性嫌悪」の犠牲になる

グループSHINeeのメンバー・ジョンヒョン死亡のニュースが伝わって以降、女性中心のコミュニティを中心に、ジョンヒョンの死について水位を超えた嘲弄が続いた。 ただ彼が「韓国の男性(韓男)」であるという理由からだ。
このように女性嫌悪に対応しようとするフェミニズム運動は、インターネットコミュニティを中心に無差別的な男性嫌悪に変質されている。 女性嫌悪に対抗しようとする「ミラーリング」がどんどんその水位を超え、「男性嫌悪」というもう他の嫌悪を生んだのだ。


そして男性アイドルは男性嫌悪の「スケープゴート」となっている。 女性たちが「ミラーリング」の対象に使用するものの一つが女性アイドルに向けられる嫌悪的フレームなのだ。

 

男性たちが若い年齢の女性アイドルだけを好きで、20代半ばの年頃にさえ「イモ(おばさん)」と称していることや、過度な外見の品評を並べる形態を、男性アイドルに向かってそのまま「ミラーリング」することだ。

 

実際にこれらは20代半ばの男性アイドルに対して「老いた」「軍隊に行きなさい」のような非難を浴びせ、彼らの容姿に置いて「体重を減らせ」「ブッサイク」「韓男(韓国男性)水準程度」だとし、度を越えた人身攻撃を浴びせたりもする。

しかし、これもやはり女性嫌悪と変わらず、また他の嫌悪にすぎないという批判を免れる事は出来ない。


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文中に出てきたクソンエ氏というのは「韓国性教育の母」と呼ばれている有名な社会運動家の方だそうです。

ここ数年韓国ではフェミニズムが活気付いており、日本のツイッターで話題になった「男女が逆転した世界」タグなどもすぐ伝播されてミラーリングの例として広まったようです。日本以上に勢いは感じられながらも、日本とはまた少し違う種類の問題もあるようですが。ミラーリングってそういう使い方するものでしたっけ...

 

個人的には性別間の非対称性が一番大きい問題だと思っていて、例えば文中の「女性を花に例える事」自体は差別とは思いません。問題は「自分=男性アイドルのファンはすべて女性であるという前提の態度をとる」ことや「女性だけを花に例える事」であって、男性のファンもいるかもしれないし男性の事も花に例えたって良いのではないかという前提があれば、男性アイドルがファンを花に例える事自体が問題だとは思わないという意味です。これは実際は発信側と受取手側双方にバイアスがあった例ではないかと思います。


以前SHINeeのジョンヒョンが女性をミューズと呼ぶことは対象化であるとラジオのリスナーから批判されたことがあって、それはリスナーとの話し合いで落ち着いたのですが、それを考えると一方でIUがユインナをミューズと呼んだことは特に問題視されなかったのは些か不均衡な気がします。ミューズの語源になった芸術の神様自体が女神たちなので女性に使う言葉という事なんでしょうが、「インスピレーションの源になってくれる」という意味なら対象が男性でも女性でも使ってもいいでしょうし、女性だけに使われる呼称は全て対象化だと捉えるのは若干極端な思考の気も。それを排除するんじゃなくて男性にも使うようにするとか、同じような言い回しを使うとか色々方法もありそうな気もします。

(注:ジョンヒョンは個人ではなく「女性全般」を一括でそのような存在だとみなしたのに対してIUの方は個人対個人の話なので、その点で本質的に違う話だったなと後から思い直しました。この時点とは考え方が大きく変わったので追記しておきます)