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韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【idology訳】インタビュー:SHINee、ジョンヒョン、EXO、NCT 127の作曲家DEEZ ②「ひとつのチャプターとして記録される音楽を」

【idology訳】インタビュー:SHINee、ジョンヒョン、EXO、NCT 127の作曲家DEEZ ②「ひとつのチャプターとして記録される音楽を」

 

キムヨンデ on 2017/12/19
http://idology.kr/9546

 

DEEZの音楽家としての成長やRain、REDVELVET、テミンに関する話はインタビューの①の方から読み取ることができる。 このインタビューは2017年11月末に進行されたことをお知らせしておく。

 

キムヨンデ:すでにSHINeeとは数曲を作業されています。その中でも、ジョンヒョンが作曲に参加した「Prism」という曲が印象的だ。 アルバム「1 of 1」自体も秀作だが、その中でも特に愛される曲だ。 その上2step(訳注:2step garage)スタイルはアイドル音楽ではそう簡単には見当たりませんでした。

 

DEEZ:Digi(Jamil"Digi"Chammas)、Vedo(Wilbart"Vedo"McCoy III)と3人で書きましたが、やはり最初から完全に新しく作った曲だ。 Digiは私と名前も似ていて(笑)斬新なアイディアが多い友人だ。 実は最初曲を書いた時は、SHINeeの曲になるかどうか分からなかった。 ブリッジパートは後に録音しながら私が作った部分であり、元々はドロップ部分のメロディーはなかったが、この部分はジョンヒョンがメロディーを書いて持って来て、良いアイディアだと思って入れることになったのです。

 

キムヨンデ:ジョンヒョンとはすでに「Neon」「Aurora」の2曲を一緒に作業されていますね。それも他の曲とは違ってジョンヒョンと二人きりで共同作曲をしたそうですが、ミュージシャンとして、ジョンヒョンについての評価はどうですか?

 

DEEZ:ジョンヒョンは曲のコンセプトや歌詞の全体的な形態、流れなどについての考え方がしっかりしている。 たまに「一体あんなコンセプトやアイデアはどこから出てくるのだろう」と不思議な時もある。 SHINeeの音楽を聴いてみると、ジョンヒョンはボーカルも独特でSHIN eeの全体的なカラーを決める役割をする場合が多いが、ソロ活動をするようになってからは更に本人の色が強くなった音楽をするようになったようだ。 両曲ともにトラックが完成された曲を持ってきてトップラインメロディーを完成させたケースだが、「Aurora」のような場合、伴奏を聴いててみたらわかるがもっと複雑にする事もできた曲だ。 もともと自分のアルバムに使いたいと思っていたトラックだが、ジョンヒョンがアルバムの準備をするというので惜しみなく投入しました (笑)

 

キムヨンデ:ジョンヒョンは音楽的な才能と欲が多く見えます。

 

DEEZ:歌詞などの場合も本当にたくさん悩んで準備をする方だ。 さっさと書いたりもするが、また上手に書く。 基本的にアイデアに満ちた友人だ。 「Neon」を書いてきた時は本当にこの子の実力は大丈夫だなと感心しました。


キムヨンデ:ソングライティングついて個人的な指導を別にする事もあるんでしょうか。

 

DEEZ:作曲家としては、後輩には彼らが持っている生の魅力や新鮮さがあるのでその部分を尊重しようとしている。 どんな人にどのような長所があるのかは分からないので、基本的に彼らのスタイルに対してオープンな心で作業を行っている。 もちろん、特定の部分で「絶対にそれはすべきではない」と感じられるときは指摘しますが。

 

キムヨンデ:アイドルが一緒に作曲をしたと言うと、既成の作曲家たちがどうせ大部分を担当したのだろうというひねくれた目で見られる場合もあるようです。

 

DEEZ:それは違います。彼らが基本的なコンセプトやタイトルを持ってくるだけでも、事実上基本的な曲の骨組みが自動的に作られて作業が始まるケースも多い。 本人は何の心配もせずにやってきて考えなしにメロディーを吐き出すことになれば、それは問題になるだろうが。例えば、ジョンヒョンと作業するときは1曲当たりほぼ15時間以上作業をしたが、2人とも適当な性格ではないので、そんな風にたくさんの悩みを通じて結果物を作ったのです。

 

"SMで作業した曲の中でも最も忘れられない"

 

キムヨンデ:EXOのLove Love Love」は彼らの曲の中でもとてもソウルフルな魅力が目立つ興味深い曲だ。 特に個人的には原曲よりもアコースティック・バージョンを愉しんで聴いています。

 

DEEZ:この曲はSMで作業した曲のうちでも最も忘れられない曲だ。 個人的な話があるからです。除隊して1年になった時に母が亡くなった。 この曲は、それから1週間後にあったソングキャンプで作った曲だったのに、睡眠をほとんど取らずに作業した。 特にアコースティック・バージョンの場合は、その当時に母親が亡くなって感じた悲しみと無念さが滲んでいる。 もちろん歌詞は変わったが、その曲を聞いただけでも今でも悲しくなる。私にとって本当に重要で忘れられない曲です。

 

キムヨンデ:音楽的にはどのようなスタイルを念頭に置いて作った曲なんでしょうか?オリジナルはかなりエスニックな雰囲気の編曲だが、再びアコースティックで作った理由は何でしょうか。

 

DEEZ:「Love Love Love」ははじめから二つのバージョンで作るのがコンセプトでした。 EXOがもともと持っていたイメージを守りつつも、アコースティック・バージョンを通じてオーガニックなR&Bの魅力を見せたかった。

 

キムヨンデ:「Cloud 9」は基本的なトラックとメロディーの調和が本当にきれいなR&B曲です。 一見Jimmy Jam and Terry Lewisの音楽が思い出したりした。 そして世界的なプロデューサーであるDem Jointzとも作業された。 この曲にまつわる話やDem Jointzとの記憶についお伺いしたいです。

 

DEEZ:これまでDem Jointzとの共同作業は彼が作業したオリジナルトラックに私が追加的なメロディーやトラックを加えるという間接的な形でなされましたが、「Cloud 9」がその最初の口火を切った曲だ。 今回初めてDem JointzとLAに行って直接一緒に作業をして来ましたが…本当にすごいミュージシャンです。

 

キムヨンデ:どのようにですか?

 

DEEZ:そのまますべての面で怪物だ。 私ももうそろそろ自分のアルバムを準備しようとしたところだったのに、私が普段持っていたブラックミュージックに対する観念についてこれ以上考える必要がないという確信を与えてくれた人だ。 そのまま「ああ、ブラックミュージックとはこのようなものなんだ」という事をしているような感じを受けた。 アイデアとかメロディー、ビート、全ての部分で本当に理想的なプロデューサーの姿でしたよ。

 

キムヨンデ:今年KCONでLDN Noiseにお会いしたが、EXOのような場合はボーカルラインが厚く、和音を積むなどの楽しみが格別なグループだという話を聞いた。 直接作業してみてEXOはどんなグループでしょうか。

 

DEEZ:まずEXOの子達はトップスターであるにもかかわらず、とても謙遜する。 そしていつも本当に熱心です。特にD.O.、チェン、ベクヒョンのメインボーカルラインはまさしく「秀麗である」と言いたい。 実力が本当に立派なのです。プロデューサーとして何のストレスも受けずにレコーディングできるグループだ。

 

"この曲のトラックを100個くらい持っている"

 

キムヨンデ:これまでDEEZ氏が作業した曲の中でもちょっと特別だと感じられる曲がある。 個人的に曲とパフォーマンスのクオリティーにおいて今年最高の曲のひとつとして挙げたいNCT 127の「Cherry Bomb」だ。 参加した作曲家だけでも九人で、編曲はDem Joinz、ユヨンジン氏と一緒にしており、正確にどのような作業だったのか想像が容易ではありません。この曲についての話をちょっと伺いたいです。

 

DEEZ:とりあえず私が持っているこの曲についてのセッションだけでも100個ほどに上る。 聴いても私がどの部分を作ったか推測できないんじゃないかな?(笑)

 

キムヨンデ:そうですね、おそらく中盤部のメロディ部分でしょうか。

 

DEEZ:メインのリフ(サビ)はDem Joinzがもともと持っていたパートでした。Dem Joinzのビートはいつも私にインスピレーションを与えてくれる部分が多い。 私はブリッジメロディーと後半のマークのラップパートのトラックを作りました。マークのラップのパートは私がアイデアを別々に出した部分だが、皆が素晴らしいと言ってくれて気分がよかった。 この曲の作曲陣がこんなにも多い理由は、些細なアイデアが時間を巡って引き続き増えていって修正されたためだと思って頂けば良いです。この曲のトラックを私が100個くらい持っているのもそういう理由だ。 長い時間をかけて完成され、愛着がある曲だ。 とても風変わりな雰囲気のある曲だと思う。

"各自の領域に対する理解と学びをベースに行われる共同作業"

 

キムヨンデ:ソングキャンプが何なのを知らないという人は多くはないが、依然としてそれがどのような方式で行われるか気になっている人が多い。 大抵はどんな風に作業が進められるのでしょうか。典型的な作業の方式を例示してもらえると更にありがたいです。

 

チョンヒョウォン(*DEEZの所属パブリッシャーであるEKKO Music Rights):ひとつに定義することは難しいが、大抵はトラックメーカー(*ビートの基本枠組みを組む人)とトップライナー(*主旋律=メインのメロディーを作る人)の組み合わせを基本にチームの構成が行われる。 レーベルもしくはパブリッシャーのA&Rたちがソングキャンプに招待する作家を選定し、その中で毎日最適の組み合わせを考案してそれぞれのメンバーを構成する。 トラックメーカーがいくつかトラックを準備してきたら、そのトラックをA&Rとトップライナーが一緒に聞きながらプロジェクトに適合したトラックを選定した後、当該トラックをベースに全体的な構成とメロディーを一緒に作っていく。 構成とメロディーが出来たらデモの歌詞を作業した後、デモ録音に入る。 メインボーカルライン、バックグラウンドボーカル、ハーモニー、アドリブなどの録音が終わるとトラックメーカーはデモの完成に向けてポストプロダクションを進行する。 上の過程がソングキャンプにおいて最も多く見られる手順ではあるが、もちろん正解はない。 ある時は作家たちの性向によって最初からトラックから一緒に始め、完成する場合も多いです。

 

キムヨンデ:そうなると、国内の作曲家と海外の作曲家の分業はどのようなやり方で行われるんでしょうか?国内の作曲家と海外の作曲家が一緒に働くことには特別な音楽的理由があるのでしょうか?

 

チョンヒョウォン:分業をするにあたって、作家が韓国人なのか外国人かは考慮の対象ではないです。もちろんそれぞれの特色があるが、トラックとメロディーの両方に海外の新鮮さと韓国の情緒の調和が必要と見ているためだ。 韓国で良い成績を記録する海外の作曲家たち、は韓国音楽市場の特性に対する勉強を怠らず十分な理解を持っています。参加する韓国作家らも同様にグローバルトレンドを勉強するのに勤勉な作家たちであり、このような各自の領域に対する理解と学びをもとに共同作業が行われた際に良い結果が出ているようです。

 

キムヨンデ:共同作業の場合、特定の組み合わせをよく見る場合があります。たとえば、DEEZ氏はObi Klein/Charlie Taftコンビとはいつも呼吸がぴったり合ってスタイルも似合っている。ソングキャンプでこのように特定のミュージシャンたちが組み込まれる特別な理由があるのでしょうか?

 

DEEZ:序盤には通常はA&Rたちがどのような作曲家とどのような作曲家が一緒に作業するとぴったりなのかを考えて組み合わせてくれる場合が多い。 やがてその組み合わせが良い成果を出せば、再び作業したりもする。折を見て希望の作曲家たちを話していると組み合わせてくれる場合もあります。

 

"曲の姿がその日のうちにそろわなければならない"

 

キムヨンデ:アイドル音楽のような場合、通常作曲からボーカルアレンジや録音の過程にまで全て介入をするほうですか?海外の作曲家は一旦トラックを完成するとその後は関与しない場合も多いようですが…。

 

DEEZ:私の場合はそうです。これがとても難しい点なのだが、一般的に皆さんが聴く曲の姿がその日のうちに整えてられなければならないということだ。 だからpre-mixまではなんとか一日で終わらせる場合が多いのです。

 

キムヨンデ:厳しいスケジュールですね(笑)

 

DEEZ:とても大変でタイトです。5年くらい経ったのでもう慣れたが、最初はそのセッション自体が不慣れで難しかった。

 

キムヨンデ:個性が異なる作曲家たちと曲を一緒に書くことは、思ったより難しい作業のようですね。

 

DEEZ:通常の音楽作業とは異なる「概念」の作業だと理解しなければならない。 このコラボというのが海外ではとても多いのですが、これがまた、韓国の文化とは違うのです。しばしば検証が不十分な作家たちが来ることもあるけど、それが提供する微妙なシナジーのようなものがある。 コラボレーションが持つ長所があり、それが彼らにとっては自然な流れなのでしょう。

 

"ひとつのチャプターとして記録される音楽をすることを追求している"

 

キムヨンデ:アイドル音楽に対する批判ーたとえば、音楽的な深みがないとか本人たちの音楽ではないというようなーに対して、現場で活躍されている人として答えを出すとしたらどのようなものでしょうか。

 

DEEZ:私も批判する時がある。それに僕はポップスチャートにも大きな関心がなく、TVもあまり見ない。 申し訳ないが(笑)私も、いくつかの過度に商業的な面だけを追求する特色のない音楽によって耳がとても疲れる時が多い。 やむを得ず一定の部分では、そうした音楽を作りだした方々の責任があるんじゃないかな? もちろん、ジャンルに関係なく、その作曲チームだけの色を持った大変素晴らしいポップスソングはたくさん存在する。 私もここで音楽を創作している人として特別に反論するよりは、ただ、もっと頑張って上手くやろうという言葉を残したい。 自分が聴きやすくて、また長く聴きたいような作品を一つ一つ残していきたい。 そうすれば大衆も、一人二人とそれぞれ愛するアーティストを通じて交感してくれるのではないかと思います。


キムヨンデ:DEEZ氏の曲はKPOPアイドルたちがただトレンディで行きずりの流行としての音楽ではなく、文脈を有する、例えばブラックミュージックの過去と現在を横断的するような重要な役割をしていると思います。本人のお考えをお聞きしたいです。

 

DEEZ:まず、とてもありがたい言葉だ。 作品に対する真正性が少しは伝達したようで気分がいいです。正確に自ら追求して努力していることは、ひとつのチャプターとして記録されるような音楽をする事だと思う。 トレンドというものはあまりにも多くの変数によって素早く簡単に変わる。 そのような意味で、クラシック(古典)という意味と価値がさらに浮き彫りになっているようだ。 現在はプロデューサーや作曲家として作品を通じてそのような役割をしたいし、価値があって信念のあるミュージシャンとして残りたい。 アーティストとしても、また別の足跡を一つずつ残していく計画だ。 今後も一緒に交感できる、しかし、自分に寛大ではない音楽をしたいのです。

 

"いい曲を作業して着実に残していきたい"

 

キムヨンデ:トップクラスの作曲家の寿命は長くないのに、かなり長い時間一般的なグループたちとともに仕事をされています。どんなところがそういうことを可能にしていると思われますか?

 

DEEZ:とりあえず、私がまだトップクラスの作曲家ではないので可能なのでは (笑)私の性向自体がどのようなトレンドにも素早く反応するスタイルではないようです。今まで追求してきたとおり、これからも私がやりたい音楽のみを追求しながら生きていくようだ。 それがDEEZのカラーを維持して、音楽的なベースを守りながら着実に行ってきたというのが理由といえば理由のようですね。幼い時に苦労をそれなりにたくさんし、音楽を苦しみながらも続けてきたので初心の重要性をよく知っていて、その懇切さを失わないために毎瞬間努力する。 それがすべてのようだ。他の考えよりもいつも音楽に対する思いが先行したきたので今まで運良く音楽に集中することができる機会が与えられ、その機会に合わせて音楽をよく展開してきたと思う。 いつも手伝ってくれる周辺の方々と、ソングキャンプなどを通じて一緒に作業してインスピレーションを分けてきた作家たちにもいつも感謝する。 これからも引き続き発展していくでしょう。

 

キムヨンデ:もしやSMステーションにアーティストとして登場する計画はないんでしょうか? (笑)

 

DEEZ:機会があって趣旨に合うようでしたら、"Why Not?"

 

キムヨンデ:今後の音楽家であり作曲家としての計画をお伺いしたい。アイドルを離れて個人のプロジェクトに関する計画があったら教えてほしいのですが。

 

DEEZ:現在は私が作ったプロダクションチームSOULTRiiiの中のチームメンバーたちと共に様々なプロジェクトを作業中だ。 することがとても多い。 これまで行ってきたように、独自の作業物以外にも持続的なソングキャンプを通じて立派な作家やアーティストたちといい曲を作業して着実に残していきたい。ですね。流れによって多様な機会の中でDEEZという染料のカラーを盛り込んだ音楽を続けていくつもりです。プロデュース中のユニバーサルミュージック所属のアーティストSAAYプロジェクトも進行中だ。 彼とともに、来年には後回しにしてきた2集に対する計画をついに実行しようとしています。

 

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近頃では主流になりつつある多人数でのコラボレーション作曲やソングキャンプについては、曲を切り刻んで編曲し直すかのような偏見や誤解もあるようですが、どちらかというとひとつのコンセプトやイメージに向かって多人数でそれぞれの手持ちのパーツや新しく作ったパーツをああでもないこうでもないと協力して一つのものに組み立てていく印象です。

 

以前YG参加のHIGHGRNDがオヒョクやイハイも含めてアメリカのGOOD MUSICとソングキャンプをした時の映像が公開されていますので、参考までにリンクを貼っておきます。