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【idology訳】インタビュー:Rain、REDVELVET、テミンの作曲家DEEZ①「ただ良いR&B曲を使えばいい」

【idology訳】インタビュー:Rain、REDVELVET、テミンの作曲家DEEZ①「ただ良いR&B曲を使えばいい」

 

キムヨンデ on 2017/12/16
http://idology.kr/9530

 

キムヨンデ:感慨も新たです。2010年に出た正規1集「Get Real」をレビューした記憶があるんですが、よりによってその年に私が有望株に挙げていた2人のブラックミュージックのミュージシャンであるDeezとJinboが現在、KPOPのホットな作曲家として活動中だ。 最近のようにR&Bが主流になっている時期にデビューしていたらより注目されたのにと、残念な気持ちはないですか?

 

DEEZ:ありがたいですが、身に余るお言葉です。逆にその時代にデビューしたからより知られたというのもあるんじゃないかと。その時はその時の役割を、今は今の役割をしていると思う。

 

キムヨンデ:音楽的才能をどのように発見して育てて行ったのでしょうか。

 

DEEZ:幼い頃両親が、特に母親が好きでかけてくれたLPから流れていた音楽の影響が大きかったようだ。 主にマイケル・ジャクソン、マーヴィンゲイ、クィンシー・ジョーンズ、プリンスなどがあった。 自然に音楽を接していくうちに聴きながらリズムとる癖ができ、伴奏を作る部分に好奇心が生じ始めたようだ。 面白いのは、家柄や周辺には残念なことに音楽の人脈が誰もいなかったので、それによってかなり波乱万丈な成長過程が待っていたことをその時は知らなかったということです。

 

キムヨンデ:音楽は具体的にはいつ頃始めるようになったんでしょうか。

 

DEEZ:家計が苦しくなってからですね。 もともと外交官が夢で勉強を心配もなく頑張っていたけど、家庭の状況が非常に厳しくなると、自然とその次に興味があった音楽や美術のほうに関心が集まって。普段から音楽を聞いて弾いたり絵を描いたりすることを遊びや趣味として楽しんでいたし、特別に習ったことはなかった事がないなりに素質があると思ったようです。

 

キムヨンデ:本格的に作曲家に入門するようになったのはRainの5枚目のアルバム「Rainism」でしたが、きっかけが気になります。

 

DEEZ:最初のEPの「Envy Me」を作業していたところ、偶然機会があってその音源を聞いた当時のRainの所属会社のプロデューサーに会いたいと言われて。そういうふうに何回かのミーティング後、Rainの為の曲を収集しているという話を聞いた。 デモを準備したけぢ、もちろん採用されるという期待は全くしなかった。 幸いRainがデモをよく気にいってくれて、本当に運が良く参加して数曲を一緒にすることになったんです。

 

キムヨンデ:序盤に主にJYP側と仕事をしていた時は主に一人で作業してましたよね。ボーカルから編曲まで本人の色がもっと濃く感じられます。

 

DEEZ:当時、自分の色が一際濃かったのは、軍隊を除隊したての数ヶ月内の仕事で、「Get Real」と物理的時間がそれほど開かずにリリースされる可能性もある計画でもあったんです。兵役中に深く悩んだ部分のひとつです。ひとつのブランドとして「Deez」というカラーを音楽に溶かし、それでそのカラーが外部に少しでも刻印されることについて悩んで情熱を注いでいた時期だった。 それに除隊直後だったので、力と意欲のある時期だったからかも(笑)

 

"作曲家とアーティスト〜プロデューサーが連動されてこそ、Deezのアイデンティティ"

 

キムヨンデ:共同作曲形態にしている現在と比較した時に、音楽的アプローチについて違いがあるんでしょうか?

 

DEEZ:共同作曲と単独作曲は音楽的なアクセスでの差というより、例えば山の頂上のゴールイン地点をめぐって、違う考えを持った多くの人々が力と知恵をどんな風に使って頂上に達するのかにたとえることができそうだ。 その中でリードをするのかついていくのかは、本人の実力や経験そして力量によって変わるのではないかと思う。経験値の大小と作家個人の性向によって、困難度が数倍に達することもあり、逆に創作の喜びが数倍に達するかもしれない。 アクセスの仕方自体は根本的に同様だと思われます。利点があるとするなら、傾向やスタンダードがある程度重なるクリエイターと一緒にすれば分身術のような効果をみることもできるし、時間やストレスを節約することができて、結果的に時間当たりに良質の曲をもっとたくさん作れるかもしれない。 しかし先程触れたようにその反対になることもある。 確実なのは、ひとりで中に閉じ込められて苦悩していた「Get Real」の時と比較して、今はクリエイティビティにおいて全く違うエネルギーを持つようになったという点だ。 後輩や仲間たちも機会があれば様々なミュージシャンたちと創作の喜びと苦痛を分かち合ってみることを推奨しますよ。もちろん、作品によってはひとりでする場合も依然としてたくさんある。 共同でやれば半分に簡単になるわけではないというのは確実だ。

 

キムヨンデ:作曲家として活動してソロアルバムを出した契機、そして再び作曲家、特にアイドルグループと本格的に作業するようになった契機が気になります。

 

DEEZ:最初は専門的な作曲家だと思ったことがあまりなかった。面白いのは、ある意味今もそうした考えがあるようだ。 作曲家としての専門性に関する話というよりは、「作曲家」という職業によって定義されたくないというのが正確な表現のようだ。 根を下ろしたアーティスト根性の性格のためかもしれないと思うけど、このような性向が曲を書く時に作品性について敏感に悩むようになる原動力でもあるんです。作曲家とアーティスト〜プロデューサー、この3つが連動されてこそDeezのアイデンティティだと思う。 もともと軍隊除隊後すぐ2集を準備しようとしていたけど、複数の会社から依頼を受けることになった。 そのときふと、ロールモデルの一人であるクィンシー・ジョーンズが思い浮かんだ。 (私は)プロデューサーとしても作曲家としてもいつも足りていないが、(特に)当時は音楽の勉強に対する渇きが大きかった。 様々な経験が必要だと思い、いろいろな依頼に合う作業をその頃から始めるようになった。 それが本格的作曲家としての始まりだった。 現在も依然として勉強中だが、今は逆にこれまでの熾烈な学びを2集に生かしたいという考えが強いのです。

 

"ただ良いR&B曲を使えばいいという気持ちで作業する"


キムヨンデ:まず一番最近に作った音楽についてから話を始めたいと思います。REDVELVETの「Perfect Velvet」では「Kingdom Come」と「Perfect 10」を作られました。先に「Kingdom Come」は個人的にアルバムを聞いてすごく驚いた曲ですが、遅くて軽いビートの間に夢幻的に持ち上がってくるボーカルがこれまでのアイドル音楽に比べて官能的で成熟した印象を与えている。曲自体の完成度も相当高くて、「Peek A Boo」とともに、ダブルタイトルにしたらどうだろうと思ったくらいです。ファンも大事にしている曲です。

 

DEEZ:実は2曲とも2015年度に作られた曲で、当時すでに使用が確定されていた曲です。いつリリースされるのか気になっていたが、結局このように発売できて嬉しいです。個人的に2015年当時は、作曲時にボーカルプロダクションにおいてR&B的な歌唱部分に没頭していた時期でした。その結果、莫大な作業量は必要だったけれど、結果物がそれだけ濃く出てくれたようだ。 REDVELVETに本当によく似合う2曲だと思う。 長時間の録音だったにもかかわらず、メンバーたちが本当によくついてきてくれた。見方によっては変わった曲なので、多くの方たちが喜んでくださるとは夢にも思わなかった。 ありがたいです。

 

キムヨンデ:「Kingdom Come」もそうですが、「Perfect 10」はアイドル音楽としては特異な正統派ソウルスタイルの音楽なのに、いわゆる「KPOPだ!」というような仕掛けが曲になく、最初から一貫して簡潔なR&Bスタイルだけで展開される。 90年代のアメリカの女性R&Bの名曲を連想させるほどです。

 

DEEZ:「Soul to Seoul」とObi Kleinのソングキャンプで一緒に作った曲だ。 当時ちょっとクラシックでオールドスクール的な音楽をたくさん作業したが、Obiが私に似合いそうなビートを作って来て、そのループを基盤に作業をしたのです。


キムヨンデ:再三言いますが、両曲ともにアイドルソングでは聞くことの難しい曲で、REDVELVETの既存曲を思い出してみても新鮮な衝撃が感じられる。 「Perfect Velvet」単にアイドル音楽ではなく高級なポップスアルバムのような雰囲気を醸していることに対して、核心的な役割をする曲ですね。

 

DEEZ:私の個人的な性向と言えるが、特にこのような曲を「ガールズグループ」や「アイドル用」の曲として書こうと思ったことはない。 ただいいR&B曲を使えばいいという気持ちで作業する。 特に特定の歌い手を狙って使わなくちゃということもなく、アイドルであれ他の歌手であれ、同じ気持ちでスタジオでディレクティングを見ています。

 

キムヨンデ:「Perfect Velvet」でのREDVELVETとの全般的な作業の感想をお聞きしたい。 以前「Light Me Up」も一緒に作業しているがその時とはどう違ったのか、そして、今回のアルバムの特徴と言えるボーカルに対する評価も伺いたい。

 

DEEZ:私は基本的にあの子達の姿勢が大好きだ。 ウェンディやスルギはボーカルの才能も優れ、また今回の作業ではメンバー達全員からかなりの熱意を感じられた。 「Light Me Up」は私が(リズム)のトラックのみを担当した曲で、今回はメロディとボーカルプロダクションを務めた。 多分私が作業した中では初めてアイドル歌手たちがバックグラウンドボーカルまで直接歌って完成したケースだと思う。私の曲はやってみれば分かると思うが、バックグラウンドボーカルが曲の必須的な役割をしており、ボーカルプロダクション自体が編曲の役割を果たす場合が多い。 そういう部分は専門的なシンガーに任せる場合が多いが、今回はその部分を彼女たちに直接預けて録音し一緒に要素を変えていくという、まるで原曲をリメイクするようなやり方で作業したというのもあるでしょう。

 

"一度も私の曲が容易だという言葉を聞いたことがない"


キムヨンデ:Deez氏が作業したこのふたつの曲の場合、おっしゃる通りボーカルプロダクションの面で平凡でない要素が多く、また深いR&Bの雰囲気が強い部分を好む人も多い。 しかし、同時にこのアルバムを人々が一旦は難しいと考える曲でもないかと思う。難しいという大衆の反応についてはどう考えるか。

 

DEEZ:私は今まで一度も自分の曲が容易という言葉を聞いたことがない(笑)私の性向自体が大衆的な曲を作るというスタイルでもないが、自分が満足できる曲、自分が聞きたいとか、その曲ひとつだけで何かが残る曲を作りたいという欲があるから、そうなるのではないかと思います。

 

キムヨンデ:両曲ともに曲そのものが結構難しいが、レコーディングの過程でREDVELVETメンバーたちの困難や不平はなかったんでしょうか? (笑)

 

DEEZ:不平不満を言うタイプの子がいない。 メインボーカルのスルギとウェンディは予定の時間よりはるかに早く来て練習をするほど曲に熱意を見せてくれたし、他のメンバーもリードボーカルはもちろんバックグラウンドボーカルまで消化できるぐらいにディレクションをよく理解してついて来てくれた。 もちろん、曲が難しいですという愛嬌は出ましたよ。 曲をわざわざ難しくしようと意図しているわけではないのですが、絵を描くように書いてみると完成された後に感じる。 「うん…むずかしいな」(笑)レコーディングをしながら「ああ、この曲は本当にREDVELVETの曲だな」と感じて、最終結果を聞いて嬉しかった覚えがある。

 

"一度『ハーモニーの最果てに行ってみよう』"

 

キムヨンデ:以前作業した他の曲に関する話に移りましょう。 まずテミンの「Ace」。やはりObi KleinやCharli Taftなどと作業した曲で、DEEZらしいR&Bスタイルが存分に感じられる曲だ。 SHINeeのメンバーではないソロアーティストとしてのテミンの潜在能力を新たに見せつけなければならない作業だったので大変だったのではないかと思います。

 

DEEZ:「Ace」は私がこれまでSMで作業したうちで最も大切な曲のひとつだ。 そのままその曲が持っている秀麗な感じ、ソウルフルな感じがとてもいい。

 

キムヨンデ:他の曲もそうですが、とくにこの曲はハーモニー的にも面白い部分が多いです。

 

DEEZ:この曲は1日で全部終わらせずに別にトラックを持って行って、家でバックグラウンド作業を更にやった曲だ。 最近はそうではないが、当時は複雑なハーモニーやコードに完全にはまっていた時期だったので、一度『ハーモニーの最果てまで行ってみよう』と(笑) 決心して作った曲でもある。 個人的に本当に無駄のない曲だったと思えて、作業を終えてからも自ら好んでずっと聴いていました。

 

キムヨンデ:ボーカルも曲によく似合っている感じです。

 

DEEZ:テミンが曲を本当によく消化してくれた。 その曲の場合、特に彼が愛情を持ってくれて、本録音する前にも別途に歌ティーチングを受けようと訪ねてきて一緒に練習したりもしました。

 

キムヨンデ:ソロ歌手に変身したテミンにとっては、多方面で負担を感じた曲であるかもしれない。

 

DEEZ:親しくなる前に初めて作業した曲だが、当然難しかったはずだ。 事実、自分の曲を簡単にこなした人はいないので (笑)

 

キムヨンデ:今回の「Move」アルバムでは「Crazy 4 U」と「Thirsty」の2曲を作業されました。特に「Thirsty」を聞くとボーカリストとしてのテミンの成長幅がありありと感じられる。 些細な疑問だが、この曲特有の「꺾는(訳注:パンソリや全羅道民謡特有の発声法)」のような歌い方は、最初にデモ段階からそうだったんでしょうか?

 

DEEZ:元からもあったが、レコーディングして「テミン化」したのではないだろうか。「Thirsty」はよりによってこのアルバムで初めて録音をした曲であり、緊張感があった。 何よりも、その前のアルバムに比べてボーカル色をアップグレードさせる方向に焦点を合わせて作業したようだ。

 

キムヨンデ:今回のアルバムは個人的に今年のアルバム候補のひとつだと思っていて、特にテミンが1人のアーティストとして成長しているというのがはっきりと感じられた作品だ。 彼はどんなアーティストでしょうか?

 

DEEZ:テミンは本当に欲張りな友人だ。 正直アイドル全員がテミンのようではない。 彼は本人自らがアーティストとしてどのように行かなければならないか、何をしたいのか、またどのようにすべきかに対する概念が強い人だ。

 

"彼と対話する際には「1+1=2」というようなわかりやすい話はしない"

 

キムヨンデ:このアルバムは前作のように作曲のプロセスには直接関与しなかったが、その代わりに曲を直接選んでアルバムのコンセプトを決めるなどの主導的な役割を果たしたそうですね。

 

DEEZ:そうです。音楽も音楽だが、パフォーマンスにおいて舞台を作ることに対する観点やスタイル、カラーについてたくさん悩んでいる。それで、彼と対話する際には「1+1=2」のようなわかりやすい話はしない。 例えば、ディレクティングを見る時も「この部分はアイスクリームが溶けていくような感じで」といったような、他の人々には理解できない言葉でコミュニケーションする。 アルバムのディレクティングを見ている間、退屈ではなくて本当に興味深く作業した。 また、ひとつ印象的なのはあの子がいつも成長を重ねているということだ。 録音するたびに毎回ひとつずつ成長する姿を見せてくれるのです。

 

キムヨンデ:音楽だけ聴いていても努力するアーティストという点が感じられます。

 

DEEZ:さらに、レコーディングの合間の休み時間も新しいアイデアを出している。 この部分はこうしたらいいか、次のパートはどうしたらいいかというようなアイデアを出し続けてたくさんの試みをする。 作曲家の立場からこの程度ならいいレベルだとOKを出しても、本人は満足しない姿も印象深かった。

 

キムヨンデ:「Crazy 4 U」は対照的な2つのセクションの調和が独特な雰囲気を醸し出している曲だ。

 

DEEZ:ソングキャンプでテミンのアルバムに入る曲を依頼され、初めから彼に向けて完全に新しく作った曲だ。 元々は今のように2つのセクションではなくフューチャースタイルの後半部分だけで始めたが、A&Rと共同作家たちと悩んだ末に、ピアノが入った導入部を新しく作ることになった。 みんなテミンのスタイルをよく理解していたので、よく似合う構造で完成されたようだ。

 

続くDEEZのインタビュー②はSHIN ee、ジョンヒョン、EXO、NCTに続いてアイドルの全般に関する話へと伸びていく。