サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【IZM訳】2017 今年の歌謡シングル

【IZM訳】2017 今年の歌謡シングル

 

2017.12
http://izm.co.kr/contentRead.asp?idx=28924&bigcateidx=19&width=250

 

いつのまにか年末のダイアリーには、1年を振り返る忘年会の約束が列をなして並んでいる。ここで、IZMのやり方で少し早いが忘年会を準備した。 いつ見ても今年を思い浮かべられるくらいのシングル10枚。歌があった記憶がぜひ明るく輝くことを祈りつつ、扉を開けてみる。文章の掲載順はランキングとは無関係だ。


WINNER「Really really」

新しくもなく、革新的でもなく、人生の深さを表すほどの深くて真剣な歌詞でもない。 ただあちこちで聞こえる、いっとき流れている若者のための流行ソングだ。 しかし、「Really really」はそのすべての陳腐さとクリシェを隠すことなく、堂々と掲げ、むしろ斬新に音楽の根本であるメロディーとリズムで真っ向から勝負した。 清潔なサウンドと敏感な録音技術はこれらを支える具体的な結果であり、微細な装置だ。

「Really really」はスムーズで洗練された、言葉そのままの「大衆音楽」だ。 歌の中には2017年があり、この時代の若者たちがいる。 EDMスタイルと、ナルシシズムを否定できない直接的かつストレートな愛の告白の歌詞は今の文化であり、今時のスタイルである。 トレンドを伴うが可聴周波数を超えないラインでポップな感覚を最大値に引き上げたこの高品格のダンスポップスは、2017年の歌謡界をとても素敵に彩った原石の中で最もよく整えられた宝石だ。
(ソスングン)


IU「夜の手紙」

愛しい人の眠りを起こしたくないらしく、やや低くぼそぼそとささやくIUの声は、本当に「夜」だった。 夜の空気のように静かなアコースティック・ギターの伴奏、さくさくと書き下した美しく美しい言葉、そのすべての震えと愛を高低で描いた繊細なメロディーまで、全てが「夜」で「手紙」だ。 紙の質感に似たこの歌でIUは、私たちの中に眠っていたいくつかの感情を静かに起こす。 愛する誰かに宛てて徹夜で手紙を書くときに芽生える、その切なくて小さくて弱い心を、今年この歌よりも正確に突き止めて歌った曲はなかった。

言葉を綺麗に書いてそれを綺麗に歌う、IUの才能が結んだ実だ。 特に普段は耳慣れない「~です(~예요)」が一瞬の空白の間で静かに広がった瞬間は、言語の味を最大限に生かした名場面だった。 「夜の手紙」の小さな響きはそんな風の波になって、すべての人の胸に辿り着いた。2015年の「Chat-Shire」以降複雑な自我に徐々に緻密に入り込んで行きながらも、常に一歩足を一般的な共感に置くこの感覚、曲の清潔な完成度の向こうに流れるこの率直さが、今日のIUを作ったのではないだろうか。素朴さによってより深く残る歌だ。
(ジョーハラム)


ウウォンジェ「時差(Feat. LOCO&GRAY)」

眉毛までビーニーをかぶり、「母」と「錠剤」という言葉を一緒に歌うラッパーの登場。ショーマンシップとビジネスにまみれた「SHOW ME THE MONEY」が新人の発掘という純粋な機能を発揮した瞬間だ。 痛みと不安の感情を一際抱きしめたような独特なキャラクター、極端な単語選択と朴訥としたトーンでとつとつと吐くフロウが搭載された彼のラップは、現代の若者がひた隠してきた暗い深淵を引き出す。

「時差」は、一晩中モニターに向かって飛ばしたつばが乾く前に講義室に向かっていた弘益大学のヒップホップクラブ・Brainswordsの勝利だ。 彼らに対する既成世代の否定的な視線と、時間を無闇に使う人たちからの羨望にあくまで耐え抜いたウウォンジェ、LOCO、GRAY、「違う」時差を甘受したサークル出身の3人は、各自のやり方でヒップホップという遊びに邁進した自分たちに祝杯を、夢に精進している青春に激励のメッセージを伝えている。
(イテクヨン)


イジンア「階段」

イジンアの音楽は難しく容易だ。奇怪で陰惨なピアノの鍵盤とヘヴィメタルに似合いそうな鈍重なドラム演奏で始まり、複雑なコードワークを経て、瞬く間に明るくてパッと飛び出すリラックスしたコンテンポラリージャズが流れてくる。一つのテーマでいくつかに伸びていきながらも、その可能性を逃さないイジンアのスキルと(好き嫌いが分かれたりするが)澄みきった彼女のボーカルは、変奏とアドリブで綴られた迷路のような「階段」の世界で、道を案内する表示板だ。

ユヒヨルの信頼が通じた。 イジンアは、今回の一人立ちのアルバムでポップス、つまり大衆音楽的感受性という基礎の上に自分の長所を遺憾なく発揮した。 主な材料は大きめに切って入れて難なく噛む質感を感じることができるが、形容できない奇妙なソースのおかげでずっと手が進む料理のように、一次元高いポップスソングが誕生した。 イジンアの音楽には少女時代とジェイミー・カラム、屋上月光そしてディズニーアニメのミュージカル効果などがやたらに入り混じっている。 大衆音楽の拡張、その重大な任務を何気なくやりこなしたことは驚くべき事だ。
(チョンヨンギョン)


ZICO「Artist」

若い野望に凝縮されたアーティストのナルシシズムと肯定、バイブスが無限に広がっている。簡潔なイントロのビートで「今年もスケジュールいっぱいだし/道を歩けば皆が知ってるし/Fanxy childマジでホットだし」と素敵な近況をハイテンションなラップで表現し、大衆的フックで曲の志向を野心的に宣言する。「考えずにやっちまおうぜ/筆はお前が握っている/1番センスがあるじゃないか 自分の家の鏡の前では」を通じて夢見ている全ての人々にインスピレーションを吹きこみ、衝動を呼び起こしている。 自分だけがアーティストという事ではなく、「We artist」なのだ。

「Artist」は才能のあるミュージシャンが「信じて聴くプロデューサー」の栄誉を強固にする契機であるとともに、技術的な面を超えてメッセージの領域でも大衆との疎通とポジティブな波及効果の意図を証明した。 新世代の「hipさ」への需要と大衆の広々とした趣向を一つに結集させ、チャートでも好成績を収めた。 この歌を聞いて、少しでも現実に押されていた奥底の才能が疼いた人なら、堂々と叫んでみよう。 「We are、we are、we artist baby!」
(キムドホン)


防弾少年団 「春の日」

「春の日」は会いたい友達の懐かしさを、他人の傷を抱えることができる成熟した社会を歌う。 いつの間にか暖かい少年に成長した彼ら。音楽はもちろん、ミュージックビデオとパフォーマンスでも高い完成度を示している。 柔らかい曲の進行と聞きやすいメロディー、多くの世代を横断するであろう叙情的な歌詞。ここに強烈な「防弾」のヒップホップスタイルとは違った繊細ながらも哀切な感性まで。 今年彼らが発表した歌のうち、特に「春の日」が大衆の愛を「地道に」受けた理由だった。

その何も持たず、彼らの血汗涙で完全に成し遂げた暖かい春の日である2017年はまた、「BTS」が全世界で花開いた瞬間だ。 自分が正しいと信じることに熱情を傾ければ、必ず光を放つのだという事実を悟らせた彼ら。偏見に囲まれた寒い冬を越えていけると信じているこの曲は、そんな慰めに近づいたた。 何度目かの「春の日」を経た後に迎えた彼らの花様年華を見られて格別だった今年だ。
(チョンヒョボム)


赤い頬の思春期 「SOME(SOMEになるつもり)」

一人飯一人酒ソロ族の世の中を慰める避けられない音楽キーワードが「距離を縮める」なのではないだろうか。 近く、もっと近づいて耳元で囁かなければならない。 赤い頬の思春期は、声の録音、発声、歌詞、編曲において最近の歌が発表するように客観的に表現しすると失敗することもあるのだと知らしめた。 「鼓膜の彼女」がその状況の見出し語だろう。

「Galaxy(宇宙をあげる)」以降、20代の女性ではなく思春期の切ない感性と成長痛に集中しているというだけでも格別だ。 「消えてやだ消えないで/君の心を見せてよダメ見せないで」この部分だけでも十分である。 みんなが「私は今日からあなたとSOMEを一度名乗ってみるつもり」の部分を待ち望むようにさせるのは、歌詞との配合が一級品であるアンジヨンのメロディー遺伝子に起因する。 音源やくざになった背景は複合的だ。
(イムジンモ)


Hyukoh 「Tomboy

この曲でHyukohが浸透させたのは「感性」だった。 乾いたアコースティックギターとオヒョクのざらついた声で穏やかにスタートし、バンド構成のサウンドに乗りながら胸を打つように聞こえてくる後半のコーラスを回想してみた。 その強烈さは容易に耳にかかる旋律とシナジーを成し、このような結果を呼び出した。 親世代と青年世代をすべて満足させる訴える力。言ってみれば、歌を通じた世代間の充足なのだ。

春の終わりに発売されたにも関わらず侘しい秋が思い浮かぶ歌詞が、曲の効果を真っ当に表わしている。 「若い僕たち 年輪はよく見えず 眩い光に目がくらんで消えていく」と。これは若者にとっては進むべき未来に対するやるせない気持ちを、中高年層には生きてきた日と生きていく日々を振り返えらせるようにする、感性的で率直なストーリーだった。 誰でもが物思いに耽る叙情的な構成と歌詞、インディーズバンドからスタートした彼らがメジャーの力を持ったのは、すべて理由があるのだ。
(パクスジン)


REDVELVET 「Red Flavor」

熱い夏を耐えられるようにしてくれた有難い歌だ。ッパルガンマ〜に殺到した旋律の豊かさは、熱帯の海辺の強烈さから氷を浮かべたチェリーコークまで、その温度が連想される場面を目いっぱい吹き込んでいる。鬱蒼としたビートで速度を上げる中でも吸引力の高いサビを逃してこなかった彼女たちだ。 その地道な努力が大衆と強力な接点を作り、みんなのサマーソングとして活躍した。

2017年は特に色彩が流行した。 パーソナルカラーやwarm tone cool tone、アイドルソングも色を纏っており、そのような状況で名前からして鮮明な色に染めたREDVELVETは確かに優位に立っていた。 「Red Flavor」は、これまで表現してきたREDの顔の中で最も華やかで活気に満ちた表情を見せている。 メンバーたちの派手なボーカルもcandy popの甘さを満たしてくれる。 全て赤い色で満たしても負担にならなかった曲は、暑さに真っ向から対立し打ち破ってくれた。 この歌なら夏も愛せる季節になりそうだ。
(チョンユナ)


GROOVY ROOM 「Sunday(Feat.Heize, Jay Park)」

今年の歌謡界に最も鮮明な軌跡を描いたプロデュースチームGROOVY ROOM。ジャンル区分が無意味な「良い歌」というポジショニングを成功的に成し遂げた彼らの行動は、「グループ名」を掲げたこの曲で頂点を撮る。 随時その形状を異にするビートを筆頭に、ギターと鍵盤などのリアルセッションが加勢して描き出した立体的な青写真は、聴く度に毎回新しさを醸し出している。 ここに同時代の感情に忠実なHeizeと拍子を巧みに越えるJay Parkのボーカルがキャラクターを具体的に描き、歌詞の中の状況をディテールまで具現化している。 それこそ2017年のコンテンポラリーソングは何かという質問に最も適した答え。トレンドセッター3人を一緒に立てた柱はこれほどまでに強固だ。
(ファンソンオプ)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

IUの「夜の手紙」は、現在の一般的な口語の韓国語では〜에요という発音で言われがちな「〜です」の表現をあえて〜예요ときちんと書いて歌った事で、クラシックな雰囲気を醸しているという事のようです。

 

LOCOは弘益大学経済学部、GRAYは弘益大学コンピューター工学科、ウウォンジェは弘益大学土木工学科(休学中)で3人とも大学のヒップホップサークル「Brainswords」出身とのことです。LOCOは9期の会長、ウォンジェは15期のラップチーム長だったらしい。
(原文ではBrainwordsになってるんですが、Brainswordsが正しいので訂正して訳しました)
弘益大といえばほかに有名なアーティストだとDynamic DuoのGaeko(広告デザイン科)とかHyukohのオヒョク(芸術科)などがいるそうです。

 

SOME=ソユ&チョンギゴの歌でおなじみですが、友達以上恋人未満の関係のこと。somethingの略。

 

鼓膜の彼女=「お耳の恋人」的な?

 

音源やくざ=音源強者を強めに言うとこう。

 

IZMはジャンル問わず主にポピュラーミュージックを取り上げている音楽ウェブマガジン(日本や欧米のロックやポップスなども)ですが、この記事はいろんなライターさんが書いているので切り口が色々で面白いなと思いました。テクニカルに言及してるものもあればコンセプトや歌詞に重点を置いているのもあり、よく読むと楽曲的な事にあんまり触れてないのでは...というものもあったり。