サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【ize訳】REDVELVET、ベルベットなアティテュード

【ize訳】REDVELVET、ベルベットなアティテュード

 

2017.11.22
http://m.ize.co.kr/view.html?no=2017112123427222436

 

ガールズグループREDVELVETの新曲「Pee-A-Boo」で、彼女たちは誰かの愛を待ってはいない。 誰かを愛し続けると積極的にアピールすることもない。 代わりに彼女たちは、愛に対する態度を描写している。 「新しいものだけが好きな」彼女たちにとって愛は「高鳴る時だけ」で、だからこそ相手には「途中で私の心が変わっても驚かない」と語る。 「Peek–A–Boo」のミュージックビデオで「高鳴る時だけ愛」にあわせて見せる映像はイェリが男性のピザ配達員からピザを受けとる場面だ。まだ冷めていないピザ。 彼女たちにとっての愛、または男性はその程度の意味だ。 彼女たちが愛から望むことは「退屈する暇」を与えずに「あの月がジャングルジムにかかる時間まで遊ぶ」ことだけだ。 すると友達がみんな叫ぶ。「あんたは本当に問題があるよ!」なぜ問題なのかは正確に描写されていない。 ただ現在、韓国のガールズグループのうちで最も人気のあるグループは、一日中男性が自分を好きであるという想像ばかりの歌詞を繰り返すTWICEだ。 ところが、ガールズグループが男を待ったり誘惑したりしがみつく代わりに、食べる残すピザ程度という意味を置く。 「問題」であるかは分からないが、「問題的」であることは明らかだ。

 

すぐ恋に落ちることもあるし、すぐに飽きる事もある。ピザを配達させて食べながらそのピザの上に宝石をまいて遊んだりするように、世俗的な価値観ともかけ離れている。 この女性は「清純」や「セクシー」のようなひとつの単語だけでは説明できない。 当然、複雑で理解し難い。 また、自らを理解させようとしているわけでもない。 「Peek–A–Boo」のミュージックビデオを見る人たちは、カメラを通してREDVELVETの家の中に入る。 しかしREDVELVETは訪問者にどのようなアピールもしない。 当然、どれだけミュージックビデオを見ても彼女たちの考えを完全に理解することはできない。 代わりに「Peek–A–Boo」の意味を解釈しようとするほどこの女性たちについてずっと考えるようになるだけだ。 完璧に理解することも、統制することも、そんな自分を他人に説明しようともしない女。 しかし、この女性の予測不可能であり魅力的な行動は、訪問者にこの世界を理解しようともがかせる。過去、ある男性たちはこのような女性を魔女と、または悪女と呼んだ。「Peek–A–Boo」のミュージックビデオがホラー映画のスタイルを持たざるを得ない理由だ。 これは、ガールズグループの場で魔女について歌ったからだ。

 

愛をピザやジャングルジムのような楽しみの一つに過ぎないと語る女。 問題があると言う人もいるが、「キツネ」であることを自任し、予測不可能な行動をする女。こんな女性が自分の頭の中や世界を開き、自分を理解してみればと誘う。 ガールズグループが、現実に存在するが韓国のエンターテインメント産業ではなかなか出てこない女性を表現した。「Peek–A–Boo」のミュージックビデオでREDVELVETの他のメンバーがジョイの周りを回る映像は、すぐジョイの席にピザ配達員がいるものに変わる。 見物の対象として消費されるのが当然だと考えられていたガールズグループの一つが、位置を変えて自分たちを理解することを要求する。 韓国のガールズグループがもう少し多様に存在する女性、または自分自身について話す方法を見つけたのだ。

 

「Peek –A–Boo」の曲とパフォーマンスがすべて必死そうには見えない体裁をとった事は、本当に重要である。 「Peek–A–Boo」のボーカルと編曲は、なかなか感情を明るくて活気に満ちるようには引き上げない。 だんだんと速くなるリズムは楽しいが、ボーカルは音を引き上げて雰囲気を盛り上げたりせず、サビは乾燥しているように感じられるほど短く切ったリズムで構成されたいくつかのメロディーを繰り返すだけだ。アイドルグループの必須要素のように入る後半部のアドリブも、やはり他の音の間に隠されたり、音を高めて増やす代わりにそっと手を触れて行く程度だ。ボーカルトーンだけは軽くし、明るい感じをそっと吹き込むくらいだ。REDVELVETはこの曲に合わせて手を腰に当てて骨盤を弾いたり、かわいく腕を広げる動作をすることもある。 多くのガールズグループたちが自分たちを可愛いかったりセクシーに見せようとする動作だ。 しかしこの動作の間に手を望遠鏡のように作って目に当てる、意味のわからない動作が入ったりして、メンバーたちの表情はめったに笑顔を見せない。 そしてほとんどの動作は曲のビートに合わせて多少硬く、動作や動作の間が遮断されたまま行われる。 TWICEが私の心を分かってもらいたいと絶えず笑顔と小さくてかわいらしい動作を取るなら、GFRIENDは「ガラス玉」と「今日から私たちは」で好きな相手に自分の心を熱唱した。 しかし、REDVELVETは熱心に笑って気持ちを伝えさえしない。 愛はジャングルジム程度の楽しさを与えるものと考えている、ちょうどそれくらいの表情と動作。REDVELVETの所属会社SMエンターテインメントは、なかなか説明し難い女性のキャラクターをティーザーからパフォーマンスまで、近年で最も首尾一貫性のある結果を通じて説得してみせた。 複雑なキャラクターに対し、想像して具現化できるビジュアルディレクターと作詞家、A&Rを同時に持った会社だけにできる仕事だ。

 

ガールズグループが愛されるために愛嬌を振りまいていない。 かわいかったりセクシーに見せようと勤めない。 商業的には危険な選択のように見えるかも知れない。 しかしREDVELVETは、アイリーンがたびたびバラエティ番組でよく笑わないという理由で議論の対象になったり、JTBC「知っているお兄さん」で誰かの愛を受けることに対する負担を打ち明けたりもしたことがある。 彼女たちは以前から、自ら韓国でガールズグループに要求される規範から少しずつ抜け出していた。「Peek–A–Boo」はこのような魅力を、アイリーンのキャラクターをまさに舞台の上で表現したも同然だ。 そして魅惑的な瞬間が行われる。 無条件にぱっと笑ったり愛嬌を振りまく代わりに、メンバーごとにまた歌詞によって表情が微妙に変わりREDVELVETのメンバーたちは彼女たちがどれほど多様な魅力を表現できるのかを示している。 「Peek–A–Boo」のエンディングでクローズアップされるアイリーンの表情は、一般的なガールズグループの曲では見ることができない。ジョイが短いワンピースを着てウェーブを踊った時の奇妙な雰囲気を、ただセクシーという表現だけで説明できるだろうか。 愛されるために努力しない態度が、むしろ感情を表現する人の多様な姿を見せる。 このような態度は全員には愛されないかもしれない。 しかし、誰かにとっては代え難い魅力でもある。 正確に知ることはできないが、自身が他人に向かって露出しなければならない姿の代わりに、自分が見たいと思っていた自分の姿を見ることになる女性もいるかもしれない。 「Peek–A–Boo」はREDVELVETの忘れられたも同然だった「ベルベット」コンセプトを再定義しながら、彼女たちの核心的なアイデンティティを規定した。 もちろん「Peek–A–Boo」と「ベルベット」彼女たちの唯一の路線にはならないかもしれない。 「Peek–A–Boo」で持たせた期待が失望に変わる瞬間も来るかもしれない。しかし、常に一つの期待だけはできるようになった。 完璧なベルベットになって戻ってくる時、彼女たちは魔女になるだろう。

 

文 カンミョンソク