サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【idology訳】1st Listen 2017. 7月前半〜7月後半抜粋まとめ

【idology訳】1st Listen 2017. 7月前半〜7月後半抜粋まとめ

 

idologyの「1stリッスン」アルバムレビューの7月分の部分粋と5月のiKON&SEVENTEEN訳をまとめました。7〜9月はリリースが多かったのでこの3ヶ月分は載せる予定です。

 

[レビュー訳した曲リスト]

「COME BACK HOME」防弾少年団(ソテジカバー)
「Young&Free」EXOシウミン&NCTマーク
「The Red Summer」REDVELVET
「Television」ZICO
「The War」EXO
「Hola Hola」K.A.R.D
「Summer Episode」AKMU
「流星」SNUPER
「swimming 」イムヒョンシク(BTOB)
「If You」NU'EST W
「prequel 」DREAMCATHER
「Good Day」Brandnew Boys
「Verse2」JJ Project
「the.the.the.」ヨングク&シヒョン

「NEW KIDS:BEGINS」iKON
「A1l」SEVENTEEN

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2017.07.01~07.10


防弾少年団「Come Back Home」
2017年7月4日

 

ランディ
「Come Back Home」が2017年に出てきたらこうなるだろうな、という期待をそのまま再演して出したようだ。もともとトラップ曲だったように適当な服だ。 ソテジが歌った最初のヴァースをJHOPEが特有のトーンでよく生かして期待感を増幅させ、合間合間に原曲の慣れたラインとメロディーが新たに書いたパートと交差しながら、楽しみを与える。 防弾少年団の初期作を考えて見れば、このように青少年に社会的メッセージを伝達するテーマの歌を選んだというのは非常によく似合う選択ではなかろうか。ただ、そのメッセージが最初のコーラスの後ろに入ってくるラップヴァースで曇っている様子があるが、「トロフィー」や「家門の栄光」など防弾少年団のキャリア的成功を連想させる歌詞が原曲が伝達していた啓蒙的メッセージや慰労とよく交わることができず、空回っている。このような点は彼らの前作「Not Today」でも観察されたことである。 「防弾swag」をどうすればもっと自然に溶け込ませられるのか、更に深く悩む必要があるだろう。

 

シムデャン
ソテジのデビュー25周年記念リメークプロジェクト「Time:Traveler」の最初の曲、「Come Back Home」だ。 原曲特有のリフレインとベースライン、ビートを除いたすべての部分を「防弾少年団化」した。 不安な青春を謳歌する防弾少年団なので、この歌を歌う姿が自然に見える。 20世紀に行き場を失った怒りを見せていた青春は、21世紀の不安な未来の中でも強かに自分の道を歩いて行く。 曲を歌う人は変わったが、曲の話者はそのままのようだ。 曲の生命力と、この曲を自分のスタイルで消化した防弾少年団を再び見ることが出来る。 複雑な感情を抑えきれず、1人疾走する彼の手の中に捕われたカセットテープが印象的なプロモーションビデオも見どころだ。

 

オヨ
ソテジと子供たちのオリジナルと大きく変わった点はない。 サウンドが更に洗練されたということ以外には曲の構成も、全般的な雰囲気も似ている。 原曲が大衆音楽史における記念碑的な曲と評価されていた最も大きな理由はこの曲が発表された時期が1995年という点、その前までは韓国で知られていなかったギャングスタ・ラップというジャンルをほぼ最初に発表したからだ。 しかし、2017年にこのリメイク曲が持つ価値と意味は果たして何なのか、すぐに把握するのは容易ではない。


シウミン&マーク「Young&Free」
2017年7月7日

 

ランディ
久しぶりの正規アルバムカムバックと、NCTそして「雪だるまプロジェクト」などで目が回るほど忙しいEXOのシウミンとNCTのマーク二人が出会ったSMステーション企画。 90年代感を出すピアノを全体的に敷いて後半に行くほどフューチャーベースが入ってくる構成である。軽く聴けるのが長所であり短所だと言えるだろう。多少聴いた後、「Young&Free」するだけで、「Wild」の面がなく軽く仕上げられているのが少し寂しくもある。

 

シムデャン
SMステーションシーズン2はシーズン1よりプッシュが少ないが、着実に良いコンテンツを示している。 SMアーティスト同士のコラボでこんなにさわやかなトラックが出てきたことがうれしい。これまでグループに合わせて自分の色を中和させてきたアイドルグループのメンバーたちに個性を生かす機会を与えることも、SMステーションの企画の一部である。非日常を扱っている「Young&Free」は、のびのび澄んだシウミンとマークの組み合わせによって自然に笑顔にさせてくれる。年の差を感じさせず肩に力が入ってもいない。余裕のある軽く踏み出す足取りは、散歩よりも遠くに向かっていく旅を描くようだ。似ているイメージのふたりのアーティストが作ったシナジーと、コラボを提案したデビュー6年目シウミンのプロデューサー的感覚を確認することができる。

 

オヨ
「90年代的な雰囲気のレトロなピアノ演奏とモダンなフューチャーベースサウンド」と自信満々に導入したときから、一体どのような結果が出るのか疑問だった。レトロとフューチャーベースはいくら考えても上手く調和しなさそうであるし(フューチャーファンクならまだしもだが)当然のことながら中途半端なトラックになってしまった。特にサビの部分に至っては到底フューチャーベースとみなす事はできないレベルで数多くの電子音とボーカルなどが濁ってしまい、退屈なことこの上ない。

 

ヘムチョワ
曲自体よりメンバーの組み合わせの特別さが先に目をひくユニットである。何よりも二人のメンバーが持つ長所と個性が何なのかをよく表わしてくれる曲だ。歌唱力ではなく涼やかな音色が最大の魅力であるシウミンと、マークのよどみなく滑らかでかつフレッシュさがにじみ出る声のラップが調和し、「Young&Free」というタイトルのように軽くて涼しいイメージをよく伝えている。 SMステーションの存在意義というのは、曲を発表する量よりも今回のように普段のグループ活動だけでは触れることができない意外性や新鮮さを伝える事が最も大きくないだろうか。


REDVELVET「The Red Summer」
2017年7月9日

 

ランディ
「Red Flavor」は今年の夏に出たトラックの中でも最も重いインパクトで夏と真っ向勝負している曲だ。 コードを移すことがほとんどないAメジャーの曲で、サビで始まる最初の6小節までAベースだけのリズムで通し、7番目の小節で初めて登場するコードワークがF#m-E-D-Aという超シンプルな進行だ。 このような粗々しさが声を握りしめるようなREDVELVETのボーカル処理、そしてコード変化の直前に登場しはじめるハーモニーと交わって破壊力を持つ。 しかし、以前までのREDVELVETの夏とは清涼さの中にも若干の奇怪さを混ぜて冷ややかな魅力を披露する面があったことを記憶しているために、このような露骨なサマーソングはREDVELVETらしくないと思うファンたちもいそうだ。SMのA&Rは、この歌がREDVELVETの代表曲になっても本当に大丈夫なのか? いい曲だが、結構重大な方向転換のようで本音が気になる。

 

微妙(今回の推薦作)
かわいくて突拍子もなく、さわやかで騒々しく騒ぎながら、顎の下で手をひらひらとさせるような外見だが、じっと聞いているととても扇動的でカリスマのある曲が「Red Flavor」だ。 RV特有のコマーシャルソングな雰囲気の中で、「私が一番好きなのは」と宣言する瞬間はほとんど威風堂々としなければならないほどだ。 前作の片隅で胸がきゅんとするような感性を描いたエレクトロ・ポップの基調は、ダンスミュージック伝統のクリシェをぐいぐい集めてくる「You Better Know」を通じて今回は2番目のトラックでより華やかで自信あふれる様子で表されている。低い声と空間感覚の大きなハーモニーが、余裕はあるがキュルキュルと廻っていくフィルムのようにスピーディーな「夏の光」も印象的だ。 このようなトラックが意味するところは、「The Red Summer」がただかわいくて生き生きとしたガールズグループREDVELVETのサマースペシャルアルバムである事にとどまらず、「少女的」な外観の中でより堂々として強烈なパフォーマーとしての成熟を図っているということだ。

 

シムデャン
SNSで「REDVELVETにだまされて夏を好きになってはいけない」という笑い話が出るほど、「The Red Summer」は夏の浪漫的かつ光る部分だけを選別して留めておいた、魅力的なアルバムだ。 しかし、これはREDVELVETの夏なのだろうか? それともSMが描きたい夏なのか?確信できない。 確実なのは多彩なリズムに輝くSMの包装紙の中でREDVELVETが頭角を表しているという事実だ。 必聴トラックは「Zoo」と「海が聞こえて」だ。 前者は果物の味のREDVELVETではなく熱帯雨林の中の彼女たちを発見することができる。 不慣れな空間の中で会った愛を原初的な感覚で表現している。「海が聞こえて」は暑い風が過ぎ去った夜の海を歩きながら、ゆらゆらと足を濡らす波のように揺れる感情を歌う語り手が見える。REDVELVETが聞かせる静かなロマンスが好きならお勧めだ。ガールズグループが見せられる最も鮮やかで美しい夏の一切れ。このアルバムと一緒になら、暑い夏に耐えることができそうだ。

 

オヨ
「Red Flavor」は「もはや夏といえばREDVELVETだ」と宣言するような、非常に意欲溢れるトラックだ。 確実なリズムを柱にベースをブーストして最後まで爽やかに伸びていく。 アルバムの収録曲も遵守しているが、確実に「Red Flavor」ほどの疾走感とスリルはプレゼンしていない。(ひょっとするとこれが収録曲の美徳かも知れないが)

 

ヘムチュワ(今回の推薦作)
「Red Flavor」はティーザーの時から現れたヴィヴィッドな色感と熱帯風のイメージからデビュー曲「Happiness」を連想させたかったのだろうが、曲の雰囲気も同様に従来の活動曲の中でこれと最も類似した印象を与える。 休む間もなくよく弾みながら繰り返される伴奏の上にファンファーレのように響く五人のハーモニーは、メドレーソングのように曲の余白を切断せずに詰め込み、後半部に涼しげに伸びていくウェンディの高音は単なる技術としての歌唱力だけでなく、スラスラと書いて下がっていく歌の上に申し分なく適切に割り振られていく感嘆符のようだ。 少女時代の「Party」やf(x)の「Hot Summer」に続くSMガールズグループの夏のシーズンソングリストに入れるのに遜色はないし、今後REDVELVETが新興の夏音源の強者に位置づけられることもあり得るという期待さえ抱くように作られた曲だ。

 

2017.07.11~07.20


ZICO「Television」
2017年7月12日

 

シムデャン
自意識が強くきらきらと光っている。 アーティストが自分だけの世界を見せてくれる時、しばしばリスナーを疎外することがあるが、ZICOの音楽はリスナーが考える隙を与えず、自分の世界をまっしぐらに収めている。 彼の特徴といえば、他人に向かう棘を自分に向かって回すかのように見せる強度の高い自我省察だ。 溌剌とした「Artist」よりは、彼の自我がそのまま現われている「天才」と「ANTI」の方がもっと濃く残るのはなぜだろうか?自分の才能が長く続かないのではないかと不安そうな姿が、悪童のように見える彼の本当の姿なのかを見たかったのだ。内面の不安さえも音楽で流麗に磨く彼の多様な顔を見たい。 自分の話をする20代、その中でこのように率直な語り手は稀な存在だからだ。

 


EXO「The War」
2017年7月18日

 

キムユンハ
恐ろしいアルバム販売量に包まれているが、事実EXOはまるで毎月スローガンを変えるかのように毎年音楽的方向性を変えてきた。 2015年「Call Me Baby」「Love Me Right」ではグルーヴィなファンキーナンバーを、2016年には「Monster」と「Lotto」で変形のネオ−SMPを披露した彼らは2017年「Ko Ko Bop」を選択した。 レゲエサウンドをチルアウト風にきれいにブランディングした歌は、これまで比較的安全な道を歩んできたグループの歴史を考慮すればかなり思い切った行動のように見える。 ややもすればつまづきかねない状況で、Underdogs・LDN Noise・Kenzieなど見慣れた名前といつのまにか活動5年目に入ったメンバーたちの熟練度がバランスを保つ。 タイトル曲を除けば多少慣れた収録曲の面々で、長期間業界のトップを享受している彼らの余裕が自然ににじみ出ている。 「The War」いう好戦的なタイトルをつけた理由が疑わしいほどだ。

 

ランディ
EXOが久しぶりにまとめた正規アルバムのタイトル曲「Ko Ko Bop」は熾烈な夏ダンスチャートにおいて、驚いたことに少しも急ぐことはないというように、リズムからしてハウスでもダンスホールでもなく本当にそのままレゲエをベースにしている。こんなにchillingしている歌は予想できなかったので1回驚いて、そんな歌ですらチャートの頂上に乗せてしまうグループとファンダムの効力にもう一回驚く。 中堅グループとして熾烈な雰囲気は後輩たちに譲って、余裕で満たすという企画はでないかと推測する。 全体的に溢れないながらも蒸し暑く、昨年から続いてきた夏の音楽トレンドをよく反映したアルバムだ。 タイトル曲よりは少し涼しくて爽やかな歌を聞きたい人は「What U do?」を聞いてみよう。

 

微妙(今回の推薦作)
SMが夏のシーズンを迎え、しきりに非正規作品のふりをしながら真剣にリリースしている。 ゆったりしているようだがかなり気合が入ったアルバムで、特にEXOのアイデンティティに対する悩みがうかがえる。 アルバム全体を貫いている夢想的な空間感と非現実的な種類の暗く重いビート、そしてボーカルの歌声に華やかな光沢を出す手法は組み合わせるとEXOのシグネチャーといってよいだろう。それはEXOが今掲げられる強力なカードである「イケてる感じ」を作り出す公式でもある。 また、企画方式やグループのギミック、ファンの傾向とも緊密につながったもので、めったな事で変えるのも難しい性質のものだ。 刺激的なサウンドや見慣れない選択で力を推し進める「Ko Ko Bop」のほかにも、「Love Me Right」などで見せた明るい華やかささえも今回のアルバムの公式に駆使できるという証明のような「What U do?」、刺激的なサウンドとドラマチックな展開の「Chill」と「Going Crazy」などが重厚な足どりに感じられる。

 

シムデャン(今回の推薦作)
トラック構成がきれいにうまく抜けている遵守したアルバムだ。 EXOだけのカラーが明確に感じられるアルバムであるため、単一の音源を聞くよりはアルバム全曲を聞くことをお勧めする。 今回のアルバムではEXOの潜在能力を考察することができる。 チェンとベクヒョン、チャニョルが作詞に直接参加し、「EXOが解釈するEXO」というカラーが追加された。 メンバーたちのスキルも全体的に向上して彼らが解釈できる感情の深さがさらに深まった。 今回に目立つボーカルはチャニョルとカイだ。チャニョルのハスキーな声は、正確になった発音と自然な呼吸でメッセージをはっきり伝える。 「Forever」や彼が作詞とラップメイキングに参加した「Chill」などで曲に自然に溶け込んでしまう彼のボーカルを探すことができるだろう。 カイはグループのカラーを最もよく見せてくれているセンターだが、ラップとボーカルを消化できるメンバーでもある。 「Touch It」でムードを主導する彼のボーカルを聞いてみると、ソロとしての可能性を占ってみることもできるだろう。 まだ見いだせる事が多い5年目のグループだ。 今EXOが証明しているのは、健在力よりは彼ら自身の力量であろう。

 


K.A.R.D「Hola Hola」
2017年7月19日

 

キムユンハ(今回の推薦作)
リメイク曲を含めた計6曲の収録曲のうち、3曲が既発表曲だ。 常識的に考えると聞く前からすでに少し飽きているのではないかと思うが、それは間違っている。KARDの熱帯ドラッグパーティーはたとえそれがすでに慣れたラインナップだとしても、私たちを決して失望させない。「Oh NaNa」以降「Hola Hola」に至るまで少しずつ下落している底力が残念だが、すべての曲を集めて聞く楽しさだけでもこのアルバムの価値は十分だ。 頭上に果てしない疑問符を浮かべるように作ったリメイク曲「私は止まらない」の目新しさと、90年代的な浮かれた雰囲気の定型を代入した最後の曲「Living Good」まで適度にスキャンダラスで、2017年のひと夏のアバンチュール的な1枚として遜色がない。

 

ランディ
KPOPのダークホースKARDがついに正式デビューを成し遂げた。 南米でとくに熱い反応を得たグループであるだけに、正式デビュー曲である「Hola Hola」では南米を意識したタイトルと歌詞であることが明らかになっている。 曲を重ねて発売するほど、メロディーに更にインターナショナルなトロピカル・トレンドを取り入れており洗練された感じもあるが、デビュー曲だった「Oh NaNa」のメロディーを記憶する立場としてはやや残念だ。「Oh NaNa」があまりにも、メロディーには韓国の歌謡曲的な通俗性が生きていながらも、夏の雰囲気のシンセサイザーとハウスビートを適度に取り入れた素敵な曲だったからだ。

 

ヘムチュワ
興味深い3曲のプレデビュー過程と正式デビュー前に北南米をはじめとする海外ツアーという前代未聞のキャリアを経て、ついにミニアルバムを発売したKARDの「Hola Hola」。「Oh Nana」や「Don't Recall」で見せてくれた冷たくて敏感なイメージを少し取り出し、真夏に似合うサウンドに軽くて楽しい雰囲気を倍増させてより容易に大衆にアピールできるイメージの正式デビュー曲だ。 その昔DSPの大先輩格グループだったZAMの「私は止まらない」がリメイクされて運ばれているが、とても現代的に再解釈しようとして残りの原曲が持っていたエッセンスを揮発させてしまったという残念な結果の印象をぬぐえない。 最後のトラック「Living Good」はデビューの喜びとこれまでの感想を描いたような曲だが、やや私的な歌詞であるにもかかわらず曲のクオリティは通常の曲に劣らずしっかりしているので、KARDに関心があるなら聴いてみて欲しい。

 


AKMU「Summer Episode」
2017年7月20日

 

シムデャン
頭の中だけで考えていたような些細な話を魅力的な音楽で聞かせる楽(悪)童ミュージシャンが、2つの視線を持ってカムバックした。 「My Darling」が我々の知っていた楽童ミュージシャンだとしたら、「Dinosaur」はタイトルのように想像できなかった楽童ミュージシャンである。 幼いときの夢の中で恐竜を見たあの時の衝撃は、楽童ミュージシャンが従来持っていたアコースティックさと日常の中で見出した才気溌剌とした歌詞、暖かいボーカルトーンと透明なEDMサウンドとの出会いで連結されて、新鮮さを醸し出している。 「思春期」以降の楽童ミュージシャンは「歌詞はあっさりと、音楽はスペシャルに」見せようとしている。 彼らの鋭敏な感覚が新たなジャンルに出会った時、どのような新たな足し算の答えが出てくるのか楽しみだ。

 

ヘムチュワ
「Dinosaur」は幼年時代のある種の事件に対する記憶を基にした、あるトラウマを恐竜に喩えたような歌詞が印象的な歌だ。 誰でも経験したことのある、幼い時代の自分だけの暗い経験に対する隠喩と見てもいいが、楽童ミュージシャンはこのシンプルな歌1曲でその記憶を振り返るように作っている。レビューを行う立場では無責任な言葉かもしれないが、楽童ミュージシャンの歌を聴いているといつも「どうでもいいや」という気持ちになる。長所も短所をあえて指摘したくなくなるように、聴く人を怠けさせるようにする力があるというか。 楽童ミュージシャンの歌詞の中の世界が「成長しない」という批判をする人もいるが、彼らの音楽世界は幼年あるいは思春期にとどまっているというよりは、その時代の大切な感情を忘れないように必死に記録しておく過程なのかもしれない。

 


SNUPER「流星」
2017年7月20日

 

 微妙(聴き逃せないアルバム)
前作「Back:Hug」のパロディー〜トロピカルのリパッケージから進化したと言うべきだろうか。 ジャンルで非常によく耳につく音数曲分を一ヵ所に集めて注いだ感じだ。きれいだが平凡なpluck(つかみ)を中心に、それぞれ少しずつ異なる位置で高音域が刺す音たちが塊を成す。 その質感が非常にフェティッシュな煌めくあかりを作り出して、夢想的な空間を素敵に繰り広げる。 緊張の構造は地道に確実に踏んでいき、リフレインとポストコーラスはきれいに疾走している。 この辺で何か付け加えたくなりそうなものだが、ボーカルをオクターブで無駄なく積み上げていくあたりもセンスがある。 このくらいなら適当に長くして出すことが多いのに、情け容赦なく短く簡潔に切って出してしまうSweetune特有のメロディ感覚は、Sweetune最高のメロディーと言うわけではないがきれいで愛着がわくし、同時に意外にあっさりと耳に絡みつく。 負担にならず、優雅ながらも歌謡曲の魅力も逃していない立派なポップソングだ。

 


2017.07.21~07.31

 

イム・ヒョンシク「Piece of BTOB Vol.4 Swimming」
2017年7月24日

 

ランディ(聴き逃せないアルバム)
メンバーの楽器演奏やジャムセッションの映像がよくバイラルに乗っているのを見ると、BTOBは確かにいわゆる「音楽性の良いグループ」としてsellingしていると言うことができるが、グループ活動としてシングルカットする曲では彼らの趣向が何なのか、どんな世界を表現しようとしているのかは全くわからなかった。 各メンバーが連続的にソロシングルを出すこのプロジェクトで、「そうか、BTOBの中にこのような音楽があったのか」というような事を初めて推し量ることができる。 これは事務所が、あまりにも長い時間彼らの能力値と表現力をしまいこんでいたのではないかと疑わしい部分でもあって、このように会えて嬉しいことでもある。 2000年代の韓国歌謡界でモダンロックという名でたくさん聞くことのできたサウンドを、更に使うことのできる技巧を思い切って削除して断定的に描いた。 作詞、作曲だけでなく編曲とカバーアートにも参加したというのを見ると、イムヒョンシク本人も今回の機会に真心をたくさん入れたかったようだ。

 

チョソンミン(聴き逃せないアルバム)
おそらく、イムヒョンシクが聞いて育った90年代末~2000年代初めのインディーズ・ロックバンドのサウンドが影響しているようだ。 古風なサウンドに比べてイムヒョンシクのボーカルが非常に洗練されているが、似合わないようでいてよく合っていて、ややもすればあまりにもマイナーに聞こえる可能性もあった曲のジャンルを「KPOP」の中にドラッグ&ドロップする役割までしている。 意外な才能の発見。


NU'EST W「If You」
2017年7月25日

 

微妙
NU'ESTは何と言っても音楽はいつも良かったし、それもかなり力が入っている方だった。 一種の番外作なわけだが、力はかなり減らしたシングルだ。 生活感のあるナチュラル系統のサウンドと地道なビートは特に、最近のタイトル曲を思えば全くゆっくり聞こえる。 (もちろんいろんな文脈で切実に聞こえてくる歌詞の内容はまた別だ)だからと言ってNU'ESTのディスコグラフィーを害するほど「腑抜けた」トラックではない。 歌声を多く活用するメロディーラインと少々重いラップがペアを遂げたことで、セクションとセクションに対照感を付与して耳元を刺激する質感のディテールがただソフトなばかりではない雰囲気を造成する。 伝えたい話を中心に構成されたような、若干ミュージカルのように感じられる時間感覚も退屈を減らしている。 「プロデュース101」と相まって前作が見直されたりもした時点で、「見ろ、NU'ESTはこのようなことをするグループだ!!」というような恐ろしいトラックを流して欲しい気持ちもなくはないが、少しは息を整えていくことも悪くはないようだ。

 


DREAMCATCHER「Prequel」
2017年7月27日

 

チョソンミン(今回の推薦作)
彼女たちをあだ名で「へジャチング」(ブラックGFRIEND)と呼ぶという言葉を聞いた事を後になって度々思い出してしまう。JPOPアイドルのメタル音楽に極東地域の感性を刺激するマイナーコードのメロディー、そして少女性を存分に浮き彫りにした演出は確かにGFRIENDと共有するものであるが、ここにホラー映画のフィルターを装着すれば、まさにDREAMCATCHERになる。 明らかに目新しくはないのに、とても新鮮なこの組み合わせをさらにアルバム単位、ディスコグラフィー単位で粘り強く押していく。 一度や二度のイシューメイキングではなく、グループの色で固めていく過程は確かに注目される必要がある。 少女が愛されることを望むという、確かにエンタメの定型だがなんとなく受けたくなかった命題を「少女は愛されることを望んだ」に変えて新鮮なストーリーにし、ただジャンルのビートだけでメジャーなスタイルに反論した。明らかに興味深い点があるグループだ。もっと注されるべきだろう。

 


MXM(BrandNew Boys)「Good Day」
2017年7月27日

 

微妙
伸びやかで優しい質感が打撃感の良いビートと結合してさわやかな雰囲気を醸成するのはメリットだろう。ヒップホップシーンにおいて「大衆的なアプローチ」をするときの表現に近いしなやかさを作品の中心に置いて適当な引用句を持って入って来て、支離滅裂な曲になる準備を整えているが、微妙な限り点の差で罠をすり抜けて行く。古典的に聞こえてくる程度のヴァース〜コーラス構造を固持しながらもKPOP的なドラマチックさよりは気楽に流れ行く雰囲気を選択したが、一見(アイドルとして)新鮮なアプローチのように感じられたりして、その一方で「そこまでする理由があるのだろうか」という疑問が残ったりもする。エンジンをかけている段階であり「強烈な刺激」を与えるというよりは設定集を広げているような印象に近いのに、興味深く見守るしかないようだ。

 

チョソンミン(聴き逃せないアルバム)
BrandNewMusicというレーベルに対する期待を裏切らないシングル。SEVENTEEN・INFINITE H・MONSTA X・イェジ(FIESTAR)など様々なアイドルと協業してきたノウハウが集約されているという印象を与える。 練習生から脱したばかりのまだ下手なメンバーたちをよく作られた曲がとても立派にカバーしているが、不足な部分を隠すことばかりに汲々とした演出というよりは、不足な部分が赤裸々にさらされないように気を使ってスタイリングしてくれたという感じだ。「プロデュース101」初回から今まで見せてくれたBrandNewMusicの賢さに注目するようになる。

 


JJプロジェクト「Verse 2」
2017年7月31日

 

微妙(今回の推薦作)
思ったより淡々として上品なアルバムというのが第一印象だ。 荒々しく少々変則的で華やかだった、2012年の最初のシングルとは全く異なる色彩だ。 時には悲哀を、時には希望を語るミニ・アルバムはR&Bの話法だが、少なからぬプレイングタイムにモダンロックの香とヒップホップのビート感を加味しつつ、思索的でありながら堂々とした空気の中で独特なメランコリーを形成する。 アンドリューチェ、Def soul、Royal Diveが一緒に作業した「Icarus」と「Find You」は叙情の中に強固になった自分を維持してわりとスケールを大きく作り出す方法論が、多分このEPの表情を代弁しているのだろう。この中で最も「JYPっぽい」タイトル曲「明日、今日」のメロディーがむずむずするようで親しみやすく近づいてきて、最も弱い感性的な「Do not Wanna Know」も滑らかで叙情的に仕上げている。あたたかく力のある2人のメンバーのボーカルも魅力的に適時適所で明確に姿を現す。 「大人っぽいKPOP」の例を探すとしたら非常に高い順番に挙げられる、ジャンルのミクスチュアを洗練させて出した豊かで優雅なポップスだ。

 


ヨングク&シヒョン「the.the.the」
2017年7月31日

 

ヘムチュワ(聴き逃せないアルバム)
国内ではあまり見かけない「病弱/無気力美少年」イメージの2人のメンバーのグループソングも、そのようなキャラクターにふさわしくよく作られたという印象を与えるが、感情が高まってビートがある程度速くなり、曲が絶頂に向かう瞬間再び力を抜いて絶妙に恋の駆け引きをする構造が新鮮に感じられる。 全体的に暗くてクールなトーンで演出されたミュージックビデオと、常に体を動かしながらも静的に見えるように組まれた振りつけまで、皆がEnergeticに走る時はちょっと脱力したコンセプトも目を引く戦略の一つなんだと、改めて考えさせる企画だ。

 

《おまけ》
http://idology.kr/8938

 

iKON「NEW KIDS:BEGIN」
2017年5月22日

 

ランディ
「Bling Bling」とともにシングルカットされた「B-Day」は同じshow off swagでもこちらの歌の方がはるかに愉快だ。 「蜂の群れ(ボルテ)」と「birthday」の言葉遊びが継続して交差する中、「Bling Bling」のように女性をトロフィー程度に扱う部分もなく、終始楽しい雰囲気だ。 マイナー曲の合間にわざと入れたメジャーコードが冒険家的な雰囲気を漂わせ、サビのリズムで狂ったように進んでいく時は本当に楽しくなる。 「Bling Bling」の第一印象は「光のWINNER・闇のiKON」のようなコンセプトを意識したのかなと思ったが、「B-Day」を聞くとそのような区分は敢えて必要ないだろうという気がする。

 

オヨ
「Bling Bling」と「B–Day」を並べて見れば、きっちり「B–Day」の方がましだ。 「Bling Bling」は陳腐な自己誇示がすべての通俗的なヒップホップトラックに過ぎない反面、「B–Day」は少なくともそれよりはもっと多彩な音を追求しているという点でそうだと言える。ビートは平凡な方であるし、「さあ、ここから落ちていくぞ」と叫ぶようなビルドアップもないが、ハーモニーと声を築いて十分な上昇感を確保している。


ヘムチュワ
SMエンターテインメントにSMPがあるようにYGに「YGP」があるとしたら、iKONは現在、YGPの直系の継承者である。「RHYTHM TA」から「Bling Bling」と「B-Day」までiKONのメインテーマは「偉そうな(swag)自分」と「よく遊んでいる自分」の二つに集約されているとしても過言ではないだろう。 繰り返されるテーマに「若さのエネルギーを表現する方法がこれしかないのかなあ」というような残念な気持ちもあったが、気にせずに突き進んだ一貫性に、いつの間に納得できるようになる力がある。 何よりも歌が陽気という点がiKONの最も大きな武器だ。楽しさというのはJINUSEAN、1TYMを過ぎ、BIGBANGを経て続いてきたYGPの核心キーワードだ。 両曲だけでは空白期の間に起こったこれらの渇きをすべて満たすのにほんの少し足りないということが残念なばかりだ。

 

SEVENTEEN「Al1」
2017年5月22日

 

ランディ
活動曲ではいつも告白ソングを歌っていたSEVENTEENが初めて別れの歌をシングルカットした。 礼儀とウィットのきいた振り付けの構成が「最近のEDMスタイル」の曲に洗練されたようのよく移植されていた。 以前は動線を才気煥発に織りなすのが目立つ要素だったとするなら、今回の曲のステージはメンバーごとに各自の空間を置いて一定の間隔で踊るのが、大人数でありながら欠点なく一糸乱れず独特の美感をプレゼンする。 一つ致命的な問題は、この「最近のEDM」スタイルということを意識しすぎて、同時代に存在する人気のEDMソングと過度に似た印象を与えるということだ。 トレーシングと同じような部分はないが、よりによってこのような拡張する感じのビートによりによってこのようなメロディーをのせて(本意なのかどうかはさておき)似たような効果を得ている曲になってしまったのか、この点がかなり気になる。 よい振り付けパフォーマンスが添えられて「プラスアルファ」になったので、見過ごさなければならない問題なのかな?


微妙
昨年末からSEVENTEENを眺める温度差の核心は、「爽やかさ」よりは「型破りな感じ」にあるようだ。「ADORE U」や「MANSAE」は爽やかさが目立ったりもしつつまた型破るな曲だったが、その破格の方向が変わり、生じる感覚の違いがあるようだ。 今のSEVENTEENはより伝統的な歌謡の美学に混種を加えて新たなものにチェンジして出すいわゆる「異種歌謡」を追求する過程にあると考える。 それが比較的長い将来を眺めた時の道でもあろうが、同時に衰退した感じを与えないことは決して容易なタスクではないはずだ。 そのような意味で、収録曲の「態度」の目が行く。 「If I」は(いくつかのソースがちょっとショボく聞こえたのが残念ですが)ミュートギターとパッドなどがいっぱいに暗く重さを握っている中、流麗なR&Bが流れるのが魅力的だ。 ディープハウスで大人びたグルーヴを抽出する「Swimming Fool」、気品が目立つ「Habit」も注目に値する。


パクヒア
タイトル曲「泣きたくない」はウジがこれからもずっと注目に値するソングメーカーであるということを宣言するような曲だ。 導入から最後まで全般的に抑えたメロディと流れを構成して、単純なリフレイン「泣きたくない」に全力を吹き込んだ。 むやみに特定のパートや特定のメンバーのサウンドを育てて殺すような流れを構想してできることではない。 パフォーマンスとファンドムまでを考慮するアイドル音楽でこれが可能にするためには、メンバーたちの特徴を詳しく分析してそれをどのようにして一曲に盛り込むか、細やかに分析しなければならない。 ウジはそこに確かに多くの力を注いでいるだろう。 ただ、リフレインの一行に向けてあまりにも多くの部分で気力を削ぎ落としたという印象もある。 同じ文脈で言えば、複雑だった音楽の構造が単純になってメンバーひとりひとりに対する注目度は相対的に落ちる。 おかげで統一感は完璧に伝達されるというメリットはある。 多分アルバムのタイトル「Al1」の本当のメッセージもここにあるのだろう。


オヨ
ウジは良いソングライターだということを「泣きたくない」を聞いてふたたび確信するようになった。「泣きたくない」という歌詞だけが繰り返されるリフレインがややもすると単調に聞こえることもあり、クライマックス部分に予想を破ってラップを配置したセンスで「やはり普通ではない」という気がした。 惜しいのは声を後押しする音たちがやや陳腐という点だ。 さらに果敢に楽器音を使えたらどうだったろうかと、悔しさが非常に大きく残る。


ヘムチュワ
「泣きたくない」は「ADORE U」や「イェップダ」と同じような歌を歌っていたSEVENTEENに慣れた人々にとっては不慣れに感じられる歌で、タイトル曲では初めて別れを描いた歌詞から変化の試みが感じられる。 収録曲全般でも以前よりは落ち着いて沈んだようなイメージが共通でありながら、曲ごとに個性がはっきりしている。 ただし、以前のアルバムと比較すると、新しい試みをする過程でアルバムを一つにまとめることできる求心点がやや薄れた印象もある。 大衆が見慣れたSEVENTEEN、ファンが好きなSEVENTEEN、そして自分たちが望むSEVENTEENのイメージの間で方向性に対する悩みが感じられる、一旦跳躍に向けて模索する過渡期的アルバムかもしれない。