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【ize訳】レジンコミックス問題│①遅刻費とはなんなのか?

【ize訳】レジンコミックス問題│①遅刻費とはなんなのか?

 

2017.10.10
http://m.ize.co.kr/view.html?no=2017100913267231281


ウェブトゥーンプラットフォームを提供するレジンエンターテインメント(以下、レジン)は最近、様々な論争の対象となっている。 ウェブ小説サービスの突然の終了、がん治療をしている作家の灰色氏にPDが暴言を浴びせたという議論、そして締め切りに遅れている作家たちに遅刻費を課している問題などが相次いで発生した。 レジンをまるで不公正取引の代名詞のように批判する作家たちがいる一方、これに対する反論も存在する。 その中でも「遅刻費」は特に議論が続いている事案だ。実際、レジンとレジンを批判する作家たちの立場が激しく分かれるだけでなく、ウェブトゥーン作家たちに対するプラットフォームの処遇問題と直結するためだ。

 

法的に見て、遅刻費は「過度な面はあるが、不公正契約ではない」ソウル市の公正取引委員会チョイルヨン弁護士によると、遅刻費は契約を守らなかった一種のペナルティで、「そのものについては問題にならない」という。 また、レジンの関係者は「遅刻費については2013年にレジンがサービスをオープンした時期から契約書には『納入遅延による遅滞金条項』とあった。 サービス初期は遅滞金の条項を履行する意志がなかった。 しかし、サービスオープン後に締め切りが遅れる作家たちが増えて、締め切りが過ぎても1週間以上連絡がつかない作家もできた。 作家ごとにスタイルが違うが、読者に対して信頼を失うかもしれない状況なので、2015年8月からこの条項を適用することになった」と説明した。 月1回の遅刻は遅刻費を免除して、2回目の遅刻から適用するという。 作家たちの立場を最大限理解しているという立場を示しているわけだ。

 

しかし、遅刻費について批判的な作家はレジンと正反対の立場を示している。 作家Aは初めて遅刻費を支払った時、「100万ウォン以上の出費だった」と話す。 作家がウェブトゥーン連載で儲けるお金が多いほど金額が高くなるために起こったことだ。 遅刻費はその月に発生した収益全体の3%、6%、9%などと定められている。 これに対してチョイルヨン弁護士は「金額の上限がなく遅刻金を徴収するのは過度な側面があり、この部分についてレジンと協議中だ」と話した。 もちろん、遅刻をしなければ済む話だと言うこともできる。 しかし、遅刻費の対象になる「遅刻」の基準は、作品が掲載される日から2日前に当該作家を担当する編集PDに送らなかった時からだ。 締め切り日が土曜日の場合は木曜日の3時までには原稿を送らなければならない、ここで1〜2分でも遅れたら遅刻になる。 作家Bは「TVに登場したある作家の場合、締め切り数分前に原稿をアップしたりする事もあった。ところが私たちは2日も繰り上げて締め切りをしなければならない」と語った。

 

掲載される2日前に原稿を送らなければならない締め切りを周期的に繰り返せば、結局、1週間に1回ずつ原稿を送らなければならない。 レジンの関係者は「どうせ原稿をアップデートする時間差があるだけで、原稿を進行する時間が7日であることは変わりがない」、「原稿を受けとった後、誤脱字の修正やレベルチェックなどの時間が必要なため、余分の時間は必要だ」と主張する。 しかし、作家たちは原稿を渡した後二日間、レジン側の修正要求を待機する状況となる。 特に修正要求が来た場合は2日間見直しにかかりきりになることもある。 次回の構想を集中できるとは言いがたい。 また、遅刻費について批判する作家たちは、レジンが編集者の役割をまともにしているかどうかについて疑問を提起している。 作家Aは「例えば、原稿規格を事前に送ってくれない編集に対して二度手間がかかったり、遅刻の基準がアップロード基準か締め切り日基準なのかどうかで遅刻費が50万ウォンずつ差が出る事がありうるが、このような説明をしてくれないで作家が被害を受けた場合も編集者の責任はないとか、編集者側から事前に通達しなければならない些細なお知らせを、作家の方から聞いてみて初めて知らせてくるケースが多い」と話した。 また、作家Bは「全体閲覧可な作品にしたはずなのに、アダルト向けのレベルだと『19歳未満入場禁止』にする事を作家と相談せずに決定したり、タイトルを変えたり、ひどい場合は有料閲覧用にきちんと送った原稿の1/3ほどがアップされていないこともある」と話した。 また、問題を確認してすぐに修正要請をしたにもかかわらず、ようやく次の日になって修正されたという主張だ。 また、作家Cは「編集PDごとに差はあるが、私の場合は演出に対して助言してくれる事もなかったし、実際配信をする段階で誤脱字の校正もちゃんとしていない場合も多い」と話す。 遅刻費が名分を得るためにはレジンが作品の質を向上させるために努力をしなければならないが、彼らについて信頼できないという立場だ。

 

レジンの雇用人員は現在100人で、そのうちキャリアのある編集PD 4人、ジュニア編集PD4人がレジンコミックスを担当している。 レジンコミックスでは現在週刊連載作と10日周期連載作を合わせて計185の作品を連載中なので、単純に分けるとPD 1人当たり23の作品を担当しているわけだ。 レジンが事業を整理したウェブ小説サービスの場合は3人の編集PDだったことを思えば、多い数字であるかもしれない(ウェブ小説サービスは遅刻費を適用していない)。 しかし、8人のうち4人がジュニア編集PDという点までを考慮すれば、多くの数字と言えるのかは疑問だ。 また、作家たちは遅刻費を出す一方、レジンが編集過程でミスをした場合は作家たちに対してどのような報償もない。 そして何より作家たちは毎週カラーで数十枚の絵を描かなければならない。 作家Aは「世界マンガ公募展の発売作品の場合、70カット以上、劇画の場合は65カット以上という勧告を受けている。 読者にとっては当然多い量の内容を見られて良いだろうが、作画のクオリティを大切にする作家にとっては無理な要求になりかねない」と話した。 しかし、この量の締め切りに対する責任はもっぱら作家に課せられる。 作業を助けるアシスト作家を雇用することなども、全て作家自身が解決しなければならない。 作家Cは「常識的には遅刻費は作家が締め切りを守れない原因を探して、その原因を解決するのに使われるべきだ」と述べている。 しかし、レジンは遅刻費の使用用途について具体的な内容を説明していない。 もちろん、そうしなくてもよい。 チョイルヨン弁護士によると、「企業がそれを公開する義務もない」法的にはそういう事なのだ。

 

もちろん、レジンは「MG制度」を通じて売れる数が少ない作品でも、連載している間は月200万ウォンの収益を保障する。 また、作家を健康保険に加入させ、基本的な暮らしを維持できる案を提示したりもした。 このような点はレジンが事業を開始した初盤に視線を集めた理由となったこともある。 しかし、MG制度は厳密に言えば、給料と同じ概念ではない。 というよりは、収益に対する前金に近い。 レジンは作家に月200万ウォンを保障するが、その作品に200万ウォンの収益が出た時から作家と5:5で収益を分ける。 収益が200万ウォンが超えるまではそれ以上の金を稼ぐことはできない。 そのままでも他のプラットフォームに比べれば作家に経済的安定性を保証してくれると言える。 しかし、200万ウォンでアシスタントなどを雇う事はほとんど不可能だ。 作家は一人で莫大な量の締め切りを負担するしかない。 もちろん収益を出せば済む話ではある。 しかし、先立って言及したようにレジンでサービスされている作品は現在185作品だ。 また、有料ウェブトゥーンは参入障壁が高い。 D作家は「200万ウォン利益を上げるためには、一体どれくらい人気が高いなければならないのかと編集PDに尋ねたところ、TOP 100の中でもかなりの順位圏内入らなければならないと言われた」と話した。 ほとんどの作家たちはMG以上の稿料は稼がないわけだ。 また、作家Dは「ずっと連載を続ける作家もいるが、3ヵ月ずつ切ってする作家も多い。 遅刻費や作品のクオリティのために連載を切っているのだが、この間の収益はないと思ってくれていい。そしてその間に作品のための取材ではなく、セーブ原稿(遅刻費のリスクを減らすための予備の原稿)を作る。 作品の完成度が落ちるしかない」と話す。 作家の立場としては作品を描いて金を稼ぐことよりも、遅刻費を出さない事の方が幸いという状況になりかねない。

 

レジンの関係者は「7日間隔の連載が難しいなら、10日間隔で連載をする方法もある。 それは作家の選択の問題だ」と話した。 もちろん、彼の言うことが正しい。 しかし、レジンをめぐる多くの議論の出発点は、事実上作家が選択できる部分がほとんどないということだ。 作家Cは「10日連載の場合、要求されるカット数が増加し、遅刻費の割合も高い。 新人作家の場合、週刊連載の方がいいとPD達が勧告するほどだ。 週刊連載になれば読者が作品が掲載されていることを明確に認知するのに良いので」と述べている。 また、PG(ペイゲート、決済システムを提供する会社)社の関係者によると、「ポータルサイトのウェブトゥーンサービスを除いたプラットフォームではチャムトゥーン、タプトゥーン、レジンなどが業界で最も売上を多く出している。 そのうちチャムトゥーンとタプトゥーンは主にエッチな成人サービス中心のイメージがあるところだ」と述べている。 ポータルサイトの連載であったり性的な内容を扱う作品を連載するのでなければ、作家たちはレジンのほかに連載するところを探しにくいという意味だ。 レジンは連載中の作家の多くにとって絶対的な「甲」になるわけだ。 このような状況で、作家たちがレジンが勧める連載の周期と量、そして遅刻費問題などについて意見の食い違いを見せることは容易ではない。

 

ゆえに現在、レジンと作家の間のビジネスは法的な問題だけでなく、労働ひいては社会文化と連結される。 ウェブトゥーン作家はフリーで雇用が不安定な代わりに、作品が成功した場合は多くの収益を得るというのが一般的な認識だった。 レジンはMG制度や健康保険加入などを通じて作家たちが経験する問題をある程度解決しようとした。 しかし、この過程で、作家はレジンという会社に勤めている職員のように遅刻に対するペナルティを受け、ほとんどの作家たちにとって事実上「甲」の位置にあるレジンの要求に対して簡単には異議を提起しない。 その点で、レジンをめぐる最近の論議フランチャイズ企業と、店主たちの関係を連想させることもある。 二人の間は一見平等に見えるが、店主に求められる事項はフランチャイズ加入と共に作成した契約書に従うことだ。 しかし、その契約条項には事実上「甲」と「乙」からなる両方の力の関係が反映される。 遅刻費をはじめとしてレジンと作家らの契約と処遇にもこのような問題が反映されたのではないかと言えないだろうか。 また、このような関係の中でレジンは作家たちと積極的に意思疎通をしていないという問題もある。 作家Eは「1コインあたり140ウォンとして、30%をグーグルプレイストアとアップルのアプリストアの手数料として支払う。しかし、19歳以下閲覧禁止の作品は見られない。 レジン完全版というアプリを別途ダウンロードして設置しなければならないが、同様に30%の手数料を課される」と話した。 しかし、レジンの関係者は「PG社がレジン完全版アプリに対しても30%の手数料を取るからだ」と話した。 PG社の関係者は「グーグルプレイやアップルストアには指定されたPG社がいて、無条件に30%の手数料を納めるが、企業で配布するアプリは企業で指定する。 手数料30%も不可能ではないが、レジンぐらいの売上を上げている企業はそんなに多くの手数料をつける事はあまりないだろう。 12〜15%が通常」とも言っていたが、レジンが完全版アプリについても手数料を支払っているのは事実だ。 しかし、このような部分は作家に対してあまり説明されていない。 そして作家たちは、複雑な契約の中で相当量の原稿を連載しながらも遅刻費を支払い、もっと複雑な収益構造の中で自分の収益が減っていることはないのか不安に思っている。

 

過去にはポータルサイトの閲覧数を上げるための手段だったウェブトゥーンは、もはや大衆文化産業の一軸となった。 そして、レジンが最初に有料化市場を開き、産業の規模はさらに大きくなっている。 その過程で過去には作家と編集者の押し問答としか思われていなかった締め切りは、もはや契約とお金の領域に渡った。 プラットフォームが作家にペナルティで遅刻費を払わせる時代。 レジンが悪い企業という意味ではない。 これはもしかしたら、ウェブトゥーンが産業化される過程で行われることなのかもしれない。 しかし、その産業化の方向が作家にとっても良い事なのかはまだ疑問だ。


文 イジヘ
校正 キムヨンジン


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ウェブ連載も増えてはいるけどまだ紙のコミックが優勢ではある日本と違って、数年前すでに韓国ではほぼ紙のコミック掲載媒体はなくなりウェブ掲載が主になったそうです。

https://www.konest.com/m/korean_life_detail.html?id=2882

ドラマや映画になるようなものや人気がある作品(未生やチーズインザトラップ、ファッション王、外見至上主義など)は紙のコミックスになるけど、ウェブ上で完結する作品の方が多いようです。ウェブ上での発表が前提なので確かに縦スクロール中心の画面構成が主ですが、ページ換算じゃなくてコマ換算のようなのはびっくりしました。

 

今問題になっているレジンコミックスは日本にも進出していて、日本で読める作品はキャラクター名が日本人に訂正してある事がほとんどなので気づかないで読んでいる人も多いかもしれません。レジン以外でもLINEコミックとか韓国のウェブトゥーンが読めるサイトやアプリは最近いくつか日本進出していますが、ほとんどが翻訳段階で日本名に直してありますね。
(これはおそらく、昔韓国では日本の漫画を翻訳する際に全て学校名や人名などを韓国名に直していた慣習が適用されてるのではないかと思います。日本の感覚からするとキャラクター名前って結構重要なものなので、正直変えない方がいいんじゃないかと思いますけど...)

流れの早いウェブ連載がメインだからか、日本とは色々作り方が根本的に違うんだなあと思いました。日本だったらネームの段階で複数回分の打ち合わせが結構あって修正があるならその段階でほとんどやっておくのが普通だと思うのですが(もちろん完成原稿チェックの時間もあるでしょうが)にも1週間単位でチェックするの?とか。ウェブトゥーンはパソコンで描いてる事がほとんどでしょうから紙の原稿よりは修正が簡単なのかもしれませんが...今回問題になってる遅刻費には正直びっくりしました。完全に漫画=商品と捉えてる発想なんだなあと。日本のウェブ連載作品は掲載時に原稿料と閲覧数によってペイが出るもの(主に有料ポータル)とウェブ掲載時には原稿料は出なくてコミックス発売時に印税が発生するケースがあるようですが、レジンのように無条件に20万円ほどの保障があって一定以上稼ぐようになったらポータルと折半というのは、先行投資型のアイドル練習生制度とちょっと似てる考え方のように感じました。
しかしアイドルに置き換えて「仕事の量に関係なく月20万最低保障あり、20万を超える収入があれば折半。ただし住居費飲食費服飾費は出ないし体調不良などで休んだ場合はそのぶんの弁済金を払うこと」って考えたら...相当ひどい気がしてきました笑 比べることじゃないかもしれないけど、クリエイティブな仕事なのでネタにつまる時や筆が進まない時もあるだろうに...。