サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【idology訳】KCON LA 2017レポート:①「一体誰がKPOPを聞いているのか?」

【idology訳】KCON LA 2017レポート:①「一体誰がKPOPを聞いているのか?」

 

by キムヨンデ on 2017/09/05

http://idology.kr/9281


去る8月18日から20日まで、ロサンゼルスコンベンションセンターで開かれた「KCON LA 2017」の現場をキムヨンデが訪れた。 KCONのレポートは、2本の記事として掲載される。

 

LAX空港に降り立ち、その悪名高いLAの交通渋滞に1年ぶりに戻ってきてその中を突き抜け走りながら、4年前の暑かった夏、初めて訪れたその時の風景を思い出した。 USCのホーム球場であるメモリアル・スポーツアリーナの前を埋め尽くした多様な人種と服装の若いファンたち。計3万人という、当時としては記録的な訪問者だ。 LA地域のマスコミをはじめとする外信がポスト - カンナムスタイル時代のK-POPの成長と幅広い人気に注目していたそのシーンの真ん中で、私は文化の蠢きを感じた。今振り返ると、それは本当に素朴に感じられるほどだ。 「KCON」は、現在その規模と地位で全く異なる存在感を持つマンモス級のイベントに生まれ変わった。今年はLAだけでなんと8万5千人が殺到したが、先に行われたニューヨークの4万人とメキシコシティの3万人を合わせると、過去3年間の北中米だけでなんと5倍以上の成長を遂げたわけだ。 2012年のアーバインには1万人余りしか訪れなかったことを思い出すと10倍以上であり、直接見なければ信じられないほどの爆発的な増加率を記録している。

 

イベントの規模は、観客だけでなくスポンサーの数で判断されるものだ。 今年は50社のスポンサー、その中でトヨタ、アマゾン、AT&Tなど有力スポンサーだけでも20社以上のメーカーが参加した。 あえて数値を一つ一つチェックしなくても、単一国家の大衆文化関連行事としては最大規模に近いだろう。 ただ記録された数字だけでも、数年前から一部から出ている韓流の危機論やKPOPの後退に対する懸念、あるいは疑いに対する反論が可能だろう。 昨年の記録的な成功がヘッドライナーだった防弾少年団の爆発的な人気を通じて可能だったとしても、すでに全く違うラインナップで再び1万人以上参加客を増やした今年の結果は、KPOPの全般的な成長ということ以外にこれといった別の理由を見つけられなさそうだ。

 

「KCON」は通常のK-POP公演とはその性格が根本的に違う。ロサンゼルス・コンベンションセンターを埋め尽くしたまま3日間進行されるパネル発表やワークショップでは、KPOPだけではなく韓国の大衆文化関連のあらゆるテーマが扱われ、週末にステイプルズセンターで開かれる「M COUNTDOWN」コンサートは一般的な音楽放送とは次元が異なる圧倒的なスケールで行われる。さらに重要なことは、「KCON」は、時間とコストと労力を投資するKPOPファンの情熱に基づいたイベントという事実である。ほんの数年前まで、オンラインの趣味がすべてだった米国のアイドルファンは今、「KCON」を通じて自分の好みや経験を共有し同質感を確認するだけでなく、彼らが支持するスターに直接会う滅多にない機会を得ている。会場のどこでも感じられる肯定的で熱を帯びた雰囲気は、海外通信社の表現通り米国の「コーチェラ(Coachella)」音楽フェスや「コミコン(Comic-Con)」のようなイベントの韓流バージョンのような雰囲気を与える。

 

熱狂的な趣味のコミュニティを作成して確認するその貴重な経験を得るために、彼らが支出する費用は決して少なくない。 CJ E&Mの資料によると、「KCON」を毎年訪問するアメリカのファンの場合、2泊3日間の日程のために総額2,300ドル、韓国ウォンで260万ウォン相当のお金を費やしているという。アメリカ人にとっての韓国文化のメッカ同然であるLAで、レコードショップなどに立ち寄ってアルバムやグッズなどの追加的な支出をする分は除いた金額である。現場で話を交わしてみたファンたちの事情も同様だった。金銭的に余裕のない学生の場合は、この3日間のイベントのために通常よりアルバイトを追加し、いわゆる「KCON」のために「弾丸装填」をすることは1年の中で最も重要なことだという。ニューヨーク州の小さな都市から来た一人の女性ファンは、自分の学校はもちろん近所で事実上唯一のKPOPアイドルのファンであると自分自身を紹介し、個人の都合で近くの「NYコン」に参加できずより多くの費用のかかる「LAコン」にきたが、それでも自分のように音楽が好きなファンは自分が好きな歌手により多く会う事ができるという期待感に対する費用は考えないと言っていた。現在1,500ドルに達するプレミアムチケットは、なんと2万人を収容することができるステープルズセンターの座席層の中でも最も早く完売する。もう少し立体的にデータを見る必要があるが、「KCON」がますますメインストリームである中産階級の関心を得ているという解釈も可能である。

 

一体アメリカでは誰がKPOPを聞いているのか?KPOPは本当に人気があるのか?PSY以降の可視的な成果を期待したり、あるいは疑っている韓国のファンたちなら自然に持つ疑問である。 「KCON」はこれについていくつかの答えを示している。一つ前提としなければならないのは、米国は地理的にも文化的にも人々が思うよりもはるかに大きく、複雑な国であり、その中でもよく「メインストリーム」と呼ばれる白人主流文化は、あえて目を背ける事もできないほどにその成功の大きさに威力があるというだけでなく、その構造は非常に閉鎖的ということだ。 この100年以上の米国大衆音楽の歴史において、絶対的な主流のジャンルとして受け入れられたのはヨーロッパの白人とアフリカ系黒人たちの音楽系統が唯一で、ここにラテンアメリカの音楽伝統が加味されただけだ。このような歴史と環境を考慮すると、私はKPOPのような外国の文化やサブカルチャーの文化の成否は、単にビルボードiTunesのチャートの成果と同じ数値ではなく、「KCON」 のような参加型イベントの全体的な規模の変化や参加者の面を介して把握する必要があると思う。

 

もう少し詳しく見てみると、現在、米国内のKPOPシーンはよく同胞(トッポ)と呼ばれる韓国系アメリカ人を中心に、その主力電波の対象であるアジア系アメリカ人が主な消費層だった数年前とは全く異なる様相を呈していることを発見することができる。ニューヨークの「KCON」のみに基づいて見てみても、非アジア系人種の参加率は今年を基準に60%を超えており、驚くべきことにその中の30%以上を白人のファンが占めている。よく「南米のファン」と呼ばれるヒスパニック系がその次が続き、伝統的にアジア系のポピュラー音楽とは縁がなかったアフリカ系アメリカ人の数が全体の10%を占めるほど大幅に増えたことが数値で証明されている。 (「LAコン」では黒人とラテン系の参加者はこれよりはるかに高い数値を示している)K-POPが数年前からダンスポップのカテゴリーを越えてR&Bやヒップホップなどのブラックミュージックを積極的に受け入れており、YouTubeや音源中心の流通構造で米国内の黒人コミュニティからの流入が容易になった状況で、米国内のアーバンミュージックのファンがKPOPの潜在顧客として浮上している状況に注目しなければならない。そしてこの変化の面はKPOPが米国内でアジアンコミュニティを徐々に出て普遍的な方法で拡大される様相とも直接的な関係を結んでいると見るべきだろう。