サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【ize訳】ある女性ミュージシャンたち

【ize訳】ある女性ミュージシャンたち

 

2017.08.30
http://m.ize.co.kr/view.html?no=2017082923387245802


2017年は、アイドルやかつてアイドルだった女性ミュージシャン達にとって象徴的な年になりそうだ。 ガールズグループ少女時代のテヨンとWonder Girlsのメンバーだったソンミがソロでカムバックし音源チャートで2人とも良い成績を収め、2年ぶりにフルアルバムを発表したIUはチャートを総なめしており、4年ぶりにカムバックしたイヒョリはJTBC「ヒョリの民宿」に出演中だ。 そしてこの29日に復帰したヒョナは先週、インスタグラムで過去Wonder Girlsで一緒に活動していたソンミの新曲"Gashina"を聞いていることを認証した。 イヒョリがFin.K.Lで活動していた1998年、もしくは少女時代やWonder Girlsがデビューして一緒に活動していた2007年には想像しにくかったことだ。

 

ガールズグループのメンバーではなかったが、IUは会社の企画を通じて手入れされた「妹」キャラになり、「私はお兄さんが良いの」と歌いながら最高の人気アイドルになった。 ところが、そのIUは今年のアルバム"Palette"のタイトル曲"Palette"でその時代を、「長い髪よりまっすぐに切ったショートヘアが好き/そういえばそれでも『Good Day』歌ってた時はほんとうに綺麗だったよね」と回想する。 さらにタイトル曲中、自分のあるいは自分に対する他人の好き嫌いについて話す。 これはソンミが"24時間じゃ足りない"時代と今でどこか変わった理由でもある。 ソンミは"Gashina"でも"24時間じゃ足りない"のようにセクシーな姿を見せてくれる。 しかし、"Gashina"のミュージックビデオで口に牛乳を含んだままセクシーな雰囲気を見せたソンミはすぐ自分の空間を駆け回り、まるで指で悪口を表すような動作をすることもある。 "24時間じゃ足りない"のパフォーマンスを代表していた伏せて踊るダンスは"Gashina"のパフォーマンスのイントロ部でも繰り返されている。 しかし、ソンミはすぐ起きあがって観客に向かって銃を発射するように手を振る。 セクシーなファンタジーを想起させる動作が今回は"Gashina"と名付けられ、自分自身を表現する過程の一部になる。

 

男子アイドルが自我を掲げたソロ活動を通じ、いわゆる「アーティスト」として認められるのは既に一つの公式のように考えられている。 G-Dragon、ZICO、RAP MONSTERなどロールモデルにされる事例も多い。 反面、女性アイドルが自分自身を表現するのはいつも冒険的な試みとされてきた。 ガインは女性としてのアイデンティティセクシュアリティと結合して見せながら、着実に大衆的な反応を得た。 しかし、彼女が属したBrown Eyed Girlsはガールズグループの中で最も独特な領域にあり、ソロで発表した新曲はどれほど破格的なコンセプトを見せてくれるのかに関心が集まったりした。 イヒョリがアルバム"Monochrome"の"ミスコリア"と"Bad Girl"などで、他人から視線を受ける女性でありスターとしての自分について歌ったのは、アイドルからは完全に距離が遠くなった後だ。 一方、IUは"夜の手紙"のように大衆が従来の自分に期待する曲とともに、"Palette"を発表した。 "Palette"も、退屈に思えるほど心地よいポップスの形式を帯びていた。 ソンミは曲のハイライトにトレンディーなビートを掲げ、セクシーな歌手として大衆との接点を設けている。 ヒョナは依然としてセクシーで、時には身体の露出で物議を醸したりもする。 ただ、最近は自分に対する非難に堂々と「私が上手くやっているからそう見える」と言い返すようになった。 ヒョナの歌"どう"の歌詞は「つまらない偏見の中に私を合わせないで面白くない」だ。

 

少女時代やワンダーガールズのデビュー10年目にこのような現象が起こるのは、当然偶然ではない。 この期間にIU、ソンミ、ヒョナ、テヨンたち全員が再契約をしたり所属会社を移籍した。 その過程でコンテンツ制作への彼女たちの影響力が上がることは十分に予測可能なことだ。 また、ソンミはWonder Girlsから脱退した後ソロで劇的に復帰し、またWonder Girlsに戻ると以前とは全く変わった音楽を披露したりもした。 大衆は"Tell Me"を歌っていた時代のソンミと"Gashina"の間でソンミが見せてくれた変化の流れを知っている。 テヨンの"Fine"は「頭をぎゅっと縛って散らかった部屋を整理」し、失恋を反芻する女性を描写する。 少女時代のタイトル曲では見られなかった姿だ。 しかし、少女時代のメンバーたちはこの10年間、多様な方式で自分の考えと日常、時には愛について述べてきた。 その結果"Fine"のように少女時代のメンバーが失恋について話すことが自然に受け入れられることができたのだ。

 

つまり、彼女達は韓国において、女性で、アイドルであり、なおかつミュージシャンとして自分の声を音楽に反映できるようになった初めての世代なのだ。 彼女たちの前の世代は、イヒョリを除けばアイドルのスター性とミュージシャンとしての人生を同時に平行することができなかった。 通常の場合、グループは声をあげる前に解体されてきた。 市場はイソラのような一部のアーティストにだけ女性が自分を表現してあらわすことに商業的な反応を見せた。 少女時代やWonder Girlsの世代に達し、女性アイドルは自ら大衆の真ん中で、「私」を表現することを彼女たちなりの基準で世に出している。 彼女たちがインスタグラムを自らの重要な宣伝窓口にすることは注目に値する。 ヒョナは自分の新曲パフォーマンスをインスタグラムで事前に披露しており、ソンミがインスタグラムで見せてくれる自分を撮った写真はソロ活動のビジュアルスタイルと繋がっている。 彼女たちはインスタグラムを通じて自分について語り、自分の好みで選んだ写真とイシューを伝え、それを結果に反映する。 "Fine"のミュージックビデオでテヨンの家として設定された空間は、現実の女性がインスタグラムに載せるために少し演出した場所と言っても過言ではない。 ガールズグループのメンバーではなく、リアルな女性が経験しそうな別れにふさわしい空間。 ガールズグループも、ヒップホップに限らずどんな世界の感性と趣向でも音楽産業の主流に入ってこられる。 おそらく今後ずっと目にするようになるであろう、新しい出来事の始まりだ。

 

文 カン・ミョンソク
校正 キム・ヨンジン

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ソンミの"Gashina"(가시나
)には「棘(ガシ)が出る」「美しい花の群れ」「去っていく」の3つの意味があるそうです。