サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【rhythmer訳】ラッパーの承認欲求が作り出した流れ、「グローバルコラボ」

【rhythmer訳】ラッパーの承認欲求が作り出した流れ、「グローバルコラボ」

 

2015-03-19

http://m.rhythmer.net/src/magazine/feature/view.php?n=16060


最近韓国のラッパーと海外の有名ラッパーの間のコラボレーションが月に一度の割合で殺到している。 「ついに来るものが来たのか!」と、皆を驚かせたOutsiderとTwistaの"Star Warz(星の戦争)"を皮切りに、San-EがKRS-Oneをはじめとして多様な国家のラッパーを招待した"#HIPHOPISHIPHOP"、防弾少年団のラップモンスターがWarren Gのビートに乗せてラップをした"P.D.D"がそれぞれ3月初めに発売された。 面白いのは、3人ともがヒップホップシーンの中で言うWack MC扱いされたり、マニアと評壇からの持続的な酷評に耐えている彼らという点だ。 「ヒップホップ」という言葉を叫んでいるのだ。 2015年が彼らにとっての逆転の年になるかは知らないが、彼らに同時に突破口として訪れたのは、まさにこのような(全盛期は過ぎたが依然として名声のある)米国のヒップホップスターたちとのグローバルコラボレーションだ。 そしてこれを可能にした力がまさに「承認欲求」というのは興味津々に捉える必要がある。 どのような意味であれ、韓国ヒップホップの歴史に残るこの3曲を注目してみよう。

 

Star Warz(星の戦争)ーOutsider/Twista

認定欲求:速度を除いては大したことないって? 悔しい。
突破口:地球の裏側で自分と一緒に孤独な道を歩く(?)Twistaと戦争

「誰より早く俺は人々とは違う 新しくリズムに乗るビートの上の旅人」をモットーにするOutsiderは、猛烈なスピード感にも関わらず優れた伝達力を持ったラップで話題を集め、疎通を渇望するテーマの「ひとりぼっち」で一気に大衆を虜にした。 そしてOutsiderは高速ラップによって4枚のゴールドアルバムと1枚のプラチナアルバムを保有したスピードラップスターTwistaとよく比較されたこともある。 特に、Twistaの全盛期がOutsiderが人気を得ていた時期と大差はなく、国内ではこれはいい宣伝材料になることができた。 しかしOutsiderは、大衆的な人気とは反対にスピード感と伝達力のほかにはあまり注目しうるポイントがなく、だんだん飽きてくるラップと強引な感性に訴える粗悪な構成の音楽のせいでヒップホップシーンの中では認められなかった。 このような状況ゆえに何人かのラッパーの嘲弄、あるいは怒りを盛り込んだdissトラックの対象になったりもしたが、このような彼が突破口として見つけた人は当然Twistaだった。 「俺はブレーキを粉砕 やっちまったVenom GT/これはスピードスターとTwistaのPhilosophy」とラップ哲学を共有して開始する"Star Warz(星の戦争)"は2人のコラボ自体に集中してアピールし、耳目を集めることに成功した。 しかし、面白いイベントとして軽く受け入れられるには時期が遅すぎたし、真剣に受け止めるには多少の失笑を催す。 聞くなり、首を落とすほどの散漫さが曲全体に見られるからだ。 「ラップという言語で駆使する光と光の摩擦/新しい歴史を書いていく60億分の1の対決」という歌詞と「地球の裏側で同じ道を歩いてきた両ラッパーの歴史的な作業」と書かれた報道資料として2人を同一対象に入れるという企画は、Outsiderが今まで発表した結果物とこの曲が盛り込まれたアルバムを考えてみれば、ただのきまり悪い認定欲求の発現のように読まれるだけだろう。

 


P.D.Dーラップモンスター/Warren G

認定欲求:アイドルだからと言って認めないことは認められない!
突破口:米国のギャングスタラップ系の名プロデューサー、Warren Gに認定を受ける

プロデューサーパンシヒョクが企画したボーイズグループ防弾少年団は、ヒップホップジャンルを前面に押し出すことで巷のあふれているアイドルグループたちの間で差別化を狙った。 露骨にジャンルアイデンティティを標榜するというのはジャンルのマニアと評壇の視線を受けやすいということであり、また説得力のある差別化に向けてその視線を切実に必要とする。 ジャンルシーンの認定を受けなければならない試験台に自ら上らなければならないのだ。 デビューのタイトル曲"No More Dream"において「90年代Golden Eraへの回帰というモットーで90年代に大きな人気を集めたギャングスタラップを再解釈」したという呆気に取られるような報道資料を作ったり、ショーケースに音楽評論家たちを招待して評壇の暖かい視線を渇望したのもこのためだった。 そのためだろうか。 防弾少年団の音楽にジャンル的な価値を見つけたがった評論家が、似たような部類の他のグループよりも多かったのも事実だ。 結果的にヒップホップアルバムとしてはこれといった注目をする必要のない完成度のせいで支持を得ることは難しくなったため、多分そうした人間的欲求がさらに悪化したのだろう。 彼らが得た人気の理由もジャンル的完成度とは距離が遠く、その反対に近かったからだ。 このような防弾少年団の看板であるラップモンスターが「ミックステープ」というジャンルのアーティストとして行動を意識した結果物を準備し、米国ウェストサイド、ヒップホップの代表的なプロデューサーであるWallen Gとのコラボレーショントラック"P.D.D"を発表した。 彼らを主人公にしたMnetの番組「アメリカン・ハッスルライフ」の延長線上で作られたトラックで、いわゆる「米国の名プロデューサーが認めた韓国のラッパー」という企画であるわけだ。 防弾少年団に友好的な音楽活動家のキムボンヒョンが時を合わせて進行したWallen Gのインタビューにおいて、ラップモンスターの話が相当部分を占めたのも同じ流れとして見ることができる。 ラップのテーマも自分を認めない人々に捧げる宣戦布告だ。曲自体だけを見ればプロダクションとラップの両方を楽しむに値する。ただし、「ミックステープ出たらつけてみろRating」という類の歌詞は鑑賞を妨害したりもする。 ヒヨコマークのラッパーがよく口にする話が「正規アルバムが出れば証明」なのに、さらに正規アルバムを出したボーイズグループのラッパーが「ミックステープ」を通じて何かを証明しようとしている。 なぜしきりに違う方法で何を証明しようというのかは、さっぱりわからない。

 

 

#HIPHOPISHIPHOPーSanE/KRS-One

認定欲求:俺がヒップホップじゃないって? 韓国ヒップホップシーン全体がすべてhate me?
突破口:「ヒップホップそのもの」であるKRS-Oneと全世界のラッパーが出て一緒にコラボ?

優れたラップの実力で大きな注目を受けJYPエンターテインメントと契約までして相当な期待を集めたSanEが、数年間の経歴を続けた後に彼に熱狂したヒップホップコミュニティの嘲弄を受けている現実は興味深い。 ブランニューミュージックと契約した後に本格化したいわゆる「バラードラップ」に代表されるSanEの行動は、実はもう少し綿密に調べれば、自分との熾烈な戦いであると読むことができる。 ヒップホップとあまり関係のない音楽の成功をヒップホップのトラックを通じて誇り、「音楽は俺の自尊心だが自分の自尊心を売った/親と俺の家族守ることができるならこれしきの自尊心」という荒唐無稽な歌詞で音楽的正当性を得ようともした。 韓国ではヒップホップ、ラッパーとしてのアイデンティティをみせているが、チャートで1位になったような曲のディスクのトラックを適切に割り当てることも忘れず、ヒップホップをテーマにしたプログラムに着実に出演してヒップホップに関する多くの話をしたりもする。 しかし、それにもかかわらずますますヒップホップミュージシャンとしては認められていない。 このような彼が最近、突破口として選択した方法はまさにヒップホップのマスターと呼ばれるラッパーKRS-Oneとのコラボレーションだ。 このプロジェクトには2人のほかにも多くの国のラッパーたちが参加した。 テーマはタイトルの通り「ヒップホップイズヒップホップ」だ。 ヒップホップミュージシャンとして認められたい欲求が天を突く勢いのSanEとブランニューミュージックとしては、ちょうど適切なテーマなのではないかと思う。 面白いのは、このトラックのメインゲストであるのKRS-OneNellyとdiss戦(訳注:"#1" "Clear 'Em Out")を展開する際に、主なテーマだったのがhop repだったという事実だ。 SanEが音源チャートを露骨に狙う「韓国型hop rep」の代表走者という点で皮肉だと言わざるをえない。 そのような意味で、今回のコラボはSanEの挑発的な発想として受け入れることがこの粗悪で散漫なトラックを最後まで聞く唯一の方法だ。

 

 

ヒップホップデュオJinuseanがかつて2001年「The Reign」で韓国ヒップホップ界の10年分の客演の気配を使いきっていたのか、これまでは非常にまばらだった米国の有名ラッパーとの共演の知らせが一気に押し寄せている。 それもかなり驚くべき組み合わせでだ。 しかし、その主体が大衆的にはある程度成功したが実際のシーンではヒップホップミュージシャンとして認められていないラッパーたちという点は逆説的だ。 彼らのなかなか解消されない認定欲求が今まで簡単には見られなかった新しい流れを生み出しているのだ。 結果の満足度は聞く人によって千差万別だろうが、韓国ヒップホップの奇妙な現在を読む興味深いコードであることは明らかだ。


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hop rep=hip hop represent/reputation

 

訳しかけで放置してたものをいくつか発掘したので載せておきます。

 OutsiderもTwistaも高速ラップで有名なラッパーですね。プデュ2のチャンムンボクはOutsiderの高速ラップに憧れてラップを始めたそうですが、結果的に今Outsiderの事務所にいるという。
しかしさすが大衆音楽ではなくヒップホップのメディアだけあってめちゃくちゃシビアで意地悪な文章だと思いましたが、とはいえ当を得ている部分もありというか、日本でも多分昔はこういう事言われてたんだよなぁという。一口にコラボと言っても、純粋にアーティストとして認め合ってというわけではなく色々な事情でされたりする事もありますもんね...。でもそもそもヒップホップ自体が承認欲求そのもののジャンルじゃないのかな?とも思うので認定欲求のために海外コラボする事が悪いとは思いませんが...要はその認定欲求の表し方ということかな。
コラボうんぬんよりの内容よりも、メジャーシーンにいるラッパーのアンダー界隈での扱いがうかがえる感じでそこが面白いと思いました。

 

ちなみに文中にあるジヌションの「The Reign」は2001年のアルバムですが、Mobb DeepCypress Hill、Chino XLといったアメリカのラッパーや日本からはm-floがコラボで参加しています。当時の韓国音楽業界的にはかなりすげぇという感じだったみたいです。YGは今みたいに大手事務所ではなかったし、ウェブもそこまで発達してなかった時代の事なので。