【idology 訳】アイドルメーカー:④ 作詞家/MAFLY
『一語でも無駄に使いたくないんです』
byバクヒアon 2017/01/06
http://idology.kr/8284
(訳注:文中の太字部分はウェブ公開されてない部分から一部抜粋しています。部分抜粋ですので、全文が気になる方は「아이돌메이커」本誌をご参照ください)
《華やかに輝くアイドル、その背後には自らの分野でこまめに働いてきたもう一人の主人公たちがいる。 彼らは、K-POPの熱風が吹いていた時期でもあった「韓流」という言葉が固有名詞として使われるずっと前から同じ場所にいた。 そして「アイドルメーカー」はもう少し詳しく違う見方や温度で、アイドル産業に入っている「人」の話を入れて見ようと企画された本だ。 7回にわたって本の内容の一部を抜粋して掲載する。 インタビューの全文は「アイドルメーカー」を通じて確認することができる。》
#詩、歌詞、ドラマ
『こつこつと詩を書いていたのが、歌詞を書くのにもそれとなく多くの助けになったようです』
バクヒア:テヨンさんの「I」が2016年にも本当にたくさんの愛を受けましたが、喜ばれているんじゃないでしょうか。 歌詞が温かいながらも、そこにしっかりした感じが生きていて本当に良かったです。
MAFLY:テヨンさんの歌詞は作業中からうまくいく気がしてました。まずは曲が大好きだったし、テヨンさんがあまりにも歌が上手だから。 私がうまくやりさえすればいいんだと思いました。 ハハ。人は誰も大変な時期があるじゃないですか。 そうじゃない人はいませんよね。 自伝的歌詞はそのような面において共感を持たせることが容易ですから。 事実その歌詞を製作中、わたしも今まで苦労した自分自身を慰めたりするような感じで文章を書いた気がします。 最近になって特に感じたのですが、暖かみがあってしっかりした感じの歌詞が自分の色であるようです。 いくら力強い雰囲気の歌詞を書こうとしてもうまくいかないですね。 このような歌詞を好きでいてくれる方がいる事に感謝するだけです。 だからあえて変えようとはしません。
バクヒア:作詞家の他のお仕事もされているようですね。 多様な分野に関心をお持ちのようです。
MAFLY:ドラマの脚本を書く準備をしています。 ある見方をすればどちらも書く仕事ではあるんですけど、エンターテインメント業界で働きたいという夢を見始めた時からドラマの作家になりたかったんです。
バクヒア:ご存じのように、作詞や作曲は周辺の助けを借りてスタートするケースが多いじゃないですか。悪く言えば徒弟システムですよね。 良く言えば個々で人が弟子を育成するシステムとも言えますが。
MAFLY:徒弟システムは悪いことではないと思います。 作詞家の仕事には暗黙のルールがあります。 それに仕事のやり方のようなものを一人で学ぶのは難しいんですよ。 更に、最近は徒弟システムというよりは一つのチームという概念が合っているみたいです。 チームもあるし、作曲家グループもいて、ICONICやJoombasのような作家たちのための会社もできましたし。 そんな風に育成される場合が最も多いようです。 歌謡界ではどうしても人脈が重要だから、一人で仕事を始めるのは難しいことです。 ひとまず一回でも企画会社から作詞依頼を受けることもできません。 コネクションが必要なのではないかと思います。
#@STUDIO
『一語でも無駄に使いたくないんです』
バクヒア:作業室で歌詞を書くときは一人でたくさん想像してみて調整されますよね。 その後に文字に移していくのではないでしょうか。 反対にスタジオに行くときはアーティストたちにまず視線が行くので、録音の過程で一種のフィードバックが出来るのでは。
MAFLY:はい。 そういう部分ではオムジョンファ先輩が素敵だと思いました。 1年前に依頼を受け、6ヵ月前くらいに録音をしました。 当時、録音室に行った時私があまりにも緊張しすぎたんですよ。 あまりにも大先輩である方なので…ところが先輩はずっと下の後輩の作詞家なのに気楽に接してくれて、おかげで録音も楽に終えることができました。 本当にありがたいことでした。 謙虚な態度でスタッフたちに接している姿が本当に印象的でした。 尊敬するようになりました...
バクヒア:オムジョンファさんも実際は90年代のアイドルとみることができる方ですね。 もちろんコンセプトは典型的なアイドルコンセプトではなかったですが、人気のような部分ではそうですね。
MAFLY:そうですね。 そういう見方をすれば、第一世代アイドルと言える方ではないでしょうか。 そんな方が未だに録音室に一度入ると出てこないんです。 凄い情熱を目の当たりにしました。 あのような根性と情熱があの人をあの場所に居させているのだと思いました。 (中略)
#アイドルとの作業
『相性の良いアーティストというのがあるようです』
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バクヒア:まずアイドルの曲を書くときはメンバーがとても多いでしょう。パートを考慮して書いたり、パート分配について個人的に意見を出すこともなさるんですか?
MAFLY:パート分配については企画会社のA&Rチームや作曲家が担当している場合が多いです。なので特に私の意見は表明しません。それでも歌詞を書くとき考えることはあります。「ああ、この部分は誰々が歌うだろうな」とピンときてそれに合わせて書いたりもします。
バクヒア:アイドルのメンバーと共同で仕事をする時もありますよね。そんなときの配分はどうされるんですか?
MAFLY:作詞家同士の共同作業をする場合は、2つの方法があります。1つは親交のある作詞家から連絡が来る場合ですが。作詞の依頼が入って来たものの本人が一人でやるのが非常に難しいとか、時間がなくて一人で消化するのは難しいときにやってみる方法です。こういう場合はアイデアを一緒に組んでストーリーを作成した後に作業をするか、または一人がプロットを書いてもう1人がそれを参考に書いたり、1人がヴァース-プリコーラス-コーラス部分まですべて書き、もう1人はコーラス部分のみ使うなどです。後者の場合は、作詞を依頼してきた会社で作成した歌詞をミックスする場合もあります。試案をすべて受けて見て、このような二つの歌詞を混合して欲しいとか混ぜる比率によって持分を分ける場合もあります。そしてアーティストと作業するときはアーティストと一緒に会議をして作詞をする場合もあり、私達が与えた試案をアーティストが自分の口に合うように修正をする場合もあります。
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バクヒア:少女時代、テティソ、キュヒョンなどSMエンターテインメント所属のアーティストたちと数回一緒に作業しました。 どのような流れで一緒にするようになったんでしょう? 特別なきっかけはありますか?
MAFLY:あまり知られていませんが、私のデビュー曲は少女時代の「낭만길 (Romantic St.)」でした。 その時はMAFLYではなくスミという名前を使っていました。 MAFLYという名前で再出発したので新人だと思われました。 外国人だと思っていた方もいました。 ハハ。とにかく、デビューが少女時代だったので自然にSMエンターテインメントから作詞依頼を受けることになったんです。 以降はテティソ、東方神起、テヨンさんやキュヒョンさんの曲もするようになったんです。 実際にやってみると作詞家と相性の良いアーティストというのがいるようです。 私にとってはガールズグループがそれです。
バクヒア:作詞をされていて得意なジャンルのようなものはありますか?
MAFLY:特にジャンル分けはしていません。 好きなジャンルはありますが、依頼は多岐にわたるので区別することができないのです。 それはさておきガールズグループとの仕事が多かったです。 作詞家ごとに合うジャンルや歌手が特別にあるようです。 かつての先輩たちを見ると、ヤンジェソン先輩のような場合はソンシギョン氏と長く作業されてましたよね。 私にとってはガールズグループが、そのような存在です。
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バクヒア:書きやすいジャンルが特にありますか?
MAFLY:好きなジャンルがどうしても得意みたいです。バラードが楽ですね。事実バラードはライム(韻)を合わせるよりもメッセージのストーリーを繰り出すことが重要でしょう。ところがダンス曲はライムが絶対的に重要であり、歌いやすさも必要で、耳ざわりも良くなければならず...検討するべき事があまりにも多い上に、歌詞にメッセージも込めなければいけないので。
バクヒア:ダンス曲が最も難しいと。それにもかかわらず、最近はダンスグループの歌詞をたくさん書かれましたね。
MAFLY:ハハ。そういえば実際、最近はボーイズグループのダンス曲をたくさん書きましたね。少年24、MONSTAX、VIXXとも作業しましたし、ちょっと前にデビューしたPENTAGONの場合は収録曲「SMILE」の歌詞を書きました。 1年前に書いたものだから、その分メンバーの方達が長い間準備した曲ですね。このように時期を思い返してみると、私の立場ではその時点の自分自身がどんな気分だったのかも推測することができます。
バクヒア:その時の状況に応じて歌詞の内容も結構変わったりするんでしょうね。タイトルだけ見て明るい雰囲気が浮かんだりはしませんか?
MAFLY:実際に自分の感情に基づいて歌詞の雰囲気が変わることはあります。人間のする仕事だからそれは仕方ない事だと思います。自分の状況や気分に応じてある時はボーイズグループのダンス曲の歌詞がよく出て、またある時はガールズグループのダンス曲がよく書けたりとか。まあ、それでもやはり私はガールズグループの歌詞がよりよく出てくる方です。ボーイズグループのダンス曲はよく出てくる時と出てこない時があり...同じことが言えるのが、グループでもセクシーなコンセプトを持っているグループがありますけど、まだこのような雰囲気の曲は作詞したことがないと思います。ハハ、私はうまくできなかったんですよ。キュートで可愛らしく明るくて軽快な雰囲気の歌詞の方が得意なんです。作詞家ごとに傾向があります。
バクヒア:歌詞を書くときは性別ではなく、アーティストそれぞれが持つ表現をより考慮されるのですか?
MAFLY:すでに知っているアーティストから依頼される場合が多いので、性別などの要因はすでに検討済みの状態で書き始めます。性別ではなく、アーティストそれぞれが歌詞を表現する方法にもっと注意を払います。例えば「この部分はこういう風にうまく表現して欲しい」と言われる場合はありますよ。それは本当に耳の神様のように探知する歌手の方もいます。また「この部分を特に強調して取り上げくれたらいいのにな? 」と思っていたら、実際にその単語を拾って歌ってくれる歌手の方もいます。逆のケースもありますが、作詞家がアーティストにそれをいちいちすべてフィードバックするのは難しいです。もし作曲家と親交がある場合は作曲家に話をしたり、会社に軽くお話する場合もあります。これももちろん会社と親交がある場合にのみですが、まず第一にアーティストが歌ってみたときに、その人自身が「ああ、ここがポイントだな」と感じるような歌詞を書くというのが最も重要なことだと思う。それが最優先でしょう。
バクヒア:それはアーティスト一人一人の能力に応じて異なるものなんでしょうね。
MAFLY:そのような場合もありますし、ディレクティングを見てくれる方の能力に応じて異なることもありましたし。
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#今この瞬間
『誰にとっても今この時間、今のこの瞬間はたった一度しかないじゃないですか』
バクヒア:作詞しながら、むしろ自らの慰められたような曲を一つあげて頂けますか。 周囲の元気のない方におすすめします。
MAFLY:GFRIENDの「カシャッ(철칵
)」という曲です。 そこに入っている歌詞の中に「遠いいつの日か 同じ写真を見ながら/にっこりとまた 笑えるように/もっと幸せになる/誰も私の代わりはできないから」ありふれているように聴こえるかもしれませんけど、個人的に本当に好きです。 誰にとっても今この時間、たった今のこの瞬間はたった一度しかないじゃないですか。 そんな思いから出た歌詞です。 毎瞬間、私のすべての日常が写真にうつされて残されるとしたらどうでしょうか。 遠いいつかの日にも、今この瞬間、シャッターを押された私の姿を見ながら再び明るく笑うことができたらいいという思いから書きました。 毎日が贈り物であるかのように暮らしているんです。 もし今の私が顔をしかめていたなら、後日、今のその写真を見て再び顔をしかめるでしょうから。
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インタビュー中に出てきた方式はヴァース・コーラススタイルと呼ばれ、日本で一般的なAABA方式とはまた別の曲パートの分類方法です。主に洋楽ではポピュラーな方式で、この場合は「コーラス」がAABA方式で言う「サビ」にあたります。「プリコーラス」が「サビ前」で「ヴァース」はその他のパートですね。
個人的なMAFLYさんの歌詞のイメージは、しっとりとしているというか叙情的な感じです。季節で言うと春の始まりや秋、晩夏みたいな微妙な移り変わりの時期というか。本当にフレッシュなガールズグループには特にぴったりだなあと思います。
インタビュー中に出てきたChaChaMaloneが所属している韓国のクリエイターカンパニーICONIC SOUNDSの作家さんたちは、結構ジャニーズとかLDHの製作にも参加してたりしますね。
Joombasは韓国の人が作った会社ですがソウルとLAをベースに活動しているようで、DEANが所属しています。