サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【ize訳】ニュー・キッズ・アイドル│①アイドル、最も普及したサブカルチャー

ニュー・キッズ・アイドル│①アイドル、最も普及したサブカルチャー
2015.09.22


http://m.ize.co.kr/view.html?pDepth1=i2101&no=2015092023037229242

 

YGエンターテイメント(以下YG)の新人、IKONが少し前に発表したシングルのタイトルは「my type」である。女性の外見が好みで撃ち抜かれたというこの曲の歌詞は、最近のアイドル業界のトレンドとも似た面がある。KARAやRAINBOWなどが所属するDSPエンターテイメントの新人APRILはメイド服とアルプスの少女ルックの中間にあるような舞台衣装を着て清純コンセプトでデビューし、「ADORE U」に続き「マンセー」でカムバックしたSEVENTEENは制服のような衣装を身につけたまま、ウェブ小説にでも登場しそうなセリフのように「ちょっとお嬢さん 今から君は僕のものと呼ぶから」と歌う。緻密な戦略が適用されるのは外見だけではない。 SMエンターテイメント(以下SM)のREDVELVETはカムバックアルバム「THE RED」のティーザーイメージを完全にインスタグラムで公開し、これまで無秩序なヒップホップ悪童のイメージをアイデンティティにしてきたBIGSTARは、CRUSHやZion.Tの音楽のように聞きやすいR&B曲「月光ソナタ」をタイトルに立てることもした。大手芸能事務所でも中小事務所でも、アイドルグループのコンセプトとマーケティングはますます細かくなっている。


もともとアイドルファンドムと一般大衆の間には厳然とした距離が存在した。ただし、東方神起や少女時代、BIGBANG、Wonder Girlsのようなグループがデビューした時には、ファンではない人も少なくともその存在度は知っていた。今は違う。アイドルグループは毎年きりもなくあふれて、アイドルのようなアイドルだけでなく、音楽を中心とした芸能プログラムやインディーズやヒップホップミュージシャンとも競争しなければならない状況である。大衆が音源チャートでMBC 「無限挑戦」や(夜)「覆面歌王」、MNET 「SHOW ME THE MONEY」などに登場する聞き慣れた音源や曲をさしおいて、名前も顔も見知らぬ生粋の新人アイドルの歌をクリックしてみる可能性はほとんどない。いや、その前に新人グループの音楽はすでにチャートで「狂奪」されるかもしれないのである。このような状況では、優先順位において大衆に一度に名前を覚えさせることよりも、小さなマーケットのテイストを正確に狙って固定のファンドムを構築することを優先させるだろう。もちろん、アイドルと呼ばれる領域自体は大衆音楽市場で大きな部分を占めている。しかし、最近デビューするそれぞれのグループを好きな人は相対的に少数であり、そのような点でアイドルは最も大衆的に知られているサブ・カルチャーのような独特な位置に立つようになった。


市場は狭い。人々の好みや欲望は必然的に厳しくなっていった。既存のアイドル消費者が何を好きなのかきちんと把握することが当然重要になり、他グループの成功要因は今のアイドル文化を楽しむ人々がどのような部分に惹きつけられるのかどうかを反映するバロメーターでもある。 EXOの「Growl」から制服というコンセプトだけベンチマークして「サンナムジャ」と青春のイメージを構築し打ち出した防弾少年団の成功、清純なコンセプトを固守してきたAPink以来に「少女」を打ち出したLOVELYZやGFRIEND、OH MY GIRLなどが微妙に異なるキャラクターで無事にマーケットを作ることができたのがこの証拠だ。
「デビュー後無事安着」という1次目標のためには、他グループの成功から嗜好性の高いコードを//mycompany.comを通してインポートし、組み合わせと方向を少しずつ変形する作業が必要である。一般大衆にとって見慣れないコードを果敢に試みることができれば、さらにいい。VIXXは「傷つく準備はできている」から「呪いの人形」まで吸血鬼コンセプトを少しずつ変えながら見せたし、MAMAMOOは男装コンセプトを介して「百合」のコードを露骨に表わしファンドムの裾野を広げた。

アイドルはサブ・カルチャーの一節になり、また他のサブ・カルチャーの要素まで借用するようになった。 最近のアイドルたちがモニター越しの2Dキャラクターたちの実写化バージョンのように見えたりするのは偶然ではない。 セブンティーンの「MANSAE」ミュージックビデオはいくつかのメンバーのキャラクターに合わせ、美少年のシミュレーションゲームのように演出されており、たまにカメラに向かって目を合わせながら見る人々がゲームのプレイヤーであるかのように感じさせる。 GFRIENDも「ガラス玉」と「今日から私たちは」のミュージックビデオを通じて日本製アニメの中の明るくて元気できれいな少女のようなイメージを絶えず伝える。 これは単純に特定のコスチュームを着せることよりもっと複雑で精巧なコンセプトであり、既存のアイドルファンだけでなく、2次元に存在する美少年あるいは美少女が好みの人たちまで攻略する。


YGのIKONのように、デビュー前から事務所の独自企画でサバイバルプログラムを作成することができ、「SHOW ME THE MONEY」のようなTV番組に出場して優勝できるようなメンバーがいない場合、アイドルグループがデビューと同時に大衆に知られるのはほとんど不可能である。これは最近デビューした新人の中でIKONだけが最初から大衆的なメロディーの「my type」を発表し、音源チャートで良い成績を収めることができた理由だ。だからといって、すべての事務所がSMのREDVELVETのように非常に洗練され、かつ複雑でキャラクターが明確な視覚的な操作を示すことができるわけでもない。ただし、繊細な企画とプロモーションで狭い嗜好の市場を先取りすることは大手事務所以外の会社もできることである。今日デビューする多くのアイドルグループはすぐにその居場所を競い合っている真っ只中である。そして、その後にはより多くの大衆に向かって行こうとするのだろう。もちろん、それは「デビュー後無事安着」する以上に難しいことである。偶然に撮影された映像がFacebookを媒介に広がり音源チャートで逆走したEXIDとGFRIENDの例は、アイドルグループが通常の方法で大衆の目にとまることが容易ではないという証拠でもある。だからこそ気になるのだ。今日誕生したアイドルのニュー・キッズたちの中でわずかな確率を突き抜け、最初にトップの旗をとるのは誰なのか。アイドル市場が退屈になったと思った瞬間、少し他の流れが現れ始めた。ニュー・キッズ達は過去の先輩たちのように、自らの位置を取ることができるのだろうか?

ファンヒョジン(筆)
キム・ヨンジン(校正)

 

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1年ほど前の記事ですが、「KPOPブーム」の隆盛をすぎ、雨後の筍のように膨大な数のアイドルがデビューするようになった現在の韓国のアイドル市場、かつてのように大衆もみんな知っているような大スターだけでなく、さらに細分化されて各々マニア層をターゲットにする時代になってきている…という事でしょうか。まさに今の日本と同じような。
(日本ではKPOPは海外の音楽という点で最初からマニアジャンルではありますが)
「my type」の歌詞のように、ピンポイントであなたが好みだといってくれるファンを射抜かなければならないという。

誰もがジャニーズやLDHやAKBになれるわけではないけれど、それ以外のやり方、例えばももクロやベビメタやハロプロ、あるいはPerfume、エビダンや少し変形ですが二次元ミュージカルなど、範囲は狭いけど固定客を確実につかんで生き残るという日本ではおなじみの生存戦略がもうひとつのアイドル大国でも同じ方向に向かっているという事かな…

そういえば今年、日本のアイドルマスターの実写版が韓国で出るという計画があって先日決定したメンバーのMVを見たのですが、聞いた事のある女子アイドルグループのメンバーの名前がちらほら。おそらくアイドル業界ではほぼ初めての2次元の3次元化だと思いますが(ミュージカルだとDEATHNOTEなどがありましたが)これもまた、新しい生存戦略のひとつになれるんでしょうか。

 

ニューキッズアイドル特集記事、パート2はヨジャドル・パート3はナムジャドルグループの各紹介分析に続きます。