サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【idology訳】アイドル×hiphop ③ 境界地帯 - ヒップホップとアイドルの間で

アイドル×hiphop ③ 境界地帯 - ヒップホップとアイドルの間で

byブロックon 2014/08/14

 

http://idology.kr/1169

 

  いつからかアイドルグループ所属のラッパーに「アンダーグラウンド出身」という表現がつき始めた。主にどのようにリアルであるかという事の兆候として、キャリアを証明するために、あるいはKSマークのように品質を保証する手段としても利用される。トレーニングコストや時間を節約するという点でも会社側にとっては大きな利点である。ただし、ラップをする本人がアイドル活動の覚悟と悩み、そして方向性のための計画をどのように持っているかがカギであるという事もできる。まだ練習生の時にラップを学ぶ人々は多い。活動の過程で自ら歌詞を書きながらスキルを育てる人もいて、最初はまだラップを使わないアイドルラッパーもいる。

  以前はラップは歌えない人のパートである事が既成事実であった。ラップ自体そのものの8小節だけでの完成度を持って曲の中一つの構造を作るということはなかった。ラップは曲に入れる一つの「要素」だった。しかし、ある瞬間からアイドルも完成度の高いラップのために気を使い始めた。今ではラップパートを務めるメンバーが直接歌詞を書くことはもちろん、作曲もする方向へと傾いている。どうやら「アーティスト」という名札への渇望や、音楽性があるのだという事を満たすための方法であるという解釈もできる。アイデンティティに対する欲を持っているアイドルグループの中のラッパーが多くなり、アイドル活動と弘大での活動を同時に行う人も増えた。


  一人づつの事例を通して、漠然と思うだけの存在だった「アンダー出身のラッパー」について見てみよう。まず、私が理解しているアンダーグラウンド出身のラッパーが属する最初の女性グループはBROWN EYED GIRLS(以下ブアゴル)である。ブアゴルの初期コンセプトや年齢を考慮すれば当然ガールズグループに分類する事ができるだろうが、今の活動や音楽を考えてみるとこのラインナップに入ることは不自然ではない。ハニーファミリーなどを経ながらアンダーグラウンドで音楽をしてきたミリョは、ブアゴルを介して歌謡界にデビューした、実際にミリョのおかげで今まで安定した良い歌詞とラップを得ることができてきた。 <SHOW ME THE MONEY 1>でのステージやソロの結果は少し残念であったが、長い間音楽をしてきてまだ現在進行形であるだけに、いつでも良い作品を発表することを期待している。もちろんその間にBIGBANGのG−DRAGONやTOPもいる。G-DRAGONは「2001大韓民国」というアルバムで自分のソロ曲を発表して(!)デビューし、TOPはTempoという名前で活動していた。ただし二人とも当時の年齢が年齢なだけに(?)資料を見つけるのは本当に大変で(?)とにかく...

 

  以降時間は軽く飛ぶが、2011年にブランニュー・ミュージックとスターダムの合弁レーベルである当時のブランニュースターダムからは「BLOCKBASTER」という名前で準備していたアイドルがデビューする。後のblock.Bである。初期準備メンバーの中にはZICO、パク・キョンのほか、現在はWINNERのメンバーであるソンミンホ、Phantomのハンへもいた。これらの全員がアンダーグラウンドで活動したと自称していたりする。実際にはアンダーグラウンドのカテゴリがどこまでなのかは不明だが、とにかく「ジャングルラジオ」というカフェ、Domainというクルー、今の韓国ヒップホップ界において立志伝的なBuckwildsクルーまで、何人かのラッパーが自然に歩みを続けてきて自作曲、ミックステープ発表とライブまで様々な活動をしてきた。ZICOは現在Phantomのハンへと共にBuckwildsクルー所属である。時間は遡るが、block.Bの場合はZICO、パク・キョン、P.O.までが弘大でステージに立つこともしたし、ZICOとパク・キョンはデビュー以前からミックステープと自作曲を発表し続けていた。BTOBのイミンヒョクも彼らと共に曲を作ったことがある。イミンヒョクは今でもBTOBの曲の作詞作曲に参加している。


  とても具体的かつ、それゆえに今でも十分にその痕跡を見つけることができる活動をしたメンバーでは、EXIDのLEとB.A.Pのバンヨングクもいる。インターネットが発展し、オンライン上の痕跡が昔よりもはるかに鮮明に残るものだ。 LEの場合、一時韓国ヒップホップシーンで最大の集団の一つであったJiggy Fellazで「Elly」という名前で活動していた。以降ピノダインのアルバムに参加したりJiggy Fellazのメンバーと曲を作るなどの活動をしつつ、EXIDのメンバーとしてデビューした。バンヨングクの場合、ソウルコネクションというクルーでJepp Blackmanという名前で活動していた。検索してみればすぐに見つけて聞くことができるだろう。特に今のB.A.Pがとてもよくなったので、多く洗練された今と比較してみるのも一つの楽しみのポイントである。

 

  このように、グループごとに直接歌詞を書いて曲も書くメンバーが一人ずついるが、比較的最近デビューした防弾少年団やToppDoggもそうだ。防弾少年団の場合、多くのメンバーが着実にミックステープを発表していたが、中でもSUGAはデビュー前はGlossという名前で大邱で活動していた。ラップモンスターは現在大南協(大南朝鮮ヒップホップ協同組合)のメンバーでありながら、弘大でも活動している。大南協は最近最初のミックステープ 「第一次会談」を発表したが、これにはToppDoggのキドも参加した。大南協と一緒に少し前に合同公演をしたのがロイヤルクラスと呼ばれるクルーだ。ここでは、M.I.BのSIMSとSPEEDのテウンがメンバーである。このように、クルーにも所属して複数のステージを同時に持つアイドルグループのメンバーはますます増えている。加えて、企画会社スターダムはEvoLのJucy、TOPPDOGGのヤノ二人のメンバーのミックステープを発表するなど、各メンバーの独立した活動を企画している。

 

  少なくともプレスリリースなりどこかに「アンダーグラウンド出身」というタイトルを書く場合には、自分がそれを証明することができる最小限のものを持っているべきで、そうなった時に自信を持ってそう書いて欲しい。本当に誰も知らないのにアンダーグラウンド出身という名前を好き勝手につけた場合、私がここに名前をあげた人々が虚しさを感じる恐れもある。誰も知らないアンダー活動の何がアンダー活動なのか分からない。たまにプレスリリースを読んでいると、アンダーグラウンド出身・アンダーで認められた実力派という言葉を簡単に書いてはいるが、いくら探してもその人が何をしたかわからないときに困惑を越えて腹がたつ時もある。


アンダーグラウンド出身」という表現自体が事実滑稽に感じられる時もあるのは、もう一つの問題である。「アンダーグラウンド」という言葉は、通常弘大をベースに展開されるインディペンデントヒップホップ市場の事を指しているのに、過去にこの言葉において精神と状況がどの程度一致して仕様されていたのかを考えると、今現在気楽に使っていい単語であるかは疑問である。だからいっそ「弘大ヒップホップシーン」としよう。最近のアイドルグループに所属しているラッパーたちは、自分の音楽性や資格を認められるために弘大に飛び込んでいる。リアルさやアイデンティティ構築のひとつの過程であるわけだ。弘大のヒップホップシーンはもはやアイドルになるための中間過程ではなく、そのようにアクセスする人がこれからまだいるのかも疑問である。むしろその逆の現象が起こっている。そのような空間が健康的か病んでいるのかは別の話として、それ自体で一つの現象なのである。 

 

  今や、両方の間の聖域化された視線や障壁がそのような活動を妨げている状況でもない。境界地帯に立っている人の数はますます増えている。このような現象が弘大のヒップホップシーンのアイドル市場化現象を煽るなどの欠点を持ってくることもあるが、実際にはアイドル市場化現象は、プレイヤーだけでなく環境やシステムも同調している。このように複雑な情勢の中、どちらか一方の芳しくない視線に対処しながら苦労しているどん欲な人に対して応援か批判のどちらかを選択しろというのならば、むしろ応援することを選びたい。どのような行動をしていくのかがもちろん重要ではあるが、境界地帯には境界地帯なりの苦労がないだろうか。何よりもひとりのアイドルラッパーを評価する際、違う基準を与えるよりもその人の音楽やラップ、実力だけで評価してほしい。

 

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韓国のアイドルグループにデビュー前から本格的にヒップホップを志していた人たちが近年増えてきている件、根本には現状音楽を生業として生きていきたい若者たちがアイドルグループ以外で世に出て食っていくことが難しいという、特殊な音楽業界の事情もあるような気がします。ヒップホップジャンル自体はTVの影響もあってかここ数年メジャーになってきており、イリネアやAOMGなどの「ちゃんと稼いでいる」レーベルも増えてきていますが、実際はマーチャンダイズやCM契約など音楽的な収入以外の割合も多いとのことで、1番の収入源はライブコンサートでも、全体から見ると純粋に音楽の才覚のみで入る収入が実際そこまで多くはないということなのかもしれません。
背景には日本以上に音楽市場が崩壊している事(一般の音楽視聴源のメインが著作料割合の低いストリーミングに移行しており、割合の高い音盤はペンドムがついているアイドル以外はほとんど売れない)音源音盤以外の大きな収入源となるライブをやるにしろ、適度な規模の会場が多くない事(これは少しずつ解消してきつつあるようですが)地上波のTV番組でアイドル以外の歌手がステージを披露する機会が少ないこと、音源音盤を出すに当たってレコード会社より事務所の負担が大きい事などいろんな原因があるようです。アイドル全盛期になった結果、様々なジャンルがアイドルジャンルがに組み込まれていきアイドルジャンル自体は多様性もあり豊かになったように思いますが、ジャンルの一極化により本来アイドルを目指していなかったような子たちもアイドルになっている現状があるような気がします。BIGBANGの事務所であるYGは元々ブラックミュージック系の音楽事務所で実力派歌手が多いイメージだったため、幼少時から事務所に所属していたGDとSOLが初めてのアイドルグループとしてデビューする事になったときは結構葛藤があったと本人も言ってましたが、逆に言えばBIGBANGがアーティスト性を維持したアイドルというロールモデルを見せた事で、アイドルを目指してなかった人たちもこういうやり方もあるという道が開けたという事なのかも。(ブロビのジコも元々はコリアンエミネムプロジェクトというオーディションで事務所に入ったので、流れとしては似た感じ?)

今後もアイドルジャンルが様々なジャンルを取り込んで更に巨大化していくのか、どこかで臨界点がきてバラバラになっていくのかはわかりませんが、韓国のアイドルの音楽的能力やパフォーマンス能力が平均的に高い事(簡単に言うとアーティスト色の強いジャンルを取り入れたり自作やセルフPが増えたり、歌がうまかったりダンスのレベルが高い事)は単純に個々の能力やセンスがどうこうというという問題というわけでもないのでは…と思う今日この頃でした。