サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

【ニューストマト】『ユンヒへ』イム・デヒョン監督、東アジア女性とフェミニズムについて

『ユンヒへ』イム・デヒョン監督、東アジア女性とフェミニズムについて

http://www.newstomato.com/ReadNews.aspx?no=931296

2019-11-05 16:49 キム・ヒギョン

 


イム・デヒョン「女性の物語作品を作ることについてとても悩んだ」

キム・ヒエ「女性が中心であっても面白い映画だと証明されることを」


「韓国と日本の女性は確かに違います。しかし、男性中心的な社会秩序が強固に成立した国で生きてきたという点では似ていると思いました。「ユンヒへ」は東アジアの女性たちが互いに連帯し、愛を分かち合う姿を見せたかった」(イム・デヒョン監督)


イム・デヒョン監督が寒い季節を迎えるにあたり、「暖かいマフラー」のような映画を準備した。単に一人の女性のロードムービーとも見られるが、広く解釈すれば東アジア社会に生きる女性たちの物語を描いた宝石のような映画が訪れる予定だ。


5日午後、ソウル広津区ロッテシネマ建大入口店では映画「ユンヒへ」(イム・デヒョン監督)マスコミ試写会と記者懇談会が開催された。同日の席にはイム・デヒョン監督をはじめ、俳優のキム・ヒエ、キム・ソヘ、ソン・ユビンが出席した。


「ユンヒへ」は感性ロマンス映画で、偶然一通の手紙をもらったユンヒ(キム・ヒエ)が忘れていた初恋ジュン(中村優子)の記憶を求めて日本の小樽に向かう話を描いた。2019年釜山国際映画祭クロージング作にも選定され、封切り前から多くの話題を得た作品だ。


イム・デヒョン監督は「男性として、該当作品をできるだけ女性の目線で眺めるために努力した」と口を切った。「台本を書くにあたり一番悩んだのは、男性として女性のストーリーを解いていくのが果して穏当なことなのかという事だ」打ち明けた。しかしそれでも「ユンヒへ」に挑戦した理由は、それだけの価値があるからだと打ち明けた。


「もし(女性を)僕と違う存在、あるいは遠くにある存在だと思っていたらこのような作品は出なかったはずです。しかし、私たちの周りにはすぐそばに母と妹がいます。代理経験ができる存在がありました。彼女たちの目で見るために自らを疑い、質問もたくさんしたと思います」(イム・デヒョン監督)


今回の映画では韓国女性のユンヒと日本女性のジュンとの初恋を描いた。似ていながらも確実に異なる2人の違う国籍の女性。イム・デヒョン監督は韓国と日本の共通点として「長い間男性中心的な社会秩序が成立している国」と説明した。


「韓国の書籍『82年生まれキム・ジヨン』が日本で大ベストセラーになり、日本の書籍『女ぎらい ニッポンのミソジニー』が韓国でベストセラーになる事が偶然とは思わないです。このようにフェミニズムの話題が時代精神として定着しているこの時点で、東アジアの女性たちが互いに連帯し、愛を分かち合う姿を映画でお見せしたかった」(イム・デヒョン監督)

 

キム・ヒエは今回の作品を演じながら、同性愛と異性愛の違いを念頭に置いては演じなかったと説明した。劇中のユンヒと娘のセボムの家族が二人でもお互いに完全な存在になるように、ユンヒとジュンも彼女たちだけの完璧な愛だからだ。

 

「私は、ある意味娘と一緒に旅行に行くシンプルなロードムービーとして見ても良いのではないかと思いました。一人の女性が忘れていた思い出を求めて旅立つ穏やかなドキュメンタリーとでも言えるでしょうか。題材のプレッシャーは気にしませんでした。中村さんとの呼吸はとてもよかったです。俳優さんの目を見た時に本当に真心が感じられ、私もその方に報いる演技を差し上げるために最善を尽くした記憶があります。お話は長くできませんでしたが、目で全部したみたいです」(キム・ヒエ)

 

キム・ヒエは最近、大韓民国の代表的な俳優として有意義な演技的変身を試みている。「Her Story」では慰安婦被害者たちに身を捧げるムン・チョンスク次長に変身し、「優雅な嘘」ではこの世を去った末娘の秘密を暴くため、過去を取り戻そうとする母ヒョンスクに挑戦した。その他にも「消えた夜」「セシボン」など多彩なカラーの映画に顔を出し、その存在感をアピールしている。これからも彼女は「女性キャラクターの多様性を構築できる作品が出ることを望む」と口を開いた。


「私はもうこの年齢なので、配役の大小よりは面白いシナリオである事が作品選定の基準になりました。私の年齢で主演になれる作品はほとんどないと思っても構いません。でも『ユンヒへ』を通じて私たちのような女性キャラクターが前面に出てもできるのだということをお見せしたいです。既存の映画界に存在する先入観を破ることができる力になればと思います」


イム・デヒョン監督の暖かな目線とキム・ヒエの情熱的な挑戦が合わさった「ユンヒへ」。果たして今秋の観客の心を温かく溶かせる映画になれるのか、帰趨が注目される。封切りは14日だ。

 

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キャストとストーリー、舞台の殆どが小樽ということで個人的に興味がある映画の関連記事を訳しました。

「女ぎらい」は上野千鶴子氏の2010年の著作で、韓国では「女性嫌悪を嫌悪する」のタイトルで翻訳出版されており、今でも韓国ではフェミニズムの入門書としてよく推薦されているようです。

【ハンギョレ21訳】ユンヒからユンヒへ(映画「ユンヒへ」)

ユンヒがユンヒに

「「自分」なしに生きたあなた、

キム・ヒエ主演の映画「ユンヒへの手紙」

 

ホ・ユンヒ記者

登録:2019-11-15 15:44

修正:2019-11-18 15:28

http://h21.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/47861.html

*映画「ユンヒへ」のネタバレが含まれています。イム・デヒョン監督の電話インタビュー、映画試写会の取材をもとに記事を手紙形式で構成しました。


To. ユンヒ

 

ぎゅっと結んだ髪に化粧気のない顔。仕事場に向かう車の中で窓の外を見る時も、家でフォトアルバムを探して見る時も、街を歩く時も。どこかを見る目は寂しく寂しく見えます。あなたの娘はこう言います。「ママとパパが離婚する時、私はどうしてママと暮らすと言ったんだろう?」「ママはパパよりも寂しそうだったから」。幼い娘にも抱かれた寂しさは、どれほど深いことだろう。

 

映画「ユンヒへ」(11月14日封切り)で、中年女性であるユンヒ、あなたの厳しい生活を見ました。学校給食の調理師として働いて、離婚して高等学校3年生の娘、セボム(キム・ソへ)とふたりで暮らしていますね。たまに酒を飲んで訪れる前夫の訪問以外に特別なことはなく、ただ平凡に生きていきます。いや、一日一日を耐えているようですね。


ある日、日本から来た手紙が届きましたね。ユンヒへで始まるその手紙は、初恋の人からもらったラブレターです。

「ユンヒへ。元気?長い間こう聞きたかったんです。あなたは私を忘れたかもしれませんね。もう20年も経ったので。急にあなたに私の消息を伝えたくなったみたいです」


初恋、20年ぶりの手紙

この手紙をもらって、予定のない日本旅行に行きます。娘と一緒に。あなたが行った北海道の小樽は雪の地ですね。腰まで積もって目に眩しいほど美しい。そこで。あなたの初恋を見ました。あなたのように寂しい目をした中年女性ジュン(中村優子)を。韓国で青少年時代を過ごした彼女は、両親の離婚で日本に帰って叔母と住んでいます。獣医として働いているジュンは可愛い猫を一匹を飼っています。


タクシーに乗り、初恋の人のいる家の前まで行ったあなたは、ジュンが家から出てくると隠れてしまいます。遠くまで彼女に会いに行って隠れるしかないあなた。何があなたを阻んだのですか。そんな風に彼女には会えずに、ある居酒屋に入って彼女に会ったかのように話すあなたは悲しい嘘をつきますね。友達に会ってご飯を食べて話をしたと。その頃ジュンは、自分に好感を持つ別の女性に言います。自分のセクシャル・アイデンティティを隠して生きなさいと。これまで自分がそのように生きてきたように...。異性愛中心の日本社会で、ジュンもあなたのように自らのセクシャル・アイデンティティを隠しながら生きてきました。


今まで自分の本音を言わなかったあなたはジュンに送る手紙を書きながら、自分がどういう風に暮して来たかを語ります。同性愛者である自分を否定した家族の話、精神科の治療を受けなければならなかった過去、兄の紹介で強制的に結婚するしかなかったということを。兄だけを大学に行かせ、自分は女だという理由で大学進学の夢をあきらめたという話も。そんな彼女を可愛がっていた母が、あなたにカメラを買ってくれたという話を...。その時になってあなたを少しは分かったようでした。長い間、抑圧された人生を生きてきたことを。異性愛の家父長的な家族制度の中で、女性でありセクシャル・マイノリティとして生きてきた彼女が耐えてきた人生はどれほど大変だったでしょうか。自分に与えられた人生が「罰のように感じられた」というあなたの言葉は、生きることがどれほど苦痛だったかを物語ります。


制作段階では、あなたが出る映画のタイトルは「満月」だったそうです。英文のタイトルは「Moonlit Winter」です。そういえば、映画の中で満月がよくカメラアングルに収まっていました。満月、三日月、半月。イム・デヒョン監督が語ってくれました。「映画の中の月は、重層的な意味を持つメタファー(隠喩)」だと。三日月から満月になっていくように、徐々に元の自分の姿を表わす月のように、ユンヒ、あなたが自分の姿を取り戻す意味があると。愛への懐かしさがこみ上げてくるという意味もあります。

 

満月のように自分を探す

あなたとジュンの恋物語の他にも、他の人の恋も見せてくれますね。ジュンと同居する叔母さんは、とても昔に6ヶ月ほどの短い時間つきあったその人がまだ時々懐かしいと言います。自身も一生恋しく思い出す人がいたと照れくさそうに告白する叔母。姪のジュンを育てながら生きてきた叔母の心の片隅にも懐かしい恋がありましたね。あなたの10代の時の姿に似ているところが沢山あるという娘、セボムの愛は甘いです。学校の運動場に捨てられていた手袋を繕い、片手づつはめたセボムとボーイフレンドのギョンス(ソン・ユビン)。日本の旅行までついてきたギョンスとセボムが母親の知らないうちに秘密のデートをするシーンは、静かで穏やかな映画に笑いをぽんぽん飛ばします。あなたとジュンが恋愛していた時の姿もこうだったんでしょうか?

 

あなたにもジュンにも、隣でエールを送ってくれる存在たちがいますよね。ジュンのそばには叔母さんが、あなたのそばには娘のセボムが。ジュンとあなたをまた会わせてくれた方は叔母さんです。ジュンが20年間、送れなかった手紙を代わりに送ってくれたからです。娘も日本旅行を提案してあなたの愛を応援します。彼らの言葉のない応援は、連帯の別名ですね。お互いを各自のやり方でなだめて慰め合いながら、ずっと生きていこうと手を取り合ってくれているようです。


いよいよ、あなたは20年ぶりにジュンに会います。あなたを先に見つけたジュンが「ユンヒ?」と立ち止まり、ジュンを見たあなたは、彼女と数メートルの距離を挟んで立ちじっと見つめあいます。何も言えず、目尻がしっとりと濡れていましたね。20年ぶりにとても会いたかった初恋を目にしたあなたは、息を殺して泣きます。そして無言でジュンと距離を置き、並んで雪道を歩いて行きます。一緒に歩くその雪の降る街がとても暖かく見えます。


映画の最後に、娘がある食堂の面接を受けるあなたを撮っています。「小さな食堂を構えたい」と初めて「未来」を語るあなたは、その夢に向かって第一歩を踏み出していますね。その時になって、映画では終始あまり笑わなかったあなたが笑います。ナレーションであなたの声が聞こえます。

「元気?あなたからの手紙が届いたらすぐにあなたに返事を書くよ。私も時折あなたのことを思い出したし、あなたのことが気になっていたよ。すべてが信じられないくらい昔のことになってしまったね。あなたは恥ずかしくないと言っていたよね。私もこれ以上、自分を恥じたくない。そう、私たちは間違っていないから。いつか私の娘にあなたの話をできるかな?勇気を出したい。私も勇気を出せるはず。」


ユンヒとして生きるということ

あなたが今まで必ず隠してきた自分を、探しに行きましょうか?本当の自分の姿がどうだったのかさえ分からずに生きてきたあなた。これからはセボムの母ではなく、ユンヒという名前で完全に自分の人生を生きていくことができるのでしょうか。この問いにイム監督はこう言いました。この映画は、中年女性が初恋の人を探し求める過程で自我を探し新しい人生を生きるという点で、女性の成長ドラマとも言えます。あなたはこれからセボムの母親ではなく、レズビアンであるユンヒが描くことの出来る中年女性の物語を作っていくんでしょうね。


映画は終始、愛について質問を投げかけます。愛とは何だろう。他人を愛することは誰もができるわけではない勇敢なことだと映画は伝えます。誰かにとってはもっと勇気を出さなければならない愛。叶えられなかった初恋を抱いた世の中のすべてのユンヒに映画は「どんな恋でもいいのだ」と慰めて慰労します。一人で苦しんで息を殺して泣いている「ユンヒ」たちにユンヒが伝えます。


From. ユンヒ

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映画『ユンヒへ』特別映像 - YouTube

(元々リンクしていた韓国の動画が見られなくなったので、他のリンクに差し替えました)


「ユンヒへ」は2019年の釜山国際映画祭でクィアカメリアアワードを受賞した作品です。同性愛者の中年女性の姿を描いた点で韓国版「キャロル」とも言われているようです。娘のセボム役はI.O.I出身のキム・ソへでした。

主演のキム・ヒエが「私の年齢では主役になれる映画はかなり少ない」と語っていたのも印象的でした。確かに中年以上の女性が主演の韓国映画は今でもあまり多くないかもしれません。これを書いた記者の方の名前もユンヒなので、こういう形式になったのかな。

 

【京郷新聞訳】「心の病」告白するアイドル···相次ぐ活動休止にファンは「応援」

【京郷新聞訳】「心の病」告白するアイドル···相次ぐ活動休止にファンは「応援」

 

イ・ユジン記者2020.01.23 15:13

http://m.khan.co.kr/amp/view.html?art_id=202001231513001&sec_id=960100&artid=202001231513001&code=960100&__twitter_impression=true

 

アイドルが「心の病」を打ち明け始めた。グループ少女時代のメンバーテヨンがうつ病の診断事実を明らかにしたのを皮切りに、歌手のカン・ダニエル、歌手のヒョナ、MONSTA Xメンバーのジュホン、TWICEメンバーのミナ、OH MY GIRLメンバーのジホらが不安症状・うつ病を患っていると打ち明けた。

 

「悪いところはないと思っていました。先送りにしてきて、大丈夫だと言い聞かせてきて初めて2016年に病院に行きわかりました。私も辛かった...1年は信じられなかったと思います。今は無理なく2週間に1回こつこつと治療受けているし、悪い方向に考えないようにしてます」

昨年11月、歌手ヒョナは自分のSNSでうつとパニック障害を患っているという事実を打ち明けた。続いて突然の失神経験に触れ、「脳波などを色々検査しているうちに『迷走神経性失神』という病気にかかったことを知った。『私が病気だと知られたら、誰が探してくれるだろうか』という心配が先立って話せなかった。倒れるたびに申し訳ない気持ちになった。これからはたくましく自分自身を愛し、世話を焼くつもりだ」と明らかにした。


これに先立つ6月、グループ少女時代のメンバーテヨンも自分のSNSを通じ、うつ病の診断の事実を明らかにした。「うつ病かよ」と皮肉る悪質なコメントに対し、「うつで苦しんでいる。薬物治療も熱心にしているし、治ろうと努力している」とし「うつ病でも偏見の目で見ないでほしい。みんな病気の患者なんです」と打ち明けた。「辛いことが辛い」と言ったテヨンの勇気に多くのファンの応援が続いた。


これまでアイドルは、病気になっても「辛い」と言えなかった。もしステージで倒れたり具合が悪くなったりすると「ファンに申し訳ない」という立場が先に出た。そんな彼らが「心の病」を打ち明け始めた。昨年下半期から活動休止を宣言したアイドルも十数人いる。グループTWICEのメンバー・ミナを皮切りにグループSEVENTEENのS.COUPS、グループOh My Girlのメンバージホ、グループMONSTA Xのメンバージュホン、グループ宇宙少女メンバーのダウォンなどが不安症状のため活動を中断した。来月、ミニアルバムをリリースするグループLOONAは、「メンバーのハスルが繰り返し不安症状を見せたため、カムバック活動には参加しない」と明らかにした。


昨年8月、ソウル永登浦区汝矣島洞のKBSホール前で数百人のファンと記者たちが音楽番組「ミュージックバンク」に出演するため出勤したアイドルグループを撮影している。


歌手カン・ダニエルはうつ病パニック障害の診断を受け、昨年12月に活動中止を宣言した。カン・ダニエルは活動中止宣言の前日、ファンカフェに「明日が来るのが怖い。誰か助けてほしい」と心境を吐露していた。同月、社会服務要員として代替服務を始めたVIXXレオは、入隊のニュースとともにうつ病を患っていると打ち明けた。所属会社Jellyfish側は「VIXXレオは2013年からパニック障害うつ病を患っており、現在まで薬物治療をしながら乗り越えようとしてきたが、やむを得ず社会服務要員としての代替服務を宣告された」と伝えた。


複数の関係者によると、これまで芸能プロダクションはアイドルの精神疾患に対して薬物治療中心の対応をしてきた。心理相談治療などを並行して支援する企画会社もあった。しかし、大半の企画会社が所属歌手のうつ病など、精神疾患の診断の事実を外部に知らせることを嫌がった。明るく元気なアイドルのイメージへの打撃や、活動休止による収益の減少が原因だった。デビュー20年を超えたグループ神話のメンバーのキム・ドンワンはソルリの死亡当時、「多くの後輩たちがお金と名声が与える甘さに向かい、どれほど心の病気を患いながら働き悩んでいるか」「本人が望んだり、あるいは手っ取り早い解決のために薬物の勧誘を受けるような事をこれ以上傍観してはいけない」という長文の文章をSNSに掲載した。


ファンは、「アイドルが病気だと言える時代が到来した」とむしろ安堵する。ジホのファンというキムさんは「ファンたちは皆、ジホが十分な休息期を持つことを願っている」とし「自分が好きなアイドルが辛いのを隠して活動することを願うファンはいないだろう」と話した。カン・ダニエルファンのᄀさんも「長くかかっても良いからゆっくり休んで元気に戻ってほしい。いつまで待つ」と言った。

 

ある企画会社の関係者は「近頃はファンが先にアイドルの精神健康を懸念し、活動中断や休息を会社に求めることもある」とし「無理な活動強行よりはアイドルの安定を優先する雰囲気が形成されてきたようだ」と話した。また「ソルリやク・ハラのように長い間うつを患っていた人々が最近亡くなり、企画会社が精神健康問題を深刻に認識するようになったのも、変化の雰囲気に一役買った」と付け加えた。

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韓国アイドルのメンタルの問題に関してはアンチや悪質なコメントのような外部からの要因がよく言われますが、それ以上に色々な意味でファンとの距離が近すぎるというのもかなりの要因ではないのかという自覚が業界全体に欠けているというか、わかってるけど看過してるのかわかりませんけど....スケジュールにしても、深夜までMV撮影とか飛行機の長距離移動の繰り返しみたいな生活と睡眠リズムが狂うような働き方は自律神経の乱れの元凶でしょうし(ヒョナの迷走性失神とかまさにそれでは)、特に長期的な昼夜逆転や睡眠不足はうつ症状(抑うつ症状とうつ病は別のものですが、韓国の報道だとそのあたりがはっきりしません)の大きな要因になるというのはわかってきてるので、その辺も根本的な改革も必要なのかもしれません。寮生活なのもそういう仕事の仕方に向いてるというのもあるんでしょうけど...それでもだんだん変わってきてるとは感じますが、韓国の10〜20代の自殺率の高さを考えると日本とはまた違う方向で抑圧的な社会であることも間違いないでしょうし。そういう中で「公言できるようになった」というだけでもいい事だとは思います。

日本のアイドルでも精神的な問題で休業するケースは最近珍しくありませんが、日本の方が良くも悪くも自由に発言している感じはします。韓国のアイドル界隈は少しの瑕疵を徹底的にファンの側が矯正しようとする雰囲気も強いし、それがいい事だと認識されていますし。それゆえに今の韓国アイドルはいろんな意味で「正しさ」を追求したい気持ちが強い人たちが国問わず一見惹かれやすいジャンルなのではないかと思う部分もありますが、アイドルの言動や行動が常に社会やファンにとって「立派に」「正しく」フィルタリングされて公に出さざるを得ない事、その時に背後にある精神的圧力とか社会的背景までは見えづらいのかもと感じる事も多いです。

「ファンも応援」というのは当然のことではないかと個人的には思いますが、そのファンを気にしすぎているのではないかという部分もこの文章からするとまだまだ強いように感じます。病気によっては気にかけすぎる事が症状を悪化させる要因には十分になりうるし、そっとしておいてあげるという感覚も必要な気がしました。自分がメンタルの問題で休まなきゃいけない時にGetWellSoon○○みたいなハッシュタグがトレンドに入ったら余計辛いのではないかと思うし。忘れてないし応援してるよというのを表明するのも大事だと思いますけど、それは休止明けに暖かく迎えればよいだけで、しばらくファンの事も考えない方がいいですよね本当は。単純にパフォーマンスをしてそれを楽しむだけの関係性だったらアイドルとファンの間にそこまでのストレスが生まれる事はない(創作とか鍛錬に関する悩みはあるでしょうが)はずですが、アイドルとファンの関係性はそれだけではないゆえに「アイドル」というものが特殊な独立したカテゴリーとして存在するわけで、そこの「関係性」のバランスや距離感が難しいのかもしれません。


【質問箱】PRODUCEシリーズ投票操作事件について

【質問箱への投稿より】

PRODUCEシリーズの投票操作事件で、X1は解散に追い込まれましたね。

 

そもそも、数多くの芸能事務所の練習生を101人(PRODUCE48では96人)集めて、そこから視聴者投票で選抜して、10人前後のアイドルグループを作るという、PRODUCEシリーズの仕組み自体に無理があったと思います。このような仕組みでは、事務所関係者が番組プロデューサーを接待して、投票結果に手心を加えてほしいという動きになるのは当然でしょう。

 

また、近年の韓国におけるアイドルグループは、東方神起、スーパージュニアなどのように、10年単位で活躍している事例もあるのに、I.O.Iは1年、wanna oneは2年半、X1は半年(当初は5年活動する予定でしたが)と短命です。各メンバーの所属事務所が異なるせいで、このような契約になったのかもしれませんが、結果的にPRODUCEシリーズは、短命グループの量産番組になってしまいました。

 

結局、1つの芸能事務所だけで、グループを結成させる、古典的なやり方のほうが無難なのかもしれません。

2020年1月7日19:15

https://odaibako.net/detail/request/894c073da36f4d22bfffe98f2e80279a

 

申し訳ないんですが、全体的に自分が思うところのプデュとそれに伴う諸々の流れみたいなものへの認識がご質問者の方と結構違うように感じまして、その辺りについても補足も交えた結果長くなったのでこちらに載せます。

 

「PRODUCEシリーズの仕組み自体に無理があったと思います」というのは今だから言える事だと思うので、今それ言う事に意味ありますかね?

そもそもこの企画はAKBの総選挙システムをベンチマークしたもので、ほぼ人気投票だけで色々な事務所から練習生を選んでグループを作れば最強人気のグループが出来るのでは?という趣旨のもとで始められたある意味イベント的な企画だったと思います。「事務所関係者が番組プロデューサーを接待して、投票結果に手心を加えてほしいという動きになるのは当然でしょう」とありますが、それこそMnetの親会社であるCJが直接投資している芸能事務所(調べればわかることなので具体的な名前は出しませんが)の練習生も何人も参加しており、最終グループのメンバーにも選ばれています。そのような事情もあり、韓国では最初のプロデュースシリーズの時から忖度や票操作疑惑については国会で取り上げられるレベルでもずっと言われ続けていました。更に、アイドルが多く出るメディアであるMnetとそこに「出させていただく側」の芸能事務所という韓国内での特殊な関係性や権力構造を考えれば、本当は出したくなかったけど練習生を出さざるを得なかったので(略)というような事務所もいるかもしれません。韓国の練習生システムは育成自体にかなりのお金がかかるため、練習生がある程度の数所属している中堅以上の事務所的には、自分たちがお金と時間をかけて育てた練習生を自分たちが総取り出来ない外部マネージメントの環境でデビューさせるよりは、自分のところで作ったグループで人気が出て欲しいと考える方が普通だと思いますし、当初はそういう考え方の事務所が多かったんじゃないかと思います。だからイベント的に少しでも注目を受けて本格的なデビュー前に知名度が上がればいいなくらいの思惑で参加した事務所も多かったんじゃないでしょうか。

「結果的にPRODUCEシリーズは、短命グループの量産番組になってしまいました」とありますが、それはこのような事情を踏まえれば当たり前の事ではないかと思います。ほとんどの事務所的には少なくとも当初はプデュに出ることや選ばれることは最終目標ではなくあくまでもその先の事務所でデビューさせるまでのプロモーション的な感覚だったはずだと思いますから、プデュでのデビューグループはむしろ期限つきでなければ困るのでは。特にシーズン1の頃はどの程度成功するか誰もわからなかったわけで、そんな状況では期限つきでもなければ出そうと考える芸能事務所事務所は少なかったのではないかと思います。

(実際にデビュー後の活動期間で揉めてデビューが霧散したサバイバルもありました)

むしろ期限つきだからこそデビュー後もファンドムが盛り上がった部分もあるのではないかと思いますし。ご質問者の方がどの辺りからプデュを見ていたのかはわかりませんが、目的自体が異なるプデュ発のグループと、東方神起やSJのような最初から事務所がなるべく長く活動させることを目標に作ったであろうむしろ正反対のグループを比較するのかがよくわかりませんでした。
(10年選手のグループが特に男子で増えてきたのは単純に韓国の社会的文化的変化でアイドルファンドムの寿命自体が伸びてる事が大きいと思いますし、ここでの話と全く関係ないとおもうんですが)

 

この辺りの状況はシーズン1・2・48・Xとシリーズが重なり、さらに「プデュ以降の参加者の状況」というものがだんだん明らかになっていく中で、徐々に変化していっただろうなとは思います。プデュ出演者につくファンドム規模が侮れないという事がだんだん確実になってきたために、特に中小ではより本腰を入れる事務所も増えてきたでしょうし、個人の素質次第では小さな事務所でも最終デビュー組に入らなくてもある程度のファンダムを形成する事ができるという点は、プデュシリーズの最もよいところではないかと個人的には思っています。しかし一方でその「ファンドム」そのものがプデュの弱点でもあって、韓国のアイドル的に一番の問題は「オタクに人気がある子が客観的に見て実力もトップクラスとは限らない」「オタクが選んだメンバーを並べても技能的なバランスがとれるとは限らない」という点ではないかと思います。「票操作や忖度については以前から疑惑はあった」と最初の方で書きましたが、それでも今回まで問題にならなかったのは、最終的に選ばれたメンバー達が人気・ボーカル・ダンス・ラッパーとなんとなくある程度「国民」を納得させられるようなバランスの組み合わせだったからというのもあったのかもしれません。しかし、純粋に当初の目的どおり国民投票を最重視したとしたらリアルではもっと偏ったグループができる可能性が十分あったはずです。また、今まで問題にならなかった(あったけどそこまで真剣に取り上げられなかった)背景にもやはり「ファンドム」の存在が大きいと思います。単に今までは選ばれたメンバーのファンドムの方が選ばれなかった練習生達のファンドムよりも「強かった」から疑問の声がそこまで大きくなることもなかったのが、今回は特にファンドムの強い(声がデカい)男性アイドルの選抜だったことと、契約期間も通常のアイドルグループtと同様レベルに長くなったこと、選ばれたメンバーとそれ以外の練習生のファンドムのパワーバランスがそこまで差がなかったがゆえに、たまたま今回表沙汰になっただけなのではないかという感じがします。


結局そのあたりのさじ加減とか番組演出としてのドラマチックさ、事務所の思惑などなど色々な事情が絡みあって今回のような事態と結果になったのではないかと想像できますが、実際に操作に関わった事務所や誰がどのように操作されたのかという事実がはっきりと公式で明らかになることはないと思いますし、どのような意図で操作があったのかが公にならない限りは問題の根本がわからないままなので、とりあえずなんとなくの憶測や想像に留めておくしかないですけどね。

 

個人的には最初の目的通りに期限つきのイベント的なグループを作るシステムしてならプデュの存在は意義があったと思いますけど、(むしろ「短命グループ量産番組」だったから成り立ってたし意義があったのではないかと思います)なまじ巨額のマネーが動くようになったせいなのか活動期限を伸ばしたり等周囲が諸々色気を出し過ぎた感じですし、そこに韓国のペンドム特有の正義感と良くも悪くも政治的なスタンスが衝突した事で、結局一番割りを食ったのは一番頑張ったし苦労しただろう当事者の練習生達だったというのがなんとも後味の悪い話でした。今の韓国のシステムでは、サバイバルで活動期間に制限をつけないグループを作る事は、実際の事務所の利害関係を考えるとかなり難しいのではないでしょうか。事務所の規模によってメリットデメリットに差がありすぎるように思うので。それなら日本のプデュのように全員事務所無所属のメンバーから選ぶサバイバルのほうが理にかなってるし、選考自体も所属事務所の影響力という点では公正になりやすいと思います。

 

プデュが一番盛り上がってた時期にもっと人気が出たはずの中堅グループもたくさんいたかもしれないと考えると、結果的に場を荒らした割に後世へのプラスの影響がほとんどなかったのかもという気もします。事務所内サバイバルなら事務所という共通の敵に向かってファンドムも最終的には一致団結出来ますけど(?)、プデュは個人推しファンドム同士がデビュー後も足を引っ張り合うというよくない見本も作ってしまいましたし。

プデュきっかけで世に認められた人たちもいたし、その瞬間瞬間に最高の煌めきがあったからいいのかな...でも、その後もアイドルとしての人生は続く人がほとんどでむしろ入り口に立ったばかりの人も多いわけで、それを考えると色々刹那的すぎないかという感想です。

 

ところで、「1つの芸能事務所だけで、グループを結成させる、古典的なやり方」というのもちょっと気になりました。日本ですらメンバーの所属事務所が最初から違う期間限定じゃないアイドルグループ自体がAKB関連しかないですし(それも最近は最初はAKSに入ってそこから移籍するパターンの方が増えてるとツイッターで教えて頂きました)卒業システムなど流動的かつメンバー単推しのファンが多い女子アイドルだからこそ有効なやり方ではないかとも思うので(実際男子ではほぼないですよね)事務所が違うメンバーを集めて期限つきじゃないグループ作ってる方が少ないというか他にほ成功例はないですよね。そういう状況でひとつの事務所でグループを結成させることを「古典的なやり方」と呼んでいいんでしょうか。「王道」とかならわかります。

2019年度お仕事まとめ

[寄稿]

●Real Sound (blueprint) https://realsound.jp

●Music Magazine増刊 K−POP Girls

(ミュージックマガジン

●goo POPLETA (NTTレゾナント) https://popleta.goo.ne.jp

 

[取材コメントなど]

月刊サイゾー

bayfm

 

何かありましたらメールまでよろしくお願いします。

djmusmusculus@gmail.com

 

2018 輝け!DJ泡沫(誰)が選ぶKドル日本オリジナル曲大賞(2019の間違いではありません)

2019年も終わっちゃいましたね。あけましておめでとうございます。

2018年末にこの記事を書き上げる予定でしたが、年末に依頼されて年明けすぐ締め切りの原稿があったりなんだりでのんびりのびのびにしてたらもう2020年が来てしまいました。しかしここは自分の城なので、そんな事は気にせず進めようと思います。


「2018 輝け!DJ泡沫(誰)が選ぶKドル日本オリジナル曲大賞」

(※2020年の元旦に2019ではなく2018の振り返りをお送りしております)


さて、2017年度は日本オリジナル曲があまりなかったのもありやらなかったんですが、2018年度は結構あったので2年ぶりに開催する事にしてみました。

今回も特に誰も待ってないと思いますが、ただの趣味なので気にしない。


ちなみに2年前の記事はこちらです。


2018年1月〜2018年12月の間に日本で発売された日本オリジナル曲

・後に韓国語バージョンがリリースされたものも含む

・シングル曲アルバム曲問わない

 

ベスト1以外は順不同(大体リリース順)になっております。

ところでYouTubeの埋め込み方式?が変わったらしく、リンクを貼ってもブログにタイトルや埋め込み動画が表示されなくなってるみたいです。リンク自体は貼れてるみたいですが。


Cosmic Railway/EXO

作詞:Sara Sakurai

作曲:STEVEN LEE/Tom Hugo

 

Cosmic Railway

Cosmic Railway

 

EXOの初日本オリジナルアルバムの中の一曲でした。タイトル曲のElectric KissもMVがロボットレストランというかTOKYO感(?)でしたが、この曲はJPOPっぽみ以上に歌ってる場面がはっきり浮かぶところが良かった。日本版アルバムって概ねライブ公演ありきというか、それを想定して作ってるケースが多いと思うんですけど、コンサート後半かアンコールのしっとりタイムがすぐ浮かびました。2年前もComing Overを選びましたが、やっぱり音盤やMV以上にライブで良さが際立ちそうというつながりでした。


Raining/WINNER

作詞:HOONY/MINO/ZERO

作曲:HOONY/UK JIN KANG

https://youtu.be/hWWl9biyMtM


この曲とHave A Good Dayは先に日本語バージョンが出て後で韓国のアルバムに韓国語バージョン収録されましたが、最近は結構こういうパターンは増えてますね。

特にこの曲はちょっとぎゅっと歌詞を詰めたような箇所もありますが、音節が母音で終わる開音節の多い日本語の方が合っている曲調のようで、先に日本語で出した意味がわかった気がします。


Candy Pop/TWICE

作詞:Min Lee “collapsedone”・Mayu Wakisaka

作曲:Min Lee “collapsedone”・Mayu Wakisaka

https://youtu.be/wQ_POfToaVY


日本オリジナルというとイメージが変わっちゃったりというのも気にされるポイントですが、この曲はまさにTWICEの持つメジャーでマスでポップな面を最大限まで拡大し、かつ人気コンテンツの制作者でアニメーションでMVを作るという日本オリジナルでやるならここまでふりきるのが良いな!という一曲でした。


Let Go/BTS(防弾少年団)

作詞:UTA・HIRO・JUN・SUNNY BOY 日本語ラップ詞:KM−MARKIT

作曲:UTA・HIRO・JUN・SUNNY BOY

https://youtu.be/VOS766qqzlM


Crystal Snow/BTS(防弾少年団)

作詞:Kanata Okajima・Soma Genda・Rap Monster 日本語ラップ詞:KM−MARKIT

作曲:Kanata Okajima・Soma Genda・Rap Monster

https://youtu.be/s3Fs7dlZ7WY


BTSこと防弾少年団の3枚目のオリジナルアルバムの収録曲です。防弾はシングル先行リリースという日本ならではのスタイルは守りつつ最初の日本版アルバムから過去曲をリミックスしたイントロとアウトロを入れたりと韓国アルバムと同じような作り方をしているし、ラップリリックの翻訳もずっと同じラッパーの方(お前のBIGな夢はナニ)が担当していて、そういう部分はレコード会社が変わっても同じですね。

Crystal  SnowとLet Goみたいな曲は本国楽曲とはまた違ったボーカルライン(時にはラップラインも)の歌い方も聴くことができて、なおかついわゆるバラード曲とも違うちゃんとポップスらしいキャッチーさもあるところが良いと思います。そしてなんといっても一番大きいのがボーカルパートの配分の違いではないでしょうか。本国曲ではボーカルパートの配分やハイトーンパートを歌うメンバーはどうしても偏りがちですが、日本オリジナル楽曲ではパートを平均的にしたがりがちという事もあるのか、韓国の楽曲ではあまりパートが多いとは言えないメンバーもパートが増えるのもまた韓国楽曲と違う魅力になってる感じがします。ラップの感じもちょっと違いますし。そしてラップメインの曲は子音で終わる閉音節の多い韓国語の方が聴こえ方が気持ち良いように、こういう楽曲は母音で終わる日本語の方がしっくりきやすいように感じます。Crystal  Snowは作詞作曲にRap Monstar(RM)も参加していて、韓国曲で海外作曲家と一緒に作ってるのと同じスタンスですしね。


Aura/MONSTA X

作詞:Jooheon・ Ye-Yo!

日本語詞:ZERO

作曲:Jooheon・ Ye-Yo!

Aura

Aura

 

MONSTA XはSPOTLIGHTと迷いました。SPOTLIGHTは後で出た韓国アルバムに韓国語バージョンが収録されたパターンだったので、メンバーのジュホンが作詞作曲したこの楽曲を。割と最近本国アルバムには入らないメンバー作の曲が日本アルバムに入るパターンも増えてきてるような。しかしこんなわりとゴリゴリの曲を日本オリジナル曲にするのも珍しい感じがします。関係ないですが同じアルバムに入ってるKILLIN' MEという曲にはそこはかとないLDHの香りを感じます。MONSTA Xの楽曲は日本と韓国で制作陣があまり変わらないし、今までアメリカでリリースされたオリジナル楽曲も全て英語詞で歌っていて、2月に出る予定のアメリカオリジナルアルバムの収録曲が既存曲以外どの様になるのか気になっています。アメリカで本格的に活動する場合も日本と同様に英語で歌うのかという謎が明らかに!?(防弾は色々と参考にならないグループだと思うので)


Chain/ NCT127

作詞:MEG.ME

作曲:250・Albin Nordqvist

https://youtu.be/28XC2KRE-DE


NCT127のSMの中での楽曲的特徴として、EDMがベースだけどヒップホップ要素も(SMにしては)強めと言うのがあると思うんですが、パッチムがある韓国語と比べると日本語は切れ目がない分なんとなくラップに乗せにくい(ラップのトーンにもよるとは思うものの)感じがあり、それがKPOPらしい「ラップパート」を日本語の楽曲に持ってきた時の難しさにも繋がるのかな?と。その点この曲はラップパートの歌詞は8割くらい英語で、聴いた時の印象が韓国語のNCT127の曲を聴いた時の感触からブレが少ないように感じました。


Shining On You/GOT7

作詞:Defsoul・Mirror BOY(220VOLT)・D.ham(220VOLT)・Moon Hanmiru(220VOLT)・Samuelle Soung

作曲:Defsoul・Mirror BOY(220VOLT)・D.ham(220VOLT)・Moon Hanmiru(220VOLT)

Shining on You

Shining on You

  • GOT7
  • J-Pop
  • ¥255

 

韓国のアルバムには入らないメンバー作の曲が日本オリジナルアルバムに入るケースが増えているとMONSTA Xのところでも書きましたが、この曲もDefsoul名義でリーダーのJBが作詞作曲プロデュースしている曲ですね。GOT7はメンバーユニット楽曲も韓国と日本で組み合わせが変わったりして(日本活動に参加してないメンバーがいるというのもあるでしょうが) オリジナリティのある活動の仕方をしてる印象です。

 

#Cookie Jar/Red Velvet

作詞:MEG.ME

作曲:Efraim Faramir Sixten Fransesco Vindalf Cederqvist Leo・Mats Koray Genc・Gavin Jones・Saima Iren Mian・Ronny Vidar Svendsen

https://youtu.be/rRgTMs_bGuI


女子グループが韓国曲のカバーではなく日本オリジナル曲で日本デビューするのはかなり珍しくなってると思うのですが、レッベルはこれはオリジナルのデビュー曲でした。SMはグループやどこの国で発表するかが曲の買付の後で変わったりするらしいですが、この曲も韓国のREDイメージアルバムに入ってても違和感ない感じでした。MVに毒成分は少し軽めで歌詞の可愛いは正義とかは日本ならでは感もあり。


Sunny Side/SHINee

作詞:SHINee

作曲:Hanif Hitmanic Sabzevari・Erik Mjornell・Lars Safsund

https://youtu.be/vUl9Y0I2oPM


2017年末にメンバーが自ら命を絶つという想像もつかないような衝撃があったSHINeeがその後初めて出したアルバムにはファンへのメッセージが込められていましたが(https://realsound.jp/2018/07/post-217918.html)、この日本オリジナル楽曲も作詞がSHINeeのメンバー本人でより直球のファンへのメッセージが込められてる辺り、曲調ややり方への好みはあるかもしれませんが、日本活動への誠実さを感じざるを得なかったです。

2018は他にもKEYとテミンがそれぞれソロEPやアルバムを日本出してましたが、それぞれが本人のこだわり(KEYならデザインやビジュアルとか、テミンならダンスとか)が感じられて面白かったです。

https://youtu.be/nzEnIuvAkMY

https://youtu.be/c-yUSDd-gcw

https://youtu.be/D0OTv7ZUle4

https://youtu.be/_iEZKtuGzmY

 

Reincarnation/VIXX

作詞:SHOW for Digz, Inc. Group

作曲:Simon Janlov/MLC

YouTube

 

Last Note~消えた後の蝋燭の香り/VIXX

作詞:谷中敦/ラップ詞:RAVI(GTCK)/日本語ラップ詞:SHOW for Digz, Inc. Group

作曲:冨田恵一


冨田ラボ作曲・スカパラ谷中敦作詞というのでリリース当時一部で話題になっていた記憶が。作詞に安藤裕子も参加してたり豪華です。

VIXXのこの曲が入ったアルバムは、韓国で出た「Scentist」という調香師がコンセプトのタイトル曲の収録アルバムを、同じく「香り」をコンセプトにして日本オリジナルアルバムとして再構築したもので、日本語の日本オリジナル曲と韓国のアルバム曲が韓国語のまま混ざって入ってます。VIXXといえばコンセプトドルと言われるくらい毎回その特殊なコンセプト(そこ来たか〜という)がアイデンティティなところがあると思うので、そのやり方をそのまま継承している点が新しい感じ。再構築という意味でアルバムタイトルもタイトル曲も「Reincarnation」(輪廻転生)というのもなるほどなだし、メンバーのHyuk作曲の曲も入っている上にアルバムを通して聴くと楽曲の統一感もあるという。Depend On Meもそうでしたが、韓国の楽曲と対になるような歌詞やMV(Scentistは赤が基調だったのがReincarnationは青だったり)など、色々模索してここの地点まで来たんだなというのもあって流れを見ると味わい深いです。


Reincarnation 


Memoria/GFRIEND

作詞:Carlos K.

作曲:Carlos K.・JOE

https://youtu.be/YTWwz6R6jy0


女子グループが韓国曲のカバーではなく日本オリジナル曲で日本デビューするのは珍しいと書きましたが、GFRIENDの場合は先に韓国での代表曲の日本語バージョンを集めたEPが出て、実質のデビュー曲と言えるこのシングルは日本オリジナルというパターンでした。GFRIENDはデビュー当時から曲もコンセプトもどこか日本ぽいと言われていた事もあり、逆に日本語バージョンの方がしっくりきている曲もあるのでは?という珍しいパターンかもしれません。この曲は作詞作曲ともに日本の作家さんなんですが、GFRIENDのタイトル曲を並べて聴いてみた時にも馴染みそうだし、後で韓国アルバムに収録された韓国語バージョンも違和感なく収まってる感じがします。 GFRIENDは日本の作家さんの作った日本オリジナル曲を後で韓国版アルバムにも収録するパターンが多いみたいなんですが、2019年に出た日本オリジナルアルバムのタイトル曲Fallin' LightはMemoriaを作ったCarlos.K氏と韓国のタイトル曲を手がけているイギヨンベ(イギ&ソ・ヨンベ)との共作で、日韓のクリエイションがフュージョンという理想的な一曲と言えるかもしれません。

(2019年の曲なので今回入れてませんが)


Stop The Rain/DAY6

作詞:Young K/Sungjin/Jae/Wonpil

作曲:Shinichi Ubukata/Young K/Sungjin/Jae/Wonpil

https://youtu.be/64DtWBXjU2Y


バンド文化は日本の方が定着してジャンル的にメジャーというのもあるのか、バンド系のグループは日本に武者修行的に来たり韓国よりも「バンドっぽい」独自活動をする事が多いですが、DAY6もまさにそうで、メンバーが日本語オリジナル楽曲でも日本語・英語で作詞に参加していて、作り手の能力次第では海外活動でもこのくらいの深度で制作に関わることが出来るという例だと思いました。他のバンド系グループもそうですが、韓国ではもっとバラードやポップス寄りの曲をやってるグループが「ロックっぽい」曲をやる事も多く、特にこの曲はELLEGARDENとNothing's Carved In Stoneのギタリストである生方真一氏がプロデュースというのもあるのか、いわゆるJ-ROCKぽさが際立っている感じがします。先輩バンドのメンバーが後輩バンドのプロデュースをするというのも韓国のメジャーシーンではまだあまり見られないので、日本などのバンド文化が盛んな国でだから出来る事かもしれません。実際DAY6の日本オリジナル曲は韓国のファンからも人気があるようですよね。「If」や「Live Your Life」はもともと韓国で発表するために書いた曲だったそうですが、結局コンペで落ちたりだったのが日本側では評価が高くてそっちでリリースする事になったとか。

Unlock

Unlock


それでは、2018年の個人的日本オリジナル楽曲ベスト1の発表です!

(淡々ときたし、一昨年の事なので今年も特に盛り上がらない)

 

CALL!CALL!CALL!/SEVENTEEN

作詞:WOOZI・BUMZU・下地悠

作曲:WOOZI・BUMZU・PARK KITAE

https://youtu.be/BgR_HJ7aGDY


韓国のアイドルが日本活動をやる際に、特に「メンバーが楽曲制作に関わっている」という事を前面に出して売りにしているグループの場合は、日本の楽曲にもどの程度関わっているのか?という点で活動への真摯度が計られてしまいがちな部分もありますが、その点でもSEVENTEENのこの楽曲は本国のタイトル曲と同じウジとBUMZUの作詞作曲、同じくらいの気合を感じるパフォーマンス密度とMVの出来。加えてちゃんと「日本ならではの日本っぽい楽曲とは何か」をきちんと考えた結果のこの仕上がりなんだろうというのが聴けばわかるという事で、文句なしに2018の日本語オリジナル楽曲大賞ではないかと思いました。


2016年とほぼ同じシメになりそうですが、「日本で日本語の楽曲でパフォーマンスする」と言っても今は本当に色々なやり方がありますね。ある程度韓国で人気のあるグループの場合は日本でデビューする事が多くなっているようですが、2019にはThe BOYZのように日本オリジナルアルバムだけどほとんど韓国語か英語詞しかないアルバムをリリースするグループが出てきたりもしましたし。日本で活動すると言ってもどのくらいの人気があるのかとか(地上波のTVに出られるのかどうかとか)どの程度の深度でビジネスをするのか・出来るのかにもよるのかもしれませんが。

 

個人的には実際何語でもあんまり気にしない(日本語だったらコンサートやカラオケで歌いやすいからいいな位の感じ)ので、この先どうなっていくのか川の流れを観察する感じで日本語オリジナル楽曲をウォッチングしていきたいと思っております。

 

【ize訳】2019年、米国でのK−POP

【ize訳】2019年、米国でのK−POP


2019.12.13

http://m.ize.co.kr/view.html?no=2019121307397260885


2019年は、K-POPがどんな成果を成し遂げたのか簡単に言うことができる年だ。ビルボードの2019年の年間チャートは良い整理になるだろう。ビルボードのメインチャートを1年単位で集計した結果だからだ。BTSは、「アーティスト100」26位。グループだけで見ると4位だ。Queen、Imagine Dragons、ビートルズの次だ。ロックソングチャート上位に1年中住んでいるパニック!アット・ザ・ディスコが7位だ。「ビルボード200」は、51位と118位ふたつを記録した。アルバム販売量だけ見れば「Map Of The Soul:PERSONA」が6位だ。アーティスト別に合算すると3位Queenテイラー・スウィフトの次である。


数字は多すぎて全部に対処することができない。しかし、数字が2019年のK-POPを代弁しているわけではない。人々はすでに大型TV番組デビュー、成功したツアー、ビルボードチャート進入、記録的なYouTubeの再生回数など、有名な授賞式での受賞記録が数年に渡って積もって大きなレベルで繰り返されることを見た。そして今年は、すべてのことが歴史の中で最も巨大だ。しかし、2019年が過去と何が違うのかと問われれば、答えは「歴代最高」にとどまらない。もちろん、その成功は必要だった。ラテン音楽に「Despacito」が必要だったように、今のK-POPにはBTSがある。「Despacito」の歴史的な「ホット100」16週1位は、ルイス・フォンシとDaddy Yankeeだけではなく、他のラテンアーティストにも機会を開いた。主要なラテンポップの新曲がApple MusicとSpotifyの新曲プレイリストに上がって、より多くの大衆に近づいていく。さらに、スペインのミュージシャンにも機会が生じる。簡単に言えばラテンはポップ、ヒップホップ、R&Bの次に確実なメジャージャンルになった。K-POPの現在の状況は「Despacito」とBTSを比較するのと似ている。要するに、ラテンポップに並ぶことはないが産業的に有意な存在という事だ。


ゆえに米国市場は、自らK-POPを再現したがる。SuperMはSMエンターテイメントのスーパーグループという点で話題になったが、ビジネス的には米国のキャピトルがこの概念を提案した結果だということが重要である。K-POPアーティストは米国や他の国ではなく韓国でしか見つけることができず、それが独自の練習生システムに基づいている場合、キャピトルはほぼ唯一のアプローチ方法を発見したのだ。他のレーベルも似たような試みをすることができるが、最も便利で迅速なオプションはすでにキャピトルが持っていった。


K-POPの位置は、逆説的に否定的なニュースによって照明が当たっている。過去にK-POPボーイバンドが英米圏で成功するのは難しいと予想していた最大の理由は、いわゆる「男性性」の問題を超えることができないと見ていたからである。K-POPが男性性の固定観念に挑戦するという認識は自然だ。ところが、ある人たちはそれを「脅威」として受け止め始めた。米国ではこれをエルビス・プレスリーが50年代の保守的なアメリカで退廃的だと攻撃受けたものと比較する人もいる。もう少し最近の話では、2000年前後に韓国で日本の大衆文化に対する論議が起こったものと似ている。「倭色論議」という単語がついたりもしていたが、論議は日本の大衆文化の輸入が許可されて以来、しばらく存在したのち今は消えた。日本の大衆文化が韓国に及ぼす影響力がわずかだからだ。市場に最初から存在しないか、競争力を失っているとすれば誰もそれを「脅威」だと思わない。


K-POPは、現在の音楽の趣向の有意な選択の一つとなった。ラテンポップがもはや「マカレナ」ではないように、K-POPも「江南スタイル」ではない。事実、これは韓国文化の多くの部分が2019年に達成した成果でもある。最も近いのは韓国料理である。「チメク」と「餃子」では説明できない。韓国人でさえ、その味が気になる米国の韓国料理レストランで唯一の韓国人客として座っているときに感じる感情は、いわゆる「국뽕グクポン」より複雑だが落ち着いている。数字が重要ではないからだ。


文ソソンドク(大衆音楽評論家)

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국뽕=盲目的な愛国主義者。국(国)+히로뽕(ヒロポン覚醒剤の一種)

 

色々言われつつもSuperMのアルバムはまだビルボード200以内に入っていますが(アメリカでのショーケースツアーがまだ続いてて、チケットバンドルの影響もあると思いますが)キャピトル提案ではあるけど多分キャピトル自体はプロモーションは手伝っても制作にはお金は出してないんじゃないか(普通はアメリカでアルバム出すときはレコード会社がお金を出すんですが)という話もあり、色々今後の流れは気になる。

「(今の)日本の大衆文化が韓国に及ぼす影響力がわずかだからだ」というの自分はそう思ってなくて、音楽やエンタメではそうかもしれませんが例えば二次元界隈だともう完全に日本文化が入り込んでしまっていて一体化してるレベルのキャラクターや作品も多く(クレヨンしんちゃんとかセーラームーンとかもはや数えきれない)、アメリカでのマリオやポケモンレベルまで浸透すると何も言われなくなるんだろうと思います。昔サウスパークで日本のなんとかポコモンというアニメがサウスパークでめちゃくちゃ流行るけど実はサブリミナルが施されてて子供たちを洗脳してたってネタがあった(日本では放送されず。でもエミー賞にノミネートされたという笑)らしいけど今はネタにもならない...BLネタは数年前にありましたが。男性性の壁というのもすでにこの20年でアニメや漫画がマニアを超えてアメリカ市場に溶け込んでる事を考えると、特に若年層ではその辺りの価値観の変容が起こってても全然おかしくないと思います。実際KPOPオタとOTAKU部分的にかぶってるし(アニメ的なFAもかなり多い)Kドルにアニメキャラを重ねる層はオタク以外でもいるみたいですし。この辺り二次オタではないし女性文化にさほど関心がない人たちはいちばん気づきにくいポイントであるかもしれないと思ってます。だから、何かしら特別視されなくなった瞬間からが真の「市場に入りこんだ時」ではなのかもと思ったりもしました。