サンダーエイジ

韓国のアイドルとか音楽についての自分が後で読み返ししたい記事のふんわり訳と覚書。

2016 輝け!DJ泡沫(誰)が選ぶKドル日本オリジナル曲大賞

iKONレコ大最優秀新人賞受賞おめでとう。BIGBANGのMY HEAVEN以来7年ぶりらしいです。


さて2016もいよいよ終わりですが、今年度の個人的ベストを発表されるブログも多いのだろうか?という事で、このブログでも今年の個人的ベストを発表してみたいと思います。


普通にベストを考えてみたところいっぱいありすぎて決まらなかった&あまりにも忌み嫌われがちな日本曲が不憫という気持ちから、いっそ今年は日本オリジナル曲から好きだった曲を選んでみました。誰得なんだこれ。
 
・2016年1月〜2016年12月の間に日本で発売された日本オリジナル曲
・後に韓国語バージョンがリリースされたものも含む
・シングル曲、アルバム収録曲は問わない


ベスト1以外は順不同になっております。

(公式動画がない曲は公式じゃないやつ貼ってしまっていますがご容赦ください)
 


JUST GO / iKON

作曲:B.I. ・Uk Jin Kang・Seung Chuhan 作詞:B.I. ・Ken Kato 「WELCOME BACK - COMPLETE EDITION 」収録
 
DISCOGRAPHY|iKON OFFICIAL WEBSITE


日本版アルバム「WELCOME BACK」のコンプリートバージョン(YGの日本アルバムにしかない概念...)のみに収録されているB.I.作曲のR&Bソングです。アルバムには韓国語バージョンも収録されていて日本オリジナルと呼べるか微妙ですが、韓国ではまだリリースされてないので日本オリジナルとしておきます。 この曲最大の特長と良いところは、ラッパーのBOBBYがラップをしていなくてボーカルをとっている事とユニョンの声質がはっきりわかるくらいにきちんとした長いパートがあることです! (正直この歌で初めてユニョンってこういう声なんだというのがわかりました笑)

BOBBY本人はラップだけではなく普通に歌もやりたいそうですが(WINで披露していたソロ曲probably perfectではラップしてませんでしたし)SMTMでのイメージとYGのヒップホップ系グループというイメージが強すぎて逆になかなか本国ではリリースするのは冒険なのかもしれません。韓国内では特に新人はどうしてもラッパーはラップパートのみ、特に歌のうまいリードボーカルが歌配分が多めになる傾向があるので、全てのパート配分をなるべく均等にしたがる日本曲ならではの事ではないかと思います。本国曲ではどうしてもジナンとのジュネの声が目立ちますが、この曲では割と抑えてるように聴こえるのも珍しいと思います。 iKONはどうしてもヒップホップ系のイメージが強いですが、個人的にはB.I.の作る曲に関してはCLIMAXやEMPTYのようなメロウでR&B寄りの曲の方が本質に近いのかもと思っていたりします。


COMING OVER/EXO

作曲:Andreas Oberg・Sean Alexander・Darren Smith・Drew Ryan Scott

作詞:Amon Hayashi for Digz Inc.
日本セカンドシングル「Coming Over」収録

 

 

EXOの曲だとディスコっぽい曲が好みのものが多いので、LOVE ME LIGHT〜LUCKY ONEからの流れを組むこの曲かなり好きです。LUCKY ONEはLDN NOISEが制作したからかハウスっぽさが強めですがこちらはギターサウンドが強くて印象に残ってかっこいいです。こういう楽器のサウンドが強い曲はTVとか動画で見るよりもライブで見ると何倍も良くて盛り上がりますよね。ロックの強い国ならではかもしれませんが、日本オリジナル曲はそういう「動画よりも生のライブに強い」曲が多い気がします。 前にインタビューを訳したアンドレアス・オベルグ氏が作曲に参加しています。 (ギターもオベルグ氏)

ちなみにこれのジャケ写と3代目JSBの宣材と並べて遠くから見ると一瞬どっちがどっちかわからない。

 

愛をちょうだい/AOA
作曲:HAN SEUNG HOON, 作詞:HAN SEUNG HOON・LEE SANG HO,・OHRN ANDREAS,・WAHLE CHRIS ・HASEGAWA・anan
日本4thシングル「愛をちょうだい」収録

 


 
個人的に今年いちばん「な、なんだこれは...!!」と衝撃を受けたコラボです。以前INFINITEの日本アルバムにベッキー♪♯が参加した時もなんだこれは!!と思いましたがそれに近い。 作曲はFTからSF9までFNCアーティストほぼ全員の本国アルバムに関わってるハンスンフン氏(FNCの社長の弟さん=副社長なのかな?)なんですが、TMRが濃すぎてfeat.AOAみたいに気がしないでもなく。改めてT.M.Revolutionのつょさを目の当たりにしました。しかしこれ、めちゃくちゃ疾走感があって単純にライブできいたらかなり盛り上がりそう。

 

余談ですが日本のアーティストとのコラボ、KPOPファン的にはなんでするんだよ〜って思いがちなんですが(急にファンタジー感薄れるし)基本的に日本で出すものって「元からいる日本のファン向け」ってわけではなくてもっと広い「日本の新たなリスナー向け」って考えると、コラボしたアーティストきっかけで聴く人がいたり番組やラジオで流れたりもするだろうからしない理由もないなとも思います。 (SMだって昔はV6とかモエヤンとコラボした曲出してたし...安室奈美恵とアフタースクールとか...)


まあKPOPファンとしてはKPOPが好きなわけなので、「もっとKPOPっぽい良さを万人に知らしめるような曲で活動してくれ」と思うんですが、TVも地上波はあまり出られない状況ではKPOPぽさに惹きつけられる層はSNSとか動画掘ったりとかでもうとっくにファンになってる感じもします。



君のせいで/SHINee
作詞:いしわたり淳治

作曲:CHRIS MEYER・FUNK UCHINO・TOSHIYA HOSOKAWA
日本13thシングル「君のせいで」収録
 


最初聴いた時はなんだか懐かしい感じだけど結構好きくらいだったんですが、後でなんとなく90年代のJPOPミリオンヒットメドレーを聴いていた時にふと思いました。この曲は90年代JPOP回帰の曲なのでは...?と。聴き直してみると、特にビーイング系やZOO、ドリカムの「決戦は金曜日」が出た90年代前半の音楽を彷彿とさせる曲とアレンジのように聴こえました。 この後韓国でカムバした1of1はニュージャックスイングで90年代回帰と謳っていて結構モロにアメリカのNJSっぽかったですが、「君のせいで」はAaron HallやNEW EDITIONの「If it isn't love」なんかにもっとJPOPというか歌謡曲っぽい要素を足した感じ。ニュージャックスイングがアメリカで登場したのが80年代後半でこの影響を受けたJPOPが90年代前半にはたくさん出ており、まさにZOOとかSPEEDとかDA PUMPとかはJ-NJSと呼ばれたりもしてたみたいだし。それを考えると、やはりこの曲はSHINeeなりのJ-NJS的回帰の曲なのかなと思いました。そういえば上下ウォッシュデニムの衣装も90年代っぽいです。 あと全然関係ないんですが、SUPERCARが好きだったのでいしわたり氏が絡んでる曲が気になってしまいます。


KPOPのアーティストがJPOPをやる事についてはなんでわざわざっていう批判もありますけど、個人的にはKPOPって欧米音楽だけでなく絶対にJPOPの影響も受けてきたと思っているので(勿論JPOPもユーロミュージックの影響を受けてますが。餅ゴリ社長なども中学生の時に海賊盤のテープで初めてMyRevolutionを聴いて衝撃を受けて以来小室哲哉に影響を受けたと言ってますし)本国ではあんなに欧米っぽい曲やるんだから日本で活動するなら別にJPOPをやってもいいのでは?という考えに最近シフトしてきていまして。洋楽もJPOPも好きで聴いてきたので、むしろJPOPだけ特別にナメてんじゃねーぞ!?という気持ちが年々強くなっております。


余談ですが(2回目)CDジャケのデザインについて、韓国だとそもそものファンしか買わないからジャケに写真が何もない小洒落たデザインとかでもいいんでしょうけど、じゃあ逆に日本で自分がまだよく知らない海外のアイドルのCD買おうかなっていう時に素敵デザインでもジャケットにメンバーの写真が全く載ってないCD買うのか?って言われると微妙...だってブックレット見ながらメンバーの顔と名前とか覚えたいですし。デザイン重視のCD出せるのはその国ですでにお茶の間レベルで顔が売れてる人の特権なのかもしれない(写真使ってもおしゃれになるのが一番いいんですけど...) そういう意味でこのCDジャケットはSHINeeいないから珍しいと思ったんですけど、次に出た「Winter Wonderland」は遠目で見たらセクゾかな?というようなど直球アイドルジャケ写に戻っていたのでやっぱりそういう事なのかな...とちょっと思いました。

 


MY ZONE / Block.b

作詞:AKLO・ZICO 作曲:ZICO・Dirty Orange・Mitsu.J
日本1stアルバム「MY ZONE」収録

 


 
この曲はZICOが制作に参加しているのでワサングチァングしてるブロビっぽさは失わず、LDH系の作曲家さんと共作してる事で本国とは違う味も出ているという自作系ドルにとっては理想に近い形かも。個人的に何と言ってもリリックがリアルな日本のラッパーとの共作というのが大きいと思います。しかもみんな知ってるような大物AKLO! LINE動画でも言っていましたが、日韓のラッパー同士の共作でもあるという。

 

曲自体も音が少なめというか、ブロビのアップテンポな曲にしては楽器とボーカルだけが目立つ割とシンプルなアレンジでちょっと目新しい感じがしました。

 


Moonlight Swing / ジョンヒョン from CNBLUE
作詞:LEE JONG HYUN,miwa* 作曲:Josef Melin,Christofer Erixon
日本1stアルバム「SPARKLING NIGHT」収録

 


CNBLUEのギター担当のジョンヒョンのソロアルバムのタイトル曲です。 CNの音楽からはだいぶ離れたスイングジャズ調の曲なんですが、ジョンヒョンの甘いボーカルの雰囲気にはあっている思います。CNはヨンファとジョンヒョンのツインボーカル(ジョンシンがラップをやったりもしますが)とはいえヨンファがメインのため本国の活動ではジョンヒョンの声はあまり目立ちませんが、個人的にはジョンヒョンの声の方が好みなので、色々なタイプのボーカルが聴けるのがよかったです。CNのライブに行った感じでは日本のファン層は割と大人な感じですし、大人っぽいイメージでもいいのかも(ファンドムでの評判とか全然知らないで言ってますけども)


ちなみに本人がこれを選んだ理由は「自分には絶対かけない曲だと思ったから」だそうで、これまた音楽ジャンルの広い日本リリースだからこそできた冒険なのかなとも思います。韓国の音楽業界はクォリティの高いアーティストは凝縮されてるとは思いますが、音楽のジャンルは今でも割と狭くて流行ジャンルに柔軟性はあまりない感じはします。チャートインするのがアイドルかヒップホップかR&Bボーカルかバラード、あとはOSTとかTVでの企画ものという感じで、これは10年くらいジャンル的にあまり大きな変動はない感じがします。だから一回ハマると追いかけやすいのですが。 その点では日本はKPOPというジャンルが数年で定着したように、音楽シーンの形成にすごく柔軟性があって受け入れる器やリスナーが多いように感じます。チャートにアイドルが多いのは同じですが、ロックもKPOPもヒップホップもアニソンもありますし、アイドルがヒップホップやロックだけでなくテクノやメタルをやったりもするわけで。

(逆に玉石混交の選択肢が多すぎて、その中から自分に合うクオリティと嗜好の音楽を探し出すのが大変なのかもしれません...)
 
作詞にはジョンヒョン本人が参加しています。ジョンヒョンは幼少時日本に住んでいたことがあるそうですが、ZICOもですけどある程度日本語がわかる人の場合どういう感じで制作に参加してるのかちょっと気になります。
 
 
モッポンゴヤ / B1A4

作詞:JINYOUNG,MEG.ME

作曲:JINYOUNG
日本3rdアルバム「3」収録

 

 

B1A4の日本活動が凄いなと思うのが、シングルB面やシングル以外のアルバム収録曲にジニョンの作った曲を日本オリジナルで収録している事です。韓国の活動ではBABY I'm sorry 以降地道にセルフプロデュース曲を増やして現在ではタイトル曲は全て自分たちでやるようになりましたが、これと同じ流れを日本でもやっているという事だと思います。 ファーストアルバムでは日本オリジナルのジニョンの作った曲は一曲でしたが(Beautiful Lie)ポニキャンからの最後のアルバム「3」では「道」の日本語版以外(これもヨジャチングでお馴染みのイキヨンベ作で名曲です)は全てジニョンとCNUが製作に参加、ラップメイキングはBAROです。アルバムにも収録されていますが、イゲムス以降に出た日本オリジナルシングル「白いキセキ」「HAPPY DAYS」もジニョンの作です。セルフプロデュースのアイドルは年々増えていますが、本国と同じような事を日本オリジナル曲でもする事は実際なかなか難しいことなんじゃないかなと思います。そういう点と本人たちのキャラクターもあって「誠実さ」を感じるアルバムでした。


「モッポンゴヤ」はKPOPとかJPOP とかいう枠を超えてジニョンの曲の持つ郷愁とか切なさというのがとても感じられる素敵な曲だと思います。今年からレコード会社がポニーキャニオンからユニバーサルへ移籍したようですが、今後も同じようなリリース方式だったら良いなと思います。

 


それでは2016年の個人的日本オリジナル楽曲ベスト1の発表です!

(淡々ときたので特に盛り上がらない)
 
KINGDOME / B.A.P
作詞:PARK SOO SUK・INWOO・SLEEPY・SHOKO FUJIBAYASHI

作曲:PARK SOO SUK・INWOO・SLEEPY
日本1stアルバム「Best.Absolute.Perfect」収録

 


 
初の日本オリジナル楽曲ですが、これ超かっこいいです。何と言っても日本語の発音がとてもクリアーで良い。特にラップ部分が全部聴き取れる...!! (笑)Kドルで本格的なラップが入ってる曲では現状1番なのでは...? バンヨングクは参加してないのですが、ヨングクが一緒に曲を作ったりしているSLEEPYが参加してます。

(ヨングクがフューチャリングで参加しているGiriboyプロデュースのBODY LOTIONは今年のベスト曲リストに入れたいです)


この曲は製作陣が本国とほぼ同じで本国のカムバに使ってもいいくらいの曲で後に出た本国フルアルバム「Le Noir」にも韓国語ver.が収録されていますが、これを日本オリジナルで出したというのが大きいと思います。同じく日本アルバムに入っていた「BACK IN TIME」もよかったです。これは三浦大知などに曲を書いているUTA氏の作品ですが(防弾少年団のFOR YOUにも参加されてました)B.A.Pっぽい感じがした。といいつつBABYでもなく、すすめられて聴いたLe Noirがあまりにも良くて最近急にB.A.Pを聴き返してるので、B.A.Pっぽさというのが理解できてるのかは謎なんですけど...

 


以上でした。 日本での活動というとどうしてもライブや接触イベントのやり方についての方が言われがちですが、今回個人的に振り返ってみて基本である楽曲の製作のやり方も色々あるんだなと思いました。
 
2016は個人的にはショックデカイすぎ案件が色々起こりましたが、2017年も素敵な曲やパフォーマンスがたくさん楽しめたらいいなと思います。
とりあえず初詣のお賽銭ははずもう...
 
 
 

【ize訳】SMエンターテイメントの1年

【ize訳】SMエンターテイメントの1年
2016.12.28

 

http://m.ize.co.kr/view.html?no=2016122510347221570

 

2016年SMエンターテインメント(以下、SM)は、グループEXO、SHINee、REDVELVET、NCT U、NCT 127、NCT DREAM、S.E.Sなどを活動させた。 テヨンとEXO-CBXのようなソロとユニットもあった。 そして今年の2月3日から「SMステーション」を通じて1週間に1曲ずつデジタル音源を発表している。 この中にはMBC[無限挑戦]を通じて会ったユ・ジェソクとEXOの「Dancing King」ようなイベント性の音源もあったが、少女時代のメンバーユリとソヒョンの「Secret」のように振り付けとセットを作ってミュージックビデオまで製作した場合もある。 他の曲も制作費の違いはあれ、すべてミュージックビデオを作った。 普通の会社なら所属歌手のタイトル曲でやりそうなことを、SMは元々していたかのように1週間に1回やってみせた。

 

ヒョヨンの「Mystery」は今SMが何をしているのかを示している。 アルバムを出さない曲に振付とミュージック・ビデオをつけて、何週間か放送活動まで行う。 1週間に1つずつ出るデジタル音源に対するこのような投資は、非効率的なこともある。 しかし、強いスタイリングと振り付けを盛り込んだ「Mystery」はダンスバトル番組Mnet[ヒットザステージ]でヒョヨンが見せてくれたカリスマ的なダンサーのイメージを持っていくことができるはずだ。 少女時代のメンバーのうち、個人活動が多くない方であるヒョヨンには新しいキャラクターを付与し、少女時代のコンサートでも「Mystery」を披露することができる。 目先の損得計算では損害が出る恐れがあるが、代わりに新たな領域を得ることができる。 それが成功しようと失敗に終わろうと、この1年間のSMは着実にこの方向に動いた。


目新しいことではない。 SMはH.O.T.が成功した後は神話とS.E.Sをすぐにデビューさせ、東方神起の成功以降はSUPER JUNIOR、SHINee、少女時代、f(x)が相次いでデビューした。 その後はこれらのグループのメンバーうを基にして手におえないほど多くのソロとユニットを作った。 単一チームやコンテンツなら、SMがいつも1番をとることはできない。 しかし、SMは人材と資本への持続的な投資でライバルたちの間を勝ち抜いてきた。 ただ、変わったのは投資の方向だ。 東方神起以降、SHINeeをデビューさせたような事は新しいグループをひとつ作ることだ。 一方、SMステーションは音源流通が可能なプラットフォームである。 NCTはそれぞれ違うグループたちを結ぶ一つのブランドだ。 それだけより多い人材と資本が投入され、収益構造も変わる。 SMステーションが成功すれば、SMはすべての所属歌手にソロの曲を歌わせる事が可能であり、すでにSMステーションに参加したユン・ミレのように他の会社のミュージシャンたちまで集めて来ることができる。 NCTが東方神起やEXOのように成功すれば、SM所属の数々の練習生たちがすべてNCTのブランドで全世界で活動することもできる。

 

昨年と今年YGエンターテイメント(以下YG)を取り巻く状況の変化は、今SMがなぜこのような選択をすべきかの理由だ。アイドル的な要素に全体的なトレンドを結合させるというのはYGならではの競争力だった。BIGBANGと2NE1が代替不可能な存在であった重要な理由だ。しかし、今ではYG以外にも防弾少年団やZICOがいる。iKONとWINNERがデビューの頃の期待ほど成功していないのは国内の活動を多くしていなかったことが大きいが、彼らに期待することを他の会社でも行うことができるという点も重要であった。そして今、多くの企業はSMのノウハウを分析してSMのようにコンテンツを作る。 SMはまだ1等であるが、その格差は過去よりもかなり減少した。むしろ圧倒的な差があるのは、資本の規模と人材のノウハウだ。他の世界中のいくつかのエンターテイメント会社も今SMのように多くのチームを絶えず活動させながら一定レベルの完成度を維持し、その間に1週間ずつ新しい音源を発表することはできない。その結果、ゲームのルールは変わる。 NCT所属のグループのいずれかが成功した場合、他のグループも成功確率は上がる。逆に、多くのグループの中のいずれかが成功する確率も高くなる。


今年初め、SMのイ・スマン、総括プロデューサーはSMステーションとNCTをすると公言しており、SMはこれらを1年間やった。 それだけ気力が抜けたか、むしろもっと力がついたかは彼らだけが知っているはずだ。 限界がある人材と資本をどれだけ投入できるかも未知数だ。 しかし、選択をしないこともできない。 競争者たちが追いついてきている。 やっていたことをそのまま行うのか、崩れるのかふんばるのか、それとも新たな収益構造を見出すだろうか。 そしてSMは、ひとまず未来に対するビジョンに対して過去20年余りの間に稼いでおいたものを投資する事にした。 持ちこたえるか超えないか。 どちらにしろ、2017年ごろにはわかることだろう。

 

 

文|カンミョンソク 

 

【ize訳】SMは宗教になるか?

【ize訳】SMは宗教になるか?
2016.02.03

 

http://m.ize.co.kr/view.html?no=2016013119037244580

 

空と砂漠だけがあるところに白い服を着た子供が黒い服の女性に出会う。 子供は女性に青、黄、赤のクレヨンをもらうと絵を描いて、蛇に会う。 話のどこにも国籍についたヒントはなく、キャラクターと関連された小品は基本的な色だけで構成された。 まるでどこかの宗教の神話のように、単純で象徴的なものだけで構成された話。この27日、SMエンターテインメント(以下、SM)の総括プロデューサーイ・スマンがデビューを発表した新人のボーイズグループNCT(Neo Culture Technology)の誕生を知らせた「The Origin」の内容だ。 そしてこれはSMの新しい「起源」のようにも見える。

 

EXOメンバーであったルハンの脱退当時izeで言及したように、SMはますますメンバー数の多いグループを構成し、脱退によるリスクを減らしていった。 メンバーが5人だったH.O.T.とは違い9人の少女時代、10人を超えるスーパージュニアやEXOはメンバーが脱退しても致命的な打撃は受けなかった。 東方神起とf(x)が5人から2人と4人になった後もカムバックに成功したように、リスク管理能力も良くなった。 そしてイ・スマンプロデューサーはNCTが「新しいメンバーの迎え入れが自由で制限のない新しい概念のグループ」と「世界都市をベースにしたそれぞれのチームが順次デビュー」すると話した。 メンバーが脱退しても新しいメンバーの迎え入れが難しくなく、同じ曲とパフォーマンスを他国の他のメンバーたちが同様に消化していく。 ゆえに「The Origin」と「Synchronization of your dreams」は一つのグループの始まりを知らせるティーザー映像ではなく、各国のNCTが共有する「誕生説話」だ。 誰がメンバーになっても彼らはSMが作ったストーリーであり、コンセプトの一部だ。


日本のガールズグループAKB48もNCTのように一つのチーム名のもと、地域ごとに異なるメンバーらが活動する。 しかし、SMは「The Origin」と「Synchronization of your dreams」を通じてNCTのストーリーのキャラクターと現実のメンバーを分離した。 これはAKB48よりむしろMARVELスタジオのスーパーヒーロー映画を連想させる。 俳優が誰でもスパイダーマンシリーズは継続させることができる。 SMももはやNCTのストーリーを、どの国の誰でも続けさせることができる。 同時にこれは新しい宗教組織の誕生のように見える。 一つの話、一つの歌、一つのパフォーマンスが国ごとに異なるメンバーと言語で売られる。 「The Origin」がSMの新しい経典なら、NCTは国ごとにそれを布教する支部のようなものだ。


イ・スマンプロデューサーがNCTと一緒に発表した事業計画によると、ファンたちはSMの独自のSNS('Vyrl')とインターネット個人放送(MCN)を通じてSM所属の芸能人の近況を知ることができる。 また、好きなアイドルを通じて接するようになったSMスタイルの新曲を毎週聴けるし、(「Station」)、SMの歌をモバイルに取り込む(「Everysing」)のはもちろん、ミュージックビデオを任意で編集(「Everyshot」)し、自分をその映像に出演させることもできる。 自分が好きなアイドルに直接会えなくても他の方式で体験して、歌を歌いながら、仮想ではあるが共演する想像も実現することができる。 宗教が教理を歌と説教や彫像に伝播するように、SMはファンが好きなアイドルのすべてをより簡単に接することができるようにしつつもより強烈な体験へ誘導する。 言語とメッセージに大きく影響を受けないEDMはレーベル(「ScreaM Records」)とフェスティバルなどを基盤にSMの企画を伝播する重要な手段になるだろう。 そしてモバイルゲーム(「Rookies Entertainment」)を通じてファンが自分が好きなSMの練習生をプロデュースするように誘導する。 支持するメンバーが人気を得ればNCTのメンバーになることもある。 ファン(神道)の声援で練習生(下部組織)がNCT(上部組織)の一員になってSMのストーリー(経典)を演技する人物になる過程。SMは彼らの世界の中でファンが望むことを共に実現しようと努力する。 その間のグループのアイデンティティは誰がメンバーになるかではなく、SMのストーリーとコンセプトから始まっている。 SMはコンテンツと収益モデルを結合し、彼らがアイドルの創造主であることを自然にさらけ出させる方式を試みる。

 

当然、SMが本当に宗教になったという意味ではない。 SMがNCTのやり方で今のようにファンの熱狂を導き出せるかどうかはまだ確認できない。 ただ、H.O.T.を通じて10代の少女の熱狂を引き出した時から、SMはいつも幅広い大衆の支持よりもファンダムの熱狂を選択してきた。 これはSMが音楽市場の変化と関係なく彼らだけの市場を作っていく方法であり、EXOはその市場に合わせてグループを企画した。 そしてNCTに至っては、全世界でSMだけの市場を作っていく方法を見つける。 全世界でSMのアイドルに熱狂するファンを探し、彼らにメンバー個々人ではなくSMの企画そのものを好きに作らせる方法。それで、新しい市場を探し、組織のリスクを減らして会社を永続させるように作る方法は結局、「The Origin」のように製作するグループに神話を作ってくれるのだった。 その結果、ファンにまるで宗教を体験するような環境を提示する。 極めて市場論理を反映したような選択が、皮肉な事に最もその反対側にいるような世界と似たようになるという結論。大衆文化はそんな風に資本と結合して21世紀の宗教同然の存在になる。 ゆえにイ・スマンプロデューサーが過去SMを「国家」、ファンを「国民」と宣言したのはもうこれ以上は一つのイベントにしか見えない。 もしかしたら本当に、イ・スマンプロデューサーはソウルにあるSM本社を全世界のすべてのSMファンの聖地にしたいのではないだろうか。


文|カンミョンソク
校正|キムヨンジン

 

【idology訳】ラップモンスターのミックステープ vs SUGAのミックステープ

【idology訳】ラップモンスターのミックステープ vs SUGAのミックステープ


by 박희아 on 2016/12/04

 

http://idology.kr/8078

 

防弾少年団から3人のメンバーがミックステープを発表した。 そのうち2人のメンバーはなんと10トラックを出した。 いくら既存のビートを活用しているといっても、これは容易でないことだ。 通常空白期間がほとんどなく活動に邁進しなければならないアイドルグループの立場では、アルバム1枚分に匹敵するトラック数を満たすことが楽であるはずがない。 しかもそこにはアイドルなら「むやみに」口にしてはならないとされる下品な言葉もまた、ひっきりなしに登場する。 精製過程をほとんど通さないように見える歴史もそのまま盛り込まれている。 一例として、過去に犯した恥ずべき行動を反省し、これを「黒歴史」と称している姿(ラップモンスターの『RM』の中の『声』)、「お金が一番」と話す世俗的な態度(SUGAの『Agust D』の中の『チリサルサパル(724248)』)のようなものは確かに大衆が普遍的に認識する「アイドリッシュ」とは程遠い。 

 

アイドルの立場でミックステープというツール自体は商業性を裏切った選択だ。 ファンドムがある程度形成されているため、無料配布を前提とするミックステープよりはソロ音源やアルバムを発表する方が得だ。 非商業的という前提の下で許容される「表現の自由」もまた、万が一にもわきまえていないという話題を誘発しかねないという点でむしろ危険要素だ。 それにもかかわらずミックステープという形を取った理由、それも1曲や2曲ではなく10曲ずつ作った理由は何だろうか。 

 

新たな成長リファレンス

 

2つのミックステープの主人公、防弾少年団のラップモンスターとSUGA(ここでは防弾少年団内のふたりを比較しているため、Agust Dの代わりにSUGAという芸名を使用する)の間には共通点がある。 2人ともグループが結成される前からひとりで音楽を作って活動した経験があるメンバーたちということだ。だが、満足すべき成果を出す前にアイドルグループでデビューしたために、それ以来整理されていなかった過去の自我が残っていた。 結局、この2つのミックステープに盛り込まれているのは、アイドルとラッパーというふたつのアイデンティティを行き来する過程で始まった苦悩の跡だ。 デビュー前後に変わった自分の姿を歌うこともあるが、防弾少年団アイデンティティが「ヒップホップアイドル」でありトレンディーな「ポップスター」であり、「アイドルスター」に変わる過程の中で、2人のメンバーが感じた感情が赤裸々に描かれているというのも興味深いところだ。


事実上、これはアイドルというジャンルと正反対に置かれたヒップホップというキーワードが重要に結合され始めた2010年代を説明することでもある。 「ヒップホップ」というジャンルがアイドル市場に登場した新しいレベルの成長リファレンスであることを象徴している。 アイドルを見下していた自分と現在トップクラスのアイドルになっていく過程に置かれた自分を比べて絶えず悩んできたという歴史が、実力的にまた内面的に成長していくというリファレンスとして記録されているところだ。 細工された宝石のように扱われてきたアイドルキャリアが、逆に傷が多いほどプロフェッショナルだという逆説的特殊性を持ったジャンルであるヒップホップと出会って起こった面白い現象である。 

 

オリジナリティ vs リアリティ

 

ラップモンスターとSUGAはそれぞれミックステープ『RM』と『Agust D』を通じて、自分たちが数年間押さえつけてきた音楽的、多少狭く言えばジャンル的欲求を表出している。 そして、2人はこの過程でまったく違う志向を見せてくれる。 ひとりは自分のアイデアル・タイプ(理想の形)を形象化した。 もうひとりはこれまで背負っていた事をすべて掃除するという誓いが伺えるハードコア路線を選んだ。 アイドルという枠の外に出てくる2人のスタイルが全く違う。

 

差異を最も明確に説明できる単語は「オリジナリティ(originality)」と「リアリティ(reality)」だ。 この違いはトラック構成で優先的に明らかになる。 ラップモンスターは計11個のトラックのうち8個のトラックにおいてすでに知られた海外有名ラッパー、DJのビートを活用した。 J.Cole、Drake、J. Dilla、Big K.R.I.T.、Major Lazerなど、お馴染みのミュージシャンたちが彼のミックステープを埋め尽くしている。 これに先立ってラップモンスターは自ら欧米のヒップホップに対する渇望が強いという事実を数回示してきたところである。 したがってこれはある程度予測可能な選択だった。 彼が防弾少年団のアルバムでフロウタイプやディクションを通じて具現しようと努力した本土(アメリカ)趣向が、ミックステープに明確に盛り込まれている。 自ら長い間オリジナリティを踏襲するため地道に練習してきたという点がここから分かるが、まずは韓国語と英語が混用されることから来るぎこちなさが全く感じられない。 トラックとラッピングがばらばらになるような異質感もほとんどない。 『声』のように彼は見慣れた情緒を自分のものにして再生産することができる。 おかげで、単純なラッピングを施されているだけで洗練されたムードが形成される。 『God Rap』ではラッピングにいくつかのサウンド・エフェクトを追加してトラックの空間感を拡張するのに、細心を払った演出が魅力的だ。 


一方、SUGAは自分の活動半径を反映して最大の臨場感を実現しようと努力する。 一種の「リアリティ」を追求しているのだろう。 ラップモンスターが選んだトラックが韓国的な情緒でややぼんやりしているという印象を漂わせているとしたら、SUGAのトラックがグイグイ引きつけるようなスタイルであるのはそのためだ。 防弾少年団のアルバムでも彼は自分が大邱で生まれ、そこで音楽を始めたという点などを何度も歌詞に表している。 生活基盤を自分のアイデンティティと同一視する態度を示して、このようなマインドを立証するようにすべてのトラックで自身を含め韓国内の作曲家やDJなどが作ったソースを使用した。 (例外としてジェームズ・ブラウンの『It's Man's Man's Man's World』をサンプリングした『Intro:DT sugA』があるが、これはいわゆる「ウェヒプ(欧米のヒップホップ)」のオリジナリティを増すために入れたものというよりは、激しい情緒を沸き立たせるためのサウンドソースに近い)過去韓国のラッパーたちが駆使していた粗悪なサウンドと類似した雰囲気を感じるのも、このような特徴と無縁ではないとみられる。 特に最後のトラック『so far away』後半部分を掌握するギター演奏はかなり韓国的なメロディーラインだが、最近のラッパーたちはあまり使用しない方式であり、妙に「泥臭い」ながらも、彼が望んでいる情緒的な終着点が何なのかはっきり描き出す効果を持つという長所がある。
ここにSUGAはゲストミュージシャンとして国内アーティストのYankeeとSuranを選んだ。 一方、ラップモンスターは、米国のラッパー兼シンガーソングライターKrizz Kalikoを連れてきた。 多分正規アルバムであれば「コンセプトの違い」として説明したが、自分の意見が絶対的に反映されたミックステープという点を考慮すれば、これは「志向の違い」と理解できるだろう。 

 

細密なディレクティング vs 爆発的打撃感

 

ラップモンスターのラッピングは感情を細密にディレクティングしているという感じを与えるが、特に目立つ長所は、彼が呼吸やフローを調節する過程でセクシャルな雰囲気を出す必要がある瞬間を直感的に(あるいは意図的であれ)よくキャッチするということだ。 また、ラップモンスターは言語遊戯的要素のある歌詞を楽しみながら、「果てしない冷笑 but imランボオ 地獄ですごすお前の季節」(『覚醒』)のように文学的要素を集めてきたり(アルチュール・ランボオ『地獄の季節』より)「頭をまっすぐに上げて/仏像の笑み/イエスの足/アラーの神の祈り」とかなり感覚的な表現を活用する。 しかし、これによってかえって短所が浮き彫りにされたりもする。 ミックステープ全体にわたってきれいに整頓された感じが強いために、小さな乱れが散見する惜しさがとりわけ大きい。 ミックステープの中盤部で早くなるほど感情が最高潮に高まってゆくが、その際にフロウと発音が同時に動揺する瞬間がしばしばある。 例えば6番トラック『冗談』でラップモンスターの感情はトラックが持つ本来のエネルギーを過度に超過してしまう。 ベースのリズムとビート、発音が一度に葬られる事態が起き、「クイックラッピング(高速ラップ)」だけが浮き彫りにされてメッセージ伝達力は半減する逆効果が発生するのだ。 上記のような短所はトレンディな作品が得られる満足をやや惜しくもさせている。


一方、SUGAは打率に全く気を使わずに気ままに球を打つ打者を連想させる。 トラック自体がすでにあふれるような打撃感を保有しており、ラッピングもまた彼にふさわしいエネルギーを持っている。不安定な心理的スタンスをそのまま表現してもありあまるほどの神経質的なオーラを発散しているが、様々な種類のワーディングと合致して快感を醸し出している。 しかし、スキットを除外すると、最初からから8番トラックまで一貫して逆流して放出するような伝達スタイルをしているという点がやや負担になっている。 強-強-最強というラッピングがトラックの流れによって徐々に深淵に接近するストーリー要素と結合されるが、このような方法では聴覚的、心理的に視聴者をすぐに飽きさせる可能性が高い。 特に7番トラック『最後の(The Last)』が誘発する疲労感はかなりのものだ。 神経外科医との面会の場面を回想するくだり「お医者様が俺に尋ねた/躊躇なく俺は言っていたそんなことがあると」で「そんなこと」を具体的に指摘しない態度が暗示するのは、極度の憂鬱感や神経症だ。 このようにSUGAのミックステープでは既存のアイドルたちが絶対にすることが出来ないレベルの自己告白とともに、自分を酷く暗くさせた周辺部をターゲットにしたハードな表現がかなり頻繁に登場する。 こうしたポイントはヒップホップシーンでは「ミックステープにふさわしいレベル」のラフで魅力的なワーディング程度とみなされかねないものの、ファン達の立場からするとメンバー個人に対する愛情と結合されてその理想の率直なストーリーテリングとして受け入れられる可能性が高いという点が非常に興味深い。 また、身勝手な打者に見られる自信は時によって過度に感じられても、深い内面的な響きを醸し出している。 SUGAのミックステープが備えている最高の長所はこれだ。 

 

やりたいこと vs 言いたいこと

 

2人の温度差が最も克明に現われたトラックとしては、ラップモンスターのミックステープ1番トラック『声』とSUGAのミックステープ5番トラック『チリサルサパル(724148)』を推薦する。 同様に過去を回想しているが、これを表現する方法やムードは全く違う。 自分が持っているラッパーとしての優れた長所とオリジナリティに対する渇望をミックスして出したラップモンスター、そして自分がしたかった話を存分にするために、極強のエネルギーを盛り込んだトラックを自ら作って出したSUGA。 つまり、ラップモンスターがミックステープで「やりたいこと」をしたのならば、シュガーはミックステープを通じて「言いたいこと」を言ったというのに近い。

もしかしたらボーダレスのイメージを浮かべる「非商業的」という用語を、むしろファンドムのためのツールに活用したという点で非常に賢い選択と言えるかもしれない。 ミックステープを通じて見せてくれた「真正性」という領域はお金に換算されることがないような魅力ポイントだが、かえってこれがファンドムを団結させる効果を発生させ、堅固な商業的ツールとして活用できるという話だ。 それにもかかわらず、実質的には商業的利益を発生させることができる他の様々なアイテムが無限な状況で、アイドルとしてのイメージメイキングにマイナスになり得る要素を選んだという点、そしてこれを通じて実際にファンドムの結束を強める効果が発生したということは、ユニークな試みとそれによるプラスの結果と解釈することができる。


欠点はあるものの、汚点はないようだ。ふたつのミックステープについて要約するとこんな感じだ。 2010年代に入り、演技や芸能出演に向かっていたメンバー別ブランディングの方式を音楽的な領域に集約したという点が何よりも印象深い。 これによって2つのミックステープ、合計21曲のトラックが持っている優先的価値がここで訪れる。 パラグラフごとに「VS」という表現を使ったが、事実上これは「+」に近い二つの結果物だ。 

 

※アイドリッシュ→アイドルらしいスタイルという意味かと思います。語源は多分日本のゲーム「アイドリッシュ7」(アイナナ)?

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日本ではオリジナリティ=そのもの自身がオリジナル(起源)で独自性のあるもの・個性という意味に解釈されることが多いですが、文中では元々の英語のoriginalの意味である「根源性」、つまりラップモンスターの曲はヒップホップの起源である欧米のヒップホップにより近づけようとしているという意味でのoriginalityが使われているのではないかと思います。文脈上、日本語で言うところの「オリジナリティ」に近いのはむしろSUGAの方と言うことになるかも。それをヒップホップ的に言うと「リアリティ」ということになるかと。
(韓国語でも外来語としてオリジナリティはそのまま使いますが)
また、「ラップすること」という意味の「ラッピング」は日本語では「ライミング」ということが多くそちらのが分かりやすいかもしれませんが、基本的にはどちらもほぼ同じ意味ですので原文そのままにしました。「包装」という意味での「ラッピング」と紛らわしかったらすみません...

 

個人的にはこのミックステープ、ある種の「事務所からのご褒美」的な側面もあるのかなと思いました。グループがある程度成功し、ペンドムも固まった今だからこそ「やりたい事やってみてもいいよ」という。アイドルとしては過激な歌詞といい、韓国内で既存曲をこれだけサンプリングできるのも基本フリー配布なミックステープならではでしょう。

韓国で音楽で食べていきたい若者たちにとっての「固い」ルートが未だほぼアイドル(オーディション番組やホンデブームも下火になりつつあり...SMTMもやはり3・4がピークだった感が)である現状、特にヒップホップをやりたい子たちはとりあえず1回は事務所に入っとくのがほとんどだと思います。ReddyやIronなど、そこで振るい落とされたり辞めたりしてアンダーのルートに戻るパターンもありますが、そこである程度成功した子たちだけがぶつからざるを得ない壁のひとつが、本来の自分がやりたかった事と実際に自分がやっている事との乖離なのではないでしょうか。特にヒップホップにルーツがある場合はグループが売れていても常に「リアリティ」があるのかどうかを問われる場面には遭遇するでしょうし。ペンドムにとってはどうでもいい事でも、このジャンルに片足が入った活動をする以上は常に国内ヒップホップ界あるいはリスナーからの一種の外圧はあるでしょう。そのプレッシャーに対して個人のミックステープをそれぞれリリースさせるというのは良いガス抜きになる面もあるのかなと思います。ペンドムにとってもより率直な打ち明け話がきけるという点で「うちの子こういうのもできるんですよ(誇らしい)」「ランボオとか読むんだ(わたしもよんでみよう)」「こんな事を考えていたなんて...」等とより一層愛が深まるツールなのではないでしょうか?

(個人的にはアイドルは別に自作なんかできなくても良いと思っていますが、特にファンにとってはアイドル本人が書いた曲や歌詞には特別な力があるとも思っているので、その能力があるならそれもアイドルとして多角的にファンを惹きつける強力なスキルになると思います)

 

 これは単なる感想ですが、SUGAはGloss時代から日付や土地の郵便番号など、数字にこだわったリリックが散見されるあたりがなんというか「リアルな」ラッパーっぽいな〜って思ってました。

 


[Pre-Debut] ZICO & Rap Monster

 

 


518 062 - 낙션 Produced by Gloss(SUGA)

 



アイドル×ヒップホップ[記事感想]

WINNERと2NE1の件がショックすぎてしばらく何もやる気がおきねーという気分で間が結構空いてしまいましたが、裁判のようにダラダラ続く問題でもなくスパッと決まってしまった上に時の流れは止めようもないしBIGBANGもアルバムを出すということで(もう出てしまいましたが)以前訳した「アイドル×ヒップホップ」シリーズの記事のうちで最後まで訳していなかった対談をリハビリがわりに仕上げてみました。

 

この対談、口語や崩した言い方や固有名詞が多く結構長いので訳すのが大変そうだと感じてすこしづつ訳していたのですが(3年も...)意訳が多めになってると思います。読みにくかったら申し訳ないです。

 

何故ヒップホップアイドルをやるのかに始まり三大事務所におけるラッパーの位置づけや韓国内のヒップホップの歴史とアイドルの歴史を一緒にひもといていったりと、個人的にはかなり面白い内容でした。特にファンブログなどではあまり言及されないJYPやYGのアイドル作りのスタンスを解読してみせてくれたのは新鮮でした。JYPやYGはそういうタイプのファンが少ないのか、それともSMを分析するよりもアイドルに関する知識以上にテクニカルだったり韓国の大衆音楽史全体など広範囲な知識が必要だからなのか、今まで個人的にはほとんど見た事がありませんでした。


ヒップホップ以外でも自作ドルやアイドル音楽のリアリティがファンにもたらす効果、ヒップホップドルが国内ヒップホップミュージシャンを聴く入口になってるという指摘(これは実際日本でもおそらくほぼ同じで、Kヒップホップファンの多くはBIGBANGやブロビ等のKドルやSMTM入りのようですが)など、3年前の対談でありながら今に通じる韓国のアイドルの作られ方について全般的に語られているように思いました。

 

ーーーここから下は対談記事の感想ですーーー

 

「説明できないけどJYP全体にほのかに漂うあの感じ」を「社長しかわからない謎の物質X」と例えたり、「ヒップホップに限らず自作曲はファンに『オッパたちの言葉だ』と思わせるリアリティを強化できる」「GOT7はワンガ中期の感じ」「防弾少年団のリファレンスはHOTやSECHSKIES」「アイドルというのは他の人がしたがるような憧れを体現して見せるものだから、音楽的リソースになる欧米っぽさが強調されるのは仕方がない」などなど膝をうつ至言がいっぱいありました。
特にBIGBANGに関して、「最初からヒップホップのグループを作ろうとした訳ではなく差別化されたグループを作ろうとして、音楽にリアリティを持たせる為に中心メンバーが元々やっていた音楽をやらせたのでは」という指摘はなるほど!!という感じでした。
実は個人的にはBIGBANGのアルバムを聴く程に、確かにラップはアイドルの中では突出しているけど音楽自体はヒップホップでもないよなあとずっと思っていて、それは近年のYGのアルバム全般的にそう思っていたので...部分的に使われているヒップホップテイストの「本物っぽさ」は間違いないと思いますが、実はGDの作る音楽自体にはいろんなジャンルがあるんじゃないかと。でもアーティストとしてベースのジャンルがある人がアイドルをやっているので、どういう曲をやってもヒップホップドルと呼ばれるのかもしれないなと思いました。アイドルだからこそいろんな変身が許されるし要求もされるというか。
(ソロになるともう少しアーティストとしてのエゴが出せるのでしょうが)


まさにWINNERとiKONではこれが顕著に現れていて、iKONは中心メンバーであるB.I.は子供の時からラップをやっていて(インディアンボーイだったあの頃...)Bobbyは意外とギターも弾けたりボーカルも出来つつもやはりベースはヒップホップだし(アメリカ育ちというのもポイントが高い?)メインボーカルがR&B的な歌い方というメンバーのベースにあるヒップホップ+R&BがBIGBANGと同じだからイメージの相似が言われるのでしょう(個人的にはBIGBANGよりもずっとR&B色が強くエレクトロ感はないのでアナログで素朴なイメージですが)一方のWINNERはミノ以外はロックやアコースティックという既存のYGアーティストにはいなかったベースを持ったメンバーでそれが現れている曲が多く、逆に「WINNERは曲がYGっぽくないから(浮いているのでは)」という指摘をされたり。しかしそもそも今のYGぽさ=ヒップホップという訳ではないという基本を考え直すといずれも「YGらしさ」というのに曲のジャンルを引き合いに出すのは的外れな指摘のように感じます。「メンバーのベースにある音楽をやらせる」というのが基本方針だとすると、WINNERに関してもその点ではブレていませんから。
(よく「お前たちの音楽をやりなさい」といわれるというのもそういう事なんだと思います)

 

また、BIGBANGやGDはアイドルなのにアーティストっぽいというイメージを持たれてる方が特にSMオタには多いように感じていましたが、個人的にはGDは自分がアイドルであるという自覚がとても強い人だというイメージがあったので(私もSMオタなのですが)本国のドルオタ以外の人たちが考えているイメージが知られてスッキリしました。
(YGはオタク層以外にもファンが多いので、普通のファンとVIPだとまたイメージが違うかもですが)

 

この記事は2014ですが、その後iKONがデビューし、女性ヒップホップは「UNPRETTY RAPSTAR」という新たなフォーマットを経て女性ラッパーのある意味ではアイドル化が進み、YGはヒップホップではない女性グループを誕生させ、ZICOはメジャーシーンでのトップラッパーの仲間入りを果たし、防弾少年団はまさにアイドルらしい変容を遂げてトップグループのひとつになった代わりに昔からヒップホップをやっていたメンバーはミックステープを出した今こそ、もう一度こういう対談が読んでみたい気もします。今度はやや短めでお願いしたいですが...

 

【idology訳】 アイドル × hiphop ⑥ [対談]ロボトミー x ハバククx igology(2)

【idology訳】
アイドル × hiphop ⑥ [対談]ロボトミー x ハバククx igology(2)

by Editor on 2014/08/17

http://idology.kr/1211

 

 

nenuphar.hatenablog.com

 


BIGBANG:ヒップホップアイドル VS YGアイドル


ハバクク:BIGBANGは、初期 - 中期 - 後期に分けることができる。初期はまだ「俺たちはヒップホップ」という感じがあった、おそろいの服を着ていた時代。中期は「嘘」 - 「最後の挨拶」 - 「ハルハル」でストリートファッションで押し通していた時代。後期はメンバー一人一人のソロ活動が目立つ時代。

 

ロボトミー:テヤンがコーンロウをしていた時代 - ハイトップスニーカーを履いていた時代 - GDがランボルギーニに乗っている現在。

 

微妙:初期と中期には時期的に非常に近いね。

 

ハバクク:最初のシングルがリリースされたのが2006年8月で、「嘘」が出たのが2007年8月だ。

 

ロボトミー:その期間中に「This Love」とか「Dirty Cash」なんて曲もたくさん出した。

 

ハバクク:個人的には当時のYGは言葉はサイレントだが、やっていることはよく分からない一種の暗黒時代と思われていたような感じだ。BIGBANGというヒップホップグループが出てきてMAROON5の曲を歌うんだ、こんなに風に見られた時期だった。

 

微妙:たぶんデビューさせてみたけど路線変更が必要だったんじゃないかな?アイドル的なポテンシャルを生かす方向としては、いくつかのレイアウトで行かざるを得なかったとか。

 

ロボトミー:韓国音楽市場自体にも答えがなかった時代ですし。だからマイナーなヒップホップ〜R&Bをやる事は本当に大変だっただろう。

 

ハバクク:でもBIGBANGが初めてメンバーを採用した時から何か考えがあるのだろうかと思っていた。グループが5人でボーカルが3人で、ラッパーが2人だけど、そのうちの1人はボーカルもしばしば担当している。結成した当初からヒップホップベースで行こうとしたとは思わない。 「嘘」のような曲はラップパートがはるかに長くボーカルパートは短いのに、それを3人のボーカルで分割している。

 

キムヨンデ:アイドルがラップをするのは新しくないけど、YGの立場では「俺たちがやればそれが正解だ」というマインドがあるようで、個人的には「ヒップホップアイドル」よりは「差別化されたアイドル」を作り上げようとしたという感じがする。そのツールとして本人がよく「わかっている」ヒップホップとブラックミュージック、そしてその中心には全てのスキルがあって商業性まで備えたGDがいるんだろう。キープシックスから1TYMへ、再び1TYMへ行ってBIGBANGへと変化した過程となる。

 

微妙:今の話は、ヒップホップの世界というのが音楽スタイルとプラスαがあるとしたときに、その「プラスαの残り」の部分のヒップホップをももたらしたグループとしてBIGBANGが設定されたと見ることも可能だろうか?

 

ハバクク:何気なく作った「嘘」が大ヒットしてしまい、その次は制御できない状況になってしまったのではないかという気もするけど(笑)

 

キムヨンデ:もしかしたらヒップホップに方向設定をしていたかもしれないけど「嘘」がヒットした瞬間「これだ」と思ったのかも。アイドルというのはジャンル的リアリティの可変性というのが特徴だ。 「私たちはジャンル的リアリティがないのではなく"新しい試み"をしたのだ」、「EDMと私たちのお気に入りのヒップホップ・サウンドを"私たちだけの方式"で組み合わせた」こんなのが多くないだろうか。

 

微妙:一つの話でコミックスも出してアニメ、ゲームも出して関連商品も作るみたいな事かな。

 

ハバクク:ソテジは元々ロックベースだったけど、ダンスミュージックで人気が上がってその後ふたたびロックをしたようなものじゃないか。 G-DRAGONもそのような感覚が少しあるかもしれない。

 

キムヨンデ:例えばヒップホップを掲げてデビューしたけどEDMが人気が出たから方向転換して、再び市場がヒップホップに優しくなるとヒップホップに戻ってきて、自分たちは「元からヒップホップだった」というような事が可能だ。

 

ハバクク:G-DRAGONとソテジの感覚に差があるとしたら、ソテジはその後継続しロックベースに行ったけど、それでもGDは自分がアイドルであることをよく自覚しているようだ。エゴトリップもしたけど、「僕たちのファンウチュチュ〜」する曲も歌ってバラードもして、ロックもして。

 

微妙:ソテジは昔のメタル世代らしく、鮭の回帰願望のようなものもあったんじゃないかと思う。

 

ハバクク:今回GDが「ピタカゲ」を歌っている姿を見ても、ロックをしたいと思っているというよりはロックスターのコスプレをしたいのかなという雰囲気が多くあった。

 

ロボトミー:BIGBANGでなくソロでワールドツアーに戻ってみたら、「あ、フィナーレに手を上げて走る曲がなきゃいけないな」という感じで考えた結果という感じかな?

 

キムヨンデ:もしもヒップホップが完全にダメになっていた場合は、今のYGがどのようになったのかちょっと気にはなる。

 

微妙:アイドルというのは基本的に他の世界に憧れる存在だから、ヒップホップが韓国で生まれたものではなかったために「第1世界」(欧米)がロマンの中心にあるのは仕方ない部分もあるようだ。

 

キムヨンデ:アイドルというのは基本的に、まるで私たちがしたいことをしているかのように見せる技術だけど、YGのヒップホップというのはそのような面でメリットがあるのではないかと思う。 YGという集団レベルで常に追求する方向だから、アイドルということにリアリティが重ねられるのだ。実際には企画されたものだとしても、その企画が本人の興味や根っこの部分を逸脱しないから。GDはその一種のパラメータになるだろうし。


G-DRAGON:統制権を握ったアーティスト

 

ハバクク:私はその確かな分岐点となるのが「One of a Kind」だと思う。ソロ1集だけでも「Heartbreaker」を歌った。 2集では他のタイトルが支えてくれるし「One of a Kind」と歌ってもいいだろうという自信があったんだと思う。

 

微妙:「Heartbreaker」がBIGBANGの「嘘」のようなものだったのだろうか?


ハバクク:個人的には「Heartbreaker」は確実にヒットを狙って作った曲だと思う。そして影響があるのかは分からないが、1集と2集の間にBIGBANGが再契約をした。GD 1集は一時期BIGBANGより多く売れた。ヤン・ヒョンソク代表が直接公の場で明らかにした事実だ。さらにBIGBANGの再契約とYGの上場、両方とも2011年だ。スターを持っていれば、上場した会社の立場では特に良いカードを1つ持っているということだから。

 

微妙:つまり再契約時にGDがやりたい事ができる面が強くなったという話なのかな?

 

ハバクク:今のGDは本当にすごい。バランス感覚もあるので事前公開曲で「One of a Kind」を出し、その後は「그 XX」で活動したのだろう。特に、「One of a Kind」はその年<rhythmer>で「今年のヒップホップシングル」に選ばれた曲である。 YGを批判していたヒップホップファンまでもが口を閉じた。完成度も高く、ミュージックビデオの「カッコつけ」もお遊びではなく「私たちはお金もあって実力もあって、他の人は真似もできないようなレベルのヒップホップ曲をいくらでも出すことができる」こんな感じだ。GDはアイドルのポジションを逸脱する事なくカニエ(Kanye West)のような存在になるのではないかと思う。

 

微妙:それでも、すべての意思決定をひとりでしているわけではないかもしれない。専門家のインフラが整ったところだから、干渉は受けず諮問は受けるシステムである可能性が高いだろう。

 

キムヨンデ:YGという会社全体で見れば、GDの存在は、所属歌手が音楽的な統制力を備えていること・それが機会に応じていつでも発揮されていることを誇示するための手段になることもできる。それが他の事務所との大きな違いだろうし。

 

微妙:米国でティーンアイドル出身者が、それでもある程度の制御を握るシステムを取得した感じにもなる。音楽も本土、システムも本土..のような感じ?

 

キムヨンデ:だからGDの場合は、アイドルというシステムの中で統制権を握ったミュージシャンを育てたのだ。 「とにかく、私たちの中で解決する」は、YGのユニークなマインドだと思う。たとえクオリティが特A級の品は出ないとしても、他の作曲家の名前が押された曲とGD・TEDDYの名前がちりばめられた曲ではインパクトが異なる場合があると見ているのではないか。

 

微妙:BIGBANGも初期にはまだ勇敢な兄弟やChoice37のような人々が横で手伝ってくれたが、今では実力も多く成長したと見ることができるだろう。

 

ハバクク:特に大きな成功を収めたアイドルは、音楽で国内だけでなく海外も考慮することがあるのではないか。 GDは国内向けとして出す曲もあるが、一応海外での自分の見られ方というものを意識しているのだと思う。

 

キムヨンデ:例えばウィル・アイ・アムを使いたい時も、ウィル・アイ・アムが「いつもGDの曲が好きだった」こんな感じになるという。

 

ハバクク:ジヌションがMobb Deepフューチャリングした時には、実際にはあんな図は滅多に実現しなかった。ところが、今では可能になった。

 

キムヨンデ:フィーチャリングをお金で買うという感じがあまり気に入らない。むしろ逆に「ウィル・アイ・アムも苦しいのかな?アジアを狙おうとするなんて」のような反応が出てもおかしくない。必ずしもネトウヨ的思考でなくても、その認識の転換は大きいと思う。

 

ハバクク:そうですね。テディ・ライリーと少女時代、DJ PremierとDynamic Duoのような場合もあるが、その点で最も「アーティストのアーティスト」の感じが大きいのは、やはりGDだ。私は男性ヒップホップアイドルはすべてBIGBANGをロールモデルにしていると見ているが、それは当然そうするしかないからだ。あまりにも空前絶後の成功モデルだ。お金も稼いでオシャレでもあって、swagも補ってアーティストとしても認められていて。

 

微妙:そういえば、本当に史上初だ。

 

韓国内のヒップホップ×アイドル

 

キムヨンデ:私はヒップホップを媒介としたアイドルがこのように独自の領域にあり目立つようになったのは、ヒップホップが「欧米のヒップホップ」-「韓国のヒップホップ」に分けられたのが大きいと思う。BIGBANGやGDがロックミュージシャンだったらイケそうだと思われる構図だ。ポップジャンルの中で唯一韓国内のものが独自にファンを持っているのがヒップホップだ。もちろん依然として国内ヒップホップ以外はまったく聞かない人もいるから。ロックやその他のジャンルはその比較対象が増え、外国のいくつかのアーティストを許容する可能性が濃厚だが、GDやYGの場合は国内ヒップホップとだけ競争すればよい。そして必ずしもお互いに競争しているというわけでもなく。韓国ヒップホップという個別のカテゴリがある程度の強度を授かったので、それによってアイドルにおいてのヒップホップアイドルというカテゴリーの正当性のようなものもより生まれてくる。

 

微妙:今でも他のジャンルに比べて、ローカルシーンが最も強固なのでは?

ロボトミー:事実上、現在「グクヒプ(韓国ヒップホップ)」というジャンルが個別に誕生したということは間違いないと思う。

 

ハバクク:グクヒプは確かにシーンがある。コミュニティも他のジャンルに比べて活発で、今韓国での音楽ジャンルのコミュニティで残っているのはヒップホップしかない。そのため、ヒップホップアイドルは他のアイドルと比べて一度は話題になる。ノイズにせよ肯定的にせよ、ヒップホップというジャンルでデビューするだけでも他のジャンルよりも注目されることができる。

 

キムヨンデ:アイドル産業というのはジャンル的にはシーンの機運だけ吸うのだから、全体のパイは大きくなることができる。その中で区別させようというメカニズムがまた働き始めて、それによってさっき言った「韓国にも本当のヒップホップはある」のようなコメントも動かすことができるだろうし。

 

ロボトミー:アイドルにロックをさせることはどうやっても冒険だけど、ヒップホップをさせるのはするべき課題だということだ。

 

ハバクク:ヒップホップもティーンのアイドルも、10代の市場とターゲットが重なる側面もある。少なくともクラスにヒップホップを聞く子たちが半ダースはいる計算だ。つまりグクヒプを聴く子達と防弾少年団聴く子達が半々くらいで両方いるということだ。そしてグクヒプを聴く子は防弾少年団を聴く子に「こんなのもあるから聴いてみて」と言い、そして防弾少年団を聴く子達は「私たちがヒップホップを紹介している」という名分も獲得する。

 

ロボトミー:普通は喧嘩して、お互いに無視する。

 

ハバクク:たしかに(笑)

 

微妙:大麻が薬物への入門編である「ゲートウェイドラッグ」と言われるように、アイドルヒップホップは「ゲートウェイヒップホップ」なんだ。


block.B:ヒップホップアイドルのリトマス紙

 

キムヨンデ:block.Bは外国でも判断がわかれるところだ。 「この程度ならヒップホップではないのでは?」という反応もある。

 

ハバクク:block.Bは韓国ヒップホップとアイドルのリトマス紙だ。 (ロボトミーがノイズの実験音楽とグクヒプのリトマス紙だったように...)

 

微妙:ロボトミーはどう思う?

 

ロボトミー:イメージ自体はヒップホップではなく、「ワチャワチャしている感じ」に持って行くというか...block.Bは全くBIGBANGを最もよく継承したグループなのに、運があまりにもない。過去の曲「Jackpot」の公開日にセウォル号事件が起きたりとか。とにかくblock.BはBIGBANGのように、あえてヒップホップでなくても構わないんだと思う。

 

ハバクク:ところでZICOはラップがすごく上手い。BIGBANGですらラップ自体は大衆的にフィルタリングしている感じがあったが、ZICOのラップは殺伐とした感じだ。

 

キムヨンデ:そしてヒップホップで重要な「レペゼン(出自)」のようなものもある。アンダーグラウンド出身だし、ミックステープも出したしととにかく認められるような要素を敷いていく。

 

微妙:つまりblock.Bにとってはヒップホップをする必要が生まれつきあったのではないかな?

 

ロボトミー:BIGBANGが様々な偏見を正させたことで、あえてヒップホップでなくても許されるように道を敷いてくれたようだ。BIGBANGもいわばGDが小学生の時からラップをしていて、YGファミリーでありながらいくつかの「ヒップホップ戦士」的なそれを持っている状況であった。ところが、BIGBANGでソロ活動もしながら「総合的に気の利いたミュージシャン」のようなことをした結果、ラップしている仲間たちがアイドルになった時に必ずしもヒップホップではなく、いくつかの「気の利いた音楽」をすればいいという道をあけてくれたんじゃなかろうか。

 

ハバクク:「ワザングチァング」アイテムをもらったわけだ。
(와장창=本来はものが突然音を立てて崩壊するさまですが、ウェブ漫画で爆発オチなどの大混乱時に擬音として使われたりもする事から大騒ぎとかごちゃまぜといった意味でも使われるようです)

 

真正性(リアリティ)

 

微妙:block.BはもともとチョPDのスターダムエンターテイメント所属だったよね。

 

ハバクク:EvoLも同じ所属会社だった。

 

キムヨンデ:block.Bを作りながらチョPDが天命をした。 ヒップホップグループを作るという。 それで初のミニアルバムと正規1集の間に「ヒップホップを基盤とするが、多様なジャンルで実験を広げる」というような言葉も出たと記憶している。

 

微妙:「韓国ラップ第1世代」としてチョPDは、「アイドルの端くれ」などは作らないという大義名分も、もしかしたら必要だったのかも知れない。

 

ロボトミー:デビュー曲は「NalinA」で合ってる? その曲を書いた友達もヒップホップ系のビートメーカーだ。 私はその曲をグクヒプとアイドルポップのラジカルなフュージョンというような感覚で受け入れた記憶がある。
(※block.Bのデビュー曲はFreeze!" (그대로 멈춰라!)。NalinAをZICOと一緒に作曲したDelly Boiは最近だとSMTM4でBlack Nutのトラックを作ったり、HeizeやDEANのアルバムに参加したりしています)

 

キムヨンデ:ZICOとVerbal Jintが一緒に錄音したのはデビュー前かな?

 

ロボトミ:そうだね。

 

キムヨンデ:チョPDとVerbal Jintの「種の起源」にも参加していた。 ところで海外でblock.Bを説明する時に、「作られたアイドルだけど、ヒップホップをするのではなくてシーンで登場した」という言葉が必ず出てくる。 さっき言った国内のヒップホップのおかげというのもそうだ。

 

ハバグク:block.Bが本当にヒップホップだなと思うのが、事件をたくさん起こしたじゃないですか。 一つの失言でアイドルキャリアが崩れそうになったりもして。 まだ規模が大きくないけど、ある面ではBIGBANGよりももっとヒップホップだ。

 

ロボトミー:BIGBANGと比較すると、block.Bは首都圏の周辺都市の雰囲気がある。 城北洞、洗剣亭…

 

ハバクグ:G-DRAGONがいくら舞台で反抗児コスプレをしても、芸能番組に出る時は大人しく礼儀正しいが、確実にあんなイメージはどうやっても人工的に作ることは難しいという点で、より「リアリティ」がありそうな部分があるみたいだ。

 

キムヨンデ:GDは「音楽は才能のひとつで、何をしても君たちよりもっとよくできる」こんな感じのニュアンスだけど、block.Bのようなパターンは稀だから。 「シーン出身」というイメージは真っ当な方式の気がする。

 

微妙:ところで結局、そのメンバーを集めて結成して企画したのは事務所資本なので、いわばさっき話したSupreme Teamより確実にもっと「アイドル出身」ではないかな?

 

キムヨンデ:その通りだ。 それでも国内ファンの間での区別ポイントは分からないが、米国ではblock.Bが訴えかける部分はそういう部分だ。

 

ハバクグ:シーン出身でもあるから実力も訴求ポイントだろう。 他の「アイドル」が上手なこととは違う手法でお上手だから。

 

ロボトミー:国内で見ると真正性にのみ吸引されたのはファンドムが大部分ですけど、私が見た時にはこのポイントに対してヒップホップー反抗ーアティテュードが妙に作用したようだ。 「遊ぶように現れたオッパ達が、ヒップホップを(上手に)しながらワチャワチャしてる場面」

 

微妙:アイドルファンドムが外部に向かって切る様々なカードとしてのジャンル的リアリティというのはあっても、アイドルファンドムがジャンル的なリアリティに惹かれて入ってくるわけではないってことかな?

 

ロボトミー:そうだ。 そのもの単独では効果はなくて、他のことを経て入ってくる。「粋ポイント」にはなれるようだ。 ジャンル的リアリティはあるが、そのジャンルが反抗児的ジャンル→「あらオッパったら、見かけは不良なのかと思ったら…」という。

 

キムヨンデ:block.Bの海外雑誌のインタビューで奇妙なものがある。 好きなアメリカのアーティストはという質問に、ジェヒョはマイケル・ジャクソン、P.O.はファレル・ウィリアムズ、テイルはスティービー・ワンダー、ZICOはアフリカバンバータと答えていた。

 

微妙:アフリカバンバータって突出してるな (笑)

 

ハバクグ:ロボトミーはどこに行ってもMANTRONIXって答えてる。

 

ロボトミー:昔からそう言ってるんだ。

 

キムヨンデ:好きなミュージシャンがアフリカバンバータ…やばい。 あまりにもリアリティがありそうだ。 こんな人物は初めて見る。

 

女性ヒップホップアイドル

 

微妙:今度は女性ヒップホップアイドルを簡略に話をしてみよう。 特に目立つことはありました?

 

ハバクグ:女性アイドルは私が作成した表を見ると、共通する特徴がある。 企画者や作曲家はリアリティが高いが、肝心のミュージシャンとやっている音楽はほとんど…

 

ロボトミー:ヒップホップの部分はほとんど外見だけという感じだ。

 

ハバクグ:D-UNITは企画者がDM、WA$$UPはレッドロックだ。 ちょうど同じような激しいラップする方々が、揃って女性アイドルを育てましたが(笑)WA$$UPのNADAなんかを除けば、メンバーたちがヒップホップが好きなのかすら分からない。

 

ロボトミー:WA$$UPはそれでもTLCっぽさは若干仕上がっているが、「韓国版TLC」は成功したことがない。

 

微妙:昔のO24の事例を見ても、市場は激烈な「ヒップホップ戦士」の少女をあまり望まないのではないか。 女性ーヒップホップ・アイドルのフォーミュラはまだ実験中のものと見るべきかな?

 

ハバクグ:唯一の成功事例が一つだけある。 2NE1。

 

ロボトミー:それを突破してしまったのが2NE1なら挑戦しがいもあるけど、2NE1は実際は全く違うモデルだ。 TLCではなく、4人のレディー・ガガM.I.A.の音楽をしているという見方の方が合っているようだ。

 

微妙:これは2NE1という巨大な変種を除けば、国内では突破口がまだないということだろうか。

 

ロボトミー:2NE1成功の核心は、高級化戦略と考えている。 素敵なお姉さんを女性達が真似したくなるには高級に見えなければならないが、2NE1はBIGBANGーGDの成功でトップに上がったYGからデビューしたというだけでも高級に見えた。

 

ハバクグ:2NE1が初めて登場したのは「ロリポップ」のCMでBIGBANGとの競演だったが、とりあえず最初のイメージからして非常にファッショナブルだった。

 

ロボトミー:その通り。 真似してみたくなるのがキーポイントだ。

 

ハバクグ:「Fire」のミュージックビデオは二つのバージョンがあったが、その2つのタイトルが2NE1のすべてを説明しているのではないか。 「スペースバージョン」と「ストリート・バージョン」、ストリート・カルチャーがベースのフューチャリスティックなイメージだ。

 

D-UNIT:"KPOP is swag"

 

微妙:そういう面ではD-UNITはイントロから"KPOP is SWAG!"を叫んでいたけど。

 

ハバクグ:私はD-UNITも曲は良かったと思う。

 

ロボトミー:それにメンバー達のボーカルのキャラクターもいい。 「さすがYGの練習生出身」だと思った。 ところがイメージが「ただのフォロワー」以上のものを出せなかった。

 

ハバクグ:KUSHがあまりにもポップな曲をよく作ったりもする。 YGをやめた後発表した曲はすべていいけど、不思議な事にヒットしなかった。

 

ロボトミー:なんというか、やはりビジュアル的に目に留まるような何かがなかったというか。

 

キム・ヨンデ:他の可愛いグループとは差別化された強いイメージ、その背景がヒップホップやエレクトロニックである、という感じ。

 

ハバクグ:中小の企画会社なので確実にはプッシュしてくれなかった感がある。

 

ロボトミー:よくやってるとは思うので、転換点が大きく一つあってこそ反転する可能性もあると思うけど、活動がない。

 

ハバクグ:今はプロデューサーが変わった。 もともと担当していたKUSHが再びYGに戻って、最近のアルバムはZICOがプロデュースしていた。

 

微妙:むしろ、「ヒップホップ好きな少女のロマン実現期」のような感じで行ったらどうだろう。

 

ロボトミー:音楽を「非常にヒップホップ」な感じにして…それでもだめかな? (笑)

 

微妙:どうしてもゴリゴリのヒップホップでガールズグループは難しいという考え方になるようだけど、そのバランスが悪かったのではないかという気もする。

 

ハバクグ:だから女性ヒップホップチームの企画者はリアリティを重視するけど、メンバーたちはほとんどそこに及ばないんだよね。

 

キムヨンデ:一つのイメージで行くのが冒険でもある。 (アイドルは)変身をしなければならないから。 ヒップホップとガールズグループの調和はイメージがかなり固定的にならざるを得ない。 可愛いと失敗したり...

 

WA$$UP:ヒップホップのDIVA?

 

ハバクグ:WA$$UPは製作者の好みもあって...NADAを信じて果敢に打って出たようだ。 しかし、他のメンバーが期待に及ばなかっただけではなくて韓国の情緒に合わないのが大きかった。 企画者たちが何も知らない女の子を連れてきた「プリンセスメーカー」という気もする。
(プリンセスメーカー:日本の育成ゲーム。韓国でも有名)

 

ロボトミー:「TLCを育てる」というのはヒップホップをする方たちのロマンの一つだ。

 

キムヨンデ:「ヒップホップのDIVA」という概念はないか。 それをWA$$UPが借用しているのを見てちょっと面白かった。

 

ハバクグ:NADAはちょっと可能性があると思う。

 

キムヨンデ:「ヒップホップのDIVA」というのは、歌が上手いという意味のディーヴァとは全然関係なくて、簡単に言えば「ちょっとエッチな色黒のお姉さんたち」だ。 トワーキングをして派手なポーズを取り、成人雑誌の撮影したりという。

 

微妙:でもそんなことが韓国の状況で可能だろうか。 そうでなくてもセクシーコンセプトをすると安そうだとか侮辱されるようなのが現実だ。

 

ハバクグ:韓国で受け入れられにくいキャラクターではあるが、ヒップホップシーンではラップの実力を備えていれば十分に訴求するできるキャラクターだ。 みんなビッチの真似事でまともなビッチがいなかったから。 もちろん、ヒップホップの世界は男性中心的なので悪口を言う人も多いが...

 

ロボトミー:普通アンダーグラウンドでやれば当人のメンタルが耐え切れず、メジャーでは水位調節するとどっちつかずの扱いをされてしまう、そんなテクニックだ。

 

微妙:韓国では無理、という気もするけど、そんなことを地道に一つずつ撃破していったらこの先どうなるかはわからない。

 

キムヨンデ:韓国のガールズグループもだんだん露出や態度に寛大な方向に向かっているから、ある程度の接点はつくり出すことができるのではないかと思ったりもしている。

 

微妙:しかし、それがアイドルで可能だったのは、アイドルは基本的になりきる遊びなので「セクシーだけど、姪っ子みたいでいい子なんですよ」というような感じになったんだけど、それが他のルートに乗っても上手くいくのかはよく分からない。

 

ロボトミー:私は消費者の構成上難しいと思う。

 

キムヨンデ:「これは文化だから!」というラベル付けをしてうやむやする方法もある。 ただ腰を振るだけなら下品だけど、「これはトワーキングというものなのだ」というふうに。

 

ロボトミー:本格的な移植は個人的には不可能だと思うけど、ポジショニングのためのテンプレートの役割くらいならどうか分からない。

 

微妙:確かに、トワーキングは日本ではちょっと文化的なものとして受け入れられている部分がある。 ギャルが受容される社会でもあるけど...

 

ハバグク:日本はダンスホール・クイーンが存在する国だから(笑)

 

キムヨンデ:可笑しいのが、WA$$UPがするトワーキングがあまりにも変わりばえがしない。 それが名前に影響を与えてる部分もあると思う。

 

ハバグク:私は音楽市場では本当に難しいだろうと思う。

 

キム・ヨンデ:皮肉な事に、ガールズグループは主人公の場所であるのに対してヒップホップのDIVAはやや従属的な位置だ。 主流になるのには難しいことばかりだ。

 

微妙:韓国ではメジャーシーンでダメだったらどこでも上手くいかないでしょう。

 

キムヨンデ:それはそうですね(笑)

 

ロボトミ:急に思い出したけど、女性アイドルラッパーたちの現在を見て好きな部分が一つある。 もう誰もユン・ミレのモノマネはしていないんだ。 やはり2NE1の恩恵かな...

 

まとめ

 

微妙:整理しますと、ヒップホップのアティテュードがアイドルのファンタジーと結合する共感の形態、アイドルがヒップホップ/ラップを眺める方法を話して、YGと関連して…とにかくいっぱい話をした。 幼稚園の同級生のように2人3脚のアイドルとヒップホップの同伴成長期にも目を通した。 そして、韓国内のヒップホップとヒップホップのリアリティがアイドル、アイドルファンドムと連結される方式を語り、女性ヒップホップ・アイドルの難しさと展望について話した。 何か付け加えたい話があれば聞かせてください。

 

ロボトミー:えーと、女性ヒップホップアイドルの定着に向けて、YGで一度だけもっと責任を背負ってくださるように祈っていますという事を申し上げつつ、ZICO+P.O.のユニットを作ってくれるならありがたく拝聴したい。

 

微妙:そしてロボトミーのアルバム「protoLEMON」をよろしくお願いすると言っておきます。

 

キムヨンデ:個人的にはまず数日後のKCONでの防弾少年団に対する反応が気になる。 そして米国シーンでの流れと韓国ヒップホップがアイドルシーンと交差する部分をずっと見守りたい。

 

微妙:次はハバクク代表。

 

ハバクク:私はヒップホップアイドルというのが生まれた理由、GDが自分がやりたい音楽をできる理由、そしてアンダーヒップホップMCたちがバラードラップということをしながら悪口を言われる理由も、結局、韓国に音楽ファンがいないからではないかと思う。 いざ新しい音楽が出ようとする時アングラにはそのような音楽を支持するファン層がなく、妥協をしなければならず、アイドルグループは「うちの子達はきれいで何をしても良いから」新しい実験をより果敢に試みている。 それゆえに私は韓国で最も面白い音楽はK-POPだと思っている。 一方、インディーズチャートのインディーズ音楽は退屈な場合が多い。 ただのリスナーならこれもそれなりに興味深い状況だが、私はアンダーグラウンドの世界で食べていかなければならない人間なので、音楽ファンが増えるためにももっと音楽的な話を沢山してアンダーヒップホップでもヒップホップアイドルでも、その音楽の中でやれることが多くなったらいいなと思う。 #ほっこり

 

微妙:対談では編集しましたので、これに先立ってヤンサに送りたいメッセージはビデオレターにして送ってください。 皆さん遅い時間までお疲れ様でした。ありがとうございました。


 

【idology訳】アイドル × hiphop ⑤ [対談]ロボトミー x ハバクク x idology(1)

【idology訳】アイドル × hiphop ⑤ [対談]ロボトミー x ハバクク x idology(1)

by Editor on 2014/08/17

http://idology.kr/1197

 

 

nenuphar.hatenablog.com

 

 

アイドルについて話をする人、ヒップホップについて話をする人は多い。しかし、アイドルとヒップホップならどうだろうか。 7月23日深夜、idologyの執筆陣ミミョウ=微妙とキムヨンデは、二人との対談を行った。衝撃的なビートメイキングとラップで神秘的なカリスマを噴出しエレクトロニックに転じたプロデューサーロボトミー、そして彼のアルバムを準備中であり、嘱望されるアンダーグラウンドメディアでもあるレーベル・ヤング企画(YOUNG、GIFTED&WACK)のハバクク代表の2人である。

 

 

微妙:ロボトミーは最近何してるの?

 

 

ロボトミー:地下生活しながら過ごしてる。 Live 8が僕の友達だね。クリッピングのない世界で暮らしたい。人生の力作(......)「LEMON」を準備中なんだけど、「レフトフィールドポップ」的な内容だと言ってしまったので後悔している。

 

微妙:すごく期待してます。

 

ハバクク:その前に「protoLEMON」がすぐに出ます。アルバムはすべて完成しているけど、まだプレスリリースを書けてなくて...近況としては1ヶ月間 ずっと「protoLEMON」のプレスリリースを書いてる。

 

ロボトミー:ティーザー映像はもう出てるのにいつ出るか決まってないんだ。

 

ハバクク:アルバムが良ければプレスリリースも自然とスラスラ書けるんだけど、アルバムが良くないときはプレスリリースで何とか良く見せる必要があるから^-^
それに「protoLEMON」がイマイチだったら「LEMON」の方が相対的に良い評価を受けることができるので…

 

微妙:ショウビズの世界ってやつは本当に難しいですね。

 

ハバクク:今日取り扱うヒップホップアイドルだけでもどれだけ変化があったことか。

 

微妙:BIGBANGやBlock.Bがいて、今年は防弾少年団も成長を見せた。JAYPARKやBeenzino、<SHOW ME THE MONEY>のような曖昧な境界領域も増えていく。そのような時点でアイドルヒップホップ、あるいはヒップホップアイドル、あるいはアイドルxヒップホップを語ってみるというのが今日のテーマです。

 

ロボトミー:そうですね。いくつかの角度があります。音楽の形態としてのヒップホップ・attitudeとしてのヒップホップ1(反抗)・attitude2(策略)・リアリティというような。

 

ハバクク:ヒップホップアイドルという用語に最もよく似合うケースはSupreme Teamではないかという気もする。元々コンビではなかった2人を事務所が組み合わせてグループにしたでしょう。

 

ロボトミー:そうですね。そういう見方をすれば彼らが本当の「ヒップホップアイドル」だ。興味深い部分的なもの、アンダーヒップホップ市場でいくつかのラッパーが売れる方法としてアイドル的なキャラクターを得る手法が重なる部分があり、それが最も部分的によく表れたのがSupreme Teamだ。

 

ハバクク:サムディ(SIMON D)とE-SENSは当時最もHOTなMCだった。アンダーであればそれぞれの活動でも構わないけど、芸能界ではファンドムの規模を増やしたりイベントの市場でも売れるにはグループとして活動する方が有利だから。芸能事務所では性格やその他の面で最もホットなメンバーをまとめて1つのグループとしてプロデューシングして、その後出てくる音楽も歌謡曲に似合うように作った。

 

ロボトミー:そうだった。そしてその二人はアンダーから「実力」面でも認められていたけど、キャラクターとして消費される側面がかなり大きかった。

 

微妙:それならアイドルグループ結成のメカニズムがヒップホップに適用される感じですね。違いがあるとするなら、白紙の人材を連れてきて事務所が色づけするか、すでに色を持っている人材を連れてきて「キュレーティング」するかの違いだろう。BIGBANGは若干YG所属のソロ5人が団結したドリームチームというような感じを与えるが...もしかするとそれと似ているかもしれない。


ハバグク:そうですね。 練習生生活を経たかどうかではないかな。つまり初期から投資をしたかどうかの差。 そしてアメーバカルチャーは実際には(まだ)アイデンティティはヒップホップレーベルだから。

 

ロボトミー:YGは白紙を塗るときに、なんとなく人工知能のようなものを与えて自ら色を知って塗って行くようにした感じだと言えるのでは。


ハバグク:そして練習生生活というのは上下関係が明確に規定される時だ。 もしもSupreme Teamが練習生生活を経て出たグループだったら、後にE-SENSがdis曲を作ることはできなかったのではないかな。


防弾少年団:反抗のアティテュードと共感のメッセージ

 

微妙:まずはアイドル→ヒップホップの側面で話ししてみよう。 ヒップホップを取り入れた巷のアイドルの中で印象深く聞いたものはあります?


ロボトミ:最近は友達の間では防弾少年団やGOT7の名前が出ますね。 防弾少年団の場合はリファレンス臭(参考にした元ネタの曲)がかなりはっきりとわかりやすいけど、少なくともリファレンスの選定とそれの表現にはとても誠実に臨んでると思いますし、それが実現できるるのも珍しい。 例えば、「2 Cool 4 Skool」のアルバムを聞いてみるとビートはいわゆるghetto trapと呼ばれる最近一番多く見られるスタイルのラップビートに、歌謡曲の匂いを本当に最小限におさえて書いている。 ラップリファレンスやフックの作り方も、(「We Are Bulletproof pt.2」)TygaやFutureなど最近よく売れているラッパーたちのフロウを参考にしたような香りを強く感じる。 「No More Dream」のような曲の場合はtrap+「戦士の末裔」(H.O.T)っていう感じ…


ハバクク:もしかして参考になるかと思ってこんなものを↓作ってきた。 評価に同意するかは分からないが、見ながら話したらいいかと思って。

 

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ハバクク:結果として、今出てる音楽のヒップホップ的なリアリティだけ見れば防弾少年団が最高だね。

 

ロボトミー:カニエのドラムラインやソースを取ってサンプリングしたりもしているし、リファレンスには忠実なのに、歌詞の内容リファレンスはいまだにH.O.T っていうのは…。

 

ハバクク:最初から学校3部作ってうたってたからね。

 

微妙:そうか。「スクールソング(학원별곡)」(Sechskiesの曲)がリファレンスなのか…

 

ハバクク:これは10代には関係のない感情かもしれない。実際にはアイドルグループのメインターゲット層は10代だし、ヒップホップも似たような状況では。

 

ロボトミー:実際、今は10代でもBeenzinoとかSwingsとか断片とはいえアンダーヒップホップミュージシャンに簡単にアクセスできる時代なのに、あんな感じのヒップホップ =反抗アティテュードがいまだに消費されているというのに驚いた。

 

ハバクク:BeenzinoやSwingsが好きな10代の若者と、防弾少年団を好きな10代の若者層はちょっと違うようだしね。

 

微妙:ヒップホップ=反抗をより消化しやすくパッケージしたものをアイドルだと見るべきかな?

 

ハバクク防弾少年団の出発点は「僕たちは君たちと同様の悩みを抱えている10代だ。そして、それを僕たちだけの自由の言語ヒップホップとして表現していく」って事だったそうです。

 

微妙:おもしろい。それっていわばソテジが標榜してたことじゃない?

 

ロボトミー:そうだね。もっとさかのぼればチョン・ヨンロク...あっごめんなさい(笑)

 

微妙:個人的にはチョン・ヨンロク - シン・ヘチョル - ソテジまでは「私たちの心を知ってくれるオッパ/ヒョン」だったんだけど、それを「同じような悩みを知っている友達」に引き下げたのはH.O.T./Sechskiesだった気がする

 

ハバクク:子供たちも大体の事はわかってるんだよね。アイドルというのは芸能事務所がコンセプトを考えてくれて作り上げられたものなんだっていう事は。実際には大人たちが作っている世界だということ。それでも子供たちはここにファンタジーをより投影したいと思う。「彼らは私たちの気持ちをわかってくれる」と。アイドルヒップホップは作詞と音楽にアイドルたちがより多くの部分参加するから、「私たちの話をより適切にしてくれる」というファンタジーを着せることができる部分が多いようだ。 YGが作詞作曲の能力を打ち出すのも、実力というラッピングはあるだろうけどこのような側面もあるんじゃないか。

 

微妙:ヒップホップ・リアリティへのアクセスと、ファンタジーの強化が同時に成せるという話だね。

 

ヒップホップの真正性vsアイドルのファンタジー

 

ハバクク:アイドルは間違いなく芸能事務所で作り上げられた部分が大きいのに、ファンたちは小さな手がかり一つでオッパ達の心を推察して辛いんだろうなと理解したりもする。 しかし最近はSNSを通じて直接コミュニケーションを行うことができる手段も増え、しかもそのオッパが直接自分の歌を作って歌詞を書いているとすれば感情移入してもっと好きになってしまうのではないかな。

 

微妙:曲の背景が見えると説得力を持たせる方法にもなるね。BIGBANGの「Dirty Cash」も私にはオーディション経験手記のように聞こえた。

 

ロボトミー:ところで、そんなことが低年齢層によりよく売れる理由になったりしますかね?よく考えたら防弾少年団、B.A.Pもそうだし、ヒップホップではないけど作詞作曲をするB1A4もそうだけど、相対的に対象年齢が低いみたい。

 

ハバクク:思った以上に低年齢層はアイドルを包括的に消費してますね。

 

微妙:人生も含めた一種の「総合コンテンツ」という事?

 

キムヨンデ:100%一般化することはできないんだけど、低年齢であるほどファンタジーを投影する共感度が高いといえると思う。音楽性の精度を計算する割合も少なくなるし。

 

微妙:年齢によって「ネタ」に対する分別をつける能力が変わる気もする。 歳をとればとるほど、これがかりそめの遊びだということを意識しながらもその遊びに「応えてくれている」という考え方に変わっていくのではないか。


ハバグク:では、防弾少年団はもっと低年齢層で、BeenzinoやSwingsは彼らより高い年齢帯で消費されているということか。


キムヨンデ:その差は海外のファンたちにも存在する。 何人か会ってみた海外のファンたちを中心に見ると、コンセプトとメッセージを「区別」することに低年齢層であるほど無関心だと思う。 意識的に「自分がお兄さんたちに共感すべきであるから」するのではなく、本当に共感しているということだ。 単に年齢というよりは音楽を聞いてきた経験の長さ?ところがサザンヒップホップのコミュニティの中でも、それなりにリスニングキャリアが上がるほどその中で区分する欲求もちょっと出てくるようになり…そんな実例をすこし見た事がある。


微妙:差を知りながらも無関心、つまり別に分からなくてもいいんだということか。 しかし海外ファンの方が本国のファンたちよりナイーブなのは事実のようだ。 以前某元アイドルの掲示板質問のQ&Aを見ていたら「作詞作曲コンセプティングすべて事務所がしてくれるんだろう」という書き込みにメンタル崩壊する子が続出して…我々なら実際にはメンバーがしたとしても、「多少プロデューサーが手を焼いたかもしれない、しかしいずれは乗り越えるだろう」と考えるけど。アイドル文化にあまりに精通している人は、逆に本当に分かっていない事もあるようだ。

 

キムヨンデ:まさしく。アイドル産業がそのように動くということを知る機会ができたというような反応が続出するね。SNSでの反応を見ると、防弾少年団などの音楽に対して外国人同士で「こんなものは本物ではない、韓国にも本物のヒップホップはある」といった感じでどちらが上かといった論議をしている場面もしばしば見る。

 

微妙:「ネス湖に怪獣がいるvsいない」みたいな。(不毛な議論)

 

キムヨンデ:一般的にリアルかどうかというのはローカルだったり韓国中心の話が繰り広げられるんだけど、K-POPを楽しむ外国人たちにもその「ファンドムの位」が十分に存在するということだ。そういえば私たちもヘビメタを聴きながらそういう風に育ってきた気がする。ただし、その風景が韓国人である自分の目にはなんだか見慣れないだけで。

 

ハバクク:マジックが本物であると思って見る層と、ショーだということを知って見る「層の違い」なのかな?

 

ロボトミー:そして実際に魔法使いを知っていると主張する層もいるかも?


GOT7:アイドルはヒップホップをどう思っているのか

 

ハバククロボトミー防弾少年団とともに興味があると言っていたGOT7の話もちょっと気になる。僕が一番曖昧な存在と思ったのがGOT7だった。

 

ロボトミー:GOT7は不思議だったのが、これは「ヒップホップを使うべきだ」という意志で取り入れたというよりは、純粋にEXOを参照にしたんじゃないかな。

 

微妙:そう?どういう点で?

 

ロボトミー:EXOの「Growl」がなかったらこういう曲は出なかったじゃないかと思うんだけど、パクジニョンは今までは不思議とこんな風なミドル・テンポのR&Bには興味がなかったようなので。ところがある日突然このようなHip'n'B(ヒップホップ+R&B)をリリースしたので、事務所はLLOYDやMiguelのようなものを参照したのではなくまさに「Growl」がぴったりなんじゃないかと思った。

 

キムヨンデ:個人的にEXOの最近出たミニアルバム(「OVERDOSE」)にも多く似たような感じを受けた。

 

ロボトミー:「Growl」が大ヒットしたのは、ポップ市場の流れがEDMを過ぎて再びブラック・ミュージックの方に傾いたからだと思う。 SMも実際ミドルテンポのR&Bはあまりしたことがない。

 

ハバクク:国内では例外を除けば、ミドルテンポのR&Bがタイトル曲ではなく収録曲を満たす役割程度のものと認知されている感がある。

 

ロボトミー:あえてそれを選んだのはブラック・ミュージック(ヒップホップとR&Bは現在ではほとんど区別できない)が売れるという流れを見てたんだ。ところがそれを見て、またJYPがそこに行って。JYPがSMを追って同じ流れに行ったのがよりによってR&B的だったというのが笑えたというのが1点目、しかしそれがかなり良い出来だったというのが2点目、そしていまだにラップがgod(ジーオーディ)っぽいというのが3点目。

 

微妙:そうだとしたら、あえて「EXO」を参考にしたというよりは「ワールドトレンド」を見た結果だとも言えるのでは?

 

ロボトミー:ワールドトレンドに「Growl」が非常に直接関連があるのではないかというのと、またそれ以外の最近の流れはR&Bだけど、ミドルテンポはないので。

 

微妙:ところで「A」のような曲はかなりパクジニョンっぽくない?個人的にはJYPと「Growl」と「GirlsGirlsGirls」をつなげれば、missAの「I don't need men」のようなものが思い浮かぶ。Wonder Girlsの「So Hot」のテンポをゆるくしたような感じも若干。

 

ハバクク:テンポが少し速く長いが、僕はmissAの「Bad Girl Good Girl」も思い出した。

 

微妙:個人的にGOT7から受けたのは、むしろワンガ中期の男版という感じもあった。 「R.E.A.L.」や「Like This」のような曲もあったし。

 

キムヨンデ:ブラック・ミュージックがアイドルと関連付けされている点をEXOは「プロダクト」としてよく見せてくれたんだね。パクジニョンはブラック・ミュージックのキャリアが長い(?)けど、その具体的なレシピを知らなかったというのもあると思う。

 

ハバクク:JYPのブラックミュージック的な影響を受けたGOT7は、メンバーのスキルも高いと思う。ところが、JYP特有のすべてを歌謡曲っぽく変える感じのせいかちょうど良い大衆歌謡になる。そういう点が曖昧にさせるのかも。

 

キムヨンデ:個人的にJYPの他とは区別できる特別な力というのは、とにかくミディアムやスロー風のR&Bを、タイトル曲にできるレベルの大衆的訴求力を持った作品に作り上げることができる点だと思う。

 

ロボトミー:ラップが曲の3分の2を占める曲でもラップがgodなのは問題だよね。SanEは何を教えてたんだろう(笑)


アイドルにとってラップとは...

 

微妙:社長以外は誰も理解できない「謎の物質X」が、JYPの場合はその点なのかな。

 

ハバクク:良いラップがどういうものかというのをパクジニョンが知らないということはないよね。Dynamic Duoをフューチャリングして絶賛したり、SanEを事務所に入れたりしてたわけだし。

 

キムヨンデ:でも、それもヒップホップと出会うとまた曖昧になる。

 

ハバクク:良いラップで商売をするというより、商売をするのに適したラップがあると考えたほうがいいかも。

 

微妙:前の話とも関連してくるけど、「GirlsGirlsGirls」に「歌詞と思わずに 僕の言葉そのままだと信じて」という部分がある。

 

ロボトミー:それがパクジニョン式ラップの中核じゃなかろうか。ラップそのものではなく、「オッパが話していること」が重要であるという部分。

 

キムヨンデ:人々が認めるかどうかと関係なく、徹底的にラップを曲のパーツとして考えているSMと、リアリティの化身がトップに座っているYGやJYPのブラックミュージックっぽさというのは、すでに出発点が違うだろうね。

 

ハバクク:そういえば三大事務所はそれぞれラップを受け入れる視点が違うね。

 

ロボトミー:ラップ/ヒップホップが韓国に輸入されてから歌謡界に多くの影響を与えたが、そのうちの一つが歌がうまくない子やダンサーや他の才能がある子達もデビューすることができようにしてくれたという点だ。 SMがそれを本当に積極的によく利用した。

 

キムヨンデ:音楽のすべてのディテールを付属化してみると、どこかの部分には使うことができる。ドライな見方だけど、逆に言えばどこかには役割を与えられる余地が生じることになる。

 

衝撃! YGの過去を知ってみると...

 

微妙:ここでSMのヒップホップアイドルの話をするといいんだけど、いないのでスルーして、YGに行ってみよう。前述したように、上司からして「ヒップホップ街道まっしぐら」ですが...

 

ロボトミー:ラップ/ヒップホップが歌謡界に与えてくれたことの2つ目が「反抗」attitudeだけど、これはYGが21世紀初頭に本当によく使ってた。そしてそれからリアリティが抜け出すような選択肢を出したのがswagであるようだ。

 

ハバクク:YGはヒップホップリアリティが非常に突出してた。フリーペーパー<BOUNCE>を出したりMF !やNBを運営したり。以前YGホームページにあった「Message from YG」は今見ても、「お、おう…」と言いたくなるようなものが多い。CM撮影も徹底的に制限してたし、一度ヤン・ヒョンソクが直接「私たちはあえてCMの仕事を選んではいない。商品のイメージがぴったりだからCMの仕事を受ける」というようなメッセージを出したこともあった。今ではG-DRAGONが「フォロフォロフォロミー」したり(LG U+のCM)「Gマーケットパーティ」したりしてるけど。

 

キムヨンデ:本人がヒップホップ(文化)第1世代と呼ばれてる自負心が強いだろうし、それを常に所属歌手たちに思い出させていると思う。ヤン・ヒョンソクが「K-POPスター」に出る時いつも言う事で個人的に印象深いセリフが「私は新人を見たときにその子が"ヒップホップ"であるかどうかだけを見る」だ。

 

微妙:海外ファンたちが知りたくなるようなヒップホップの存在がYGにはあったなぁ。

 

キムヨンデ:あそこではヒップホップはただ音楽だけではなくて、「ブラックカルチャーこじらせ」的な意味合いもあったり。

 

ロボトミー:あそこでの「hustle」とか「swag」ってどういうことだろう。

 

ハバクク:韓国語で「ポーズ」程度が適当じゃないかな。

 

キムヨンデ:ところで、これは勇敢な兄弟もよく言ってるよね。『偉大な誕生』の審査評でもずっと言ってる。 「他のことはわからないけど...ヒップホップがありますね〜」

 

ハバクク:実際にはヒップホップアイドル1世代は1TYMだよね。ジヌションはアイドルと呼ぶにはいくつかのあいまいな部分があり。

 

ギムヨウンデ:ジヌションも十分にヒップホップ的なものだと一般的には言えるしね。

 

微妙:そういえば96-97シーズンは、「ガソリン」(ジヌション)、「戦士の末裔」(H.O.T)、「カムバックホーム」「1996年、彼らが世界を支配したとき」(2曲ともソテジと子供達)..こういう音楽が超メジャーだった時代だなんて…

 

ロボトミー:ヒップホップだよね。

 

キムヨンデ:いわゆるゲットーラップの全盛時代の曲たち(笑)アメリカでヒップホップが頂点をとった時期ですね。一方、DEUXはそもそものベースはヒップホップではなく、テディ・ライリーのようなニュージャックスイングであり、最初に聞いて影響を受けたサウンドもハービー・ハンコックの「Rock It」のような音楽だったそうで。イ・ヒョンドが回想してたけど、より本格的な音楽をしたくても事務所の圧力がすごかったらしい。タイトル以外のいくつかの曲はまさにテディ・ライリーっぽいのが多かった。有名なタイトル曲は特有の「イ・ヒョンドメロディ」だけど、それはもともとそうだったというよりは、それなりの適応を戦略的に行っている過程で本人のスタイルで固まっていったのかもしれない。

 

1TYM:アイドルとヒップホップの二人三脚の時代

 

微妙:イ・ヒョンド発言もそうだしジヌションを今見てもそうだけど、ヒップホップをしたい人はマーケットに適応するためにアイドルのモデルを導入したとも見ることができるでしょう。どうせ事務所の息がかかっていなければデビューが不可能だった時期だったので。

 

ロボトミー:実際、アイドルとヒップホップが出発するときはほぼ2人3脚のような感じじゃなかったかと思う。

 

キムヨンデ:ソテジの役割が大きかったと考えてる。YGのマインドもそういう感じで出発しただろうし。

 

ハバクク:韓国で事務所が適切に育成したアイドルの始祖といえば、やはりH.O.T.ではないかな?

 

微妙:個人的にはユ・ヨンジンがソテジの反抗イメージと「今時の子供たちのための音楽」の導入のために「戦士の末裔」を作ったと見るが...

 

キムヨンデ:当時は「ヒップホップだ」といってもいわゆる正統派ヒップホップ・ニュージャックスイング・R&Bが混同されていた時代だから、実際に聴いている音楽はそうではないのにヒップホップファンのような感じがあった。

 

ロボトミー:そうだね。

 

キムヨンデ:ソテジのヒップホップを聞いて好きだった子供たちは、90年代半ばにはすぐにラップメタルに乗り換えた。一方、イ・ヒョンドはアルバムのタイトルに「完全ヒップホップ」と銘打ったくらいなので、内容はともかくアティテュード的には完全に差別化されたとみなせるのでは。

 

微妙:その頃に生まれたいくつかの伝統的なようなものもないだろうか。最近のヒップホップアイドルが門付けの歌(昔物乞いが家の前でお金をもらうために歌った雑歌)のようなフレーズを多くの場合入れたりするのは、YGが童謡を挿入した1TYMの「쾌지나칭칭」、ソテジと子供たちの「何如歌」のような流れでもしかしたらつながらないかと思ったりする。

 

ハバクク:TigerJKが1999年で「完全ヒップホップ」が2000年。

 

キムヨンデ:ソテジのいわゆる「ラップダンス」以降からTiger JK(ドランクンタイガー)までは暗黒時代だね。ヒップホップが大衆音楽でもアンダーでもなく曖昧な時代。

 

ハバクク:1999年度は「大韓民国」シリーズが初めて出た年じゃなかったか。

 

キムヨンデ:それはいわゆるパソコン通信全盛期の頃、みんなで何かしようと準備だけしていた時だ。私もその時はラップをしていた。マスタープラン(クラブの名前)が「青い牡蠣の養殖場」だった時代...

 

ハバクク:ハニーファミリーが世に出て、マスタープランでもコンピレーションアルバムを出した。 SNP **は「あのライムもめちゃくちゃな奴ら」を出してナイフを研ぎ、ソウルトレイン**のウジ(DJ Uzi)は、マスタープランのホームでマスタープランをdisしたりして...

** SNP:ナオヌリブラックミュージックスモールサークルとして出発したグループとクルー
**ソウルトレイン:ハイテルブラックミュージック同好会

 

ロボトミー:「1999年大韓民国」はコヨンウク(Roo'Ra)、キムソンス(COOL)、キムジンピョ(パニック)等が参加したプロジェクトだった。結果としてのエクスティンとハニーファミリーが水面に上がってきた。

 

微妙:つまり1999年からヒップホップがいくつかの流れに乗り始めて、それ以前のヒップホップ創成期だった時代に、すでにアイドルxヒップホップやヒップホップxアイドルのような形式が試みられていたと見ることができるでしょう。

 

ハバグク:1TYM1集が1998年に出た。 ところが、当時パソコン通信ではアンダーグラウンドヒップホップを高く評価している雰囲気だった。 それでYGはちょっと排斥されていてPerryのサウンドに対する悪口もたくさん言われていた。 1TYMの1枚目のアルバム曲を見ると、ラップをスキルフルにするというよりも分かりやすくするという感じだから。

 

キムヨンデ:当時の1TYMのファーストアルバムを受け入れる反応は、たとえるならアメリカでブロンクスのラッパーたちは録音契約を誰もできなかったのに、メインストリームでBlondieが最初の世に出たラッパーになった時のような雰囲気だった。

 

ハバグク:さっき第1世代ヒップホップアイドルは1TYMではないかという話をしたのはそういう理由もありますよ。 TEDDYクラスになればみんなが認めたが、ソンベッキョンとオジナンはポジション(プロデューサー、ダンサー)によって入れた感じがあった。

 

キムヨンデ:それでも1TYMはヒップホップのリアリティというカテゴリーにすごくこだわったという感じはない。 それなりにポジショニングが柔軟だった感じだ。

 

ロボトミー:ヒップホップのリアリティはファッションで見せて与える戦略だったんじゃないかという気がする。 

 

キムヨンデ:YG出身という点で多くの証明が必要なかったんじゃないかなとも思う。当時の正統というのは洋楽だったので「正統派ヒップホップ」ファンには認められなかったけど。

 

ロボトミー:実はヒップホップマニアたちによる認定が敢えて必要なかったという。

 

キムヨンデ:その通りだ。 どのみちジャンル音楽ということを標榜したグループがなかったから。 おそらく当時のファンには特に「ヒップホップ」として見てたわけじゃないと思う。アンダーでは無視されていたのだろうし、一般の音楽ファンにとっては単なる「ブラックミュージックのグループ」程度。そのブラックミュージックというのがソリッド式の堂々としたボーカルR&Bではなく、ラップも混じって、歌謡曲風もあり、洗練されたR&Bもする。なんとなくコスモポリタン的な「アフリカンアメリカン」っぽい感じはあまねくすべて借用するという。

 

ハパグク: その時の雰囲気はローカス(Rawkus)がヒップホップの未来だった時代だ。 同じブラックミュージック通信の会の中でも、ティンバランドを好んでいた某MCの場合は変なやつだと言われたという話を聞いた。 一方、YGは開始当初から「俺たちはメインストリームヒップホップだ」という感じだった。 「花王」がいるヒップホップ。

 

ロボトミ: YGがswagを後から導入したというが、あえて表明しなかっただけで実は最初から持っていたアティチュードではなかっただろうか。とにかくお金を稼げるからって。 また、それとは別に自らの音楽に対する自負心と情熱があったとみている。 「アンダーではなく、俺たちが本物だ」そして「俺たちは歌謡界でヒップホップをやっていく」という感じ。Perryのアルバムも出しつつ。

 

ハパグク:イケてる感じにしたかったけど、思ったよりもそのかっこよさというのが当時の韓国で簡単に受け入れられる性質のものではなかったと考えている。 YGがそういうノリだったというよりそれが本土のノリだったから。 ローカライズもされていなかった。

 

ロボトミー: 僕はYGファンですよ。アンダーヒップホップ界で初めて「BIGBANG SHOUT OUT」と書いてあるTシャツを着たくらい。

 

LEXY:YG最初の実験?

 

ハバククLEXYを考察するべきだと思う。僕が思うにYGで最初の実験はLEXYだった。

 

微妙:1TYMはコンセプトの設定がされている状態で出た結果であり、「とりあえず1回やってみよう」という感じだったのはLEXYが初めてだった?

 

キムヨンデ:1TYMはキープシックスの修正・補完作ではないかな? (笑)

 

ハバクク:最初にYGでエレクトロ−ミックスで出てきたのがLEXYじゃないかな。1TYMやBIGBANGはグループだけどLEXYはソロだし、強いお姉さんのイメージは良かったけど実力のアピールは曖昧だった。ところがPSYが作った「グラスホッパー」はものすごく人気が出てしまった。 「グラスホッパー」がそんなふうになるとはYGも予想していなかったようだ。

 

微妙:それは、 「歌謡的な」妥協点だったのではないか?

 

ハバクク:今LEXY1集のフィーチャリング面子をみるとフィソン、BIGMAMA、GUMMY、PSYなんだよね。当時のYGのM-Boat(かつてYGにあったレーベル)ライン+PSYだけど、2集はYGのアンダーグラウンドレーベルにいたストーニースカンクもフィーチャリングしていた。そういえばLEXYは元々「YG純血」ではなく、ユンヒジュンの方だ。

 

キムヨンデ:1999年は何かヒップホップに関して変わったものを全部やってみたような時期だね。

 

ロボトミー:俺たちのBIGBANGの話はまだかな?BIGBANGのファンなもので。

 

ハバクク:ビッグバンのヒット曲が「嘘」で、勇敢な兄弟の曲なのにYGで、このような曲が最初に出たのがLEXYの「空の上」からだったので取り上げてみた。

 

キムヨンデ:LEXYMissy ElliottとLil 'Kimを何となく混ぜた感じだった。

 

ロボトミー:ヒップホップのアティチュードだけを残して、音楽はヒップホップを捨てようという試みだと言えるのかな?ところがまだ捨てたられたわけではなく...

 

 

ロボトミーが熱望しているBIGBANGの話はパート2で...

 

 

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